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エピローグ ~プロジェクトE.G.O始動~
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火星出発から42日が経過し地球が目の前に迫っていた、鷹華は操縦席の先頭に陣取り青い地球を輝く目つきで眺めている、その周りに操縦班のメンバーが集まっている。
「地球は青かった!」
「古くせぇセリフだな、言っとくが今回だけ特別だぞ」
「はい、ありがとうございます、船長」
「あら、『特別扱いはしない』って言ってなかったかしら?」
「よせよテレ、今回だけだ。どうせ着陸前の給仕班は暇だろう」
「そうね・・・たしかに暇ね」
「見てください、雲の中に入っていきますよ! わぁぁぁ・・・
って、皆さん感動が薄いですよ?」
そう言って鷹華は振り返り周りの人達を見まわす、そして最後にテレーシアを見る、目が合ったがこれと言って楽しそうな表情はしてない、いつものドライな表情がそこにあった。
何か言ってほしそうな表情をしている鷹華を見て仕方なくテレーシアは鷹華に話しかけた。
「何度も見てるからね・・・」
「テレさん・・・冷めてますね・・・」
テレーシアは鷹華に微笑みかけた。
「鷹華ちゃん・・・何か言ったかしら?」
「いえー、なんでもありませーん!」
鷹華は睨んでいるテレーシアから素早く目線を外し再び前を見る。
雲を抜けた先には青い海が広がっていた、鷹華はさらに顔を突き出した
「よし、おめーら。着陸準備に入れ」
「「「了解」」」
鷹華の周りにいた操縦士たちは一斉に持ち場に戻り操作盤に向かい始めた。
「おおぉ、水だぁ水がいっぱいだよぉー」
「騒ぎ過ぎよ鷹華、皆が仕事に入ったから静かにね」
「そ、そうですね迷惑ですね」
その時、ドーーンと言う大きな音と共に大きな縦の衝撃が船内に伝わった。
「きゃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
鷹華はオデコを窓にくっつけていた為、先ほどの衝撃で後方に飛ばされてしまう、
そして鋼鉄製の床に後頭部を打ちつけた、側に居たテレーシアが素早く駆け寄り容態を確認する、意識は無いが息があるのを確認するとテレーシアは安堵のため息を漏らした。
「なんだ、何が起きた? 戦争かぁ?」
船長は船員に向け怒声をあげると同時に船内に警報が鳴り響き始める。
「不明です、エンジンの爆発でしょうか?」
「船長! エンジン出力が低下を始めました!」
操縦席側面に居た操縦士が外を見ながら船長に向けて大声をあげる。
「船長ぉー海底火山です、噴火の直撃を受けたようです!」
「大至急にサブエンジンを点火しろ」
「ダメです船長! 反応がありません」
船長は拳を強く握りしめ膝掛に打ち付ける
「っくっそ、よりによって着陸寸前に、これじゃあ脱出ポッドが間に合わねぇ
おめーら旋回だぁ! 陸地への墜落は絶対に避けろ! 着水だ海を目指せ!」
「「「了解!」」」
……
…
ピー、ピー、ピー、ピー
緊急救命センターの一室、心電図の音が静かに流れている
「先生、こちらです」
「ふぅ~怪我人が多すぎて目が回るよ、で、AI診断の結果は?」
「身体損傷率87%です、心臓と脳が辛うじて動いている状態です」
「もって数十分ほどか、患者のデータは?」
「マースヘリーヴァル社の社長令嬢です、親との連絡には40分以上かかります」
「確認を取ってる時間は無いな・・・・そうだな・・・やれることは全てやろう。
まずは記憶データと人格データをダウンロードして、脳と心臓はコールドスリープを行う」
「わかりました、始めます」
「電極を・・・」
……
…
◇◇数か月後マースヘリーヴァル社、社長室にて
社長は<鷹華>と書かれている筒状のメモリーを手に取って眺めている。
側にいた秘書は社長のその雰囲気に話しかけられず黙って見ていた。
「早くにして妻を亡くし、それから私一人で育ててきた娘も失った・・・
幸せとは何だろうね君?」
「すいません、私には・・・」
「すまない、君に言っても仕方ないな。報告を聞こう」
「はい、現在地球全体で大規模な火山活動に入っています、数十ヶ所の火山が噴火しており噴煙が大気圏に広がっております、地球全体を覆いつくすまで1年は掛からないでしょう。その後は光量の低下によって地球全体の気温が下がり、植物は数年で絶滅すると思われます、それに伴って動物達も長くはもたないでしょう。
火山活動が止み空が晴上がるにはさらに数十年の時間が掛かると思われます」
「それによって火星への移住が始まっているな、我が社を含め火星は好景気だ、
皮肉なこったな・・・もういい、下がりなさい」
「はい、失礼します」
秘書は静かに音を立てない様に歩き、静かにドアを開け去っていた。
社長は再び鷹華のメモリーを眺める。ひたすら眺め続けた……
「仮想現実でもいい、会えるようになれないか?
記憶と人格データは取り出せるがそこから先が進んでいない
仮想現実で映像を見るだけじゃだめだ
触って抱きしめて感触を確かめたい
五感で鷹華を感じたい
地球の現状ではこれから先の技術革新は期待できない
私が直接やるしかないだろう
地球からコンピュータ技師を大量に雇い入れよう
やってやるぞ!
プロジェクトE.G.O を始動するぞ!」
社長は鷹華のメモリーを机に置きドアに向かって歩き始めた、
ドアを開け部屋から出ようとしたが立ち止まり、そして振り返る。
「待っていよろ鷹華、必ず会いに行くぞ」
そう言って社長はドアを力強く閉めた、バーンという大きな音が部屋に響き渡る。
どんな時も勢いよくドアを開けて、音を部屋に響かせていた鷹華に向けて、
その音はとても長く響きわたっていた・・・・
~~~~~~~~~~~~End~~~~~~~~~~~~~~
「地球は青かった!」
「古くせぇセリフだな、言っとくが今回だけ特別だぞ」
「はい、ありがとうございます、船長」
「あら、『特別扱いはしない』って言ってなかったかしら?」
「よせよテレ、今回だけだ。どうせ着陸前の給仕班は暇だろう」
「そうね・・・たしかに暇ね」
「見てください、雲の中に入っていきますよ! わぁぁぁ・・・
って、皆さん感動が薄いですよ?」
そう言って鷹華は振り返り周りの人達を見まわす、そして最後にテレーシアを見る、目が合ったがこれと言って楽しそうな表情はしてない、いつものドライな表情がそこにあった。
何か言ってほしそうな表情をしている鷹華を見て仕方なくテレーシアは鷹華に話しかけた。
「何度も見てるからね・・・」
「テレさん・・・冷めてますね・・・」
テレーシアは鷹華に微笑みかけた。
「鷹華ちゃん・・・何か言ったかしら?」
「いえー、なんでもありませーん!」
鷹華は睨んでいるテレーシアから素早く目線を外し再び前を見る。
雲を抜けた先には青い海が広がっていた、鷹華はさらに顔を突き出した
「よし、おめーら。着陸準備に入れ」
「「「了解」」」
鷹華の周りにいた操縦士たちは一斉に持ち場に戻り操作盤に向かい始めた。
「おおぉ、水だぁ水がいっぱいだよぉー」
「騒ぎ過ぎよ鷹華、皆が仕事に入ったから静かにね」
「そ、そうですね迷惑ですね」
その時、ドーーンと言う大きな音と共に大きな縦の衝撃が船内に伝わった。
「きゃやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
鷹華はオデコを窓にくっつけていた為、先ほどの衝撃で後方に飛ばされてしまう、
そして鋼鉄製の床に後頭部を打ちつけた、側に居たテレーシアが素早く駆け寄り容態を確認する、意識は無いが息があるのを確認するとテレーシアは安堵のため息を漏らした。
「なんだ、何が起きた? 戦争かぁ?」
船長は船員に向け怒声をあげると同時に船内に警報が鳴り響き始める。
「不明です、エンジンの爆発でしょうか?」
「船長! エンジン出力が低下を始めました!」
操縦席側面に居た操縦士が外を見ながら船長に向けて大声をあげる。
「船長ぉー海底火山です、噴火の直撃を受けたようです!」
「大至急にサブエンジンを点火しろ」
「ダメです船長! 反応がありません」
船長は拳を強く握りしめ膝掛に打ち付ける
「っくっそ、よりによって着陸寸前に、これじゃあ脱出ポッドが間に合わねぇ
おめーら旋回だぁ! 陸地への墜落は絶対に避けろ! 着水だ海を目指せ!」
「「「了解!」」」
……
…
ピー、ピー、ピー、ピー
緊急救命センターの一室、心電図の音が静かに流れている
「先生、こちらです」
「ふぅ~怪我人が多すぎて目が回るよ、で、AI診断の結果は?」
「身体損傷率87%です、心臓と脳が辛うじて動いている状態です」
「もって数十分ほどか、患者のデータは?」
「マースヘリーヴァル社の社長令嬢です、親との連絡には40分以上かかります」
「確認を取ってる時間は無いな・・・・そうだな・・・やれることは全てやろう。
まずは記憶データと人格データをダウンロードして、脳と心臓はコールドスリープを行う」
「わかりました、始めます」
「電極を・・・」
……
…
◇◇数か月後マースヘリーヴァル社、社長室にて
社長は<鷹華>と書かれている筒状のメモリーを手に取って眺めている。
側にいた秘書は社長のその雰囲気に話しかけられず黙って見ていた。
「早くにして妻を亡くし、それから私一人で育ててきた娘も失った・・・
幸せとは何だろうね君?」
「すいません、私には・・・」
「すまない、君に言っても仕方ないな。報告を聞こう」
「はい、現在地球全体で大規模な火山活動に入っています、数十ヶ所の火山が噴火しており噴煙が大気圏に広がっております、地球全体を覆いつくすまで1年は掛からないでしょう。その後は光量の低下によって地球全体の気温が下がり、植物は数年で絶滅すると思われます、それに伴って動物達も長くはもたないでしょう。
火山活動が止み空が晴上がるにはさらに数十年の時間が掛かると思われます」
「それによって火星への移住が始まっているな、我が社を含め火星は好景気だ、
皮肉なこったな・・・もういい、下がりなさい」
「はい、失礼します」
秘書は静かに音を立てない様に歩き、静かにドアを開け去っていた。
社長は再び鷹華のメモリーを眺める。ひたすら眺め続けた……
「仮想現実でもいい、会えるようになれないか?
記憶と人格データは取り出せるがそこから先が進んでいない
仮想現実で映像を見るだけじゃだめだ
触って抱きしめて感触を確かめたい
五感で鷹華を感じたい
地球の現状ではこれから先の技術革新は期待できない
私が直接やるしかないだろう
地球からコンピュータ技師を大量に雇い入れよう
やってやるぞ!
プロジェクトE.G.O を始動するぞ!」
社長は鷹華のメモリーを机に置きドアに向かって歩き始めた、
ドアを開け部屋から出ようとしたが立ち止まり、そして振り返る。
「待っていよろ鷹華、必ず会いに行くぞ」
そう言って社長はドアを力強く閉めた、バーンという大きな音が部屋に響き渡る。
どんな時も勢いよくドアを開けて、音を部屋に響かせていた鷹華に向けて、
その音はとても長く響きわたっていた・・・・
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