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第二部4章 表裏一体 抱く光は闇 抱く闇は光の章

11.世界創造せし、7柱①

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瞬間を境、突き上げ抱いていた体が、カクンと力を失った。
顎が上を向き、閉じられた瞳。唇はうっすらと開き、後ろに倒れかけた体を支えるため手首を掴んだ。

「アヤ…?」

呼びかけるが反応はない。
どうやら気を失ったようだ。そのまま膝に座らせ、腰を支え、頭を肩に凭せ掛けてやる。
四度も絶頂にイかせたから無理はねぇが、俺はまだ二回、やっと終わったところだ。
正直、もう少し物足りない。下半身は未だ繋がったまま。気を失って尚、適度に締めつけ、柔らかく溶けたその場所を欲しがっている。
疲労困憊ひろうこんぱいを見て取り、何とか暴れだしそうな体を宥め、名残惜しみながら蕩け切ったその場所から己を引き抜いた。
抜け出る瞬間、プチュと水音が立ち、アヤの中に注ぎ込んだ欲望の残滓が溢れ出し、目に毒なその箇所から目を離す。

「始末してやらねぇとな…だが、その前に」

側に放っていた、アヤのローブを着せ掛け体を覆ってやる。

「盗み見か?趣味が悪ぃぞ?」

空間に向かい言うと、ゆらっと揺れた空から女神が現れた。
顔をしかめ、側のソファにフワリと座る。

『人聞き悪いわね!安心なさい。今、来たところよ』
「ふん…?で、話があるんだろう?」
『可愛くないわね~~!』
「話は?」

余計な話はいいとばかりに言うと、女神がハァッとため息をつき、諦めたように口を開く。

『悪かったと思って、一応、言いに来たのよ…』
「一応、な。随分、引っ掻き回して理を混ぜこぜにしてくれたようだが?一応、なのか?」
『~~~~~~~!!もうっ!分かった、悪かったわ!ゴメンなさい!!』

プイとそっぽを向き、言い放つ女神。反省してるようには見えねぇが、この女神にはこれが関の山だ。

「結局、何がしたかったんだ?」
『理を、直したかったのよ』
「アヤの記憶を壊して、俺を殺してか?意味が分からん」
『それは…自分でも後ろめたく感じてるわ。でも、他に方法がなかったのよね~…そもそも、私とラゼルのいざこざにあなた達を巻き込んで、それが発端でギルゼルトをあんなにしちゃって。アーシルを別世界に飛ばせばひとまず安心って思ったけど、まさか、ラゼルがギルゼルトを使って呼び戻すなんて思わなかったし』
ギルゼルトあいつの想いの深さを、お前が読み間違えたんだろう?」
『そうね。それは、私の誤算だわ。だから、ギルゼルトがこだわりやしがらみを断ち切れるように、アヤに頑張ってもらおうかと………』
「結局、昔はアルシディアに、今はアヤに。人任せにするから、こんな騒ぎになったんじゃねぇか」

やっぱり、女神は女神だ。神の類は、どこまでいっても本質が変わらない。人を、悪意があるなしに関係なく、駒としか思ってない。そうとしか思えない。
目を眇め睨み付けると、女神が拗ねたように唇を尖らせる。

『仕方ないでしょ?何度も言うけど、私達神は、人の理に必要以上に過干渉しちゃ駄目なの!動きたくても制約がかかるのよ!だから、ディオンに動いてもらったの。神の定めた裁定者。あの子なら、ある程度は許されてるから……』
「アヤの記憶を壊す必要が?俺を殺したのは何でだ?」
『五体満足でアヤを向かわせたら、即、台座の鍵にされちゃうでしょう?!だから、記憶を壊して、すぐには使い物にならなくしたの!その間に、ギルゼルトがアヤに惹かれて思いとどまったら、って……期待したのよ。打算的だったのは認めるわ』

行き当たりばったり、あまりに杜撰だ。上手くいったから良かったものの、ならなかったらどうするつもりだったんだ?
胡乱な目を向ける俺に、バツが悪いのか女神が視線を彷徨わす。

「俺を殺したのは?」
『ホントに殺すつもりはなかったわ。仮死状態で、しばらく大人しくしててもらうつもりで……』
「…………………」
『し、仕方ないでしょ!?ギルゼルトをどうにかする為に、アヤを貸してなんて言ったって、あなた大人しく………』
「しねぇよ」
『だからじゃないのよ』

これで分かった。やっぱり俺は神やら女神は嫌いだ。
人の都合なんざ、これっぽっちも考えちゃいねぇ。

「尻拭いは全部こっちだな。お前ら、神同士が争う分には勝手にすりゃいい。だが、周りを巻き込むな。アヤを利用すんな。あれは俺のもんだ。人のもの使おうとすんな!」
『あなた、アヤ以外ホントどうでもいいのね?エルネイレスもアーシルに惚れ込んでたけど、あなたほどじゃなかったわよ』
「何度も言うが、俺は初代じゃねぇ」
『えぇ、そうね。エルネイレスの方がず~~~っと!可愛げがあったわ!!』

女神が何やらぶつくさ言ってるが無視!
そういえば、腑に落ちん事がある。

「アウフィリア」
『なによ!』
「塔で、アヤにあった異変は何だ?ラゼルを退けたのは一体……」
『それね……私も、よくは分からないのよ』
「分からない、とは?」
『そうとしか言えないの。あれが何なのか……一つだけ、可能性があるとすれば……』
「何だ?」
『……いや、ないわね…う、ん…でも、もしかしたら……』
「おい…」

一人で何やらまたぶつくさやりだした女神に、俺が苛立ち呼びかける。
しばし、迷う素振りを見せた後、アウフィリアが口を開く。

『いいわ、話してあげる。ホントは、知らなくていい話だけど……神の領域に触れているあなたなら、知ってもいいでしょう』








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