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番外編
女の子は”最強”という名の生き物で……①
しおりを挟むどうしよう……
変な汗が出る。
「あの…ラーシャ?」
「何?アヤ」
いや、何?じゃなくて、今のこの状況説明して欲しいんだけど……
俺の目の前には………
煌びやかな布。布、布、布、布布布…………
目にも鮮やか。綺麗だとは思うが、何だこれ?だ。
「用事、あるって言ったよな?用事って…?」
「今、用意してんだから、待ちなさい。あ、ファラン。その、青いのもよ。リコ、その黄色はいいわ。子供っぽいから」
ラーシャの部屋。狭くはないが、広いわけでもない部屋に、所狭しと布やら、装飾品やら、用途不明の小瓶やら、とにかくありとあらゆる物が並べられていき、方々に指示を出すラーシャ。指示に従いテキパキ動くファラン・リコ、それに店の女の子らしき三人。
それをただ呆然と見つめるだけの俺。
ホント、何な訳?これ。
「さてと。このくらいで、いいわね」
ようやく終わったらしい。ラーシャが俺に向き直る。
「アヤ、脱いでちょうだい」
「は???」
が、言われた言葉が分からずマヌケな返事を返してしまった。
「服、脱げって言ったのよ」
「え?………い、や…いやいやいやいや!ちょ、ラーシャ、何、言って?!何で、そうなるわけ?!」
「必要だから、脱げって言ってんのよ」
「ちょちょっ!まっ、待って!そもそも、俺、まだ何も聞いてないんだけど?!」
「?あら、そうだったかしら?」
そうだったかしら?じゃ、ないから!
わけも分からず待たされて、挙句、説明もなしに服、脱げって……ラーシャ、ひどい。
「着せ替え人形になってちょうだい。はい、そういう事だから、脱いで」
「そういう事だから、じゃ、なーーーーーーーーい!話、端折り過ぎ!つーか、全然、説明にすらなってない!!」
強引・傲慢すぎる!!バルドより、ひどい!
言ったら殺されるから言わないけど……
恐れ慄く俺に、ラーシャがチッと舌打ち。
お願い……俺の中の女の子像壊さないで。
「分かった。面倒くさいけど話すわ」
もう、何も言うまい………
「ミリアの為よ」
「ミリアって、確か、歌舞団の」
「そ。踊り手の一人よ。ミリアには、今後を約束した相手がいるんだけど、中々、決定的な事を言わないのよ。今度、久しぶりに出かけるって聞いたから、相手の野郎が、ミリアに夢中になって、決定打になるよう手助けしようと思ってね」
「それと俺が脱ぐのと何の関係が?」
話が繋がらない。俺が脱いでする協力とは、これいかに?
「ミリアに似合う服と装飾品を選ぶからよ」
「あのさ…何となく分かったけど、俺が着るの?」
「そうよ」
「ミリアに着てもらえばいいじゃん!」
「ミリアは今、お肌や髪の手入れに行かせてるわ」
帰ってきたらでいいじゃないか?!
何で、俺?
「何度も脱いで着てって疲れるのよ。それに、ミリアの髪は濃い茶色だからね。今、団にいる子は、あたしも合わせて髪色近い子いないから。さ、分かったでしょ?さっさと脱いで」
「ラーシャ、おかしいから!男の俺が女の子の服着るって……」
「あんたが普段着てるの女物も多いわよ?」
やっぱりか?!
アリッサとローレンは違うって言ってたけど、どう見てもってやつあったから、疑ってたけど…
「いや、でも……」
「うっさい!しのごの言うな!あんた達!」
「へ?え?ちょ、なっ!?」
両脇、背後から抑えられる。俺の前には、困ったように微笑むファランとリコ。
更にその奥には、仁王立ちで不敵に微笑むラーシャ。
「ひん剥きなさい!」
「「ゴメンね?アヤ」」
ファランとリコの声が合わさる。
ジリジリ寄ってこられ………
「い、い、っっ…………!!」
いやだぁ~~~~~~~~~~~~~~!!
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