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第1話
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勤めているしょぼくれた会社は、ろくな男がいない。
そもそも、ブサイクな中高年だらけだ。みな、ぶくぶくと腹がデブっていたり、鼻毛がボーボーだったり。
それでも殆どが結婚しているのは不思議でならない。
とすると、結婚相談所か。美希もそこで公務員を釣り上げたと言うし。
今まで考えたこともなかったが、調べてみる価値はありそうだ。
彩はテンパって、ポテチを次々と口に放り込みながら、スマホで『結婚相談所』を検索した。
すると、出てくるわ、出てくるわ……。
何百件もの結婚相談所がヒットする。
世の中にこれほど結婚相談所があるということは、それだけこの業界が盛り上がっているということだろう。
つまり……私でも、すぐに素敵な相手が見つかる可能性が高いということだ。
彩は、はやる心を抑えられず、よく耳にする大手の結婚相談所のサイトを開く。
すると、『全力で貴方の婚活をプロデュースします!』という力強いキャッチフレーズが。
心弾ませながら、料金表に目をやると。
「はあっ!?」
入会金 20万円。
月会費 3万円。
成婚料 30万円。
た、高すぎる……。
そんな金はない。
もともと会社の給料が安い上に、なんせ食べるから食費代がバカにならない。それに浪費家でもある。
だから貯金は、ほぼない状況だ。
ため息をつきながら、適当にサイトを覗いていると、とある結婚相談所にふと目が留まった。
入会金 5千円。
月会費 2千円。
成婚料 1万円。
なにこれ。他社と比べてすっごく安いじゃない。
えーと、なんて会社だ?
ヤケクソ結婚相談所。
……なんだか、名前が怪しいが。
それにしても、この安さは魅力である。
まあ、結婚相談所なんて、どこだっていい。
ちゃんとした相手さえ見つかれば、問題ないのだ。
善は急げと言う。
彩は即、ヤケクソ結婚相談所に電話を掛けた。
『はい。居酒屋ヤケクソです』
「えっ、居酒屋?」
そう問いただすと、なにやら電話の向こうであたふたしているようである。
『あ! いや、間違えました……ヤケクソ結婚相談所、です』
どんな間違いなんだ。大丈夫か、この結婚相談所。
「あの……入会を検討してるんですが……」
『それはそれは。ありがとうございます。お名前を教えてもらえますか?』
「杉崎彩です」
『杉崎様ですね。ちなみにお相手の方は、どういったご希望で?』
ふと、考える。
せっかく高い?お金を払って結婚相談所に入るんだ。希望を高くして元を取らないとね。
「そうですね~。歳は30歳から40歳くらいで、高身長でイケメンで優しくって、年収1000万以上のひとが希望です」
『はあ、はあ。ちなみに、杉崎様のご年齢は?』
「39歳です」
『なるほど、なるほど……』
なんか、相手の声が急に暗くなったな。
「……あの、その条件で見つかるでしょうか?」
『ももも、もちろんですとも! 私どもにお任せください。必ずやご希望に合うお相手を沢山ご紹介できますから!』
「ホントですかっ! じゃあ、ぜひ入会したいです!」
そうして彩は、ヤケクソ結婚相談所に入会すべく、訪問する日時を決めたのであった。
……しかしそれが大変な災難の始まりであることに、彩がまだ気づくはずもない。
そもそも、ブサイクな中高年だらけだ。みな、ぶくぶくと腹がデブっていたり、鼻毛がボーボーだったり。
それでも殆どが結婚しているのは不思議でならない。
とすると、結婚相談所か。美希もそこで公務員を釣り上げたと言うし。
今まで考えたこともなかったが、調べてみる価値はありそうだ。
彩はテンパって、ポテチを次々と口に放り込みながら、スマホで『結婚相談所』を検索した。
すると、出てくるわ、出てくるわ……。
何百件もの結婚相談所がヒットする。
世の中にこれほど結婚相談所があるということは、それだけこの業界が盛り上がっているということだろう。
つまり……私でも、すぐに素敵な相手が見つかる可能性が高いということだ。
彩は、はやる心を抑えられず、よく耳にする大手の結婚相談所のサイトを開く。
すると、『全力で貴方の婚活をプロデュースします!』という力強いキャッチフレーズが。
心弾ませながら、料金表に目をやると。
「はあっ!?」
入会金 20万円。
月会費 3万円。
成婚料 30万円。
た、高すぎる……。
そんな金はない。
もともと会社の給料が安い上に、なんせ食べるから食費代がバカにならない。それに浪費家でもある。
だから貯金は、ほぼない状況だ。
ため息をつきながら、適当にサイトを覗いていると、とある結婚相談所にふと目が留まった。
入会金 5千円。
月会費 2千円。
成婚料 1万円。
なにこれ。他社と比べてすっごく安いじゃない。
えーと、なんて会社だ?
ヤケクソ結婚相談所。
……なんだか、名前が怪しいが。
それにしても、この安さは魅力である。
まあ、結婚相談所なんて、どこだっていい。
ちゃんとした相手さえ見つかれば、問題ないのだ。
善は急げと言う。
彩は即、ヤケクソ結婚相談所に電話を掛けた。
『はい。居酒屋ヤケクソです』
「えっ、居酒屋?」
そう問いただすと、なにやら電話の向こうであたふたしているようである。
『あ! いや、間違えました……ヤケクソ結婚相談所、です』
どんな間違いなんだ。大丈夫か、この結婚相談所。
「あの……入会を検討してるんですが……」
『それはそれは。ありがとうございます。お名前を教えてもらえますか?』
「杉崎彩です」
『杉崎様ですね。ちなみにお相手の方は、どういったご希望で?』
ふと、考える。
せっかく高い?お金を払って結婚相談所に入るんだ。希望を高くして元を取らないとね。
「そうですね~。歳は30歳から40歳くらいで、高身長でイケメンで優しくって、年収1000万以上のひとが希望です」
『はあ、はあ。ちなみに、杉崎様のご年齢は?』
「39歳です」
『なるほど、なるほど……』
なんか、相手の声が急に暗くなったな。
「……あの、その条件で見つかるでしょうか?」
『ももも、もちろんですとも! 私どもにお任せください。必ずやご希望に合うお相手を沢山ご紹介できますから!』
「ホントですかっ! じゃあ、ぜひ入会したいです!」
そうして彩は、ヤケクソ結婚相談所に入会すべく、訪問する日時を決めたのであった。
……しかしそれが大変な災難の始まりであることに、彩がまだ気づくはずもない。
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