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番外編② 恋の調べ

*プレゼントは何、贈る?②

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庭園に出てきたはいいが、さてどうするか?

「アヤ?」

とりあえず、あずまやに向かっていた俺に、声がかかった。

「キサ!」

剣を携え、護衛の装いに身を包んだキサが、こちらへ歩いてくる。
まだ、その見た目には慣れない。
サラタータの公子(王家直結の貴族階級らしい)で、本名はラキティス。事実を知った今も、俺にとってはキサはキサで変わらない。
城下にある、マダム・エルザの酒場と歌舞団(踊りや歌を披露する。大道芸人みたいなモノ)の一員だった。妹が一人いて、名前はファラン。公女で、ファビアンが本名だが、公女の時の記憶は一切ない。
キサは、今は城就きの護衛だ。

「どうした?何かあったのか?」
「あ~……うん。あったといえばあったかな?」
「?……意味が分からんが?」

う~ん…キサはバルドと仲悪いしな。バルドの好きな物とか知らないだろうし、聞いてもいいものかどうか。

「悩み事か?聞くぞ?」
「あ~~……うん。実はさ………………」

            *
            *
            *
            *
            *

結果は、溜息つかれてしまった。

「お前らは何やってんだ?お互いがお互いを知らなさすぎだろ」
「うぅっ…、ごめん」
「俺に謝ってどうすんだ?………ハァ~~…!だが、聞いておいて悪いが、俺は殿下の好みなぞ知らん」
「だよなぁ~…うん、分かってたからいいよ」
「が、どうしても物じゃないと駄目なのか?」

どゆこと?
?マークいっぱいで首をかしげた。

「こういうのは気持ちが大事だろ?例えば、好きな事ややりたい事に付き合ってやるとか、喜びそうな事をしてやるとか?」

肩たたき券みたいな感じだな。

「でも、それってプレゼントになんの?」
「考え方と工夫次第だな。何か特別感を持たせれば、十分なるだろ?」

特別感………サプライズ的な?

「ふ~ん…なるほど、、、いいかも!」
「大丈夫そうか?」
「うん!あとは、バルドが何をしたら喜ぶか考えてみる!」
「まぁ、がんばれ……あと、お前はもう少し俺の事も……いや、いい」
「???」

何か、盛大に溜め息つかれた。物言いた気に、でも諦めたようにキサが離れていった。

           *
           *
           *
           *
           *

           *
           *
           *
           *
           *

あずまやに座り、あーでもないこーでもない考えたが、結局、いい案が浮かばず、グッテリ、テーブルに突っ伏す。

「うぅっ…どうしよ。全然、思い浮かばない。やっぱ、半日じゃ無理あるよなぁ~……」

どうしよう……
やっぱり、無理せずセレストが言ったみたいに、城にあるワイン、こっそり譲ってもらって無難に済ますか?
でも、それだと………うぅ~~~~っ…!!

「アヤ?何、やってんの?こんなとこで」
「ふへっ?」

テーブルに突っ伏したまま、モダモダしてたら、また別の声がかかる。
のっそり顔を上げると、可愛らしい顔をしかめた青年が立っていた。

「間抜けな声出さないでよね。相変わらず、トロ臭い反応で、やになるなぁ、もう~……」

可愛い顔に似合わず、口調はきつくて、こいつも相変わらずだ。

「エリオ…」
「そうだよ。で、何?間抜け腐った顔で、ボーッとしちゃってさ」
「え……あ、いや~………う、っと、実は………」

何となく、返される反応の予想ついたが、事情を話した。

「……って、事なんだけど」
「…………………………………………………………」
「エリオ?エ、リ、オ~~~~??」
「…………………………………………………阿呆だ」

呆れたとばかり、ボソッとズバッと一言、溜め息付。

「ひど……「くないでしょ?!何なわけ、それ!殿下は大切な方でしょ?!誕生日、知らないとかありえないから!何、やってんのさ!信じらんない!馬鹿なの?馬鹿でしょ?もう、あんた馬鹿でいいよね?」

ボロカスに貶されるが、言い返せない。

「まぁ…僕が来て良かったね?ったく、うだうだモダモダ、何か考え込んだり、怪しい動きしてたから、何かあったのかと思って声かけてみれば………」
「エリオ……もしかして、心配して声かけて?」
「ち、ちが!違うから!べ、別に気になって見てたとかじゃ!あぁぁぁ!もうッッ!そんな事より、殿下への贈り物でしょ?!僕にいい考えあるから、部屋、戻るよ?!」

怒ってそっぽ向くエリオの耳が赤く、ほんのり頬も染まり、俺は嬉しさで小さく笑う。

「なにッッ?!」
「何でもない……部屋、戻ろう?」

俺が答えると、フンと小さく吐き、エリオが先に歩き出す。

「………ありがと、エリオ…」
「………………………」

小さく礼を言う。
同じく小さくクスと笑みが聞こえたが、素直じゃない友人に配慮し、敢えて聞かなかったことにした。








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