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序章 出会い編
第2話 魔女の過去/少年の涙
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私は自分の過去を包み隠さず、静かに語ろう。そのほうが分かりやすいし。
「この世界には人間と魔族が存在してる。そして今まで争いあってきた」
「ああ、そうだな」
「昔、ある国が魔族の脅威から逃れるために、当時の魔王に一人の聖女を引き渡した」
「何?」
「魔王は聖女を気に入って娶り、その国への侵攻を止めた」
「そんな話は初耳だが?」
「魔王の名は『ディハルト』。聖女の名は『ミヨダ・ボリャ』」
「聞いたことのない名前だな。魔王も聖女も……え?ボリャって、もしかして……」
「そうよ。魔王ディハルトと聖女ミヨダの間に生まれた子供が私なの」
「なんだって!? じゃあお前は魔王の娘なのか!?」
「ええ。人間との混血だけどね」
ゼクトの反応は、私の予想通りだった。かなり動揺してる。正直、ここまでだと面白いくらい。ゼクトは嘘感知魔法に反応が無いことが分かるから信じるしかないでしょ? 普通の人間にしか見えないのは分かるけどね。
「ふふ、私の見た目ってさ、魔王の娘って感じじゃないでしょ?」
「……ああ、正直信じられないな、魔族と人間の間に子供ができるなんて。見た目は人間の女の子にしか見えないし」
「そうね。実際、私の魔力は魔族のものでも体は人間のものとして生まれたの」
「……父親の力と母親の血肉をもらって生まれたってわけか」
「理解が早くて助かるわ」
「それをどう証明する? お前の言葉以外に?」
「意地悪なこと言うのね。こんな封印をされてるのが証明じゃない?」
「……お前の存在が危険だったからか?殺せないくらいに?」
「魔王を父親に持つんだからその力は強大でしょう?」
「…………」
あれ? ゼクトが怒ってる? 私が当たり前のように告げた言葉に苛立ちを感じてるみたい。何か気に障ることでも言っちゃたかな? でも事実だし。だからこそ私はこんなところにいるんだから。純粋な人間と混血の違いかな?
「どうしたの? 急に黙って?」
「! ……話を続けてくれ」
「私は父が治める魔界で生まれ育ち母と共に暮らしていたわ。父も魔王の仕事の合間に会いに来てくれたわ。父も母も仲が良くて、私を大切にしてくれたわ」
「え? もしかして魔王と聖女が夫婦になって愛し合ってたのか? 魔族の王と人間の聖女なのに!?」
「まあ、最初はそこまでの仲じゃなかったけど、私が生まれた頃にはすっかり打ち解けてたそうよ」
「そんな二人の子供のお前はどうしてここに? 何があったんだ?」
「母との関係が良好になった父は人間と魔族の共存を考えるようになったの、母と私のために。それが悲劇の始まりだった」
「人間と魔族の共存!? そんなことを魔王の方からが考えただって!?」
「大半の魔族には大反対されたわ。人間とは争いあってきた歴史があるもの。いくら魔王の言葉といえども、そんな考えは受け入れがたかったの。人間側もそうでしょ?」
「……そうだな」
魔族と人間の共存。その言葉に驚くようだと人間側はそんなこと考えもしなかったみたいね。やっぱり、私たち親子の考えたことは難しいどころか不可能だったんだ。感じの悪い家庭教師の先生から、とても弱そうな姿で言葉は通じるけど魔族と憎しみあってきた弱小種族だと聞いていたけど、今もそんな感じなのね……。
「私の父を許せないと思った当時の将軍『ガルケイド』が反乱を起こし、父を殺した。そして異端分子として私と母を殺そうとしたの。父が死に際に転移魔法で逃がしてくれたおかげで助かったけどね」
「…………お前たちはその後どうなったんだ?」
「転移先が母の故郷の国だったの。母は国に助けてもらおうとしたんだけど……それが間違いだった」
「……国は助けなっかたんだな」
「ええ。その国の王様は話を聞いて私たちを危険視したわ。国を守るために魔王にその身をささげたのに、そんな母を人類の裏切り者だの魔王の子を産んだ魔女だと罵った。……挙句の果ては私達は災いをもたらすものとして処刑を決めた。そして母は私を庇って……私の目の前で殺された」
「なっ!! そんな!?」
「ただでさえ父を失った悲しみをひきずっていた私は、悲しみと怒りに身を任せて力を思いっきり振るった。母を殺した者たちを許せなかったから」
「強大な力がお前にはあった……」
「復讐はできたわ。母を殺した騎士もそれを命じた王も殺したわ。私の周りには母の亡骸以外何もなかった、いいえ、何もかも消えていたわ」
「何もって……国もか?」
「ええ。焼野原ならあったわ」
「……!? マジか……」
やっぱり、ゼクトは私にも驚いた。きっと、怖がっているだろう、私のことを。「可哀そうな女の子」だって自分で言ったけど、私自身も、自分がそういう存在なんだって分かってる。だからこそ、人間側と魔族側にも親を殺されちゃったんだから。
「自分の力を自覚した私は父の復讐をしようと思ったわ。でもその前に母のお墓を作ろうと思って見晴らしがいい場所を探したの。それがあなたが言うグオーラム山の頂上にね」
「グオーラム山の頂上に? 一人で登ったのか? いや、魔法を使えば大丈夫か」
「? 普通に登ったけど、どうして魔法がいるの?」
「……ええー?」
あれ? ここでも驚くの? 魔法を使わずに登ったんだけど、そのグオーラム山って、そんなに高かったの? ……まあ、運動力も体力も自信はあるほうだからね。
「母を埋葬して山を下りた直後に大勢の魔族が待ち構えていたわ。どうやら人間の国を亡ぼしたのが私だと知られたみたいでね。そこには新たな魔王となったガルケイドもいた」
「そうか! その時に!」
「そうよ、そこで封印されたのよ。国一つ亡ぼせるお前は危険すぎる、いずれ魔族に災いをもたらす魔女になるから封印するって……殺そうとしなかったのは、ガルケイド達でも私を殺すのは難しいと思ったんでしょうね」
「将軍だった魔族でも? 魔王を殺せるようなやつなのに?」
「国一つ亡ぼせる力なんて父にもなかったわ。恐れられて当然よ。ご丁寧に私が山を登ってる間に最高レベルの封印を使ったみたい。そしてより残酷なやつをね」
「残酷って……どんな?」
「封印されてる間は意識があっても、殺さない限り死なない、魔法を使えない、飢えることも老いることも自殺もできないのよ。暗い中で身動き駅無くて退屈だったわ」
「そんな!」
「それだけじゃなく、封印ごと私を山の中にあったダンジョンの奥に閉じ込めたの」
「な! なんだよそれ!?」
ゼクトが大声で喚く。私にはうれしい反応だ。暗くて動けない場所にたった一人で何年もここにいる私にとっては、ゼクトの反応のすべてが新鮮に感じられる。
「いくらなんでもひどすぎるだろ! なんでそんな! なんでだよ!? なんでそこまでされなくちゃいけないんだよ!? 女の子なのに!」
「私のために怒ってくれるのは嬉しいけどある意味当然よ。私は国をまるごと亡ぼせるのよ。魔王でもできないことができる時点で危険視されるわ。それに私の存在が魔界で反乱がおきるきっかけになった、魔族側からしたら許せないと思われたんでしょう」
「なんで当の本人がそんな冷静に語れるんだよ!? 封印した奴らが憎くないのか!?」
「もちろん憎んだわ。冷静に答えられるのはね、それだけの年月が過ぎたってことよ。憎しみさえも不要に感じられるくらいに、無駄だしね」
「…………」
ゼクトが黙ってしまった。これを絶句するというのかな? ゼクトから見て私はくるっているようにしか見えないのかもしれない。私自身、何度も絶望したか分からないしね。あれ? この子、今泣いてるの? もしかして、私のため?
「ありがとうゼクト。私のために泣いてくれて」
私は涙を流すゼクトに微笑んでみた。魔女の笑顔なんて喜べるものじゃないけどね。
「この世界には人間と魔族が存在してる。そして今まで争いあってきた」
「ああ、そうだな」
「昔、ある国が魔族の脅威から逃れるために、当時の魔王に一人の聖女を引き渡した」
「何?」
「魔王は聖女を気に入って娶り、その国への侵攻を止めた」
「そんな話は初耳だが?」
「魔王の名は『ディハルト』。聖女の名は『ミヨダ・ボリャ』」
「聞いたことのない名前だな。魔王も聖女も……え?ボリャって、もしかして……」
「そうよ。魔王ディハルトと聖女ミヨダの間に生まれた子供が私なの」
「なんだって!? じゃあお前は魔王の娘なのか!?」
「ええ。人間との混血だけどね」
ゼクトの反応は、私の予想通りだった。かなり動揺してる。正直、ここまでだと面白いくらい。ゼクトは嘘感知魔法に反応が無いことが分かるから信じるしかないでしょ? 普通の人間にしか見えないのは分かるけどね。
「ふふ、私の見た目ってさ、魔王の娘って感じじゃないでしょ?」
「……ああ、正直信じられないな、魔族と人間の間に子供ができるなんて。見た目は人間の女の子にしか見えないし」
「そうね。実際、私の魔力は魔族のものでも体は人間のものとして生まれたの」
「……父親の力と母親の血肉をもらって生まれたってわけか」
「理解が早くて助かるわ」
「それをどう証明する? お前の言葉以外に?」
「意地悪なこと言うのね。こんな封印をされてるのが証明じゃない?」
「……お前の存在が危険だったからか?殺せないくらいに?」
「魔王を父親に持つんだからその力は強大でしょう?」
「…………」
あれ? ゼクトが怒ってる? 私が当たり前のように告げた言葉に苛立ちを感じてるみたい。何か気に障ることでも言っちゃたかな? でも事実だし。だからこそ私はこんなところにいるんだから。純粋な人間と混血の違いかな?
「どうしたの? 急に黙って?」
「! ……話を続けてくれ」
「私は父が治める魔界で生まれ育ち母と共に暮らしていたわ。父も魔王の仕事の合間に会いに来てくれたわ。父も母も仲が良くて、私を大切にしてくれたわ」
「え? もしかして魔王と聖女が夫婦になって愛し合ってたのか? 魔族の王と人間の聖女なのに!?」
「まあ、最初はそこまでの仲じゃなかったけど、私が生まれた頃にはすっかり打ち解けてたそうよ」
「そんな二人の子供のお前はどうしてここに? 何があったんだ?」
「母との関係が良好になった父は人間と魔族の共存を考えるようになったの、母と私のために。それが悲劇の始まりだった」
「人間と魔族の共存!? そんなことを魔王の方からが考えただって!?」
「大半の魔族には大反対されたわ。人間とは争いあってきた歴史があるもの。いくら魔王の言葉といえども、そんな考えは受け入れがたかったの。人間側もそうでしょ?」
「……そうだな」
魔族と人間の共存。その言葉に驚くようだと人間側はそんなこと考えもしなかったみたいね。やっぱり、私たち親子の考えたことは難しいどころか不可能だったんだ。感じの悪い家庭教師の先生から、とても弱そうな姿で言葉は通じるけど魔族と憎しみあってきた弱小種族だと聞いていたけど、今もそんな感じなのね……。
「私の父を許せないと思った当時の将軍『ガルケイド』が反乱を起こし、父を殺した。そして異端分子として私と母を殺そうとしたの。父が死に際に転移魔法で逃がしてくれたおかげで助かったけどね」
「…………お前たちはその後どうなったんだ?」
「転移先が母の故郷の国だったの。母は国に助けてもらおうとしたんだけど……それが間違いだった」
「……国は助けなっかたんだな」
「ええ。その国の王様は話を聞いて私たちを危険視したわ。国を守るために魔王にその身をささげたのに、そんな母を人類の裏切り者だの魔王の子を産んだ魔女だと罵った。……挙句の果ては私達は災いをもたらすものとして処刑を決めた。そして母は私を庇って……私の目の前で殺された」
「なっ!! そんな!?」
「ただでさえ父を失った悲しみをひきずっていた私は、悲しみと怒りに身を任せて力を思いっきり振るった。母を殺した者たちを許せなかったから」
「強大な力がお前にはあった……」
「復讐はできたわ。母を殺した騎士もそれを命じた王も殺したわ。私の周りには母の亡骸以外何もなかった、いいえ、何もかも消えていたわ」
「何もって……国もか?」
「ええ。焼野原ならあったわ」
「……!? マジか……」
やっぱり、ゼクトは私にも驚いた。きっと、怖がっているだろう、私のことを。「可哀そうな女の子」だって自分で言ったけど、私自身も、自分がそういう存在なんだって分かってる。だからこそ、人間側と魔族側にも親を殺されちゃったんだから。
「自分の力を自覚した私は父の復讐をしようと思ったわ。でもその前に母のお墓を作ろうと思って見晴らしがいい場所を探したの。それがあなたが言うグオーラム山の頂上にね」
「グオーラム山の頂上に? 一人で登ったのか? いや、魔法を使えば大丈夫か」
「? 普通に登ったけど、どうして魔法がいるの?」
「……ええー?」
あれ? ここでも驚くの? 魔法を使わずに登ったんだけど、そのグオーラム山って、そんなに高かったの? ……まあ、運動力も体力も自信はあるほうだからね。
「母を埋葬して山を下りた直後に大勢の魔族が待ち構えていたわ。どうやら人間の国を亡ぼしたのが私だと知られたみたいでね。そこには新たな魔王となったガルケイドもいた」
「そうか! その時に!」
「そうよ、そこで封印されたのよ。国一つ亡ぼせるお前は危険すぎる、いずれ魔族に災いをもたらす魔女になるから封印するって……殺そうとしなかったのは、ガルケイド達でも私を殺すのは難しいと思ったんでしょうね」
「将軍だった魔族でも? 魔王を殺せるようなやつなのに?」
「国一つ亡ぼせる力なんて父にもなかったわ。恐れられて当然よ。ご丁寧に私が山を登ってる間に最高レベルの封印を使ったみたい。そしてより残酷なやつをね」
「残酷って……どんな?」
「封印されてる間は意識があっても、殺さない限り死なない、魔法を使えない、飢えることも老いることも自殺もできないのよ。暗い中で身動き駅無くて退屈だったわ」
「そんな!」
「それだけじゃなく、封印ごと私を山の中にあったダンジョンの奥に閉じ込めたの」
「な! なんだよそれ!?」
ゼクトが大声で喚く。私にはうれしい反応だ。暗くて動けない場所にたった一人で何年もここにいる私にとっては、ゼクトの反応のすべてが新鮮に感じられる。
「いくらなんでもひどすぎるだろ! なんでそんな! なんでだよ!? なんでそこまでされなくちゃいけないんだよ!? 女の子なのに!」
「私のために怒ってくれるのは嬉しいけどある意味当然よ。私は国をまるごと亡ぼせるのよ。魔王でもできないことができる時点で危険視されるわ。それに私の存在が魔界で反乱がおきるきっかけになった、魔族側からしたら許せないと思われたんでしょう」
「なんで当の本人がそんな冷静に語れるんだよ!? 封印した奴らが憎くないのか!?」
「もちろん憎んだわ。冷静に答えられるのはね、それだけの年月が過ぎたってことよ。憎しみさえも不要に感じられるくらいに、無駄だしね」
「…………」
ゼクトが黙ってしまった。これを絶句するというのかな? ゼクトから見て私はくるっているようにしか見えないのかもしれない。私自身、何度も絶望したか分からないしね。あれ? この子、今泣いてるの? もしかして、私のため?
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