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プレゼントの選び方
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十二月十九日。クリスマスを約一週間後に控え、駅から直通のデパートの店内はクリスマスのムードに染め上げられていた。
クリスマス。正直、成人してからはあまり気にしたことのないイベントだった。会社勤めの頃は特に、仕事が忙しくなる時期、といった印象しかない。
しかし、今年はそうはならなかった。十月に遭遇した、奇妙な出会いの影響で。
二日前の夜、食事を終え、デザートにプリンを食べていると、唐突に佐藤君が言った。
「瑞希さん」
「はい」
「二十五日の夜の、ご予定は?」
僕は卓上のカレンダーに目を向ける。
「平日だから……普通に仕事して、帰宅かな」
勤務時間は午後一時から十時まで。家に帰り着くのは、十時半から十一時の間。現時点で、仕事以外の予定は特になかった。
「そうですか……」
わんこの、耳が垂れる。
「えっと、夜、何かあるんですか?」
自分が失敗したらしいことは分かっても、何が失敗だったのかは分からない。申し訳なく思いながら、言葉を重ねた。
「ごめん、鈍くて」
「いえ。瑞希さんは、悪くないです」
佐藤君は僕の言葉を遮り苦笑した。
「あなたと付き合って、最初のクリスマスだから。……一緒に過ごしたいなと思って」
そうだった。今月は十二月。二十五日は、クリスマスだ。思い至らなかった自分を恥じる。
「ご、ごめん。最近、冬期講習のことで頭がいっぱいで」
「忙しい時期ですよね。気にしないでください。ただの願望です」
「そうじゃなくて……っ」
クリスマスというものに対して意識が向いていなかっただけで、恋人と過ごしたくないわけではない。
「その、僕も、一緒に過ごしたいです」
クリスマス、と言い添えて、僕は佐藤君を見上げた。頬が熱くなっている自覚はあったが、きちんと目を見て伝えたかった。
視線を受け止め、彼はゆっくりと息を吐いた。
「瑞希さん」
「はい」
「表情も、言葉も。かわいすぎます」
「かわ……っ?」
「俺以外の男には、絶対に見せないでくださいね」
釘を差され、男、という部分に僕は首を傾げる。
「何で、相手が男限定なんですか。それに、僕にかわいいなんて言うのは佐藤君くらいだと思うけど……」
童顔、以外に特筆すべきことのない、平均的なつくりの顔である。決してかわいくはない。彼を安心させるつもりで言ったのだが、彼は溜め息と共に眉間に皺を寄せた。
「自覚がないから、危ないんです。顔だけのやつとは違うから、余計に」
かわいいのは俺の前だけにしてください、と佐藤君。
今ひとつよく分からないまま、僕はこくりと頷いた。
クリスマス。正直、成人してからはあまり気にしたことのないイベントだった。会社勤めの頃は特に、仕事が忙しくなる時期、といった印象しかない。
しかし、今年はそうはならなかった。十月に遭遇した、奇妙な出会いの影響で。
二日前の夜、食事を終え、デザートにプリンを食べていると、唐突に佐藤君が言った。
「瑞希さん」
「はい」
「二十五日の夜の、ご予定は?」
僕は卓上のカレンダーに目を向ける。
「平日だから……普通に仕事して、帰宅かな」
勤務時間は午後一時から十時まで。家に帰り着くのは、十時半から十一時の間。現時点で、仕事以外の予定は特になかった。
「そうですか……」
わんこの、耳が垂れる。
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自分が失敗したらしいことは分かっても、何が失敗だったのかは分からない。申し訳なく思いながら、言葉を重ねた。
「ごめん、鈍くて」
「いえ。瑞希さんは、悪くないです」
佐藤君は僕の言葉を遮り苦笑した。
「あなたと付き合って、最初のクリスマスだから。……一緒に過ごしたいなと思って」
そうだった。今月は十二月。二十五日は、クリスマスだ。思い至らなかった自分を恥じる。
「ご、ごめん。最近、冬期講習のことで頭がいっぱいで」
「忙しい時期ですよね。気にしないでください。ただの願望です」
「そうじゃなくて……っ」
クリスマスというものに対して意識が向いていなかっただけで、恋人と過ごしたくないわけではない。
「その、僕も、一緒に過ごしたいです」
クリスマス、と言い添えて、僕は佐藤君を見上げた。頬が熱くなっている自覚はあったが、きちんと目を見て伝えたかった。
視線を受け止め、彼はゆっくりと息を吐いた。
「瑞希さん」
「はい」
「表情も、言葉も。かわいすぎます」
「かわ……っ?」
「俺以外の男には、絶対に見せないでくださいね」
釘を差され、男、という部分に僕は首を傾げる。
「何で、相手が男限定なんですか。それに、僕にかわいいなんて言うのは佐藤君くらいだと思うけど……」
童顔、以外に特筆すべきことのない、平均的なつくりの顔である。決してかわいくはない。彼を安心させるつもりで言ったのだが、彼は溜め息と共に眉間に皺を寄せた。
「自覚がないから、危ないんです。顔だけのやつとは違うから、余計に」
かわいいのは俺の前だけにしてください、と佐藤君。
今ひとつよく分からないまま、僕はこくりと頷いた。
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