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第三部1章 嫁取り騒動再発 逃避の蜜月編
7.皇子様の作戦勝ち?!
しおりを挟む「バッ、、ルド!?ちょっ、降ろせ、てば!!」
状況と展開がいまいち読み込めず、惚けたままの俺をバルドが半ば強制的に屋敷に連れ帰った。
抱き抱えられ、途中我に返り喚くが聞く耳持たず、俺が一人使っていた部屋のドアが蹴り開けられる。
「殿下!?一体……」
部屋を整えていたらしい、アリッサとローレンが、急な事に目を丸くしている。
「下がってろ」
「殿下……」
アリッサとローレンが若干、非難の目をバルドに向ける。あの日から合わせてここ数日のバルドの、俺に対しての態度へ向けてとは知れた。
アリッサとローレンの主人は俺だけど、バルドはその上の主人だ。臣下が主君に向ける態度じゃないが、それだけ、二人が俺を思ってくれてるのが分かり、やっぱり嬉しく感じる。
二人の不敬とも取れる態度に対して、バルドは叱責はせず、微苦笑し、声を和らげる。
「心配するな。傷つけた伴侶を全力で慰めるだけだ」
「「!!」」
バルドの言葉に、一瞬の無言の後、アリッサとローレンが、ニッコリと満面の笑みで一礼した。
「失礼致しました、殿下」
「かしこまりました、殿下」
「アリッサ?ローレン?」
俺の呼びかけに、二人が更に更に笑顔になる。
「「ごゆっくり、アヤ様♡」」
えぇええぇぇーーーーーーーーーー!?
どゆことーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!
唖然とする俺に構わず、二人がさっさと退室し、部屋には俺とバルドだけ。
「バルドっ!!バルドってば!?うわっ、、ちょっ!?」
寝室のドアが蹴り開けられ(普通に開けろ!)、ベッドに投げられた。フッカフカに整えられたベッドなので、痛くはないけどちょっと乱暴だ。
傷つけた伴侶慰めるって態度じゃねぇだろ?!
起き上がろうとした体は、すぐにバルドに押さえ込まれた。
「なにッ、、……?!」
「自覚はできたか?」
「はっ?!」
両手首押さえ込まれ、上から見下ろすようにされ、言われた言葉に素っ頓狂な声が出た。
「元はと言えば、お前が素直にならねぇから、いらん喧嘩になった。違うか?」
「………………」
確かにそうだ。そうだけど…………もっとーーーー。
「言い方……」
「どう言ったところで、事実だ」
それも正論。だけどーーーー。
「悪いの俺だけ?バルドはどうなんだよ?」
「俺の何が悪い?」
「イザベルとイチャイチャしてた……」
「いちゃいちゃ?よく分からんが、一緒に庭園に出ろと言われて、一回だけ付き合っただけだ」
「一回、だけ?」
「一回だけ。後は、他にする事があったからな。付き合う義理もない」
俺が見たあの一回だけ?
あれ??でも、じゃあ………
「イザベルを貴妃に……」
「したなんて言ったか?」
「…………………………」
言って…………ません。
「でも、だって…!俺に…ひどくしてから、ずっと放置、、、」
「それに関しては、まぁ、俺もひどく大人気なかったと反省した。それに、側に置けばまた際限がなくなる。放置したのは、俺も腹が立っていたからだ。冷たくすれば、危機感も湧くだろうと思ったしな」
湧いたよ!嫌ってほどな!!
「好きなのは俺ばかり……欲しがるのも俺だけ。いい加減面白くねぇぞ?アヤ」
「…………それ、は」
いや、別に俺だって好きじゃないわけじゃないし…その、欲しく……ないわけじゃ…
「意地っ張り。ほんと、素直じゃねぇな?」
「悪い、かよ?」
育った環境だ。だいぶ、こちらの世界に慣れたとはいえ、何でもかんでもフルオープンにするには、どうにも矜持と固定観念が邪魔する。
捨てたら、もっと楽なんだろうけど……
沈黙の後、バルドがフッと小さく息を吐き、軽く笑った後、俺のおでこにチュッと小さく口付けた。
「悪かねぇがな……まぁ、いい。本音が聞けただけ良しだ」
本音……
「あっ!!本音っていや、貴妃の問題は?!それに、何がどうなっ………んっ、うぅ、んぅッ!!」
ほとんどかぶりつく勢いで唇を塞がれ、すぐにこじ開けられた隙間から舌が入り込み絡め取られた。
抵抗は一瞬。すぐに、柔らかくて優しくて、少しだけ強引な甘いキスに夢中になる。
押さえられていた手が解放され、バルドの首に両腕を回し抱き寄せる。
普段なら、こんなになるまで時間がかかる。でも、今日は……
ピチャピチャ、ネトネト…聞くのも恥ずかしい音が立つが、気にならない。
口中に溢れ返ったモノを、お互いが奪い合うように飲み下すと、バルドの唇が先に離れ、俺の舌が追うように口から出た。
クッと小さく喉奥で笑い、バルドが小さく突き出た舌先をちろっと舐めた。擽ったさと羞恥に肩を竦めて舌を引っ込める。
「さっきまでと違って素直だな?」
おでことおでこをくっつけ、バルドが揶揄うように笑う。
突っぱねる事は出来るけど……
「一人っきりにされて寂しかったし……だから、素直に甘えてみる事にした。悪い?」
やや開き直って言ってやると、バルドがクツクツと肩を震わせて笑い出す。
目尻に口付けられ、片目を瞑って小さく唸る。
「悪くねぇよ。普段からこのくらい素直ならいいんだがな」
ひどく嬉しそうに言うけど…無茶言うな!生まれ持った性分だ。そうそう簡単にできるわけもない。
今はこれくらいがせいぜいだ。
プイッとそっぽ向いたら、不意に体が浮き上がり、慌ててバルドにしがみつく。
「何?」
「場所、変える」
「は?どこに??」
そのまま、俺を抱き上げたまま歩き出す。
「俺とお前が二人で過ごすはずだった部屋だ」
「何で……わざわざ?」
「待てないか?」
「馬鹿っ!!違ッ、、、、」
そんな早く抱かれたがってるみたいな、誤解生む言い方すんなっ!!
「ラァムの実は、この部屋にないからな……」
「ッッッ!!!!!」
こめかみの辺りに小さく呟くように囁かれ、俺の体が一気に熱くなった。
*次は☆付きます。多分、おそらく二人とも、デレデレ(でろでろ??)に甘ったるく溶け崩れる予定……
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