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第三部3章 思惑の全能神と真白き光の眠り姫 編

9.終焉の秤②

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怖い。
何が怖いって………

「ルー。愛しておるぞ?」
『頭、沸いてんのか?起き抜けに寒い事言うな』

ののしられても罵られても、頬を染めて幸せそうな全能神ユクトディオス様と、何処までもツンドラ氷点下の如く冷たい光の女神ルー様

「相変わらず口が悪いのぉ、ルーよ。だが、好き♡」
『気色悪い!』

ポッと照れながら言う、全能神様に、ルー様が顔を思いっきり歪めて斬って捨てる。
ルー様……物凄い美人なのに、美人なのに、美人な~の~に~~~~~!

「貴様ら、いい加減にしろ!ふざけてねぇで、何がどうなってんのか話やがれ!!」

バルドがキレた……
いや、気持ち的には俺もそうだけどさ……仮にも神様相手に貴様らって……

『遊んでる場合じゃねぇな』
「これこれ。儂は遊んでなどおらぬぞ?真面目に……」
『うるっせえ!!黙ってろッ!!』

いや……ルー様。
全能神様、黙っちゃったら説明が…

『何黙ってんだ、ユクト。さっさと話せ!』

あ~、自由だなぁ……
女神って、みんなこうなのかなぁ~?
思わず、問いかけるような視線をアウフィリアに向ける。

『何よ??』
「いや……なんでも」

触らないでおこう。面倒クサいし……

「何から話すか………」
『全部だよ。どうせ、最初っからお前が絡んでんだろ?』
『やだ!そうなの⁈』

目をキリキリさせるアウフィリアに、全能神様が意味ありげに笑う。

「そもそも、アウフィリアよ。其方が理を捻じ曲げたが原因ぞ?」
『女神戦争の事?あれは……!だって…………ッ』

女神戦争って…初代たちが最初の魔導だった時の、、、

「いったい……貴様ら、神は何を…」
「そうさの…話さねばなるまいな。其方たち、女神の魔導と呼ばれる者たちには」

ついと、全能神様に視線を寄越された。
ルー様の時と同じく、わけが分からない畏怖を感じる。

「アヤ?」

無意識にバルドの服の裾を握りしめていたらしく、訝しむ声音で呼ばれ、慌てて離した。

「何でもない……」

全能神様、女神二人から視線を逸らす。

「話す前に、せねばならぬ事がある」
「え?うわッ⁉︎」

全能神様が手を軽く振る。
と、同時に、俺の足元に方陣が現れる。複雑な紋様を織りなすそれが眩しく発光する。

「バルド!!」
「アヤっ⁉︎貴様ッ、何をした⁈」

バルドに向かって手を伸ばす。
俺とバルドの手が触れ合う前に、見えない壁のようなものにバチンッと激しく弾かれた。蒼白く静電気のような光が弾け、ジンジンとした痛みが指先を覆う。

「い…ッつ!!」
「チッ!!なんだ、これは!」
「退け!グレインバルド!!」

ギルゼルトが手に魔導を集約させ、黒い衝撃波を放つ。
衝撃波は俺の側数センチで搔き消える。

「結界……全能神よ。アヤをどうするつもりか?」
「どうこうするつもりはないのぉ。選ばせるだけぞ。それにより、儂が多少は整えはするがの」
「選ぶ、って…俺に、何を?」

わけが分からない。

戸惑い、結界内にて立ち尽くす俺に、微笑む全能神様。

『ユクトディオス!』
「ならぬ。この結果を招いたは、其方のとが…こうするより他はない」
『でも、、だってッ……!』
『アウフィリア』

ルー様が静かにアウフィリアを呼ぶ。
ビクンと体を竦ませ、ゆっくりと俺を見るアウフィリアの瞳が濡れていく。

女神が流す涙に、俺の中に、ザワザワしたあの妙な畏怖がどんどん広がる。



『い、やよ…私の子よ?また、失うの?』



何処か虚ろに呟く女神の声が、小さく、だがはっきりと響いた。








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