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第二部3章 皇女降嫁?白き生花で紡がれし花冠の章

12.俺は納得できません!!

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一旦、ラシルフへ帰国する事になり、馬車の中。


「何なんだよ!?あれ!あんな終わり方でいいわけ?!」
「アヤ、落ち着いて?」

結局、今回の件は全て伏せられる事になった。
まぁ、事情が事情だ。公にするわけにはいかんだろ。
が、タータの件は別!!
あんの、クソ皇子!散々、タータを悲しませておいて、何、いけしゃあしゃあとプロポーズなんぞしてやがる?!ずうずうしいわッ!!あんな男に、可愛いタータは勿体無い!

「「絶対、やらん!!」」

俺とカーティスの声がハモる。

「アヤ、ありがとう。私の為に、そこまで言ってくれて嬉しくてよ。兄上も…お気持ちだけは嬉しゅうございますが、此度のような行動はもうお止め下さいませ?」
「分かっている。今度はうまくやる」
「……………………」

そういう事じゃねぇよ、カーティス…
駄目だ。結局、カーティスはカーティスのまんま。
タータと顔を見合わせ溜め息をつく。

「時に、シーファ」
「何?」
「何故、着替えた?あのままでもよかろう?」
「いや、よかねぇよ。事件解決したんだから、俺がいつまでもあんな格好でいる必要ないだろ」
「あのままで、そのまま俺の元へ来ればいい。シーファなら、俺は喜んで貰い受ける」
「相変わらずだな、カーティス…」

俺がカーティスんとこ行くの前提で決まりみたいに言い切る。さすが、カーティス。バルドと張るくらいの俺様ぶりだ。いっそ、清々しい。が…………

「行かねぇって。俺は女の子が好きなの!」
「グレインバルドは男だが?」
「バルドは……そ、の…別っていうか」

カーティスにつっこまれ、口ごもる。
何で?とか、どうして?は、散々自分でも自問自答した。それでもやっぱり言える事はただ一言……

「そんなに好きか?奴が…」

再度つっこまれ、今度は黙る。その答えに応える「好き」は、特別な意味の「好き」だ。言葉にするなら、言う相手が違う。

「兄上。それ以上は無粋ですわよ?お止し下さい」
「タータ。俺はお前の愛しい兄だろう?兄とお前が好きなアヤがくっつけば、アヤはずっと側にいる事になる。良い事だ。ここは普通応援するもんじゃないか?」
「えぇ、兄上。私は兄上をお慕いしておりますわ。でも、私、兄上以上にアヤの事が大好きなんですの。大好きなアヤには、アヤが大好きなお方の側で幸せに笑っていてほしいんですの。だから、たとえ兄上といえど、アヤを困らせたり悲しませるなら、黙っていなくてよ?」

ニッコリ微笑めど、情け容赦ない妹の反撃に、カーティスが顔をしかめる。

「冷たい…冷たいぞ?タータ」
「兄上にはこれくらいでよろしいですわ。今回の件、私まだ怒ってますのよ?しっかり、反省して下さいませ!」

今回に関してはタータに強く出られないカーティスが、それでも尚食い下がろうと矛先を変える。

「貴様はどうなのだ?ラキティス」
「…………どう、とは?」

カーティスの問いに、今まで黙り目を伏せていたキサが顔を上げる。カーティスたちには、キサの事は話していた。
かなり驚いてはいたが、概ね納得したようだ。

「貴様もまたアヤを特別な思いで見ておろう?」
「………………」
「下手な嘘や誤魔化しはいらん!女神の枷も関係ない。アヤの前では、そんなものあってなきの如しだからな。貴様をキサとして初めて見えてから、今に至るまで……貴様のアヤを見る目は変わらん。惚れた愛する者を見る男の目だ。違うか?ラキティス」

カーティスの問いに、キサは無言のままだ。
あの……本人目の前にいるんですけど?
俺の目の前で俺をどう思ってるかの話って……
めちゃくちゃ居た堪れない。

「兄上、アヤが困っていてよ?もうそろそろ、ホントにお止め下さいませ。ラキティス様も応えなくて結構ですわ。アヤに対するラキティス様の思いは、ラキティス様のもの。兄上にその大切な思いを話す必要はありませんわ」

タータが話を切り、カーティスを軽く睨める。叱られた子供のように、カーティスは不貞腐れるが、タータに視線で諌められ、ふいっとそっぽを向いた。
キサはそれを見て軽く目を瞠り、フッと小さく笑む。

「お気遣い恐れ入ります、姫」
「よくってよ。気になさらないで」

ニコッと可愛らしく微笑むタータ。
あぁ、やっぱりタータは、女の子は可愛い♡

それにしても………
ちらっと横を伺う。キサはしれっとしたまま、また目を閉じていた。
キサには、一度気持ちを告げられている。応えられない事は伝えたし、その後も、何もなかったかのように普通に接しているし、助けてもくれてる。

実際、キサは……何を思ってるんだ?まだ、俺の事?

俺は、バルド以外受け入れられないし、受け入る気もない。キサがどう思っていようと、応えられない以上、俺からこの事に触れる事はできない。

……考えるのよそう。逃げるわけではないが、デリケートな話だ。安易に触れれば、キサを傷付ける事になりかねないし……
タータが言ったように、キサの気持ちはキサのもの。キサが口に出さない限り、こちらから無理に聞き出すものでは決してない。

「アヤ。ラシルフに戻ったら、しばらくはラシルフに居てくれて?」
「あぁ……ごめん、タータ。カーティスから光は回収したし…多分、一度すぐにクレイドルに戻るよ」
「そうなの?……残念だわ」

あぁぁぁ、ションボリしちゃった!
魔導の光の事はカーティスには話した。神の台座の鍵の事も。
風の魔導の光は回収し、残りは二つ。
土の魔導はディオンだから、大丈夫としても……
問題はーーーーーー

「モノリスの、あの阿呆あほうなら、何か知っておろう?グレインバルドと聞きに行くが良かろうよ」
「カーティス、阿呆って……まぁ、そうしようとは思ってる。実際、まだ解決策が分からないのが実情だし……」

カーティスなりの励ましかな?少し、気持ちが和む。考えすぎてもしょうがない。
やるしかないんだから………

「そうだわ!アヤ。ラシルフに着いたら渡す物があるの。楽しみにしてて?」
「渡す物?何?タータ」
「後のお楽しみでしてよ」

妙に嬉しそうに微笑むタータに、俺は首を傾げたが、それ以上は何も教えてもらえず、やがて、馬車はラシルフ領内へと入っていった。







*炎絡みのラシルフ編、ひとまず終了!このあとは、おそらく☆付きのになるかと…m(_ _)m
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