12 / 142
生徒会長の奉仕(監視)
1
しおりを挟む翌朝、二日目の登校。
「須賀君、おはよー!」
「おはよう!」
校門をくぐってすぐ、智紀はクラスメイトに声を掛けられた。顔を覚えててくれただけで有難いのに、声を掛けてくれるというのはかなり嬉しい。
やっぱり皆良い奴だぁ……!
朝から良い気分になって、ふわふわ考えながら空を見上げた。そんな時、目の前の校舎の屋上に人影があることに気が付いた。
結構見覚えのある、今俺の中で大問題の“彼”だ。
校内に入り、一階から四階へ階段を駆け上がる。朝から良い運動だった。軽い足取りで、屋上へ躍り出る。後この学校、屋上出れるんだ。そこにちょっと驚いたけど。
彼の後ろ姿を見たら、そんなことも一瞬で忘れてしまった。
「よっ! 何やってんの?」
声をかけると、彼は徐に振り向いた。
この学校の生徒会長、七瀬。何故か今は望遠鏡を持っている。
「何だ、アンタか」
とても素っ気ない態度で、彼はまた望遠鏡で下を眺め始めた。
「ここで毎朝、誰が誰と登校してるかチェックしてんだ。手を繋いで登校してる奴らがいたら、そのまま生徒会室にご案内コース」
「……」
朝から鳥肌が立った。
「つまり監視か。お前って実は暇で仕方ないの?」
「忙しいけどこの為なら睡眠時間も削れる」
つまりドMか。
今日は何回ドン引きさせてくれるんだろ。怖くなってきた。
「お前、俺なんかと喋ってる暇があんなら友達でもつくりに行けよ。屋上なんか来やがって、この不良が」
「それ言ったらお前も不良だろ! 絶対俺よりまともな青春送ってないし」
こいつの青春って、いかに数多くのカップルを別れさせるかで決まりそうだ。
そんなの誰も幸せにならない。勿論、こいつも。
「……ってワケで教室行くぞ!」
「わっ、離せよ!」
嫌がると思ったから、腕を掴んで強引に七瀬を引きずった。
「他人のことばっか考えてないで、自分が楽しむことを考えろよ。その方が絶対良いぜ?」
「別に楽しみたいとか思わないし、学校なんか」
彼はブツブツ文句を言ってる。でも、そこは俺も言い返したい。
「楽しまなきゃ! 高校なんか俺ら今年で最後なんだよ?」
「……はいはい、そうですね!」
呆れてるのか面倒くさくなったのか、七瀬はもう反抗はしなくなった。
0
お気に入りに追加
129
あなたにおすすめの小説
愛の宮に囚われて
梅川 ノン
BL
先の大王の末子として美しく穏やかに成長した主人公の磯城(八宮)は、非常に優秀だが鷹揚な性格で権力欲はなかった。
大王の長子(後東宮)である葛城は、幼い頃より磯城に憧れ、次第にそれは抑えきれない恋心となる。
葛城の狂おしいまでの執愛ともいえる、激しい愛に磯城は抗いながらも囚われていく……。
かなり無理矢理ですが、最終的にはハッピーエンドになります。
飛鳥時代を想定とした、和風ロマンBLです。お楽しみいただければ嬉しいです。
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
告白ゲームの攻略対象にされたので面倒くさい奴になって嫌われることにした
雨宮里玖
BL
《あらすじ》
昼休みに乃木は、イケメン三人の話に聞き耳を立てていた。そこで「それぞれが最初にぶつかった奴を口説いて告白する。それで一番早く告白オッケーもらえた奴が勝ち」という告白ゲームをする話を聞いた。
その直後、乃木は三人のうちで一番のモテ男・早坂とぶつかってしまった。
その日の放課後から早坂は乃木にぐいぐい近づいてきて——。
早坂(18)モッテモテのイケメン帰国子女。勉強運動なんでもできる。物静か。
乃木(18)普通の高校三年生。
波田野(17)早坂の友人。
蓑島(17)早坂の友人。
石井(18)乃木の友人。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる