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第三部2章 消える魔導 双生の煌めき編

1.恋する女の子の恋路は応援したくなるもので①

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サティ様曰く、、

イザベルはもともとサティ様の友人の孫で、イザベルの両親が事故で他界、友人である祖父母も相次いで他界した為、フォーチュンの養女としてひきとったとの事。
確かに…ユリウスと直接の血の繋がりはない。

「厳密に言えば、私にフォーチュンの血は入っていませんわ…だから、貴妃の話を頂いた時は正直戸惑いましたの」

レズモント宰相や大臣は知らな…かったわけないな。
たとえ、直系の血は引いてなくとも、男の俺を公に認めたくなかったって事か…
徹底してるなぁ~

でも、そうなると…イザベルがバルドの貴妃候補になる理由は??

「イザベル、バルドの貴妃になりたかったのか?」
「なりたいか、なりたくないかで言いますの?……それでしたら、恐れ多いですが、なりたいわけではありませんわ。殿下の事はお慕いしてますけど……」

あれ?う~ん……これは、何となく読めてきた?
俺の考えが当たっていれば、イザベルの俺に対しての態度も合点がいく。

「ユリウスが、俺に構うの我慢できなかっただろ?」
「ッッ!!!」

そう水を向けてみると、イザベルの目元がパッと染まり、瞳が潤む。
はい!当たり~!!
やっぱり、読み当たりか。
ヤバい、すっげぇ悪いとは思うが笑けてくる!
込み上げる笑いを堪え、肩を震わせる。
ふと見ると、サティ様も肩を震わせており、目が合うと茶目っ気たっぷりに微笑まれる。
駄目だ!我慢できない!!

「あっははははは!あは、あははは!!」
「ほほほほ!!」

ほぼ同時に吹き出した。
イザベルが驚いたように顔を上げ、くしゃと顔を歪ませた。

「な、なんですの?!二人して!!」
「あ、あは!ははははは!ちがっ、違うから!」
「オホホホ!そ、そうね。ちが、うわ!」

イザベルを笑ってんじゃない。誤解してる、解かなきゃとは思うけど……駄目だ!笑い止まんねぇ!!
ぷウゥッと頬を膨らませ、イザベルがプリプリ怒り出す。

「ひどいですわ!!お二人して私を笑うなんてッ!」
「いや、はは!うっ、えっほ!ハァ…笑いすぎてむせた」

まずいまずい。このまま笑い続けたら、それこそ話にならない。
何とか笑いを治める。
しかし………………

「イザベル、やるなぁ~」
「は?な、何ですの?」
「いや、だってさ……」

バルド相手によくできたよなぁ。恋する女の子はほんと強い。

「バルドを当て馬にするなんて…俺なら怖くて出来ないかも」
「え?え?あ、て馬??…………………………………
………………ええええええええぇぇぇぇッッッ!!?
ち、違いますわ~~~~~~~~~~~~!!!」

言葉を理解し、イザベルが泡を食ったように必死で否定する。
うん。多分しようと思ってしてないな。だけど、結果的にそうなっちゃった。
そんな事実に本人気付かないくらいユリウスが好きなんだな。
真っ赤になって必死で言い募るイザベルは可愛らしい。
やっぱり女の子は可愛いなぁ♡
ニマニマしながら見て、一旦皆でお茶を飲み落ち着く。

「イザベル。ユリウスには言ったのか?」
「何をですの?」
「イザベルの気持ち」
「………言ってませんわ。言えませんわよ」
「何で?」

イザベルくらい(っていうと失礼かもだけど…)の女の子なら、サクッと告白しそうなもんだけど。

「だって………私は、血は繋がってなくとも妹ですもの……私がいくら好きでも、ユリウスは妹以上には思って下さらないわ。現に、グレインバルド殿下の貴妃に選ばれるよう頑張れだの、自分より殿下を優先しろだの……私がいくら気を引こうとしてもつれなくて…ユリウスは兄の壁を越えては下さらない」

シュンとして俯くイザベル。
すん、クスンと鼻を啜る声が漏れ聞こえる。
う………マズい、泣かせてしまった。
おたおたする俺に、サティ様が目で大丈夫よと言って下さり、そっとイザベルの肩を抱く。

「ユリウスが本当に好きなのね?」
「……お祖母様。ユリウス以外には嫁ぎたくありませんわ……本当に好きなの。でも……どうしたらいいのか分かりませんわ」

強気なイザベルが涙を流す様に、俺も辛くなる。
うぅっ…女の子の涙は苦手だ。見てて悲しくなる。

「フォーチュンの籍から抜ければいい。十八の歳になれば再興と家督を継ぐことができる」

不意に声がかけられ、俺たちはそちらへ視線を向けた。










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