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第三部1章 嫁取り騒動再発 逃避の蜜月編

10.空気は新鮮な物に限ります!!②

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「お入りなさいな、イザベル」

ニコニコするサティ様に促され、イザベルが躊躇いながらも部屋へ入った。
モジモジするイザベルに、俺も何を言ったらいいか分からず黙りこくる。

「………殿下とお部屋にこもったまま出てこないから、待ちくたびれましたわ」
「…………………」

うっきょょぉぉおおーーーーーーーーーー!!!!!
言う?!今それ、言うかい?!
うぅっ……イザベルも知ってるんだ?
俺とバルドがナニしてたか……
改めて言われると、すんげぇ居たたまれない……
ヤバい……石になってサラサラ風化していきそうだ。

「イザベル。言うべきことが違うのではなくて?」

微苦笑し、嗜めるように言うサティ様に、イザベルが唇を尖らせ拗ねたようにそっぽを向く。

「分かっ、てますわ!……めんなさい」
「へ??」
「~~~~~~~~~!!緊張感のない方ですわね!?ごめんなさいって謝りましたのよ!?『へ??』ではありませんわ!わたくし、こんな方に嫉妬してましたの?!やってられませんわ!!」

プルプル震えたと思ったら、顔を真っ赤にし、プリプリ怒り出したイザベルに、俺は圧倒されて何も言えない。
くるくる表情が変わる。何か、憎めないし可愛らしいな、この

「イザベル?」
「~~~~~もうっ!分かってます!分かりましたわ!私が、愚かでしたわ……貴方は悪くありませんわ」

サティ様が、めっ!というように、イザベルの頭を軽く叩くと、イザベルが叱られた子供のようにシュンとなる。

「え~~っ、と?話が………」
「ごめんなさいね、アヤちゃん。グレインバルドから話は?」

聞いてません…

ふるふる首を振ると、サティ様が頬に手を当て嘆息。困ったように眉を下げた。

「まったく…私の孫たちときたら、どれもこれも困ったちゃんたちばかりだこと。いいわ。私から話しましょう」
「えっ、と、、いいんですか?」
「いいのよ。に任せておいたら、話すどころか、可愛いアヤちゃんに夢中になるばかりで話しそうにないわ」

サティ様……あれ呼ばわりですか?

座りましょうと言われ、俺とイザベル、サティ様はソファに座りなおし、アリッサとローレンが改めてお茶を淹れ直してくれる。

「元はと言えば、レズモントからイザベルを貴妃候補にの打診があったのが最初ね。アヤちゃんの事は聞いていたけど、私も猊下も、光の魔導の事は半信半疑だったから、貴妃の話を受けたのよ。こうして、アヤちゃんに会った後には受けるべきではなかったと思ったわ。ごめんなさいね」
「いえ、そんな!」

女神の光の魔導は永らく不在だったんだ。いきなり現れて(公には知られてないけど、異世界より)、しかも男でってなったら、普通なら胡散臭すぎる。
サティ様も猊下も概ね好意的に接してくださるが、大半はそうはいかない。現に、レズモント宰相や大臣は、表向きは俺に対して礼は尽くすけど、否定的な言動は隠しきれないしな。

「イザベルも、貴妃候補になったの、何か思うところがあったようね?グレインバルドの事、好きなわけではないでしょう?」
「お祖母様?!殿下の事はお慕いしてますわ!好きじゃないわけでは……!」

サティ様が話を向けると、イザベルが慌てたように言う。
イザベルがバルドを好き。
そう聞いても、不思議と前ほどモヤモヤしない。

「イザベル、さ…バルドの事、そういう意味で好きなわけじゃねぇよな?」
「そ、それはッ!?」

あからさまに狼狽えるイザベル。
うん、分かりやすい子だ。確信に変わった。

「ユリウスね?そうでしょう、イザベル」

サティ様にふんわりと微笑まれながら言われ、イザベルが赤くなる。
そうしてると、普通に可愛らしい女の子。俺もサティ様につられて笑顔になる。
が……
あれ?でも、ユリウスって…………………

「ユリウス皇子って、イザベルの兄上様じゃ…?」
「そうね。でも、正確には血は繋がっていないのよ」
「そうなんですか?!」

驚く俺に、サティ様がゆっくりと口を開いていった。








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