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人生は、おとぎ話のように美しくは終わらない。彼と恋人同士になったからといって全てが上手く行くということはなく、けんかもするし、顔も見たくない日だってある。それでも僕は、彼と生きていきたいと思う。すれ違っても歩み寄って、苦しいときには寄り添って。そうやって、日々を積み重ねていきたいと思う。
「若葉。来月の同窓会、参加するか?」
「ああ、高校の……。参加で考えてるけど」
「……」
「どうかした?」
「俺も、参加にする」
「そう? じゃあ一緒に行こう。僕、迷いそうな気がするし」
「席、俺の横にしろよ」
「横?」
「いいから」
「まあ、いいけど」
「酔うなよ」
「四谷、何かお母さんみたい……」
「うるさい」
最初は、嫌いな人種だと思った。彼を知るにつれて、惹かれていく自分がいた。それを認めるのが怖くて、好きではないと嘘をついた。恋人になって、もっと深く彼を知って、今は。
好きでは、ない。好きでは足りない。言葉にすればするほどすり抜けていくような、目には見えず、形もなく、それでいて温かい。この想いは、好きではなくて、きっと。
「四谷」
「何?」
愛してると告げたら、彼は何と言うのだろう。どんな顔をするのだろう。いたずらを企む少年のような心持ちで、僕はそうっと唇を開いた。
「若葉。来月の同窓会、参加するか?」
「ああ、高校の……。参加で考えてるけど」
「……」
「どうかした?」
「俺も、参加にする」
「そう? じゃあ一緒に行こう。僕、迷いそうな気がするし」
「席、俺の横にしろよ」
「横?」
「いいから」
「まあ、いいけど」
「酔うなよ」
「四谷、何かお母さんみたい……」
「うるさい」
最初は、嫌いな人種だと思った。彼を知るにつれて、惹かれていく自分がいた。それを認めるのが怖くて、好きではないと嘘をついた。恋人になって、もっと深く彼を知って、今は。
好きでは、ない。好きでは足りない。言葉にすればするほどすり抜けていくような、目には見えず、形もなく、それでいて温かい。この想いは、好きではなくて、きっと。
「四谷」
「何?」
愛してると告げたら、彼は何と言うのだろう。どんな顔をするのだろう。いたずらを企む少年のような心持ちで、僕はそうっと唇を開いた。
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