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最終章 彩色師は異世界で

2.混ざり合う永久の誓い①☆

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*例によって、そういう回です。苦手な方は回避して下さい。※アヤの甘えっぷりは割合増し増し(作中比)となっております( ˘ω˘ )






口づけはやんわり触れ合う事から。
最初に触れてから、もう何度したか分からない。
離れてくっ付いて。ごく近い距離で見つめ合う。

「初めは、サンカスの貴族の屋敷だったか?」
「うん。この世界に来たばっかりで、不安でいっぱいで、逃げたくなってた俺を、バルドが連れだしてくれた」
「正直、ここまでの存在になるとは思わなかったな」
「俺も……まさか、男を好きになるなんて思わなかったし」

戸惑って、悩んで、でも惹かれる事を止められず。

「こんなめまぐるしい生活は、生まれて初めてだったぞ?」
「俺だってそうだよ!17年、向こうの世界で、ただ普通に無難に生活してた。それが、まったく正反対な生活になったんだぞ?慣れない事だらけで、なんで俺がって、何回も思ったし」

 両手の指同士を絡め、手が握られた。

「後悔してるか?」

最初と同じ質問だ。
でも、これだけはすぐに言える。

「してないよ。この世界に来て、バルドに会えて、辛くて悲しくて苦しい事もいっぱいあったけど、バルドを好きになった事は後悔してない。絶対しない!」

バルドの目に熱がこもっていく。それが妙に心地いい。
唇に吐息がかかる。擽ったくて、すぐに触れてくれない事に少し焦れる。

「バルド?」

訝る俺に、バルドが真剣な目を向けてくる。

「神化は解けた。だから、人の生を生きていける。だが、どれだけ一緒に生きられるかは分からん。どちらかの生が尽きれば、もう一方も終わる。俺が、俺の欲だけで、お前の光を捉え水の鎖を巻きつけた。アヤ、先程は偉そうな事を言ったが、俺も同じだ。怖いのは俺も同じだ。離したくない、離れて欲しくなくてした。たとえ、お前が離れたくても、俺はお前を離さない。どんなに泣かせ、辛い思いをさせることがあっても、だ……許してくれるか?俺を…」

バルドの顔がいつになく曇る。
帝都クレイドルの皇太子で、俺様皇子で、いつも自信満々で……
俺がさせてる。俺だけがさせて、見る事ができる、バルドの弱い部分。
ほぼ衝動的にバルドの首に腕を回し抱きつく。
言葉が紡がれる前に、自分から唇を重ねる。
惑いは一瞬。すぐに口づけが深まる。

「んッ!」
「アヤ…」

僅か離れた唇の間から、掠れた声で名前を呼ばれ、体がゾクゾクした。
ピチュッと小さく音が鳴り離れた唇を、いつもはバルドがするように、それより先に俺が舐める。

「好き、だよ。俺、バルドが好きだ。許すとか許さないとかない。ごめん…俺が、変に拘ってたんだ。だから、正直に言うな?俺も、離れたくない。離して欲しくない。たとえ、今の生が終わっても。次もその次も、ずっとずっと……離れたくない!バルドは…俺のものだ」

言い終わると同時に、また唇を塞がれた。今度は強引に唇を舌で割り開かれ、舌の根も搦めとるほどに吸い付かれた。
口中を舐めまわされ、息苦しくて身動ぐが更に抱き寄せられ、身動き取れなくなった。
服の結びを性急に解かれ、肌が晒されていく。

「バ、、ルド、待っ…!あっ、……ァム、実、は?」
「うん?何だ?」

唇が離れ、喉元に吸い付かれた。ヂュッと強めに吸われ、微かな痛みと熱に、はっと小さく息が漏れる。
舌と唇が首すじと肩を這っていく。

「んっ!だ、、ら、ラァム……い、っあん!!」

急に走った刺激に、体がビクンッと跳ねた。
胸の尖りを摘まれ、指先でコリコリと揉み込まれ、腰の奥がビリビリと痺れた。

「無理だな。宝物庫まで行ってる余裕がねぇ。サフィにはうまく言っておく」
「ん、ん、んぁ……あ、ぁ、ひあ、ぁんッ!」

指で摘まれたのとは反対の尖りが、ねっとりとバルドの舌の餌食になった。舌先でピンピン弾かれ、根元からチュッと強く吸われる。
ヒクンヒクンと体が震え、腰が動くのを止められない。

「ここ。相変わらず、好きだな?腰、揺れてるぞ?」
「あッ!んぁ、んぅ、、好、き…ッ、!」

もっとしてほしい。
もう、我慢しない。恥ずかしくても、素直にバルドを欲しがる。
バルドの全部が欲しい。

「バル、ド、もう…ちょ、、だい?奥、うずうずし、て…が、ま…で、きないッ!」
「早い……まだ、無理だ。何もできてねぇだろ?」
「あ、ァッッん!」

尖りへの愛撫だけで、俺の体は高ぶり切ってしまい先走る。まともに肌を重ねるのも久しぶりともあり、体がすでに覚えてしまったバルドの熱を欲し、自分でも制御できないくらいに熟れていく。
涙目で見つめたら、チッと舌打ちしたバルドが、やや乱暴に自分の衣服を脱ぎ捨てていく。
バサっと寝台下に投げ捨てられる服の音。余裕をなくしかけていくバルドの乱暴な所作に、高揚感と、若干の恐怖が混じった複雑な感情に、体が震える。

「煽るな!すぐに突っ込んで、めちゃくちゃに掻き回したいのを我慢してんだ。何も施さずやれば傷つけんだろうが!」

無意識に下にやった俺の目が、それを捉えて狼狽えた。
はっきり言って、凶器とも言っていいほどのそれに、息とツバを飲み込む。
体は痛みを覚えている。
が、それ以上の快感も覚えている。
期待が、躊躇いを上回った。

「いい……痛く、ても。バルドが、欲しい」

バルドに向かって両手を差し伸ばす。
バルドの両眼に情欲の火が灯る。
スッと眇められた、獲物を狩る狼のそれに射竦められ、俺の目の前がほの紅く染まっていった。








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