3 / 7
彼女持ちの親友を好きになった俺の話(3)
しおりを挟む
俺は、それなりにお洒落に気を遣い美映留中央駅に降り立った。
毎年、飾られるクリスマスツリー。
まぁ、綺麗といえば、綺麗だ。
でも、一人身の俺としてはありがたみはほぼ無いに等しい。
ああ、でも。
俺はなんで、いもしない架空の彼女のために、クリスマスイブにわざわざこんなところに来てるんだろう。
はぁ。
ため息が出る。
その答えは簡単だ。
春菜の顔が見たかった。
ただ、それだけ。
そう考えると、俺ってなんだか、みじめだな。
くそっ!
周りはカップルだらけ。
こいつら、イブの今夜、ひたすらエッチしまくりなんだろうな。
マジでいまいましい。
それに、春菜の顔を見るっていっても、あのカエデって女とセットだ。
彼女にデレデレ顔の春菜しか見れないってことだ。
そんな春菜を見ると俺はきっとイライラしそうだな。
ふぅ。
今日は帰るか。
ふと、手元を見る。
握りしめた、小さい箱。
中にはUFOキャッチャー限定のフィギュアが入っている。
俺は、バカか……。
あいつの為に、金をつぎ込んでゲットしたけど、プレゼントできるチャンスもない。
その時、後ろか誰かに声をかけられた。
「おい! 仁じゃないか!」
そこには、春菜の姿。
驚きのあまり、一瞬言葉を失う。
「なんだ、春菜か」
「なんだとは、言い草だな。ははは」
やばい。
やっぱり、こいつの笑顔を見ると、キュンキュンする。
それに、お洒落して、めちゃ可愛いんだが。
ドキドキが止まらねぇ。
ああ、これだけでも、来る価値はあったな。
春菜は、言った。
「仁、彼女と待ち合わせか?」
彼女?
しまった。俺は彼女とクリスマスデートをするって言っていたんだったっけ?
「あー。そう、そう。彼女と待ち合わせな」
春菜の視線が俺の手に向かう。
俺は、慌ててプレゼントの小箱をポケットに突っ込んだ。
「ははん。それ彼女へプレゼントか?」
「まっ、まぁな」
あれ?
こいつ、一人か?
例の彼女の姿が見当たらない。
俺がキョロキョロしていると、それを察したように春菜が言った。
「オレは、彼女にすっぽかされたみたいなんだよな」
「おいおい、今日はイブだぞ、そんなことって……」
ちょっと、待てよ。
それが本当なら、これは……。
「そっか、春菜もか。俺も、彼女にすっぽかされたみたいなんだよ」
ちらっと春菜を見る。
春菜は、顔を明るくして言った。
「おー! まじか! じゃあ、仁、振られたもの同士、メシでもいこうぜ!」
うおー! やばい、テンション上がる。
しかし、それを悟られないように落ち着いた声で返す。
「ああ、まぁ、仕方ない。春菜が行きたいっていうなら、付き合ってやってもいいぜ」
「よっしゃ! じゃあ行こうぜ!」
何、この神展開。
俺は、ウキウキを隠しながら、春菜の後に続いた。
ファミレスに入った。
込んでいたけど、少し待っただけで席に案内された。
とにもかくにも、これは、奇跡だ。
イブに春菜とメシとか。
春菜は、彼女にすっぽかされて、さぞ気落ちしているかと思いきや、意外や意外、本当に楽しそうだ。
俺に気を使っているのか?
それとも、あの彼女といるより俺と一緒にいる方が楽しいのか?
俺にしてみれば、どっちだって嬉しい。
俺達は、食事を終え、ドリンク片手に食後の余韻を楽しむ。
「でよ、仁。オレ、来年はレギュラー狙いたいわけよ」
「ああ、いけるって。お前ならな」
「いや、オレだって分かるぜ。上の先輩達の層が厚いって事はさ」
「まぁな。よし、来年そうそうにトレーニングメニュー考えてやるよ」
「待ってました! さすが仁だ。オレの専属コーチ!」
「ははは。でも、厳しいぜ。おれのメニューは」
「お手柔らかにたのむよ。ははは」
しかし……。
何ていう笑顔をするんだ。
こいつ、天使なんじゃないか!?
「ところで、春菜。よかったのか? 彼女、待ってれば来たんじゃないのか?」
「ああ、大丈夫。メールで連絡あったから。行けないって」
「そっか」
「それより、仁の方はどうなんだ?」
「俺か? 俺のほうは、まぁ、中止だな。いいよ! 俺の彼女のことなんかさ」
「そうか? ああ、そうだ。仁、もっと、話ししたくないか?」
「そりゃ、お前とだったら、夜どうしでも話ししたいけど。このままドリンクバーで朝までねばるか?」
「ちぃっ、ちぃっ、ちぃ! いいところあるんだよ!」
毎年、飾られるクリスマスツリー。
まぁ、綺麗といえば、綺麗だ。
でも、一人身の俺としてはありがたみはほぼ無いに等しい。
ああ、でも。
俺はなんで、いもしない架空の彼女のために、クリスマスイブにわざわざこんなところに来てるんだろう。
はぁ。
ため息が出る。
その答えは簡単だ。
春菜の顔が見たかった。
ただ、それだけ。
そう考えると、俺ってなんだか、みじめだな。
くそっ!
周りはカップルだらけ。
こいつら、イブの今夜、ひたすらエッチしまくりなんだろうな。
マジでいまいましい。
それに、春菜の顔を見るっていっても、あのカエデって女とセットだ。
彼女にデレデレ顔の春菜しか見れないってことだ。
そんな春菜を見ると俺はきっとイライラしそうだな。
ふぅ。
今日は帰るか。
ふと、手元を見る。
握りしめた、小さい箱。
中にはUFOキャッチャー限定のフィギュアが入っている。
俺は、バカか……。
あいつの為に、金をつぎ込んでゲットしたけど、プレゼントできるチャンスもない。
その時、後ろか誰かに声をかけられた。
「おい! 仁じゃないか!」
そこには、春菜の姿。
驚きのあまり、一瞬言葉を失う。
「なんだ、春菜か」
「なんだとは、言い草だな。ははは」
やばい。
やっぱり、こいつの笑顔を見ると、キュンキュンする。
それに、お洒落して、めちゃ可愛いんだが。
ドキドキが止まらねぇ。
ああ、これだけでも、来る価値はあったな。
春菜は、言った。
「仁、彼女と待ち合わせか?」
彼女?
しまった。俺は彼女とクリスマスデートをするって言っていたんだったっけ?
「あー。そう、そう。彼女と待ち合わせな」
春菜の視線が俺の手に向かう。
俺は、慌ててプレゼントの小箱をポケットに突っ込んだ。
「ははん。それ彼女へプレゼントか?」
「まっ、まぁな」
あれ?
こいつ、一人か?
例の彼女の姿が見当たらない。
俺がキョロキョロしていると、それを察したように春菜が言った。
「オレは、彼女にすっぽかされたみたいなんだよな」
「おいおい、今日はイブだぞ、そんなことって……」
ちょっと、待てよ。
それが本当なら、これは……。
「そっか、春菜もか。俺も、彼女にすっぽかされたみたいなんだよ」
ちらっと春菜を見る。
春菜は、顔を明るくして言った。
「おー! まじか! じゃあ、仁、振られたもの同士、メシでもいこうぜ!」
うおー! やばい、テンション上がる。
しかし、それを悟られないように落ち着いた声で返す。
「ああ、まぁ、仕方ない。春菜が行きたいっていうなら、付き合ってやってもいいぜ」
「よっしゃ! じゃあ行こうぜ!」
何、この神展開。
俺は、ウキウキを隠しながら、春菜の後に続いた。
ファミレスに入った。
込んでいたけど、少し待っただけで席に案内された。
とにもかくにも、これは、奇跡だ。
イブに春菜とメシとか。
春菜は、彼女にすっぽかされて、さぞ気落ちしているかと思いきや、意外や意外、本当に楽しそうだ。
俺に気を使っているのか?
それとも、あの彼女といるより俺と一緒にいる方が楽しいのか?
俺にしてみれば、どっちだって嬉しい。
俺達は、食事を終え、ドリンク片手に食後の余韻を楽しむ。
「でよ、仁。オレ、来年はレギュラー狙いたいわけよ」
「ああ、いけるって。お前ならな」
「いや、オレだって分かるぜ。上の先輩達の層が厚いって事はさ」
「まぁな。よし、来年そうそうにトレーニングメニュー考えてやるよ」
「待ってました! さすが仁だ。オレの専属コーチ!」
「ははは。でも、厳しいぜ。おれのメニューは」
「お手柔らかにたのむよ。ははは」
しかし……。
何ていう笑顔をするんだ。
こいつ、天使なんじゃないか!?
「ところで、春菜。よかったのか? 彼女、待ってれば来たんじゃないのか?」
「ああ、大丈夫。メールで連絡あったから。行けないって」
「そっか」
「それより、仁の方はどうなんだ?」
「俺か? 俺のほうは、まぁ、中止だな。いいよ! 俺の彼女のことなんかさ」
「そうか? ああ、そうだ。仁、もっと、話ししたくないか?」
「そりゃ、お前とだったら、夜どうしでも話ししたいけど。このままドリンクバーで朝までねばるか?」
「ちぃっ、ちぃっ、ちぃ! いいところあるんだよ!」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
上司と雨宿りしたら、蕩けるほど溺愛されました
藍沢真啓/庚あき
BL
恋人から仕事の残業があるとドタキャンをされた槻宮柚希は、帰宅途中、残業中である筈の恋人が、自分とは違う男性と一緒にラブホテルに入っていくのを目撃してしまう。
愛ではなかったものの好意があった恋人からの裏切りに、強がって別れのメッセージを送ったら、なぜか現れたのは会社の上司でもある嵯峨零一。
すったもんだの末、降り出した雨が勢いを増し、雨宿りの為に入ったのは、恋人が他の男とくぐったラブホテル!?
上司はノンケの筈だし、大丈夫…だよね?
ヤンデレ執着心強い上司×失恋したばかりの部下
甘イチャラブコメです。
上司と雨宿りしたら恋人になりました、のBLバージョンとなりますが、キャラクターの名前、性格、展開等が違います。
そちらも楽しんでいただければ幸いでございます。
また、Fujossyさんのコンテストの参加作品です。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
生贄として捧げられたら人外にぐちゃぐちゃにされた
キルキ
BL
生贄になった主人公が、正体不明の何かにめちゃくちゃにされ挙げ句、いっぱい愛してもらう話。こんなタイトルですがハピエンです。
人外✕人間
♡喘ぎな分、いつもより過激です。
以下注意
♡喘ぎ/淫語/直腸責め/快楽墜ち/輪姦/異種姦/複数プレイ/フェラ/二輪挿し/無理矢理要素あり
2024/01/31追記
本作品はキルキのオリジナル小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる