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第2話
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しおりを挟むなるほど、と思いながらも亀吉はぞっとした。
それなら全て合点がいく。
結婚相談所のはっぴいで死んだ6人は、皆、真剣交際に進んだ相手でした。
仮交際から真剣交際に進むからには、その時点で相手に対する好意が芽生えている証拠。
つまり好きになったら、その相手に厄災が降りかかるという呪いに取り憑かれているわけですね。
なんて、恐ろしい呪いなんでしょう。
「……と言うことは、かあちゃん」
「なんだ」
「冥府さんは今後、誰かを好きになっちゃダメってことでしょうか?」
「ああ、そうだ。好きになったとたん、その相手は死ぬからな」
「じゃあ、結婚できないじゃないですか……」
勇気を出してタネを撒いても、死の花が咲くことになってしまう。
ヤケクソ結婚相談所にお任せを、と言ってしまった手前、亀吉はなんだかやるせない気持ちでいっぱいだった。
菊奈も、俯いたまま唇を噛み締めている。
重々しい空気のなか沈黙を破ったのは、ひとり能天気にハナをほじっていた留三だった。
「だけどよう、ひとつだけ結婚する方法があるぜ」
その言葉に、全員の視線が留三に集中した。
令子は呆れたように、口を歪ませる。
「留三よ、そんな方法があるわけねえだろうが」
「とにかく聞いてくれよ。すごく簡単なことだから」
「なんだ、早く言ってみろ」
「まあまあ、そう急かすなって」
留三はいかにもダルそうに、隣の空いているベッドにどっかと腰を下ろした。
「つまり、こういうことだろ? 好きな相手とは結婚できないって」
「ああ、そうだ」
「じゃあ、好きじゃない相手と結婚すればいいんだ」
そこにいた全員が、ぽかんとする。
好きでもない相手と結婚する? 確かにそれだと相手は死なないが……。
なんか、根本的におかしくないか?
「俺よう、探偵やっててわかったんだ。結婚してもしばらくすりゃあ、たいていの夫婦は愛情なんて無くなるのさ。だからみんな不倫しちまうんだ。いずれはどうせそうなるんなら、最初っから好きじゃない相手を見つければ、死なれずに済むし結婚もできる。どうだい、俺の言ってることおかしいかい?」
いや……おかしいでしょ。
と口を挟もうとした亀吉の横で、令子がパンと手を叩いた。
「たまにはいいこと言うじゃないか、留三。それで行こう!」
ええ……?
それで合ってます?
「じゃあ冥府さん、アンタの嫌いな男のタイプってどんなんだい?」
「え……あ……あの……」
予想していなかった展開に、菊奈も頭が真っ白のようであった。
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