13 / 25
序章 出会い編
第12話 詠唱?/魔力操作?
しおりを挟む
ミエダな話によると、魔法の詠唱は必要不可欠なもの。詠唱は、魔法に必要な魔力を集めるために唱える言葉のことを指す。これを唱えることによって、体内の魔力を動かして魔法を使う……そうだ。魔法に必要なものが詠唱だって?
「……それって、大昔に非効率だって言われた技術なんだけど」
「ええ!? そうだったの!?」
「うん。そんなものがなくても、というか、詠唱よりも魔力を集めることくらいできるんだけど」
「そうなの!? いったいどうやって!?」
ミエダが詰め寄ってきた。魔法が本当に好きなようだ。美少女が目をキラキラさせて鼻息を荒げて迫ってくる。どう反応すればいいんだろう。おお!? ち、近い、近すぎる!
「ちょっ、落ち着け落ち着け、教えるからもう少し離れよう」
「え? はっ! ご、ごめん、興奮しすぎたわ……」
顔が近いことに気付いたミエダは顔を赤らめて離れた。互いの息が当たるところまで近づいたんだ、恥ずかしくなって当然……いや、今更気にすることないのかな? 今日、確か2回も抱き着かれたんだし。……とりあえず、今は無詠唱のことを教えないと!
「まず、魔力が流れる感覚って分かるかな? 魔法を使うときとか、使った後とかに」
「まあ、そのくらいなら分かるわ。詠唱をするときにはっきり感じるから」
「その流れを自分で操作する。つまり、感覚を頼りに魔力を動かすんだ。魔力操作って言ってな、魔法を効率よく扱うために、これこそが必要不可欠なんだ」
「そんなこと、できるの? 聞いたことがないんだけど……」
「詠唱するときにはっきり感じるなら、ミエダもすぐできるんじゃないか? 俺は苦労したけどな……」
詳しく説明できるのは、学園で魔力操作を教えてくれた先生が一生懸命教えてくれたからだ、怖かったけど。懇切丁寧に教えてくれたおかげで、俺は4番目に早く魔力操作を覚えることができたのだ。思えばここでも4番目だったんだっけ、嫌なこと思い出したな……。
「感覚を頼りにね……。詠唱するときに感じるから、そこから掴めるかしら? ちょっと試してみるわ」
「そうか、出来るといいな」
「うん、ありがとう。危ないから上で試すわね」
「おう。気をつけろよ」
ミエダは鍋の上に移動して、試してみるそうだ。すぐに習得できるとは思えないから、中で試してもいいと思うのは俺だけか?
「わが怒りは火に変わり敵を打……!」
「ん? どうした?」
ミエダは詠唱を唱えて途中でやめてしまった。どうやら何か掴めたようだ。もし、これでミエダも魔力操作ができるようになれば、強くなるのと同じだ。非効率な詠唱に頼らずに済むんだから。今度は、目を閉じてじっと静止しているけど、多分、集中しているんだろう。やっぱり、すぐに習得できないのかな? 俺の時のように。
「……分かる」
「ん?」
「分かる、分かるわ。魔力の流れ、動き、速さ、増減、行く道が分かる……! これが魔力操作! どうしてこんな簡単なことが分からなかったんだろう!」
「は、え? か、簡単?」
い、今の聞き間違いか? いや、確かに聞こえちゃった、簡単だって……。いやいやいやいや! 簡単にいくはずないから! いくらなんでも早すぎる! たった今習得できたんなら、それって……
「ファイヤーシューティング!!」
ドゥオッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「うええええええええええええええええええ!!?」
な、何だ!? いきなりとんでもない爆発音が!! いや違う! 「ファイヤーシューティング!」って聞こえたぞ、まさか!? そんなことって!?
「「「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」」」
「「「ギエエエエエエエエエエエエエン!?」」」
「「「ギャアアアアアアアアアアア!?」」」
今度は魔物たちの鳴き声が、悲鳴が聞こえる! 魔物たちにも被害があったってことだ! ということは、やっぱりそうなのか!? この衝撃音の正体は……って、ミエダが落っこちてきている! 一体何がどうなってんだ!?
ガシッ
「あ、あぶねえ! つ、っくう……! ま、間に合った!」
「はあ、はあ……!」
「おい、何があったんだ!! 今の爆発音は何だ!! いやそれよりなんでこんなに疲れたんだ!?」
「はあ、はあ……。魔力操作を、はあ、はあ、試し、て、みたんだ、けど、はあ、はあ……」
「それだけじゃねえだろ!?」
「ち、ちょっと、手元が、くるって……魔力の、大部分を、魔法に、つぎ込んじゃったの……」
「んな!? 操作を誤ったのか!? それであんな爆発音が!?」
「せ、正確、には……火の、魔法を、思いっきり、ぶっ放した、んだけどね、矢みたいに……」
「何い!?」
要約すると、ミエダは魔力操作を誤って、魔法を可能な限り最大出力でぶっ放した。先ほどの爆発音はそれが原因だそうだ。
「……それって、大昔に非効率だって言われた技術なんだけど」
「ええ!? そうだったの!?」
「うん。そんなものがなくても、というか、詠唱よりも魔力を集めることくらいできるんだけど」
「そうなの!? いったいどうやって!?」
ミエダが詰め寄ってきた。魔法が本当に好きなようだ。美少女が目をキラキラさせて鼻息を荒げて迫ってくる。どう反応すればいいんだろう。おお!? ち、近い、近すぎる!
「ちょっ、落ち着け落ち着け、教えるからもう少し離れよう」
「え? はっ! ご、ごめん、興奮しすぎたわ……」
顔が近いことに気付いたミエダは顔を赤らめて離れた。互いの息が当たるところまで近づいたんだ、恥ずかしくなって当然……いや、今更気にすることないのかな? 今日、確か2回も抱き着かれたんだし。……とりあえず、今は無詠唱のことを教えないと!
「まず、魔力が流れる感覚って分かるかな? 魔法を使うときとか、使った後とかに」
「まあ、そのくらいなら分かるわ。詠唱をするときにはっきり感じるから」
「その流れを自分で操作する。つまり、感覚を頼りに魔力を動かすんだ。魔力操作って言ってな、魔法を効率よく扱うために、これこそが必要不可欠なんだ」
「そんなこと、できるの? 聞いたことがないんだけど……」
「詠唱するときにはっきり感じるなら、ミエダもすぐできるんじゃないか? 俺は苦労したけどな……」
詳しく説明できるのは、学園で魔力操作を教えてくれた先生が一生懸命教えてくれたからだ、怖かったけど。懇切丁寧に教えてくれたおかげで、俺は4番目に早く魔力操作を覚えることができたのだ。思えばここでも4番目だったんだっけ、嫌なこと思い出したな……。
「感覚を頼りにね……。詠唱するときに感じるから、そこから掴めるかしら? ちょっと試してみるわ」
「そうか、出来るといいな」
「うん、ありがとう。危ないから上で試すわね」
「おう。気をつけろよ」
ミエダは鍋の上に移動して、試してみるそうだ。すぐに習得できるとは思えないから、中で試してもいいと思うのは俺だけか?
「わが怒りは火に変わり敵を打……!」
「ん? どうした?」
ミエダは詠唱を唱えて途中でやめてしまった。どうやら何か掴めたようだ。もし、これでミエダも魔力操作ができるようになれば、強くなるのと同じだ。非効率な詠唱に頼らずに済むんだから。今度は、目を閉じてじっと静止しているけど、多分、集中しているんだろう。やっぱり、すぐに習得できないのかな? 俺の時のように。
「……分かる」
「ん?」
「分かる、分かるわ。魔力の流れ、動き、速さ、増減、行く道が分かる……! これが魔力操作! どうしてこんな簡単なことが分からなかったんだろう!」
「は、え? か、簡単?」
い、今の聞き間違いか? いや、確かに聞こえちゃった、簡単だって……。いやいやいやいや! 簡単にいくはずないから! いくらなんでも早すぎる! たった今習得できたんなら、それって……
「ファイヤーシューティング!!」
ドゥオッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!
「うええええええええええええええええええ!!?」
な、何だ!? いきなりとんでもない爆発音が!! いや違う! 「ファイヤーシューティング!」って聞こえたぞ、まさか!? そんなことって!?
「「「グギャアアアアアアアアアアアアア!?」」」
「「「ギエエエエエエエエエエエエエン!?」」」
「「「ギャアアアアアアアアアアア!?」」」
今度は魔物たちの鳴き声が、悲鳴が聞こえる! 魔物たちにも被害があったってことだ! ということは、やっぱりそうなのか!? この衝撃音の正体は……って、ミエダが落っこちてきている! 一体何がどうなってんだ!?
ガシッ
「あ、あぶねえ! つ、っくう……! ま、間に合った!」
「はあ、はあ……!」
「おい、何があったんだ!! 今の爆発音は何だ!! いやそれよりなんでこんなに疲れたんだ!?」
「はあ、はあ……。魔力操作を、はあ、はあ、試し、て、みたんだ、けど、はあ、はあ……」
「それだけじゃねえだろ!?」
「ち、ちょっと、手元が、くるって……魔力の、大部分を、魔法に、つぎ込んじゃったの……」
「んな!? 操作を誤ったのか!? それであんな爆発音が!?」
「せ、正確、には……火の、魔法を、思いっきり、ぶっ放した、んだけどね、矢みたいに……」
「何い!?」
要約すると、ミエダは魔力操作を誤って、魔法を可能な限り最大出力でぶっ放した。先ほどの爆発音はそれが原因だそうだ。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
弓使いの成り上がり~「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした~
平山和人
ファンタジー
弓使いのカイトはSランクパーティー【黄金の獅子王】から、弓使いなんて役立たずと追放される。
しかし、彼らは気づいてなかった。カイトの狙撃がパーティーの危機をいくつも救った来たことに、カイトの狙撃が世界最強レベルだということに。
パーティーを追放されたカイトは自らも自覚していない狙撃で魔物を倒し、美少女から惚れられ、やがて最強の狙撃手として世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを失った【黄金の獅子王】は没落の道を歩むことになるのであった。
ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~
mimiaizu
ファンタジー
迷宮に迷い込んでしまった少年がいた。憎しみが芽生え、復讐者へと豹変した少年は、迷宮を攻略したことで『前世』を手に入れる。それは少年をさらに変えるものだった。迷宮から脱出した少年は、【魔法】が差別と偏見を引き起こす世界で、復讐と大きな『謎』に挑むダークファンタジー。※小説家になろう様・カクヨム様でも投稿を始めました。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜
平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。
途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。
さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。
魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
天職はドロップ率300%の盗賊、錬金術師を騙る。
朱本来未
ファンタジー
魔術師の大家であるレッドグレイヴ家に生を受けたヒイロは、15歳を迎えて受けた成人の儀で盗賊の天職を授けられた。
天職が王家からの心象が悪い盗賊になってしまったヒイロは、廃嫡されてレッドグレイヴ領からの追放されることとなった。
ヒイロは以前から魔術師以外の天職に可能性を感じていたこともあり、追放処分を抵抗することなく受け入れ、レッドグレイヴ領から出奔するのだった。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる