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番外編③ 恋に戯れる side.花

*うっかり◯◯しちゃったら⁈②

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「バ…バルド」

ソファから体を起こし、呆然となる。
来ないと思ってたから油断した。

「心配になって、な…で?何がみっともないんだ?」
「な、なんでもな……「…くないだろう?」

どうしよう……構えてなかったから、かなり、今は、その…マズい!
体、疼いたまんま……

「あ、の……今、一人にしてほし…」
「いつまで怒ってる?」
「ちが…ッ!そ、じゃなくて」

呆れた溜め息をつきながら歩み寄ってくる。
ふわりと揺れた空気の中に、バルドが使う香油の香りが混じる。
肌を合わせた時の事を思い出し、体の奥が我慢できないくらい痺れた。
前言撤回!やっぱり、執務室こんな場所で行為に及んだ、セレストとイアンあの二人が悪い!!

「アヤ?」
「頼むから!……そっと、しといて」

口元を手で覆い、漏れそうになる吐息を堪えた。
最悪だ……人の情事で催すなんて!
しかも、俺、バルドに触れられてもなく、ただ目の前にいるだけの相手に……
恥ずかし過ぎる!
バルドにバレるのだけは駄目だ。絶対、呆れられる!

「顔が赤い。具合が悪いのか?」

うぅ……違うから!

声も出せず、かぶりを振る俺に、バルドが構わず一気に詰め寄る。
顔を必死に背けたが無駄で、手首を掴まれ向かい合わせらた。

「アヤ?目が赤い……それに、熱でも…」

ごく至近距離。香油に混じる、バルド自身の匂い。少しカサついた男らしい大きくて骨張った手。整っているが、決して甘くはない流麗な容姿。吐息が微か、頬をくすぐり、俺の背中にぞくりと、悪寒にも似た震えが走る。
この手が、この口が、この目が、この体が……

「……めて!やめろ、って!!」

泣きたくなった。
事実、半泣きで睨んだらおでこにおでこをくっつけられる。
本気でやだ!

「ちょっと、熱いか?」
「~~~~~~~~~~ッッ!」

駄目だ!もう、耐えらんない!
バルドの胸に手をつき、思いっきり突っぱねる。
脱兎の如く逃げ………ようとして、敢えなく捕まる。胸元に抱き込まれ、ギュッと目を瞑り体を震わせた。

「くっ……ぅんッ!」
「アヤ……お前」

ガクガク震える足が言うことを聞かず、崩折れそうになった体を抱きとめられた。
じんわり生温かくなった足の間に、羞恥と情けなさで涙が滲む。
もう…完全にバレた。

「何があった?」
「……………………………の、せい……よ」
「は?」

呑気に聞き返され、プッツンキレる。
バッと顔を上げ、涙で潤む瞳で睨みつける。

「バルドの所為だ!馬鹿ッッ!!」
「俺?」

ムッカ~~~~~~~~!!
元はと言えば、バルドがあんな事したせいで、それに加えてさっきの出来事。

「馬鹿ッッ!最低だ!昨日……ッッ」
「昨日……あぁ、か?」
「アレかじゃない!!俺、やだって言ったのに……」

俺がおかしい原因。
昨日の……アレ。
しつこいのはいつもの事。この頃はだいぶ慣れてはきたけど、昨日は特に執拗で……

「俺を妬かせたお前が悪いと思うが?」
「だから!俺にはそんなつもり全然ないし!第一、なんであれくらいでそんななるよ⁈」

バルドが言うのは、俺が城仕えの近衛兵からプレゼント貰った事を指す。
そもそもは、訓練中に怪我してたところにたまたま居合わせ、治癒を彩色で施したというだけ。
そのお礼にと、花を一輪と、綺麗な装飾の短剣を貰った。

「聞いた話だと、それだけじゃねぇようだが?」

胡乱な目を向けられ、押し黙る。
バルドの言葉は最もで、確かにそれだけじゃない。
貰ったのは、他にも、お菓子やら装飾品、いい匂いの香油やら、色とりどりの果実の蜜漬けなどなど…
城の近衛兵の
治癒を施した兵以外からも、何故かプレゼントを受け取った。

「しかも、とびきりの笑顔で受け取ったと聞いた」
「そ、れは!」

だって、せっかくお礼にって言ってくれてるのに……無下にしたり、仏頂面はおかしいだろう。
大した事してないからって断わるのに、物凄く悲しそうに残念そうにショゲられちゃったら、断りきれなくて……
しかも、一個受け取ったら、我も我もと次々と渡されて、気がついたら、てんこ盛りの山ができるくらいに。

「ルースに聞いていたが、兵に人気とは嘘じゃねぇようだな?」

あのオカマ魔導師!!余計な事を……

「だからって!あんな、、……する、事、ないじゃん」
「嫌だったか?」
「やだよ!!いやに決まって……」
「……の、割には、今日は触ると反応がかなり過剰な気がするが?」
「……………………」

だから今大変な事になってんだろうがよ!
あぁ、思い出したら体がまた痺れてきた。

「で?」
「……………………何が?」
「何があった?」

何がって何だよ?
押し問答するつもりはないらしい。バルドが苦笑しながら、俺を抱き上げる。

「バルド⁈」
「お前の体が大変な事になってる理由」
「⁉︎」

ツと見つめられ、ピキっと固まった。








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