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第二部3章 皇女降嫁?白き生花で紡がれし花冠の章
*選手交替
しおりを挟む転移魔導が展開された、サラタータ城の中庭。
セレストに連れられ到着。
方陣の側には、バルドの騎竜オーディリアと、セレストの騎竜ネレイド。それに見慣れないもう一匹の騎竜。三匹の間に居るのは………
「ルース?」
「はぁ~い?騎竜、お届けに上がったわよ、アヤちゃん」
おネェ魔導師のルースだ。
「え?何で?何で、ルース居んの?」
「騎竜を届けに来たのもあるわね。それより……」
ルースの目が若干座り険しくなる。
え?え?何、何事?
「で~ん~か~?!殿下でしょ!?セシリア姫に、あたしの休日やら城での行事ごとの動き、視察のあれこれ情報流したの!おかげで、行きゃ行くとこ纏わりつかれて、少っしも仕事になんなかったのよ!?」
うわ!マジか?
セシリア姫って、結構、行動派?
バルドがルースの事教えるとは言ってたけど、それにしたって全部じゃないだろう。バルドが知らない部分もあるだろうし。
行くとこ行くとこって事は、調べたんだろう。貴族の姫なのに、根性ありすぎ。
「そんで逃げてきたのか?」
「仕事は終わらせたわ!当面、あたしがしなきゃならない仕事はね。支障ないものは他に回して、陛下が殿下たちに騎竜を送るって言うから、これ幸いとあたしも送ってもらったのよ」
「これ幸いって……何でルースまで?」
「あたしも同行する為よ」
しれっと言われた言葉に、目を瞠る。
「同行?!ついて来るの?ルース」
「そうよ。だから、自分の騎竜も連れてんでしょ?」
見慣れない騎竜は、ルースの騎竜だったんだ……
「でも、それだと城の警備………」
「イアンと交代よ。あたしがアヤちゃんたちと行く代わりに、イアンが城に戻るの」
「だから!納得出来かねますって、ルース様!」
「しょうがないでしょ?セレストは殿下の筆頭護衛だから離れる事はできないし。かといって、じゃあ全員でついてくわけにもいかないし」
「ルース様がそのまま残ればいいでしょうが!?」
「いやよ!!それで、またあの姫のお守り?御免だわ!!」
心底嫌そうなルース。不満タラタラなイアン。
「ルース。セシリア姫の事嫌い?」
「嫌いではないわ。でもね、アヤちゃん。あたし、確かにこんな形でまぁ、喋りも性格もこうよ?でも、だからって好みまで変わってたりしないわけよ。男も女も好きだけど、普通に男として女として可愛い子が好きなの。セシリア姫はまぁ、見た目は好みよ?でも、女装趣味の男の子は願い下げだわ」
ありゃりゃ…
見た目は良くても、セシリアのあの趣味(というか性癖か?)が駄目なんだな。
「じゃ、結局ついてくるのは決定?」
「そうね~…まぁ、しばらく離れれば?姫も少しは頭が冷えるんじゃないかしら?」
う~む……そんな簡単にいくかな?セシリア姫の事はよく知らないけど、あの感じでは一筋縄ではいかないような………
「ちょっと!ちょっと、ちょっと!ルース様?!何か、俺が城に戻るの決まりみたいに言ってますけど、俺、承諾してませんよ?!」
「往生際悪いわね~…さっきも言ったけど、全員は行けないでしょうが!あんたは戻るのよ!」
「だから!イヤですってば!!」
これ……話、平行線じゃね?
「セレスト。何とかしてちょうだい?」
「はっ?何で、オレが?」
「ワンコはあんたの言う事なら聞くでしょ?エサやんなさいよ」
「……しょっちゅう、エサと間違えて人を噛む駄犬が言う事聞くわけないだろう?」
「噛んでも甘噛みでしょ?何とかして!」
セレストもルースも……イアン目の前に居んのに……
「言っとくが、生半可なご褒美じゃ、俺は言う事聞かねぇからな?」
「……………………」
う、わぁ~~~~~~!
イアンってば、怖いもの知らず!ってか、無謀?
セレストにンな事言うなんて……
ハラハラして見てたら、一瞬、目を剣呑に眇めた後、セレストが深くため息をつく。
「何が望みだ?」
「…全部くれるか?戻ったら、文字通りお前を全部くれるんなら、クレイドルは俺が守り抜く。どうだ?」
「……………二人で示し合わせただろ?」
セレストが言うと、イアンとルースがニヤリと笑う。
えぇ、っと………~~~?
「どゆこと?」
「そういう事だろ?まぁ、セシリアの件はあながち嘘ではないだろうし……俺が実際ルースを差し出したのも事実。俺にはこの話に口出す権利はねぇな」
バルドに振ると、肩を軽くすくめて素っ気なく。
「………分かった。好きにしろ」
「了~解!」
満面の笑みで返すイアンを、セレストが無言で睨みつけるがどこ吹く風だ。
「交渉成立ね~。じゃ、転移魔導はそのまま開けてるから、イアンはさっさとあたしと交替して、帰った帰ったよ!」
「もう、ですか?!」
「グズグズしない!は~や~く!」
厄介払いかよ~…とかブツクサ言いつつ、方陣に入る前に、イアンがセレストの髪を一房取り口付ける。
う、わ!
見てるこっちが恥ずいンですけど?
そしてそれを腕組みしたまま、冷ややかに見てるセレストがこあい……
「帰んの、楽しみに待ってる……」
「さっさと帰れ」
一言ズバッと素っ気なく……
「塩だ………」
「女王様と下僕の犬ってとこかしら?」
「今更、珍しくもねぇ光景だな」
やりとり見ていた俺たちは、思い思いの感想を述べていた。
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