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175.可能性/酷な話
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「ショウ、貴女の気持ちも分かります。でも、私はこの件で言えば被害者です。場所を襲撃されて誘拐されるかもしれなかったのですから。それに賊の関係者にアクサン殿下がいる以上ワカマリナも同じことをするか誰かに迷惑をかける可能性があります。また、襲撃が起こる可能性も否めません」
「そんなら、アタシたちが守ってやれば、」
「それでいい、という話じゃないよショウ。ボクたちはいいかもしれないけど、また襲撃か何かが起これば被害がでるだろうし、王都が更に混乱するよ? それに王宮に待機するのはね、アッキーやその関係者を匿う意味でもあるんだよ。つまり、国王陛下たちもアッキーのことを考えてくれてるってわけじゃない?」
「おお……」
アキエーサとフィルの言い分は一理ある。アクサンが襲撃と誘拐に関わっているのは事実である以上、彼の恋人のワカマリナも同じことしかねない。
実際に、姉のアキエーサにナイフを向けて殺そうとするという前科があるゆえに、それぐらいの警戒をしたほうがいい。王宮で匿うのも国王に責任があるし、反対意見もない。王子の脱走事件で兵士が気を張り詰めている王宮は安全な場所でもあると言える。
「ああ、そういうことか! なるほど、アッキーを匿ってくれてんのか! なんだそっかー……って言いたいけど、なんか引っ掛かるな」
「何がだい?」
「この王宮ってさ、馬鹿王子とワカマリナに逃げられてんだろ? 言っちゃ悪いけど、そんな場所で匿われるなんて信用できる気がしねえや」
ショウの言うことも皆分からないでもない。確かに王宮ではアクサンとワカマリナの逃亡を許してしまった。その時は、王宮側の不都合が重なってそのような事態になったのだが、言われてみると確かに信用できるかどうか疑問に思うところであった。
「仕方がありませんわ。昨日はパーティーが終わった後すぐにアクサン殿下とワカマリナが問題を起こしたのですもの。あの二人のせいで多くの兵士が疲弊していたのですから。それにワカマリナの脱走に協力したメンツも殿下の元側近だというのなら……」
アキエーサが言いかけた時、ルカスが控室に入ってきた。
「義父様、会議はもう終わったのですか?」
「ああ、これからワカマリナの捜索に出るんでな。お前達にも必要な分だけ情報を共有しておこうと思うんだ。しかし、結構酷な話にもなるんだが聞いてくれるか?」
酷な話。ルカスがそれほど言うのであれば相当なものだろう。しかし、アキエーサ達は貴族。すでに覚悟は決まっていた。
「もちろんです。昨日と今日といい私は被害を受けたんですもの」
「私もですわ」
「俺もアキエーサの婚約者として知っておく必要があります」
「……そうか。お前達はどうだ?」
ルカスは用心棒の女性二人のも確認を取る。
「問題ねえよ、ルカスの旦那」
「職業がてら耐性があるんでしてね」
「そうだな。無駄な質問だった……」
そして、ルカスはこれから行う作戦について語った。だが、その前に話しておかなければならない出来事もあった。
「その前に、お前達にはエヌエイ辺境伯家のことを聞いてもらわねばならん。ワカマリナの愚行の被害のことでこれだけは知っておいてほしいからな」
それは、ワカマリナに関わった一人の男の悲劇の話であった。
「そんなら、アタシたちが守ってやれば、」
「それでいい、という話じゃないよショウ。ボクたちはいいかもしれないけど、また襲撃か何かが起これば被害がでるだろうし、王都が更に混乱するよ? それに王宮に待機するのはね、アッキーやその関係者を匿う意味でもあるんだよ。つまり、国王陛下たちもアッキーのことを考えてくれてるってわけじゃない?」
「おお……」
アキエーサとフィルの言い分は一理ある。アクサンが襲撃と誘拐に関わっているのは事実である以上、彼の恋人のワカマリナも同じことしかねない。
実際に、姉のアキエーサにナイフを向けて殺そうとするという前科があるゆえに、それぐらいの警戒をしたほうがいい。王宮で匿うのも国王に責任があるし、反対意見もない。王子の脱走事件で兵士が気を張り詰めている王宮は安全な場所でもあると言える。
「ああ、そういうことか! なるほど、アッキーを匿ってくれてんのか! なんだそっかー……って言いたいけど、なんか引っ掛かるな」
「何がだい?」
「この王宮ってさ、馬鹿王子とワカマリナに逃げられてんだろ? 言っちゃ悪いけど、そんな場所で匿われるなんて信用できる気がしねえや」
ショウの言うことも皆分からないでもない。確かに王宮ではアクサンとワカマリナの逃亡を許してしまった。その時は、王宮側の不都合が重なってそのような事態になったのだが、言われてみると確かに信用できるかどうか疑問に思うところであった。
「仕方がありませんわ。昨日はパーティーが終わった後すぐにアクサン殿下とワカマリナが問題を起こしたのですもの。あの二人のせいで多くの兵士が疲弊していたのですから。それにワカマリナの脱走に協力したメンツも殿下の元側近だというのなら……」
アキエーサが言いかけた時、ルカスが控室に入ってきた。
「義父様、会議はもう終わったのですか?」
「ああ、これからワカマリナの捜索に出るんでな。お前達にも必要な分だけ情報を共有しておこうと思うんだ。しかし、結構酷な話にもなるんだが聞いてくれるか?」
酷な話。ルカスがそれほど言うのであれば相当なものだろう。しかし、アキエーサ達は貴族。すでに覚悟は決まっていた。
「もちろんです。昨日と今日といい私は被害を受けたんですもの」
「私もですわ」
「俺もアキエーサの婚約者として知っておく必要があります」
「……そうか。お前達はどうだ?」
ルカスは用心棒の女性二人のも確認を取る。
「問題ねえよ、ルカスの旦那」
「職業がてら耐性があるんでしてね」
「そうだな。無駄な質問だった……」
そして、ルカスはこれから行う作戦について語った。だが、その前に話しておかなければならない出来事もあった。
「その前に、お前達にはエヌエイ辺境伯家のことを聞いてもらわねばならん。ワカマリナの愚行の被害のことでこれだけは知っておいてほしいからな」
それは、ワカマリナに関わった一人の男の悲劇の話であった。
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