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有名人
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しおりを挟む────目眩がする。
人に触られること、身体を見られること、その全てに吐き気がする。
なのにここ最近色々ありすぎて、心と裏腹に身体は慣れてきてるようだった。
でも本当は、セックスの中心になるのなんて嫌だ。外野で眺めるのが楽しいんだから。
視姦だって、ファンとは合意の上。強制的にセックスさせてるわけじゃない。
けど身体を好き勝手するのは、心を壊す。人を壊す行為だ。……それを今さら知ってしまった。
「あれ。一架?」
覚束ない足取りで廊下を歩いていると、名前を呼ばれた。顔を上げると、目の前には今朝変な空気で別れたっきりの継美さんがいた。
「どうした? 部活もやってないお前がこんな遅くまで残ってるなんて」
彼はもう朝の件をすっかり忘れてるようで、いつも通り近付いてきた。
「……俺、自分でも自分がおかしいと思ってるけど、やっぱレベルが違うのかな?」
「は? 急に何の話だ?」
彼は首を傾げ、ポケットに手を入れた。
「人のセックスを見て、それで気持ちよくなってる。冷静に考えたら、男子校に入っちゃいけない奴でしょ」
「なるほど。言いたいことは分かったけど……かつてないネガティブだな。ナルシストで自分大好きなお前がそんなこと言うなんて、何かあったのか?」
「……っ」
やっぱり、彼はお見通しみたいだ。嘘をついても見抜かれる。
「それにしても一架、お前すごい汚れてるな」
「そんなの言われなくても知ってるよ……」
「いやいや、服が」
継美さんはそう言うと、いきなり腰の辺りを触ってきた。
「うわわ、どこ触ってんだよ!?」
「ちょ、大人しくしろって。埃落としてやるから」
あぁ、さっき床に座ってたからそのせいで汚れてしまったんだろう。疚しいことをしようとしてるわけじゃないみたい。けど、服越しでも触られると変に意識してしまう。
「よし。まぁ大体落ちたかな。で、何やってたんだ」
「別に。転んだ」
「へぇ。尻餅つくような転び方したのか。ドジなのか?」
「ドジだよ」
帰りたい。
「ふーん……。……あ、後ひとついいか」
継美さんは少し考えた後俺の背後に回って、品定めするように下から眺めた。
「な、何 何かついてる?」
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