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第1章 水と光、交錯の相愛編
3.白馬の皇子様は、黒竜の皇子様で皇太子で、強引な俺様でした(涙)
しおりを挟む二回目だな、この質問。一回目はキサ。二回目はグレインバルド。自分自身への質問は数知れず。
「さっき、聞こえた音からは明らかに魔道の力を感じた。あれは、お前の能力か?」
「能力を使う前に聞こえるんだ。何なのかは、俺も分からない」
今まではそうだった。能力解放以外であの音が聞こえたのは初めてだが。
誤魔化すことはできた。しなかったけど。
グレインバルドに隠し事はできない。理由は分からないが、なぜかそう感じた。
「お前の能力は何なんだ?」
「彩色師、らしい」
「て事は、魔導は光か……」
「らしいね」
「らしいが多いな?」
グレインバルドに笑われるが、実際そうなんだから仕方ない。
俺だって、能力の事も自分の事ですら把握しきれてないんだ。
本来なら、マダムたちが、帝都に帰るのに同乗し、帝都で自分に起きた事を探る予定だった。
しかし、記憶はどんどん薄れ曖昧になるわ、妙な能力は覚醒するわで、事はそんなに簡単な事ではないような気がしてきている。
俺がこの世界に堕ちたのには、大きな力が動いているような……根拠はないし、自惚れる訳ではないが、何か大変な事が起こっているような気がしてならない
「帝都には魔導に詳しい人や、通常とは違った能力について調べられたりするかな?」
キサたちにはもう頼れない。ここまで世話になっておいて、薄情かもしれないけど、このままいると、今以上の迷惑をかけるような気がしてならない。
幸い、グレインバルドは帝都の人間のようだし、頼んだらこのまま帝都まで連れてってくれるだろうか?
俺が頼む前にグレインバルドの方から打診される。
「俺についてくるか?城なら、詳しい導師もいるし、お前が知りたい事、調べる事はたやすいぞ」
「城?城って、あんた、何、言「殿下ッ!!!!」
俺の問いかけを遮り、青年が一人、騎竜で現れる。
灰色で、オーディリアより一回り大きい竜。
今、この人”殿下”って、言った?
「まったく、何をやってるんですか?あなたは!マダムのとこの人間一人連れ出し、仕事放棄させた挙句、招かれた宴はすっぽかすなど。おまけにオーディリアを出してしまわれて。おかげで、探すのにどんなに大変だったか!聞いてんのか?!グレイ!」
「ジジィじゃねーんだから、聞こえてる。いちいち、うるせぇぞ?セレスト」
「じゃ、やるな!言わすな!宴会場から人一人拉致なんぞ、皇太子のする事かよ?!」
「皇太子?!あんた、皇太子なのか?」
二人の会話を聞いていた俺は、耳に飛び込んだ言葉に、素っ頓狂な声を上げた。
「おい?言ってないのか?」
「言おうとしてた。してて、お前が乱入したんだろうがよ」
「てっきり、言ったもんかと……」
セレストと呼ばれた青年を横目に、グレインバルドは俺に改めて向き直った。
「悪いな。俺の名は、グレインバルド=ルーク=クレイドル。この国の現国王の王弟で、現皇太子だ。さっき、城って言ったのはそういう事だ。って事でついて来い。嫌でも連れてくがな」
「おれの意思は?」
「どうせ、マダムたちに着いて帝都に来る予定だったんだろう?早くなるか遅いかの違いだ」
開いた口が塞がらないとはこの事だ。俺は口を開けたり閉じたり、言葉が出てこない。
何なんだ?この、強引俺様は?
「そのマダムから伝言だ。気が向いたら返しとくれ。だとさ」
「あははは!返す?ねぇな!」
「だろうな。言うと思った。持って帰るなら理由考えとけよ?」
俺を無視してサクサク話が進むが、内容は何気に酷い
みんな酷い……
帝都行きはあっさり決まったが、俺は一人ガックリ項垂れていた。
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