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私の晴れ舞台

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「お嬢様、本日はいかが致しましょう」
執事らしき好青年が問いかける
「そうね、晴れ舞台なのですから出来るだけ上品に」
少女は儚げに答える
困り眉になっている少女の名はマリージュ・ウルシリア。そしてマリージュの髪をゆっているのが彼女の執事、マインダー・ナカマラス。
なぜマリージュが困っているのか、それはこの後に婚約者の生誕パーティーに出席しないとならない。


「はぁ・・・」マリージュは気を抜いてしまったらしい小さなため息がこぼれる。
それを有能な執事は逃さず
「体調でも崩されましたか?」
「いえそんな事ないのよ、ただ・・・ね」
2人は幼い頃から一緒に育ったのか二人っきりになると口調が柔らかくなってしまう。


マリージュは昔から大勢集まっている場所が苦手。だけど公爵家の一人娘と言う地位を持っているため、必ず社交パーティーには参加しなければならない。それに加え今回は自分の婚約者主催のパーティー、それは目立つ場所に立たされるであろう。
なんども普通のパーティーには参加していたので慣れている、そう普通のパーティーには。


婚約者はこの国の時期国王、現第一王子のカラマイス・スペイソン。王子の生誕パーティーと来れば下級貴族から上級貴族、他国の王族などいらっしゃるだろう。そうマリージュが苦手な大勢になる。
し  か  も
王子の生誕にくわえ成人祝いも含まれている。学園には特待生として平民が月に10人ほど入学してくる。時には貴族への気遣いを怠るものも出てくる。
それもまた面倒な事になる事を想像するとマリージュからため息が出る


彼女に関係の無いことだったら面倒事にも巻き込まれる心配もないが。
そう、その無礼者はかなり男の取っかえ引っ変えが激しい。けど外では猫を被り身分が相当上であろう物にも軽々しく声をかける。異性にだけ、女性にはもちろん色んな意味で嫌われている。遊び女、婚約者を取られた、他にも色々。

その女の名前はヘラミネ・シュガイ
平民出身、今では男爵家に養子として迎えられている。最初はまだ良かったもの男爵家に入った途端豹変したのだ。


ヘラミネは今現在、マリージュの婚約者カラマイスに夢中だ。そうマリージュは気づいている、カラマイスとヘラミネは築いてはならない関係にある事を。
簡単に騙されるカラマイスもあるけれどヘラミネには魅力の力、そしてとても可愛らしい要素を持っている為。男は誰であろうと自分の物に出来る。


マリージュは1度たりともカラマイスをすいたことは無いからそんな事気にする必要もない。けれど思ってもいないことにヘラミネはカラマイスにマリージュが自分を虐めていると相談をしている。
マリージュには記憶にもいつでもそばにいる執事マインダーにも心当たりなど到底ない。


今日は王子の晴れ舞台、そして自分の晴れ舞台。マリージュは疲れてしまったのだこんな面倒事に巻き込まれるくらいなら断罪され他国に追放された方がマシだと。ただ最初から断罪されるき満々とも行かない。現公爵の父を自分の面倒事に悩ませるわけにも行かない。母も驚く程心配性で誰よりもマリージュの事を大切にしてきた。こんなにお世話になって愛をくれた人達に迷惑はかけられない。


マリージュは決めていたのだ、断罪されるのなら誰一人巻き込まずに。自分だけに被害が及ぶように演じようと。
完璧な悪役を演じようと。
たとえ誰一人落としてはいけない
誰一人。
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