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159.アクサン視点/闇の中に
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(アクサン視点)
偽エリザがこっちに来る理由――私しかありえない。偽エリザがアキエーサの用心棒だというのだから、アキエーサを攫う側の私は敵ということになる。
「や……ヤバい……!」
しまった! こんなことになるくらいなら偽クァズの言うことに乗っかるんじゃなかった! 畜生、何が復讐だ! アキエーサの立場を利用して商会の情報が欲しかっただけじゃないか! それだけのために私を巻き込むなんてあんまりだ!
「な……んで、わ、私が……こんな、めに……!」
何で私がこんな目に、そう言葉にすることもできないなんて屈辱だ。間違っている。そうだよ……私は何も悪くないじゃないか。ただ、騙されて巻き込まれただけの被害者なんだ。偽エリザと偽アキエーサに敵視されるいわれは無いはずなんだ!
「ま、待て……」
偽エリザはゆっくりと近づいてくる。冷たい絶対零度の眼差しをもって。ふざけんなよ、私を何だと思っているんだよ。偽クァズに騙されてしまった悲劇の王子様なんだぞ! 偽クァズもそういうことを言っていたのを聞いていたじゃないか。なのに何でそんな目で見るんだよ! やめろ! やめてくれ!
「あ、あ……」
まさか、奴は私を殺すつもりなのか!? 容赦ないとは思っていたがそこまで!? 馬鹿な、アキエーサはそんなことを許可しているとでもいうのか!? ありえない! 王子でイケメンでパーフェクトなこの私を殺すなど!
「た、たすけ……」
助けを呼ぼうにも、偽クァズはすでにダウン……というか、さっき見捨てやがったから論外。ならず者たちはリーダー格の男コックロー……とか言う男、まあ名前はともかくそいつ以外は全滅。肝心のリーダー格の男は……?
「……!」
「へえ、流石にならず者たちをまとめ上げたリーダーだといったところかな?」
戦いの最中! しかもなんだ!? 偽アキエーサの女はあんなに体格差があるのにリーダー格の男とやり合っているじゃないか! 騎士だのなんだの聞こえた気がするが、そこまで強いというのか!?
互角の戦いが繰り広げられている……と思ったのに、突然状況が変わった。
「……!?」
「ふふふ、勝負あったね」
偽アキエーサの動きが速くなった! 目にも止まらぬ速さで翻弄し、少しずつだが小さな傷をたくさん作っていくではないか!
「勝負あり!」
うわあ、遂に雇ったならず者たちのリーダーが倒されてしまった。これで私が頼れる相手はいなくなったじゃないか!
「に、逃げ………」
こうなったら私だけでも逃げるしかない! 体のしびれも大分薄れた今なら、こっそり動けば気付かれずに逃げられるかもしれない。そう思ったのに………。
「逃がさないよ」
やっぱり逃がしてくれない。どこかそんなことだろうと思ってたんだよな……嗚呼、もう放っておいてよ………。
「うわっ!?」
偽エリザの奴はなんと私に向かって鉄の棒を投げつけてきやがった! そんな、今の私ではよけきれないんだぞ! 何と恐ろしいことをするんだ!
「だぶえっ!?」
……見事に、私の顔面に、命中。顔に大きな衝撃が走る。視界が赤く染まる。思考も上手く働かない……。
私の意識は闇の中に溶けていくように消えていった……。
偽エリザがこっちに来る理由――私しかありえない。偽エリザがアキエーサの用心棒だというのだから、アキエーサを攫う側の私は敵ということになる。
「や……ヤバい……!」
しまった! こんなことになるくらいなら偽クァズの言うことに乗っかるんじゃなかった! 畜生、何が復讐だ! アキエーサの立場を利用して商会の情報が欲しかっただけじゃないか! それだけのために私を巻き込むなんてあんまりだ!
「な……んで、わ、私が……こんな、めに……!」
何で私がこんな目に、そう言葉にすることもできないなんて屈辱だ。間違っている。そうだよ……私は何も悪くないじゃないか。ただ、騙されて巻き込まれただけの被害者なんだ。偽エリザと偽アキエーサに敵視されるいわれは無いはずなんだ!
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偽エリザはゆっくりと近づいてくる。冷たい絶対零度の眼差しをもって。ふざけんなよ、私を何だと思っているんだよ。偽クァズに騙されてしまった悲劇の王子様なんだぞ! 偽クァズもそういうことを言っていたのを聞いていたじゃないか。なのに何でそんな目で見るんだよ! やめろ! やめてくれ!
「あ、あ……」
まさか、奴は私を殺すつもりなのか!? 容赦ないとは思っていたがそこまで!? 馬鹿な、アキエーサはそんなことを許可しているとでもいうのか!? ありえない! 王子でイケメンでパーフェクトなこの私を殺すなど!
「た、たすけ……」
助けを呼ぼうにも、偽クァズはすでにダウン……というか、さっき見捨てやがったから論外。ならず者たちはリーダー格の男コックロー……とか言う男、まあ名前はともかくそいつ以外は全滅。肝心のリーダー格の男は……?
「……!」
「へえ、流石にならず者たちをまとめ上げたリーダーだといったところかな?」
戦いの最中! しかもなんだ!? 偽アキエーサの女はあんなに体格差があるのにリーダー格の男とやり合っているじゃないか! 騎士だのなんだの聞こえた気がするが、そこまで強いというのか!?
互角の戦いが繰り広げられている……と思ったのに、突然状況が変わった。
「……!?」
「ふふふ、勝負あったね」
偽アキエーサの動きが速くなった! 目にも止まらぬ速さで翻弄し、少しずつだが小さな傷をたくさん作っていくではないか!
「勝負あり!」
うわあ、遂に雇ったならず者たちのリーダーが倒されてしまった。これで私が頼れる相手はいなくなったじゃないか!
「に、逃げ………」
こうなったら私だけでも逃げるしかない! 体のしびれも大分薄れた今なら、こっそり動けば気付かれずに逃げられるかもしれない。そう思ったのに………。
「逃がさないよ」
やっぱり逃がしてくれない。どこかそんなことだろうと思ってたんだよな……嗚呼、もう放っておいてよ………。
「うわっ!?」
偽エリザの奴はなんと私に向かって鉄の棒を投げつけてきやがった! そんな、今の私ではよけきれないんだぞ! 何と恐ろしいことをするんだ!
「だぶえっ!?」
……見事に、私の顔面に、命中。顔に大きな衝撃が走る。視界が赤く染まる。思考も上手く働かない……。
私の意識は闇の中に溶けていくように消えていった……。
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