彩色師は異世界で

第三部3章 思惑の全能神と真白き光の眠り姫 編

8.光、そして…世界そのもの①

光に包まれたのは一瞬。
硬く閉じていた目を開けると、煌めく石に取り囲まれた室内らしき場所に出た。

「あっ！！」

いきなり放り出される感じで体が傾ぎ、受け身も取れずにバランスを崩す。
ギュッと硬く目を閉じた。
体が何かに当たり、次いで、抱きとめられ目を開ける。
ハッと振り仰いだ俺の目に、それが飛び込む。

「……………ッ、ッ」

唇が震える。言葉が出てこない。
ハクハクと、ただ開閉を繰り返すだけの口がもどかしい。

「アヤ、か？」

戸惑ったような声音に、泣きそうになりながら俺は自分から抱きつく。
声を出すと、そのまま情けなく泣き出してしまいそうで…
顎に手をかけられ上向かされた。

「髪、どうした？それに…目も」

分かんねぇ……気がついたら。
唇を噛み締めたまま、ふるふる首を振る。

「まぁ、無事ならいい」

抱き締められ、やっと力が抜けた。

「ご、め……」
「お前のせいじゃねぇだろ？」

ようやく小さく声が出た。

『そうね。アヤのせいじゃないわ』
「ア、ウフィリア？」
『久方ぶりね。ごめんね？アヤ』

困ったように微笑む女神の隣に………

「ギル……」
「グレインバルド伴侶の手を離すなぞ……馬鹿者め」
『それもアヤのせいじゃないわ』
「いい…アウフィリア」

庇われてばかりだと余計辛くなる。ギルみたいに、嗜めてくれる奴が一人はいてくれたら……
ギギッ、ビキッ、ッと、かなり不穏な音が聞こえた。

『マズイわ。急に魔導が消えたものだから、余波が来たみたい』
「魔鉱石に吸収させてはおるぞ？」
『間に合うわけないでしょ？』

さっきの光と関係してるのか。ちょっとマズい状況らしい。

『一度、アストラルに避難するわよ？』
ーなれば、我の空間へと移そうー
「ッ⁈」

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