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77.アクサン視点/絶対に許さん
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(アクサン視点)
…………し、しまった。時と場所を考えて求婚してやるべきだった……。私は焦るに焦って、考え無しに行動してしまった結果、いけ好かない伯爵令息の言う通りの状況になっていた。
気が付いても、時すでに遅し……というのは、こういうことなのか……っ! 私は今、多くの諸外国の要人たちの目の前で笑われる羽目になってしまった!
「ぷっ、くくく……あれがこの国の王太子だっていうのか? 本当に非常識な行動をとるんだな。俺の兄貴よりも酷いぜあれは」
「呆れたものだねえ。この国の質もこんなに落ちるなんて予想外だよ。今後の付き合い方も考えないといけないんじゃないかな?」
……聞こえてくるのは東隣の国の第二王子とその従者だ。数か月前に、第一王子の婚約者が行方不明になったことで国中が大騒ぎになったと聞いていたが、そんな国の王子に馬鹿にされるなんて……! しかもわざわざ聞こえるように言ってくるのが丸分かりだ!
荒げた声を出して咎めてやろうと思った時に、こんな小声まで聞こえてきた。私と同い年の男の声と老人の声だ。小声だったが、なんか話の内容が聞き捨てならなかった……!
「……あの男、公爵令嬢を捨てたというのか? エリザ嬢は極めて有能なはずなのに。何と愚かなことをしたものだ。……ううっ、私の兄上と彼女を思い出すじゃないか。ああ、胃が痛くなってきた……」
「ここから離れましょう殿下。かの王子は兄君と同じかそれ以上の……いえ、もういいでしょう」
……なんか癇に障るような茶番を始めたのは西隣の国の第二王子とその執事だ。随分前に、第一王子が侯爵令嬢と婚約破棄して、男爵令嬢と駆け落ちして、王族を除籍されるという安っぽい真実の愛を貫いたとか貫かなかったとか聞いていたが、私を見て思い出しただと? それで胃が痛くなったなどと何を馬鹿なことを言いだすんだ! わざわざ見せつけるような茶番までするとはなんという屈辱だ!
先にそっちに憤慨してやろうとしたときに、周りからも私を嘲笑したり蔑む声が聞こえ始める。肝心の私自身がここにいるというのに!
「……事前に聞いてはいたが、想像以上の愚図王子だな。未来は暗いだろうな」
「この国はもう終わりじゃないのか? 弟君はまだ若いだろうし?」
他の国の王子や大臣の私の過小評価する声……いや、それだけではなかった。
「我が国の王子がここまで愚かだったとは、恥知らずもいいところだ」
「これは、第一王子には未来は無いですね」
あろうことか我が国の貴族たちですら私を無能と罵るしまつ……! おのれ! 何故だ! 何故、この私がこんな辱めを受けねばならんのだ!
「~~~~~~~っ!」
気が付けば、私はその場から走り去っていた。後ろから「殿下、お待ちください」という部下や使用人の声が伊超えてくる気がしないでもないが、そんな場合ではなかった。すぐにでもあの場から遠ざかりたかったのだ。
……あそこにいるのは私の権力でも圧力をかけられない連中ばかりだ。笑われないためにも逃げるしかないじゃないか! 本当は悔しいけども!
くそ! 畜生! こうなってしまったのもワカマリナのせいだ! そして、私の求婚を受け入れなかったアキエーサも同罪だ! あの姉妹が私を虚仮にしたせいで恥をかいたんだ! 絶対に許さんぞ! ワカマリナを罪人にしてでも婚約破棄して、アキエーサを脅してでも婚約者にしてやるからな!
…………し、しまった。時と場所を考えて求婚してやるべきだった……。私は焦るに焦って、考え無しに行動してしまった結果、いけ好かない伯爵令息の言う通りの状況になっていた。
気が付いても、時すでに遅し……というのは、こういうことなのか……っ! 私は今、多くの諸外国の要人たちの目の前で笑われる羽目になってしまった!
「ぷっ、くくく……あれがこの国の王太子だっていうのか? 本当に非常識な行動をとるんだな。俺の兄貴よりも酷いぜあれは」
「呆れたものだねえ。この国の質もこんなに落ちるなんて予想外だよ。今後の付き合い方も考えないといけないんじゃないかな?」
……聞こえてくるのは東隣の国の第二王子とその従者だ。数か月前に、第一王子の婚約者が行方不明になったことで国中が大騒ぎになったと聞いていたが、そんな国の王子に馬鹿にされるなんて……! しかもわざわざ聞こえるように言ってくるのが丸分かりだ!
荒げた声を出して咎めてやろうと思った時に、こんな小声まで聞こえてきた。私と同い年の男の声と老人の声だ。小声だったが、なんか話の内容が聞き捨てならなかった……!
「……あの男、公爵令嬢を捨てたというのか? エリザ嬢は極めて有能なはずなのに。何と愚かなことをしたものだ。……ううっ、私の兄上と彼女を思い出すじゃないか。ああ、胃が痛くなってきた……」
「ここから離れましょう殿下。かの王子は兄君と同じかそれ以上の……いえ、もういいでしょう」
……なんか癇に障るような茶番を始めたのは西隣の国の第二王子とその執事だ。随分前に、第一王子が侯爵令嬢と婚約破棄して、男爵令嬢と駆け落ちして、王族を除籍されるという安っぽい真実の愛を貫いたとか貫かなかったとか聞いていたが、私を見て思い出しただと? それで胃が痛くなったなどと何を馬鹿なことを言いだすんだ! わざわざ見せつけるような茶番までするとはなんという屈辱だ!
先にそっちに憤慨してやろうとしたときに、周りからも私を嘲笑したり蔑む声が聞こえ始める。肝心の私自身がここにいるというのに!
「……事前に聞いてはいたが、想像以上の愚図王子だな。未来は暗いだろうな」
「この国はもう終わりじゃないのか? 弟君はまだ若いだろうし?」
他の国の王子や大臣の私の過小評価する声……いや、それだけではなかった。
「我が国の王子がここまで愚かだったとは、恥知らずもいいところだ」
「これは、第一王子には未来は無いですね」
あろうことか我が国の貴族たちですら私を無能と罵るしまつ……! おのれ! 何故だ! 何故、この私がこんな辱めを受けねばならんのだ!
「~~~~~~~っ!」
気が付けば、私はその場から走り去っていた。後ろから「殿下、お待ちください」という部下や使用人の声が伊超えてくる気がしないでもないが、そんな場合ではなかった。すぐにでもあの場から遠ざかりたかったのだ。
……あそこにいるのは私の権力でも圧力をかけられない連中ばかりだ。笑われないためにも逃げるしかないじゃないか! 本当は悔しいけども!
くそ! 畜生! こうなってしまったのもワカマリナのせいだ! そして、私の求婚を受け入れなかったアキエーサも同罪だ! あの姉妹が私を虚仮にしたせいで恥をかいたんだ! 絶対に許さんぞ! ワカマリナを罪人にしてでも婚約破棄して、アキエーサを脅してでも婚約者にしてやるからな!
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