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190.内緒話/見張ってる
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騎士団とダブール商会のメンバーは一緒に王宮に戻ることになった。ダブール商会ならば騎士団よりも早く王宮に到着できるのだが、フィルの提案で速度を合わせて一緒に行動するということになったのだ。
「なあフィル。心配なのは分かるが何も騎士団の連中と合わせなくてもよかったんじゃねえのか?」
「そんなことをしたら彼らの足が遅いということになる。流石にそれは彼らを虚仮にしすぎ」
「それにしても、あの女頭おかしすぎやしないか? アタシ、今は商会の制服着てんだぞ? それなのにアッキーと間違えるなんてヤバくね?」
ショウの言う通り彼女は今は影武者などしていない。貴族風のドレス姿でさえないのだ。ショウとアキエーサに共通するのは髪の色と瞳の色のみ、それ以外……身長に胸の大きさ、体形等は違っている。何より顔つきも大きく異なっているはずなのだ。アキエーサが知的で大人びた顔つきならば、ショウは荒々しくどこか野性的な顔つきと言える。
「今のワカマリナは殴られたショックと顔が面白……崩れたショックで精神的におかしくなっていたんだ。しかもアッキーを逆恨みしていたみたいだからね。ちょっと共通するショウを間違えてもおかしくはないかな?」
「今、面白いって言わなかった?」
「……アッキーにしてきた仕打ちを思えばいい気味とは思っているよ」
ショウとフィルは騎士団から離れた場所で会話している。それをいいことに騎士団に聞かせられないような内緒話も始める。
「……ワカマリナはどうして逃げられたんだろうな。騎士ともあろう者が足を踏まれたショックで手を放すとか馬鹿すぎんだろ。もしかして騎士団に入ったばかりの新人ってやつ? いや、あの女が太りすぎてたのか?」
「……ショウ、騎士団の前にいたボクだけしか見ていなかったんだけど、彼らの動きは不自然だった」
「何?」
「あの時、ワカマリナを掴んでいた騎士達は『わざと』掴んだ手を離したようにも見えたんだ」
「………マジ?」
二人の声のトーンが低くなった。少々、重い話になる時と同じだ。
「マジ。いや、あれは絶対に意図的に手を離したんだ。そうでなきゃ靴の底から頭まで武装した騎士が、踏みつけられた程度で動揺するはずがない。そもそも彼らもワカマリナが何かしでかそうとしていたくらい分かっていたから十分警戒はできたはずなんだ」
「おいおい、それってそいつらもワカマリナか馬鹿王子の味方かなんかだったのか? それとも、別の勢力?」
「さあどうだろう。名前はともかく顔は覚えた。どこの部隊の騎士団かも大体把握してるから後で調べてみて、その背後関係を探ろう。どうやら、まだどこかの誰かが面倒ごとを継続しようとしているか新たに引き起こそうとしているのかもしれないからね」
「そういや、アタシに詫びてきた騎士たちは悔しそうにしてたな。アタシを見ながら悔しがっていたのは、『そういう意味』だったのか?」
悔しがる騎士たちの視線は自分にあった、つまり騎士達はワカマリナをすぐに止められたことが気に入らなかったのかもしれない。それが意味することは何か。
「ワカマリナを意図的に暴れさせて、それを口実に殺す。もしくは『逃げたワカマリナを騎士団がダブール商会の力を借りずに捕らえる』という事実が欲しかったのか。最悪、本当に逃がしてしまうことが目的だったのかはまだ分からない。下手なことをされると困るから今は『見張ってる』けどね」
「……上等だ。とりあえずアッキーやルカスの旦那にも報告だ。流石はフィルだな、だから一緒に戻ることにしたわけだ」
「そういうこと。隣の騎士団はこれで信用できなくなったからね」
ショウとフィルはまだ一仕事働かなければいけないと悟った。
「なあフィル。心配なのは分かるが何も騎士団の連中と合わせなくてもよかったんじゃねえのか?」
「そんなことをしたら彼らの足が遅いということになる。流石にそれは彼らを虚仮にしすぎ」
「それにしても、あの女頭おかしすぎやしないか? アタシ、今は商会の制服着てんだぞ? それなのにアッキーと間違えるなんてヤバくね?」
ショウの言う通り彼女は今は影武者などしていない。貴族風のドレス姿でさえないのだ。ショウとアキエーサに共通するのは髪の色と瞳の色のみ、それ以外……身長に胸の大きさ、体形等は違っている。何より顔つきも大きく異なっているはずなのだ。アキエーサが知的で大人びた顔つきならば、ショウは荒々しくどこか野性的な顔つきと言える。
「今のワカマリナは殴られたショックと顔が面白……崩れたショックで精神的におかしくなっていたんだ。しかもアッキーを逆恨みしていたみたいだからね。ちょっと共通するショウを間違えてもおかしくはないかな?」
「今、面白いって言わなかった?」
「……アッキーにしてきた仕打ちを思えばいい気味とは思っているよ」
ショウとフィルは騎士団から離れた場所で会話している。それをいいことに騎士団に聞かせられないような内緒話も始める。
「……ワカマリナはどうして逃げられたんだろうな。騎士ともあろう者が足を踏まれたショックで手を放すとか馬鹿すぎんだろ。もしかして騎士団に入ったばかりの新人ってやつ? いや、あの女が太りすぎてたのか?」
「……ショウ、騎士団の前にいたボクだけしか見ていなかったんだけど、彼らの動きは不自然だった」
「何?」
「あの時、ワカマリナを掴んでいた騎士達は『わざと』掴んだ手を離したようにも見えたんだ」
「………マジ?」
二人の声のトーンが低くなった。少々、重い話になる時と同じだ。
「マジ。いや、あれは絶対に意図的に手を離したんだ。そうでなきゃ靴の底から頭まで武装した騎士が、踏みつけられた程度で動揺するはずがない。そもそも彼らもワカマリナが何かしでかそうとしていたくらい分かっていたから十分警戒はできたはずなんだ」
「おいおい、それってそいつらもワカマリナか馬鹿王子の味方かなんかだったのか? それとも、別の勢力?」
「さあどうだろう。名前はともかく顔は覚えた。どこの部隊の騎士団かも大体把握してるから後で調べてみて、その背後関係を探ろう。どうやら、まだどこかの誰かが面倒ごとを継続しようとしているか新たに引き起こそうとしているのかもしれないからね」
「そういや、アタシに詫びてきた騎士たちは悔しそうにしてたな。アタシを見ながら悔しがっていたのは、『そういう意味』だったのか?」
悔しがる騎士たちの視線は自分にあった、つまり騎士達はワカマリナをすぐに止められたことが気に入らなかったのかもしれない。それが意味することは何か。
「ワカマリナを意図的に暴れさせて、それを口実に殺す。もしくは『逃げたワカマリナを騎士団がダブール商会の力を借りずに捕らえる』という事実が欲しかったのか。最悪、本当に逃がしてしまうことが目的だったのかはまだ分からない。下手なことをされると困るから今は『見張ってる』けどね」
「……上等だ。とりあえずアッキーやルカスの旦那にも報告だ。流石はフィルだな、だから一緒に戻ることにしたわけだ」
「そういうこと。隣の騎士団はこれで信用できなくなったからね」
ショウとフィルはまだ一仕事働かなければいけないと悟った。
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