ヤケクソ結婚相談所

夢 餡子

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第1話

15

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「まあ、落ち着いて」
「落ち着けるわけないじゃない! アヤは親友なんだよお!!」
「俺は、寝るときはいつもハダカなんだ。だから、こんな姿だからと言って、君とした証拠にはならない」

だが、アズサの目からは涙があふれ出し、首をぶんぶんと横に振る。

「じゃあ、私がハダカなのはなぜよ!」
「エアコンの電源がついているのに、全然涼しくない。たぶん、壊れているんだろう。昨夜は酷く暑かったから、君も無意識にハダカになってそのまま寝てしまった可能性が高い」
「そんなの、想像に過ぎないでしょうが!」
「想像じゃなく、推察だ。見ろよ。シーツだって、全然乱れていない。俺たちはしていないと、ほぼ断定できる」
「刑事みたいな言い方しないでよ!」
「警察に勤めてるんだ。仕方がないだろ」

あくまでクールな姿勢を崩さない東雲に、アズサは次第に心が落ち着いていった。

そういえば……。
このところずっとご無沙汰だったのに、しちゃった感覚もないし……。

うん、そうだ。
昨夜は、なんにもなかったんだ。
そうに違いない。

「とりあえず……服を着て、すぐにここを出よう」
「うん……」

ふたたび互いに背を向け合うと、ふたりは床に散らばった服を拾い上げ、いそいそとそれを身に纏った。





「杉崎しゃん、僕がそんにゃ人間に見えましゅか!」

竹下は口を尖らせて、不満そうに言う。

「寝ている杉崎しゃんを襲うなんて……僕にはできましぇん!」
「そ、そうだよね……」
「それに……ぼ、僕は、その……そもそも経験がないれすし……」

ぽっと顔を赤らめて俯く竹下。
あ、ああ……恋愛経験がないだけじゃなく、まだあっちの経験もないわけね。
彼は女性経験が皆無の、一流恋愛作家なのであった。

「と、とりあえず。家に帰って着替える時間もないし、このまま会社へ行こう」
「はい……」

それにしても、竹下くんとホテルから会社に出勤だなんて。
こんなこと、もし翔さんに知られてしまったら……。
そう考えると、憂鬱な気分になる。

いそいそと支度を終えると、最後に部屋を見渡した。

「えっと、忘れ物はないよね」
「らいじょうぶれす」

部屋のドアを開けて、廊下へと出る。
すると同時に、隣の部屋のドアが開いて、カップルが出てきた。
こういう時って、なるべくお互い見ないようにするものものだけど……。

あまりのタイミングの良さに、図らずも顔が合ってしまい……。
次の瞬間、彩は驚きのあまりその場に完全に固まった。
向こうもまったく同様である。

「えっ! アズサ!? それに……か、翔さん!?」
「な、なんでここにアヤがっ!!」

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