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第160話 茶番

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誰もがローイのことを気持ち悪いと思うなか、こんな話はもう終わらせようとこの男が口を挟んできた。


「……どうやら、茶番はここらで終わらせるべきのようだな」

「レトスノム公爵!?」

「ミロア様の父君!?」

「えええ!?」


橙色に近い薄い赤髪をオールバックにし、切れ目の黒眼と貫禄のある顔立ちのこの男こそミロアの父にして公爵のバーグ・レトスノムだった。


「ガンマ殿下。貴方方の企みはすでに我々の知りうるところです。オルフェ・イーノックの不貞を捏造してミロアの婚約を無効にするなどという計画だったのでしょう?」

「ど、どうしてそれを!?」

「とある情報元と推察から導き出しただけのこと……その様子だと図星のようですな」

「ぐう……」


ガンマたちの計画は全て知られていたのだ。それも最も知られてはならない存在に。


(こ、こんなのありかよ……よりによってミロアの父親に、公爵にまで知られてたなんて!? っていうか、どうしてこんな事になってんだよ!?)

「わ、我々の目的を知った上で……言い逃れできないようにあえて泳がせていたわけですね……」

「ローイ・ミュド……わが娘にたかる虫けらの分際で頭は少し回るようだな。まあ、そういうわけだ」

「あ、あえて泳がせて……どういうことだよ!?」


何がなんだか分からないガンマだったが、その答えをバーグがとても分かりやすく小馬鹿にしながら説明した。


「頭が幼子のようなガンマ殿下にも分かりやすく説明させていただきましょう。要するに貴方方の卑劣で愚かで見苦しい計画のことを我々は事前に察知して、先回りしていたのですよ。貴方方の行動から証拠が出ることもありうると思いましてね。例えば、世に知られれば上級貴族のままでいられなくなるようなこととか?」

「「…………!」」


ガンマもローイも絶句した。公爵の説明で、自分達が窮地に陥るように仕組まれていた事に流石のガンマですらも気づいたのだ。ローイに関しては、絶望的な状況を先読みできてしまった。


「な、なんだよそれは!? オルフェ・イーノックの不貞の証拠を造ることまで知ってて泳がせてただなんて……っていうか、お前たちはそれでいいのか!?」

「と、言いますと?」

「僕達はすでに不貞となる証拠を作ったんだぞ! つまり、オルフェ・イーノックは浮気したということだ! タイミングを見計らっていたのだろうが、もうすでに手遅れになっているんだぞ! そんなことになる前に動かなかったお前たちは失敗したも同然じゃないか!」


確かにガンマたちは、ミーヤとオルフェと思われる銀髪灰眼の青年が楽しそうに会話しながら歩いていく姿を写真に撮っている。その撮った写真を世に出したわけではないが、先程の公爵の話が本当であればミロアにもすでにオルフェが浮気した事実を知ったも同然……ガンマはそれに気づいたのだ。

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