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第2章 水と炎の激愛、揺れる光の惑い編

9.疑惑は確信へ

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マダムの店。酒場とは聞いてたけど、今は食事してる人もいるから、食堂も兼ねてるみたいだ。

「アヤ?!帰ってたの?」
「リコ。うん、しばらくまたよろしく」
「名前、覚えてくれたのね。うれしい。また、よろしくね」

一緒に花摘みした少女、リコが声をかけてくれた。はにかむ笑顔が可愛い女の子だ。
あぁ、やっぱり女の子はいいな。男と違って、単純に癒される。
店の中はなかなか広くて盛況だ。女の子はウェイトレス、男はウェイターってとこか。みんな、忙しそうに動き回ってる。
だけど、

「ファラン。店の人、少なくなった?見ない人、いる気がするけど」
「うん。イヴァンとカート、あと、ランス。あとは数人、団から出てったから」
「そうなんだ?」

イヴァンは、以前俺に話しかけてきた、あの綺麗な男か。
確か、キサとひと悶着あったんだよな。

「もともとからいた団員ではあったんだけどね。イヴァンは、前から問題があって……」
「問題?」
「うん…キャッ?!いった~い、何すんの?キサ」

ファランの頭に軽くゲンコツ食らわせて、キサが現れる。
涙目で訴えるファランを、キサは軽く睨む。

「団の裏事情だろ?しかも、アヤが知る必要もない、黒い部分だ。いらん事、喋るなよ」
「う~~、そうだけど。何も殴る事ないでしょ?キサの馬鹿ぁ、暴力反対~~~!」

頬っぺたプゥッと膨らませて怒るファランに、キサは苦笑しながら頭を撫でてやってる。
この二人って、

「あのさ、二人って、もしかして付き合ってんの?恋人同士?」
「「…………………」」

あれ?二人とも固まった。
先に硬直から溶けたキサが、ハァ~ッと盛大に溜め息つき、片手で顔を覆う。
ファランが困り顔全開で、俺に抱きつく。
何が、何で??

「アヤ~~~!アヤのそういう所、すっごく可愛い。でも、その勘違いだけはダメ!あたしとキサがは絶対ない!それは、世界がどうなろうと変わらないわ」

ええ?!そこまで否定する?キサがショック……

「たとえ二人になったところで、ないな」

受けてないね、うん。

「アヤ。少しいいか?」
「え?あ、うん」

キサが、ちらっとファランに視線を送り、ファランがニッコリ笑って離れてく。
何か、嬉しそう?

少し出ようと言われ、バルドに言われたこともあり迷ったが、キサと一緒なら一人じゃないしいいだろうと、促されるままについて行く。
ちなみに、バルドはまだ、マダムと少し話しているらしい。
キサもその場にいたらしいが、例によって例のごとく、バルドと喧嘩になり、一度は治まったが、腹立ちが治まらず、結局、中座したらしい。

「お前と話したかったのもあるしな」

キサとはサンカスの貴族の屋敷以来だ。
しかも、半ば俺が八つ当たりをし、そのままになってしまった。
ケンカというケンカではないが、別れ方がアレだったので、ちょい気まずい。

「ごめん……」
「ん?」
「いや、あの、サンカスでさ。キサに八つ当たりするような真似して、しかも、そのままいなくなったりして」
「あぁ…いや、実際、アヤの気持ちも考えず、安易な事を言ったのは俺だ。それに、いなくなったのは、アヤのせいじゃないだろ?」

よかった。俺が思ってたより、キサもみんなも気にしてないみたいだ。ただ、迷惑かけるかもって不安はまだ続いてるけど。

歩き続けてしばらく、小さい池の辺に着く。うっそうとまではいかないが、木が植えられて、人口の貯水池みたいだ。
風が気持ちいい。最近、建物の中にばかりいたせいか、外の空気が殊更おいしく感じる。

「アヤ」
「うん?」

両手を組んで、う~んっと伸びをする。
キサに呼ばれて、そちらを見ると真剣な眼差しに、俺は怯んだ。

「殿下と、何があった?」

思ってもみなかった、突然の問いかけだったーーーー




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