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第三部2章 消える魔導 双生の煌めき編
2.消える魔導の行方①
しおりを挟むこんれい?こんれいって…………………………………
「婚礼ーーーーーーーー?!こ、ここ、こッッッ」
「アヤ。落ち着け」
はっ!い、いかん!テンパりすぎて、ニワトリの鳴き真似みたいな声が……
「一国の皇太子が、小さくとも良いのに式すら挙げてないとは嘆かわしいわ。クレイドルで挙げないのならば、ナ・コルテスでお挙げなさい」
ホホと優雅に微笑むサティ様に、俺は口をあんぐりだ。
「お祖母様……太后妃殿下。お心遣いは痛み入りますが、私は……」
「クレイドル皇太子、グレインバルド=ルーク」
「…………ッ!」
うわ……何だろ?!
サティ様……サティナキア様。ふんわりとした笑顔と雰囲気はそのままなのに、急に厳かな威厳が増した。
「アヤ=アルシディアの立場をあやふやにし、宰相や大臣たちを増長させ、女神の魔導に於いて如何なる者より貴き光の魔導を軽んじさせておるのは其方です」
「ッッッ」
言葉は柔らかく声を荒げる訳でもないのに、サティナキア様の言葉は、刺すように鋭い。
バルドが息を呑む。
「グレインバルド。其方には力がある。皇太子なのですから。現クレイドル国王陛下の子、第一皇子が冠の儀を迎えたら退くとか?それでも、宰相の位。アヤを守るには十分ね……でも、あなた一人では守りきれないものがあるのも理解なさい」
空気が和らぐ。
はっと顔を上げると、サティ様がニッコリ微笑む。
「アヤはあなたの伴侶で妃。でも、男の子なの。力ある者の隣に居ようとする者は、同じく力を欲するものよ?守られる事をよしとする、そこいらの深窓の令嬢と一緒にしては駄目。ちゃんとアヤがあなたの何なのか、衆人の元に明らかにし、名実ともにアヤに立場をおあげなさい」
諭すように言うサティ様に、バルドは身動ぎせず聞き入る。
「口煩い古狸どもなんて、使える権力使って黙らせておしまいなさい」
口元に人差し指を立てて、イタズラっぽく微笑むサティ様。虚をつかれたように目を瞠り、バルドがふっと笑み崩れた。
「そう、ですね。……ありがとうございます、お祖母様」
ホホホと笑うサティ様。
何か、よく分かんないけど…サティ様って凄い。
「式は規模を小さく。大々的に披露目はしません。この屋敷の庭園までを開放に?」
「いいでしょう。招待は出さないわ。来たければ来なさいでいいでしょう」
「宰相大臣につくのか、こちら側に来るのか……考えて動け、と?お祖母様も良い性格をなさっている」
「ホホホ!隠居した太后といえど、力はあってよ?選びようによっては容赦しないわ。可愛い孫と、可愛い可愛い孫嫁の為ですもの」
サティ様。何する気ですか⁈
「さ、さ!そんな事は置いといて!着せ替え人形始めましょ?もう、可愛いから飾りがいがあるわぁ~♡イザベルも、アリッサもローレンも一緒にね?」
「はい!お祖母様」
「「勿論!ご一緒させて頂きます、太后様♡」」
「ちょっ、ま、、!サ、サティ様?!」
今、着せ替え人形って??
イザベルもいつの間にか立ち直って、嬉しそうに宝石選んでるし!
アリッサ、ローレン!
手に持ってるフリフリレースの塊は何ッ?!
何か、明らかに男の俺にはおかしい物が多々混ざってない?!
「アヤは背中が綺麗で色っぽいから、ドレスにするならそういったものを」
「はぁああぁぁッッッ!!?バルド!今、ドレスって言った?おかしいだろ!?何で、男の俺がドレス……」
「あら!伴侶としては、可愛い妃の肌は、他の男の目に触れさせたくないのではなくて?」
「見せたくないが、見せびらかしたくもあり。ですね。羨む視線を浴びるのは、中々に優越感に浸れるものかと…」
「ばッ、、馬ッッッ……!!!!!」
「我が孫ながら、あなたも私に負けず劣らず良い性格よ?」
ウフと笑うサティ様と、ニヤリと笑うバルド。
だ、駄目だ!この二人、男の俺にドレス着せる気マンマンだ!
何で、誰も彼も俺に女の子の服着せたがるんだ?!
俺は基本、女の子が好きだけど、女の子の格好なんかしたくないし、そんな趣味ない!似合うとも思ってないし、思えねぇし!
サティ様とバルドは駄目だ!
アリッサとローレン……!!!!!なんか益々、ビラビラしたの選んでるし!
「イ、イザベル……っ!」
「大丈夫よ、アヤ」
ニッコリ笑うイザベルの手にあるの……女の子のパ…
ピキンと固まった俺に構わず、イザベルが嬉しそうに笑い、
「失礼をとったお詫びよ?とびっっきり、綺麗に可愛く、美人に仕上げてあげてよ?」
い、い、い、、、、、……~~~~~~~~~~~~
いやだぁぁ~~~~~~~~~~~!!!!!
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