35 / 148
第三章:王の婚約者として
第35話 修羅場回避
しおりを挟む
「ハルカ、アーネスの前でその発言はなんだ。俺の婚約者として不用意すぎるぞ」
カレヴィは不機嫌を隠そうともせずにそう言った。
うわあ、当たり前だけど、カレヴィ怒ってるよ。
他人の前で、なんとも思ってないなんて言われたら、彼の面目丸潰れだものね。
でも、わたしはそういうつもりは全くなかったんだよ。
そう言っても、カレヴィには信じてもらえないかもしれないけれど。
「ハルカ、来い」
カレヴィが機嫌の悪さを現したままにわたしの腕を掴もうとする。
いやだ、今までの彼の調子だと、わたしはこの後なにかされてしまうんだろうか。
わたしが思わずびくっとして目を瞑ると、予想していたカレヴィの手には触れられなかった。
そこでわたしが目を開けると、目の前にアーネスが立ちはだかって、カレヴィの腕を掴んでいた。
「……どういうつもりだ、アーネス」
カレヴィはアーネスに腕を掴まれたまま、彼を睨みつける。
「どうもこうも、君はハルカ嬢に望まない行為をするつもりだっただろう。彼女が人がよいのを利用するのもいい加減にしたらどうだい」
わたしはアーネスの煽るような言葉に思わずはらはらしてしまった。
いや、こうなったのはわたしのせいで、アーネスはわたしを守ってくれてるんだってことは分かるんだけどさ。
でも案の定というべきか、カレヴィが気色ばんだ。
「なんだと」
カレヴィはアーネスに掴まれた手を振り払うと、彼を睨みつけた。
アーネスはカレヴィの親友だから、手痛いことも言えちゃうんだろうけど、今回はわたしも悪かったんだし、二人の仲が悪くなっても困る。
「カレヴィ、ごめんね。本当にごめんなさい。わたし、配慮が足りなかったよ」
わたしはアーネスの前に出ようとしたけれど、彼はそれを許してくれない。
……ひょっとして、これはわたしを守ってくれているの?
だとしたら、ちょっと彼に感謝かも知れない。
例の薬を飲んでるとはいえ、怒ったカレヴィはわたしになにをするか分からない。
そんなわけで、わたしは内心びくびくものだった。
怯えたように彼を見つめたのが悪かったのか、カレヴィは顔をしかめる。
そんな彼は、なんだか少し傷ついたように見えた。
「ハルカ、そんなに俺を怖がるな」
「でも──」
いつものパターンだと、キスされたり、下手すると寝室に連れ込まれたりされそうなんだけれど。
「……やれやれ、カレヴィはハルカ嬢にすることが性急すぎるようだね。可哀想にすっかり怯えてるよ」
アーネスが両肩を竦めて気障っぽく言う。
そんな仕草も似合っていて、つくづく絵になる人だ。
でも、わたしがカレヴィにちょっと怯えてるってのは大正解。
この後、どんなお仕置きが待ってるんだろう。
アーネスの背の後ろでわたしが息を呑んでいると、カレヴィが仕方なさそうに、両手で頭をぐちゃぐちゃと掻いた。
「分かった。俺もきつく言い過ぎた。ハルカにはなにもしない。これでいいか」
なかばやけくそのように、カレヴィが言ったことでわたしはほっと息を付く。
そこでやっとアーネスもわたしの前から体をどかした。
だけど、カレヴィはあんなに言ったのにわたしをアーネスの前で抱きしめようとしてきた。
けれど、それをなにか壁のようなものが阻む。
「……防御壁か」
忌々しそうにカレヴィが透明な壁のようなものに触れる。
「陛下、言われている傍からハルカ様に手を出されようとしていますよ」
その声と同時にイアスが姿を現した。
あ、イアスがカレヴィの魔手から助けてくれたのか。ありがとう。
「陛下がハルカ様に会いたいと言われましたので仕方なく従いましたが、ハルカ様に無茶なことを強いられるなら僕はあくまでもハルカ様を守りますよ」
「イアス、余計なことをするな」
カレヴィがむっとしてイアスを睨むけど、それはお門違いってものだと思う。
悪いのは約束を守らなかったカレヴィでしょ。
「カレヴィ、ことこのことに関してはイアスになにかを言っても無理だよ」
アーネスが楽しそうにそう言ったら、なぜかイアスは顔を赤らめたけど、どうしたんだろう。
……それにしても。
「え、そうすると、イアスはわたしの魔力を辿ってきたってこと?」
いくら庭園にいるっていっても広い園内だ。
それをこうも簡単にカレヴィがわたしのいる傍へ現れるのは難しいだろう。
それに、他人の魔力を探ることが出来る魔術師は非常に稀だ。
だとしたら、イアスは魔術師としてかなりの才能の持ち主なのだろう。
「そうです。ただでさえ、陛下は執務をさぼられてここまで来たんですよ。もう少し、陛下には自制心というものを持っていただかないと困ります」
うわ、カレヴィ、年下のイアスにもお説教食らってるよ。
まあ、わたしもカレヴィにまずいこと聞かれたけど、カレヴィは王としてもっとまずい。
それ程わたしのことが好きなのは分かったけどさ、執務さぼるとか、本当に程々にしてほしい。
カレヴィ、仕事しろ。
わたし達三人が呆れた顔でカレヴィを見ると、彼はごまかすように咳払いをした。
「……それにしても、ハルカは桜が好きなのか」
「うん、好き。日本の国花だし、日本人は大体の人が好きだと思うよ」
「そうか。それなら、もっと庭園に植えさせようか」
カレヴィが提案してきたけど、もう既にこの庭園には桜の大木が何本も植わっているし、そこまでしなくてもいいかなあ。
「それより、わたし、夜桜見物したいな」
「夜桜見物?」
わたしの言葉にカレヴィが不思議そうに聞いてくる。
あれ、ひょっとしてここにはない習慣なんだろうか。
「夜に桜の木の傍に明かりを灯してね。それで、宴会したりするの」
「それは、なかなか楽しそうな催しのようだね」
わたしの案にアーネスが興味深そうに微笑んだ。
「うん、楽しいよ。夜桜は綺麗だし、一見の価値はあると思うけど」
「そうか、それなら今夜の晩餐にでも用意させよう」
「本当? カレヴィ、ありがとう」
わたしがにこにこしてお礼を言うと、カレヴィはほっとしたように息を付いた。
あ、ひょっとしなくてもさっきカレヴィに怯えちゃったのはちょっとまずかったかなあ。
でも、アーネスとはそんな関係じゃないっていっても、嫉妬に駆られたカレヴィは怖いし、野獣だし。
けど、一応世話になってるんだから、人前でも頬にキスと抱擁くらいなら許容してもいいかな。一応婚約者なんだし。
でも、その前にそれをカレヴィに了承させなくちゃいけないんだよね。
わたしもいつまでも彼に流されっぱなしじゃいけないと思うし、昼と夜の区別は付けるべきだと思う。
「もちろん、わたしやイアスも招待してくれるんだろうね、カレヴィ」
楽しそうにアーネスが言ってくると、カレヴィは気が向かないようだったけれども、一応承諾した。
「うん、あとシルヴィも呼ぼうよ。先王陛下や王太后様をお呼びできないのは寂しいけど」
なんでも先王陛下や王太后陛下は各国を豪遊中らしい。
カレヴィが言うには、その内帰って来るとは思うがとのことだったけど、はっきりはしないらしい。
性格は二人とも破天荒なので、ハルカは全く気にすることはないぞ、と言われているので、とりあえず安心はしている。
ああ、早くお二人にお会いしてみたいなあ。
楽しい方らしいし、その時が楽しみだ。
それはそうと、早速花見の準備をしなくちゃいけないよね。
ふと見ると、イアスが球体をその手にいくつも出していて、桜の木の周りにそれを配置していた。
「これは暗くなると、自動的に明かりが灯りますから」
……ふうん、あっちの世界のソーラー電気みたいなものか。
前から思ってたけど、こっちの魔法はあっちの機械の換えがきいて便利だな。
もしかしたら、わたしが知らないだけで、かなりそういうのがあるのかもしれない。
それに、千花っていう大魔術師がいるんだし、あちらの世界の便利なものをこちらにもいろいろ浸透させてるんだろうな。
そう考えると、千花は文化面でも偉大な伝道師だ。
出来れば千花やその家族もお花見に招待したいって言ったら、なぜかカレヴィに止められた。
これ以上騒がしくなっては堪らないって言ってたけど、こういうのは人数が多い方が楽しいのに。カレヴィのけち。
カレヴィは不機嫌を隠そうともせずにそう言った。
うわあ、当たり前だけど、カレヴィ怒ってるよ。
他人の前で、なんとも思ってないなんて言われたら、彼の面目丸潰れだものね。
でも、わたしはそういうつもりは全くなかったんだよ。
そう言っても、カレヴィには信じてもらえないかもしれないけれど。
「ハルカ、来い」
カレヴィが機嫌の悪さを現したままにわたしの腕を掴もうとする。
いやだ、今までの彼の調子だと、わたしはこの後なにかされてしまうんだろうか。
わたしが思わずびくっとして目を瞑ると、予想していたカレヴィの手には触れられなかった。
そこでわたしが目を開けると、目の前にアーネスが立ちはだかって、カレヴィの腕を掴んでいた。
「……どういうつもりだ、アーネス」
カレヴィはアーネスに腕を掴まれたまま、彼を睨みつける。
「どうもこうも、君はハルカ嬢に望まない行為をするつもりだっただろう。彼女が人がよいのを利用するのもいい加減にしたらどうだい」
わたしはアーネスの煽るような言葉に思わずはらはらしてしまった。
いや、こうなったのはわたしのせいで、アーネスはわたしを守ってくれてるんだってことは分かるんだけどさ。
でも案の定というべきか、カレヴィが気色ばんだ。
「なんだと」
カレヴィはアーネスに掴まれた手を振り払うと、彼を睨みつけた。
アーネスはカレヴィの親友だから、手痛いことも言えちゃうんだろうけど、今回はわたしも悪かったんだし、二人の仲が悪くなっても困る。
「カレヴィ、ごめんね。本当にごめんなさい。わたし、配慮が足りなかったよ」
わたしはアーネスの前に出ようとしたけれど、彼はそれを許してくれない。
……ひょっとして、これはわたしを守ってくれているの?
だとしたら、ちょっと彼に感謝かも知れない。
例の薬を飲んでるとはいえ、怒ったカレヴィはわたしになにをするか分からない。
そんなわけで、わたしは内心びくびくものだった。
怯えたように彼を見つめたのが悪かったのか、カレヴィは顔をしかめる。
そんな彼は、なんだか少し傷ついたように見えた。
「ハルカ、そんなに俺を怖がるな」
「でも──」
いつものパターンだと、キスされたり、下手すると寝室に連れ込まれたりされそうなんだけれど。
「……やれやれ、カレヴィはハルカ嬢にすることが性急すぎるようだね。可哀想にすっかり怯えてるよ」
アーネスが両肩を竦めて気障っぽく言う。
そんな仕草も似合っていて、つくづく絵になる人だ。
でも、わたしがカレヴィにちょっと怯えてるってのは大正解。
この後、どんなお仕置きが待ってるんだろう。
アーネスの背の後ろでわたしが息を呑んでいると、カレヴィが仕方なさそうに、両手で頭をぐちゃぐちゃと掻いた。
「分かった。俺もきつく言い過ぎた。ハルカにはなにもしない。これでいいか」
なかばやけくそのように、カレヴィが言ったことでわたしはほっと息を付く。
そこでやっとアーネスもわたしの前から体をどかした。
だけど、カレヴィはあんなに言ったのにわたしをアーネスの前で抱きしめようとしてきた。
けれど、それをなにか壁のようなものが阻む。
「……防御壁か」
忌々しそうにカレヴィが透明な壁のようなものに触れる。
「陛下、言われている傍からハルカ様に手を出されようとしていますよ」
その声と同時にイアスが姿を現した。
あ、イアスがカレヴィの魔手から助けてくれたのか。ありがとう。
「陛下がハルカ様に会いたいと言われましたので仕方なく従いましたが、ハルカ様に無茶なことを強いられるなら僕はあくまでもハルカ様を守りますよ」
「イアス、余計なことをするな」
カレヴィがむっとしてイアスを睨むけど、それはお門違いってものだと思う。
悪いのは約束を守らなかったカレヴィでしょ。
「カレヴィ、ことこのことに関してはイアスになにかを言っても無理だよ」
アーネスが楽しそうにそう言ったら、なぜかイアスは顔を赤らめたけど、どうしたんだろう。
……それにしても。
「え、そうすると、イアスはわたしの魔力を辿ってきたってこと?」
いくら庭園にいるっていっても広い園内だ。
それをこうも簡単にカレヴィがわたしのいる傍へ現れるのは難しいだろう。
それに、他人の魔力を探ることが出来る魔術師は非常に稀だ。
だとしたら、イアスは魔術師としてかなりの才能の持ち主なのだろう。
「そうです。ただでさえ、陛下は執務をさぼられてここまで来たんですよ。もう少し、陛下には自制心というものを持っていただかないと困ります」
うわ、カレヴィ、年下のイアスにもお説教食らってるよ。
まあ、わたしもカレヴィにまずいこと聞かれたけど、カレヴィは王としてもっとまずい。
それ程わたしのことが好きなのは分かったけどさ、執務さぼるとか、本当に程々にしてほしい。
カレヴィ、仕事しろ。
わたし達三人が呆れた顔でカレヴィを見ると、彼はごまかすように咳払いをした。
「……それにしても、ハルカは桜が好きなのか」
「うん、好き。日本の国花だし、日本人は大体の人が好きだと思うよ」
「そうか。それなら、もっと庭園に植えさせようか」
カレヴィが提案してきたけど、もう既にこの庭園には桜の大木が何本も植わっているし、そこまでしなくてもいいかなあ。
「それより、わたし、夜桜見物したいな」
「夜桜見物?」
わたしの言葉にカレヴィが不思議そうに聞いてくる。
あれ、ひょっとしてここにはない習慣なんだろうか。
「夜に桜の木の傍に明かりを灯してね。それで、宴会したりするの」
「それは、なかなか楽しそうな催しのようだね」
わたしの案にアーネスが興味深そうに微笑んだ。
「うん、楽しいよ。夜桜は綺麗だし、一見の価値はあると思うけど」
「そうか、それなら今夜の晩餐にでも用意させよう」
「本当? カレヴィ、ありがとう」
わたしがにこにこしてお礼を言うと、カレヴィはほっとしたように息を付いた。
あ、ひょっとしなくてもさっきカレヴィに怯えちゃったのはちょっとまずかったかなあ。
でも、アーネスとはそんな関係じゃないっていっても、嫉妬に駆られたカレヴィは怖いし、野獣だし。
けど、一応世話になってるんだから、人前でも頬にキスと抱擁くらいなら許容してもいいかな。一応婚約者なんだし。
でも、その前にそれをカレヴィに了承させなくちゃいけないんだよね。
わたしもいつまでも彼に流されっぱなしじゃいけないと思うし、昼と夜の区別は付けるべきだと思う。
「もちろん、わたしやイアスも招待してくれるんだろうね、カレヴィ」
楽しそうにアーネスが言ってくると、カレヴィは気が向かないようだったけれども、一応承諾した。
「うん、あとシルヴィも呼ぼうよ。先王陛下や王太后様をお呼びできないのは寂しいけど」
なんでも先王陛下や王太后陛下は各国を豪遊中らしい。
カレヴィが言うには、その内帰って来るとは思うがとのことだったけど、はっきりはしないらしい。
性格は二人とも破天荒なので、ハルカは全く気にすることはないぞ、と言われているので、とりあえず安心はしている。
ああ、早くお二人にお会いしてみたいなあ。
楽しい方らしいし、その時が楽しみだ。
それはそうと、早速花見の準備をしなくちゃいけないよね。
ふと見ると、イアスが球体をその手にいくつも出していて、桜の木の周りにそれを配置していた。
「これは暗くなると、自動的に明かりが灯りますから」
……ふうん、あっちの世界のソーラー電気みたいなものか。
前から思ってたけど、こっちの魔法はあっちの機械の換えがきいて便利だな。
もしかしたら、わたしが知らないだけで、かなりそういうのがあるのかもしれない。
それに、千花っていう大魔術師がいるんだし、あちらの世界の便利なものをこちらにもいろいろ浸透させてるんだろうな。
そう考えると、千花は文化面でも偉大な伝道師だ。
出来れば千花やその家族もお花見に招待したいって言ったら、なぜかカレヴィに止められた。
これ以上騒がしくなっては堪らないって言ってたけど、こういうのは人数が多い方が楽しいのに。カレヴィのけち。
0
お気に入りに追加
937
あなたにおすすめの小説
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【本編完結】若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
はづも
恋愛
本編完結済み。番外編がたまに投稿されたりされなかったりします。
伯爵家に生まれたカレン・アーネストは、20歳のとき、幼馴染でもある若き公爵、ジョンズワート・デュライトの妻となった。
しかし、ジョンズワートはカレンを愛しているわけではない。
当時12歳だったカレンの額に傷を負わせた彼は、その責任を取るためにカレンと結婚したのである。
……本当に好きな人を、諦めてまで。
幼い頃からずっと好きだった彼のために、早く身を引かなければ。
そう思っていたのに、初夜の一度でカレンは懐妊。
このままでは、ジョンズワートが一生自分に縛られてしまう。
夫を想うが故に、カレンは妊娠したことを隠して姿を消した。
愛する人を縛りたくないヒロインと、死亡説が流れても好きな人を諦めることができないヒーローの、両片想い・幼馴染・すれ違い・ハッピーエンドなお話です。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる