377 / 465
第三部1章 嫁取り騒動再発 逃避の蜜月編
10.空気は新鮮な物に限ります!!②
しおりを挟む「お入りなさいな、イザベル」
ニコニコするサティ様に促され、イザベルが躊躇いながらも部屋へ入った。
モジモジするイザベルに、俺も何を言ったらいいか分からず黙りこくる。
「………殿下とお部屋にこもったまま出てこないから、待ちくたびれましたわ」
「…………………」
うっきょょぉぉおおーーーーーーーーーー!!!!!
言う?!今それ、言うかい?!
うぅっ……イザベルも知ってるんだ?
俺とバルドがナニしてたか……
改めて言われると、すんげぇ居たたまれない……
ヤバい……石になってサラサラ風化していきそうだ。
「イザベル。言うべきことが違うのではなくて?」
微苦笑し、嗜めるように言うサティ様に、イザベルが唇を尖らせ拗ねたようにそっぽを向く。
「分かっ、てますわ!……めんなさい」
「へ??」
「~~~~~~~~~!!緊張感のない方ですわね!?ごめんなさいって謝りましたのよ!?『へ??』ではありませんわ!私、こんな方に嫉妬してましたの?!やってられませんわ!!」
プルプル震えたと思ったら、顔を真っ赤にし、プリプリ怒り出したイザベルに、俺は圧倒されて何も言えない。
くるくる表情が変わる。何か、憎めないし可愛らしいな、この娘。
「イザベル?」
「~~~~~もうっ!分かってます!分かりましたわ!私が、愚かでしたわ……貴方は悪くありませんわ」
サティ様が、めっ!というように、イザベルの頭を軽く叩くと、イザベルが叱られた子供のようにシュンとなる。
「え~~っ、と?話が………」
「ごめんなさいね、アヤちゃん。グレインバルドから話は?」
聞いてません…
ふるふる首を振ると、サティ様が頬に手を当て嘆息。困ったように眉を下げた。
「まったく…私の孫たちときたら、どれもこれも困ったちゃんたちばかりだこと。いいわ。私から話しましょう」
「えっ、と、、いいんですか?」
「いいのよ。今のあれに任せておいたら、話すどころか、可愛いアヤちゃんに夢中になるばかりで話しそうにないわ」
サティ様……あれ呼ばわりですか?
座りましょうと言われ、俺とイザベル、サティ様はソファに座りなおし、アリッサとローレンが改めてお茶を淹れ直してくれる。
「元はと言えば、レズモントからイザベルを貴妃候補にの打診があったのが最初ね。アヤちゃんの事は聞いていたけど、私も猊下も、光の魔導の事は半信半疑だったから、貴妃の話を受けたのよ。こうして、アヤちゃんに会った後には受けるべきではなかったと思ったわ。ごめんなさいね」
「いえ、そんな!」
女神の光の魔導は永らく不在だったんだ。いきなり現れて(公には知られてないけど、異世界より)、しかも男でってなったら、普通なら胡散臭すぎる。
サティ様も猊下も概ね好意的に接してくださるが、大半はそうはいかない。現に、レズモント宰相や大臣は、表向きは俺に対して礼は尽くすけど、否定的な言動は隠しきれないしな。
「イザベルも、貴妃候補になったの、何か思うところがあったようね?グレインバルドの事、好きなわけではないでしょう?」
「お祖母様?!殿下の事はお慕いしてますわ!好きじゃないわけでは……!」
サティ様が話を向けると、イザベルが慌てたように言う。
イザベルがバルドを好き。
そう聞いても、不思議と前ほどモヤモヤしない。
「イザベル、さ…バルドの事、そういう意味で好きなわけじゃねぇよな?」
「そ、それはッ!?」
あからさまに狼狽えるイザベル。
うん、分かりやすい子だ。確信に変わった。
「ユリウスね?そうでしょう、イザベル」
サティ様にふんわりと微笑まれながら言われ、イザベルが赤くなる。
そうしてると、普通に可愛らしい女の子。俺もサティ様につられて笑顔になる。
が……
あれ?でも、ユリウスって…………………
「ユリウス皇子って、イザベルの兄上様じゃ…?」
「そうね。でも、正確には血は繋がっていないのよ」
「そうなんですか?!」
驚く俺に、サティ様がゆっくりと口を開いていった。
2
お気に入りに追加
2,222
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
勇者の股間触ったらエライことになった
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。
町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。
オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。
主人公の兄になったなんて知らない
さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を
レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を
レインは知らない自分が神に愛されている事を
表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346
推しの完璧超人お兄様になっちゃった
紫 もくれん
BL
『君の心臓にたどりつけたら』というゲーム。体が弱くて一生の大半をベットの上で過ごした僕が命を賭けてやり込んだゲーム。
そのクラウス・フォン・シルヴェスターという推しの大好きな完璧超人兄貴に成り代わってしまった。
ずっと好きで好きでたまらなかった推し。その推しに好かれるためならなんだってできるよ。
そんなBLゲーム世界で生きる僕のお話。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる