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106.引継ぎ?
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「(馬鹿王子め、これ以上余計なこと言わないでよ~!)」
「ソノーザ公爵の屋敷を出た後、私はすぐにサエナリア嬢の状況を国王陛下に知らせ捜索を願い出ました。ただ、私はサエナリア嬢の心を傷つけたことや勝手にソノーザ公爵のもとに向かったこと等に陛下は大変お怒りになり、私は部屋で謹慎と言う処分を言い渡されました」
謹慎処分と言う言葉に幾らかのざわめきが起こった。カーズが一か月近く姿を現さなかったことについて様々な憶測が流れていたが、その事実が本人の口から語られたのだ。何しろ、ソノーザ一家の次に注目される重要人物なのだからあり得ないことではない。
「やっぱりか」
「何やってんだよ王太子、いや『元』王太子か」
「最低」
「もう表に出なければよかったのに」
「王太子の人選ミス」
カーズに対する誹謗中傷の内容が更に濃くなる。このままでは騒がしくなると思った裁判長たちは顔をしかめる。だからこそ、カーズに処分を与えた張本人が口を挟むことにした。
「愚息カーズの言うことは間違いはない」
「陛下」
「「「「「っ!」」」」」
「あの時のカーズは王太子としての覚悟と自覚が足りなかった。王太子とは次期国王候補。それほどの立場にいるにもかかわらず、あまりにも考え無しに振舞っておった。己の行動に周囲がどれだけ影響を受けるのか深く考えていなかったのだ。それゆえの謹慎処分だ。……更に王太子の身分も剥奪した。王位継承権とともにな」
「……陛下の私への処分は適切……温情をかけてくださった処分です……」
国王が口を挟んできたことで、周りのざわめきがピタッと静かになった。カーズが王太子の身分と王位継承権を剥奪されたことはすでに周知の事実だからだ。それに国王が口を挟んだことで周りの緊張感が高まったことも静かになった理由に入る。
「……サエナリア嬢のことは我ら王家にも責任があるゆえ、王家による大捜索を行った。第二・第三王子たちも独自に捜索に出てくれた。独自の伝手でな」
「その後のことは先に言った通り、私は謹慎中でした。サエナリア嬢の捜索は弟たちに伝えられるだけという形になるので、ここからは弟たちに引き継ぎます」
カーズが弟たち、ナシュカとレフトンに目を向けると、二人の弟は頷いた。そして、ナシュカとレフトンがカーズから引き継いで語る。
「はい。ここからは兄カーズに代わり、私ナシュカ・フォン・ウィンドウと次兄レフトン・フォン・ウィンドウが説明させていただきます」
「陛下の言う通り、我々二人もサエナリア様の捜索のために行動した。ただ、王家の捜索が始まる前に独自の行動を起こした。ナシュカは学園を調べ、私はソノーザ公爵家を調べるという形だ」
ナシュカもレフトンも、流石にこういう場所では言葉遣い等はわきまえている。二人とも一人称は「私」に切り替わり、表情が真面目になっている。普段から明るく振舞っているレフトンは若干ぎこちなく見えなくもないが、今のカーズよりも王族らしい雰囲気を感じさせている。
「(王太子はどっちになるんだろう)」
「(カーズ殿下は失墜したも同然、順序からして次男のレフトン殿下か?)
「(もしくは政治的能力でナシュカ殿下かもしれないわね)」
「(もしや、この裁判の終盤で次の王太子が発表されるとか?)」
「(まだ決まってないもんね。次の王太子)」
貴族たちは二人の王子たちに注目する。何しろカーズが失脚した今、レフトンかナシュカが次期王太子、つまり次期国王となるのだ。今やカーズ上に期待される二人はこの裁判で注目の的になるのは必然と言えよう。
「ソノーザ公爵の屋敷を出た後、私はすぐにサエナリア嬢の状況を国王陛下に知らせ捜索を願い出ました。ただ、私はサエナリア嬢の心を傷つけたことや勝手にソノーザ公爵のもとに向かったこと等に陛下は大変お怒りになり、私は部屋で謹慎と言う処分を言い渡されました」
謹慎処分と言う言葉に幾らかのざわめきが起こった。カーズが一か月近く姿を現さなかったことについて様々な憶測が流れていたが、その事実が本人の口から語られたのだ。何しろ、ソノーザ一家の次に注目される重要人物なのだからあり得ないことではない。
「やっぱりか」
「何やってんだよ王太子、いや『元』王太子か」
「最低」
「もう表に出なければよかったのに」
「王太子の人選ミス」
カーズに対する誹謗中傷の内容が更に濃くなる。このままでは騒がしくなると思った裁判長たちは顔をしかめる。だからこそ、カーズに処分を与えた張本人が口を挟むことにした。
「愚息カーズの言うことは間違いはない」
「陛下」
「「「「「っ!」」」」」
「あの時のカーズは王太子としての覚悟と自覚が足りなかった。王太子とは次期国王候補。それほどの立場にいるにもかかわらず、あまりにも考え無しに振舞っておった。己の行動に周囲がどれだけ影響を受けるのか深く考えていなかったのだ。それゆえの謹慎処分だ。……更に王太子の身分も剥奪した。王位継承権とともにな」
「……陛下の私への処分は適切……温情をかけてくださった処分です……」
国王が口を挟んできたことで、周りのざわめきがピタッと静かになった。カーズが王太子の身分と王位継承権を剥奪されたことはすでに周知の事実だからだ。それに国王が口を挟んだことで周りの緊張感が高まったことも静かになった理由に入る。
「……サエナリア嬢のことは我ら王家にも責任があるゆえ、王家による大捜索を行った。第二・第三王子たちも独自に捜索に出てくれた。独自の伝手でな」
「その後のことは先に言った通り、私は謹慎中でした。サエナリア嬢の捜索は弟たちに伝えられるだけという形になるので、ここからは弟たちに引き継ぎます」
カーズが弟たち、ナシュカとレフトンに目を向けると、二人の弟は頷いた。そして、ナシュカとレフトンがカーズから引き継いで語る。
「はい。ここからは兄カーズに代わり、私ナシュカ・フォン・ウィンドウと次兄レフトン・フォン・ウィンドウが説明させていただきます」
「陛下の言う通り、我々二人もサエナリア様の捜索のために行動した。ただ、王家の捜索が始まる前に独自の行動を起こした。ナシュカは学園を調べ、私はソノーザ公爵家を調べるという形だ」
ナシュカもレフトンも、流石にこういう場所では言葉遣い等はわきまえている。二人とも一人称は「私」に切り替わり、表情が真面目になっている。普段から明るく振舞っているレフトンは若干ぎこちなく見えなくもないが、今のカーズよりも王族らしい雰囲気を感じさせている。
「(王太子はどっちになるんだろう)」
「(カーズ殿下は失墜したも同然、順序からして次男のレフトン殿下か?)
「(もしくは政治的能力でナシュカ殿下かもしれないわね)」
「(もしや、この裁判の終盤で次の王太子が発表されるとか?)」
「(まだ決まってないもんね。次の王太子)」
貴族たちは二人の王子たちに注目する。何しろカーズが失脚した今、レフトンかナシュカが次期王太子、つまり次期国王となるのだ。今やカーズ上に期待される二人はこの裁判で注目の的になるのは必然と言えよう。
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