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33(11裏側).野心?
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自室に閉じ込められたワカナは悔しそうにベッドに伏せっていた。
「うう……何なのよ。何で部屋に閉じ込められなくちゃいけないのよ?」
この時、部屋の外から使用人たちの声が聞こえていた。それもかなり慌てている様子だった。することが何もなかったこともあり、気になったワカナは壁に耳を当ててみたら、予想しなかったことが起こっていた。
「王太子殿下がいらしたんです! おもてなしの準備を!」
「客間は片付けたか!? 急いでくれ! 王太子が来るんだぞ!」
「王太子様が何でこんな時に来るのよ~!」
耳にした内容から、教養の足りないワカナでも理解できた。我が家敷きに姉の婚約者の王太子が来ているという事実に。
「嘘でしょ!? 王太子が来ているというの? チャンスだわ!」
ワカナは喜んだ。彼女は常日頃、姉のサエナリアが美しい自分を差し置いて王太子の婚約者であるということに不満を抱いていたのだ。どうにかして婚約者の座を奪えないかと思っていたため、母親に懇願してみたが、
『それは王家が決めることだから』
と悲しそうな顔で言われてしまった。ワカナはこの時初めて母親のネフーミを役立たずと思った。だから姉のサエナリアに直接迫ってみたが、
『それは王家、国王陛下がお決めになることです』
と淡々と言われてしまった。その後も難しい話を聞かされて嫌になって逃げてしまった。ワカナはこの時初めて姉を軽蔑した。だから学園で王太子に直接会おうとしたが取り巻きの者から、
『君はふさわしくない。サエナリア様の妹とはとても思えないほどにな』
と侮蔑の目で言われてしまった。顔には出さなかったがとても悔しかったのを覚えている。
「何としてもこの部屋から出ないと」
自分の野心をかなえる決心をしたワカナは、邪魔なドアを睨み付ける。少し距離をとって、深呼吸をする。そして、
「とりゃあぁぁぁーっ!」
貴族の令嬢らしからぬ声をあげて、そのまま勢いよく突進した。ドアを無理矢理開ける、というよりも破壊して突破するためだ。だが、
「うぎゃあ!? ……うううう………い、痛い、痛いよお………」
失敗した。それもそのはず。我が儘で人任せな箱入り娘にそんな身体能力などあるはずがない。
「くううう………なら、物で壊してやる!」
今度は椅子を手に取った。そして、
「うおおおおぉぉぉっ!」
貴族の令嬢らしからぬ声をあげてドアに向かって叩きつけ………られなかった。
「お、重………椅子って、こんなに重い物なの?」
貴族の令嬢が椅子を手で持ち上げるなど苦労のかかることだ。ワカナはそんなことも分からない。それに、椅子そのものが無駄に豪華な装飾をしているせいで普通の椅子よりも重いのだ。ちなみにそこまで凝った椅子にしたのはワカナの趣味でもある。
「あーもう! どうすればいいのよー!」
「うう……何なのよ。何で部屋に閉じ込められなくちゃいけないのよ?」
この時、部屋の外から使用人たちの声が聞こえていた。それもかなり慌てている様子だった。することが何もなかったこともあり、気になったワカナは壁に耳を当ててみたら、予想しなかったことが起こっていた。
「王太子殿下がいらしたんです! おもてなしの準備を!」
「客間は片付けたか!? 急いでくれ! 王太子が来るんだぞ!」
「王太子様が何でこんな時に来るのよ~!」
耳にした内容から、教養の足りないワカナでも理解できた。我が家敷きに姉の婚約者の王太子が来ているという事実に。
「嘘でしょ!? 王太子が来ているというの? チャンスだわ!」
ワカナは喜んだ。彼女は常日頃、姉のサエナリアが美しい自分を差し置いて王太子の婚約者であるということに不満を抱いていたのだ。どうにかして婚約者の座を奪えないかと思っていたため、母親に懇願してみたが、
『それは王家が決めることだから』
と悲しそうな顔で言われてしまった。ワカナはこの時初めて母親のネフーミを役立たずと思った。だから姉のサエナリアに直接迫ってみたが、
『それは王家、国王陛下がお決めになることです』
と淡々と言われてしまった。その後も難しい話を聞かされて嫌になって逃げてしまった。ワカナはこの時初めて姉を軽蔑した。だから学園で王太子に直接会おうとしたが取り巻きの者から、
『君はふさわしくない。サエナリア様の妹とはとても思えないほどにな』
と侮蔑の目で言われてしまった。顔には出さなかったがとても悔しかったのを覚えている。
「何としてもこの部屋から出ないと」
自分の野心をかなえる決心をしたワカナは、邪魔なドアを睨み付ける。少し距離をとって、深呼吸をする。そして、
「とりゃあぁぁぁーっ!」
貴族の令嬢らしからぬ声をあげて、そのまま勢いよく突進した。ドアを無理矢理開ける、というよりも破壊して突破するためだ。だが、
「うぎゃあ!? ……うううう………い、痛い、痛いよお………」
失敗した。それもそのはず。我が儘で人任せな箱入り娘にそんな身体能力などあるはずがない。
「くううう………なら、物で壊してやる!」
今度は椅子を手に取った。そして、
「うおおおおぉぉぉっ!」
貴族の令嬢らしからぬ声をあげてドアに向かって叩きつけ………られなかった。
「お、重………椅子って、こんなに重い物なの?」
貴族の令嬢が椅子を手で持ち上げるなど苦労のかかることだ。ワカナはそんなことも分からない。それに、椅子そのものが無駄に豪華な装飾をしているせいで普通の椅子よりも重いのだ。ちなみにそこまで凝った椅子にしたのはワカナの趣味でもある。
「あーもう! どうすればいいのよー!」
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