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第三部3章 思惑の全能神と真白き光の眠り姫 編
2.頭冷えたら超自己嫌悪!(T ^ T)
しおりを挟む「アヤ。勢いこんで出てきちゃったみたいだけど、いいの?」
「いいの!!ほんと、ムカつく!バルドの馬鹿ッ、俺様横暴皇子!!何だよ!?俺がいっつも何かやらかして……まぁ、全部否定はできねぇけど、別にやる事全部そうだってワケじゃ…………ううぅ~~!俺だけが悪いンじゃなぁーーーーーーーーいッッ!!!!!」
あのあと、部屋に一人きりにされ、怒りが沸点に達した俺は、ラァムの実を引っ掴み、勢い怒りのまま、騎竜に飛び乗り……
「殿下、心配なさるよ?黙って来るのはよくないと思うんだけど……」
困ったように耳をピクピク動かし、苦笑するユフィカ。
そう。ここは魔大陸の犬狼の村。
一方的なバルドの言い方が我慢ならず飛び出したはいいが、結局、良い行き先がここしかなかった。
クレイドルの城や、マダムの店には行けないし…ラシルフやモノリスだと国交法にかかってしまう。
「分かってるよ……バルドが心配すんのは。だけど、さ…俺だって、女神の魔導なんだから、何かせずにはいられないし……何かできねぇかなって思うのは普通だろ?」
「アヤの気持ちは分からなくもないけどね。殿下はアヤが大切なんだよ。危ない事して欲しくないから、そう言うんじゃないかな?」
「それ、は……そう、かもだけど、さ」
「アヤの力を軽く見てるんじゃないと思うよ?でも、大切なアヤには、自分に守られてて欲しいって思うものじゃない?殿下は、アヤをそうしたいんじゃないの」
「ユフィカ……」
静かに優しく諭されて、怒りと落胆がしおしおと萎れていく。
ユフィカの言いたい事は分かる。
バルドの気持ちも分かってる。
だけど……やっぱり、俺だって何かしたい。
自分の力を誇示したいワケじゃない。ただ………
「奴の隣に立ちたい、だろう?アヤ」
「ラトナ」
いつの間にか部屋に来ていたラトナに言われ、そちらに視線を向けた。
相変わらずニコリともしない、厳しい顔だが、会った頃の刺々しさはなく、今はこれが普通なんだと分かってる。
「アヤは女じゃない。立場的にはそうでも、考え方や行動の根の方は男だ。だから、守られてばかりを良しとはせず。そういう事だろう?ユフィカ、アヤはそういう部類の人間だ。分かってやれ」
「兄さん……そっか、ごめんね、アヤ。僕……」
「大丈夫だから、ユフィカ。ラトナも、ありがと」
ユフィカもラトナも優しいなぁ。
あぁ……俺って、周りの人に恵まれてる。って、いうか、甘やかされてる?
バルドも、そうだよな。
今日みたいな事言うのも、別に俺を女扱いしてるとかじゃなくて……
俺がバルドの立場だったとしても、そうするし…
落ち着いたら何か、物凄くしょんぼりしてきた。
「ごめん……俺、すっげぇ自分勝手だ。みんなに迷惑かけてる。何もできねぇで、ただ動き回って……いっつも騒動起こして……バルドが言うのも当たり前だよな」
「アヤ……」
「外に出て、風に当たってこい。俺はお前を好いているが、他の男を想ってショボくれた奴を慰める気はない」
「兄さんッッ!?」
項垂れる俺にユフィカが声をかけるが、それより早くラトナの突き放した言葉が投げかけられた。
慌てて窘めようとするユフィカに構わず、ラトナは部屋を出て行った。
「もうっ!!兄さんってば、落ち込んでるアヤに対して何て事を?!…ごめんね?アヤ……」
「大丈夫だから、ユフィカ。外、出てくるな?ラトナの言う通りだ。風に当たって頭冷やすよ」
「一人で?僕も行こうか?」
「大丈夫……一人にしてくれるか?」
心配そうなユフィカに、ニコリと笑って、俺は屋敷から外に出た。
*
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*
屋敷の裏手。前にも来た時利用した、天然の湯が沸いた場所。
ゴツゴツとした岩がゴロゴロしたその場所を、ブラブラ歩く。
外は軽く風があり、程よく体が冷えていく。
「はぁ~……どうすっかなぁ?勢い任せに出てきちゃったから、戻りにくい。…バルド、、怒ってる、よな?」
うぅっ…自分の考えなし加減が情けねぇ。
後先考えずに行動して、いっつも面倒起こして……
「戻りたい、けど……ごめんで許してくれるかな?」
「それだけで許すと思うか?」
「えっ?!あっッ!!!!!」
不意の言葉と、後ろから手首を掴まれ、急な事に驚愕し、立っていた岩からずるっと足が滑ってバランスを崩す。
湯気立つ水面に向かって体が傾ぎ、ギュッと目を閉じた。
バシャンっと、派手な水音を立てて体が温かい湯に沈む。
思っていたほどの衝撃も痛みもなく、閉じていた目をそっと開ける。
至近距離から、俺の目を射ったのはーーーーーーーー
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