彩色師は異世界で

第三部3章 思惑の全能神と真白き光の眠り姫 編

7.女神、帰還への序章・終幕へ②

展開した方陣に魔導を込めていく。

『ちょ、ちょっと！どれだけ込める気⁈』
「三つの魔導を合わせるようだな…アヤの行方が知れない以上、アヤが持っていたあの石を媒体に、磁場を歪めて引き摺り出すしかないが………」
『魔導の反発を利用するって事⁈なんて事考えるのよ！グレインバルド！やめなさい。あんた、女神の魔導って呼ばれる存在よ⁉︎並な魔導とは違うんだから、そんな事やれば、塔どころじゃ済まないわ！やるんなら、もっと違う………』
「手段選んでる場合じゃねぇ。元はと言えば、てめぇら神側の勝手でアレを振り回した所為だろうが！塔が壊れようが知るかッ！！」

三つの魔導が入り乱れ、それに神化と魔鉱石の波動が後押し、方陣の力がどんどん膨れ上がっていく。
塔全体がビリビリ震える。

『ギル、止めなさい！本気だわ。下手したら、この辺り全部……』
「我に止めよと？かつて、アーシルを奪われ狂うた我に？止めたければ自分でやればよかろう？」
『私がやったら、また別の理が動くでしょう⁈できないから言ってるのよッッ！！～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ッッッ！！もう！分かったわよ！私が悪かったわよッ！いいわ、好きにしなさい！』

しれっと、止める気はないと嘯うそぶいたギルゼルトに、アウフィリアがキーキー怒り、もう知らないとそっぽを向くのが目に入った。
はなっから、女神の助力なんか期待してない。
神が勝手をする。し続けるなら、こちらは全力で抗うまでだ。

「どこの誰だか知らねぇが、返してもらうぞ？」

空へ向かい、見えない相手に言葉を向ける。
展開した三つの方陣を重ね合わせた。手の平を握り込むように上向けると、カッと一気に光が弾ける。
一瞬の凄まじい光と音の渦に場が呑まれ、ガシャンと物が割れるようなけたたましい音がし、空間が引き裂かれたーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー