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132.ワカマリナ視点/四人もの勇敢な殿方
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(ワカマリナ視点)
「皆! わたくしのために来てくれてありがとう!」
牢屋に囚われたわたくしでしたが神様は私を見放されませんでした。わたくしのために四人もの勇敢な殿方が駆けつけてきてくれたのですから!
「無事でよかったよ、ワカマリナ。俺らが早めに駆けつけて良かったぜ。皆もそう思うだろ? はっはっは!」
豪快に笑うこの大きな人は騎士団長の息子ライアン・ライニードル。アクサン様と口喧嘩した後に遠ざけられた人ですわ。
「そうですね。私達が行動を起こしたリスクは大きいですが、それだけの価値はありました。後、ライアン豪快に笑わなくてもいいですよ」
眼鏡をクイクイするこの細めの人は宰相の息子パリコ・ペティアー。アクサン様の行いにちょっとだけ抗議した後で遠ざけられた人ですわ。
「何言ってんの! むしろ遅い方だよ! 僕らが遠ざけられた間にワカマリナが少し太めになっちゃったじゃないか! それもこれも頼りない殿下のせいだ!」
アクサン様に文句を言う頼りなさそうなこの人は伯爵子息クエス・チョン。親がお金持ちだというだけで何のとりえもないということでアクサン様から側近を首にされた人ですわ。
……って、わたくしが少し太めですって? 何を言いますの、と言いだそうとしたら他の三人も同じようなことを口にしだしました。
「それもそうだな……アクサンがしっかりしてくれていなかったばっかりにワカマリナが……クソったれが!」
「同感です。ワカマリナの健康管理を怠るなど王太子どころかワカマリナの恋人にあるまじき失態。やはり王族という立場を利用してワカマリナを誘惑したアクサン殿下にワカマリナはふさわしくなかった!」
「そうだよそうだよ! 少し頭を使えばあんな殿下でもワカマリナの体形くらい維持できたはずなんだ! それなのに……畜生!」
「……本当に、太い」
……あら? 皆してそんなことを言いだすなんて……もしかしてやっぱり、わたくしって、太ってしまっていますのかしら? 最近は鏡を見るたびにわたくしが太った姿ばかり映るのですが、その度に鏡が欠陥品か鏡が意地悪をして偽りを見せているものとばかり思っていたのですが、わたくしの味方をしてくださる皆さんが嘘を言いだすとも思えない。
認めたくはないですが、わたくしは『ちょっぴり』ふと目になってしまったようですわね。まあ、そのうち戻りますでしょうけども。
「そんなことより……早く、移動しよう。ここは……王宮の外だけど、近いから……」
そして最後に、真ん丸の眼鏡をかけた中性的な顔立ちで、女性にも男性にも見える人は辺境伯子息ゲンダ・エヌエイ。わたくしを怒らせてアクサン様に遠ざけられた人……だったと思うのですが、何か違和感が?
「ああ、そうだな。ほとぼりが冷めるまでワカマリナをどこかに匿わなきゃならねえからな」
「そうですね。愚かな王族の方々はワカマリナを罰しようとしていますから」
「ええー! そんなのあんまりですわ!」
最悪です。お姉さまの魔の手が遂に王族にまで及ぶなんて……!
「でも、ワカマリナを匿えば後はこっちのものだよ! アキエーサとかいう女を暴けば全部解決なんでしょ! そうだよね、ゲンダ!」
「……うん」
あらまあ! 皆頼もしいですわ! これならもう何も不安に思うことはありません!
「俺らはこれからゲンダの実家の別荘に移動する。そこでワカマリナを匿うんだ」
「そこなら近い場所にありますし、不自由も少ないでしょう」
「ゲンダの提案にしては良い方じゃないかな? ワカマリナを救出するって話もゲンダが提案してくれたからね!」
「そう……」
「ゲンダ様、ありがとう!」
あのゲンダ様がそこまでわたくしのために……! でも、何だか前より小柄になったような気がしますが、背が縮んでしまったのでしょうか? 前から女性にも見える気もしたのですが、前より女性みたいにも見えるような……気のせいですわね!
「皆! わたくしのために来てくれてありがとう!」
牢屋に囚われたわたくしでしたが神様は私を見放されませんでした。わたくしのために四人もの勇敢な殿方が駆けつけてきてくれたのですから!
「無事でよかったよ、ワカマリナ。俺らが早めに駆けつけて良かったぜ。皆もそう思うだろ? はっはっは!」
豪快に笑うこの大きな人は騎士団長の息子ライアン・ライニードル。アクサン様と口喧嘩した後に遠ざけられた人ですわ。
「そうですね。私達が行動を起こしたリスクは大きいですが、それだけの価値はありました。後、ライアン豪快に笑わなくてもいいですよ」
眼鏡をクイクイするこの細めの人は宰相の息子パリコ・ペティアー。アクサン様の行いにちょっとだけ抗議した後で遠ざけられた人ですわ。
「何言ってんの! むしろ遅い方だよ! 僕らが遠ざけられた間にワカマリナが少し太めになっちゃったじゃないか! それもこれも頼りない殿下のせいだ!」
アクサン様に文句を言う頼りなさそうなこの人は伯爵子息クエス・チョン。親がお金持ちだというだけで何のとりえもないということでアクサン様から側近を首にされた人ですわ。
……って、わたくしが少し太めですって? 何を言いますの、と言いだそうとしたら他の三人も同じようなことを口にしだしました。
「それもそうだな……アクサンがしっかりしてくれていなかったばっかりにワカマリナが……クソったれが!」
「同感です。ワカマリナの健康管理を怠るなど王太子どころかワカマリナの恋人にあるまじき失態。やはり王族という立場を利用してワカマリナを誘惑したアクサン殿下にワカマリナはふさわしくなかった!」
「そうだよそうだよ! 少し頭を使えばあんな殿下でもワカマリナの体形くらい維持できたはずなんだ! それなのに……畜生!」
「……本当に、太い」
……あら? 皆してそんなことを言いだすなんて……もしかしてやっぱり、わたくしって、太ってしまっていますのかしら? 最近は鏡を見るたびにわたくしが太った姿ばかり映るのですが、その度に鏡が欠陥品か鏡が意地悪をして偽りを見せているものとばかり思っていたのですが、わたくしの味方をしてくださる皆さんが嘘を言いだすとも思えない。
認めたくはないですが、わたくしは『ちょっぴり』ふと目になってしまったようですわね。まあ、そのうち戻りますでしょうけども。
「そんなことより……早く、移動しよう。ここは……王宮の外だけど、近いから……」
そして最後に、真ん丸の眼鏡をかけた中性的な顔立ちで、女性にも男性にも見える人は辺境伯子息ゲンダ・エヌエイ。わたくしを怒らせてアクサン様に遠ざけられた人……だったと思うのですが、何か違和感が?
「ああ、そうだな。ほとぼりが冷めるまでワカマリナをどこかに匿わなきゃならねえからな」
「そうですね。愚かな王族の方々はワカマリナを罰しようとしていますから」
「ええー! そんなのあんまりですわ!」
最悪です。お姉さまの魔の手が遂に王族にまで及ぶなんて……!
「でも、ワカマリナを匿えば後はこっちのものだよ! アキエーサとかいう女を暴けば全部解決なんでしょ! そうだよね、ゲンダ!」
「……うん」
あらまあ! 皆頼もしいですわ! これならもう何も不安に思うことはありません!
「俺らはこれからゲンダの実家の別荘に移動する。そこでワカマリナを匿うんだ」
「そこなら近い場所にありますし、不自由も少ないでしょう」
「ゲンダの提案にしては良い方じゃないかな? ワカマリナを救出するって話もゲンダが提案してくれたからね!」
「そう……」
「ゲンダ様、ありがとう!」
あのゲンダ様がそこまでわたくしのために……! でも、何だか前より小柄になったような気がしますが、背が縮んでしまったのでしょうか? 前から女性にも見える気もしたのですが、前より女性みたいにも見えるような……気のせいですわね!
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