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1章 宇宙遭難編

43話 食生活の違い

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 銀の球体に連れられて一つの扉の前に来た、前に立つと扉は音もなく開く。

『着きました、この中で転移が可能です』

 発声と同時に銀の球体は部屋の中に入っていく、俺も続けて中に入る。
 中に入ると扉が閉まる音がした、振返ると扉のあった場所は白い壁となり見えなくなっていた、改めて周辺を見ると部屋と言うより何処までも続く白い空間であった。

「ずいぶん広い空間だな?」
『5m四方の部屋です。床・壁・天井が均一に白色で発光していますので陰影がありません、よって遠近感が解らず広く感じるのでしょう』

 歩いていくと体が壁にぶつかった、手を壁に当てそのまま壁沿いに歩くと手が角にぶつかる。
 視覚的には何処までも続く白い空間だが、手には確かに壁を触っている感触がある。

「なるほど、確かに四角い部屋だな。気持ち悪い感覚だが・・・」
『ではどの島に転移しますか?』

「一番大きい島で頼む」
『一番大きいのは農業島となります、では転移します』

 この感覚は飛行機で強制テレポートさせられた時と同じ感覚だ。
 俺自身は強制テレポートを受けたことは無いので新鮮な感覚である。

『到着いたしました』

 リヴァララの声と同時に強い光の筋が壁に入りそれが横に広がった、床には扉の形の四角い光が映し出されている。
 出入り口まで歩いていき外に出ると一面の土のみの大地が広がっている、大地の先を見るが距離があるらしくかすんで先端が見えなかった、まるで砂漠の真ん中に立っているような感覚である。

「何もないけど?」
『現在は何も生産されておりませんので、何もありません。土の大地が広がっているのみです』

「露地栽培なの? てっきり工場で作ってるかと思ってたが、原始的だな」
『根菜類のみここで生産しております。あとは植物生産工場です』

 土を手に取って見ると地球の土とさほど変わらない成分構成をしていた、粒子は粗目で非常にやわらかい、確かに根菜向けのようである。

 ここでこの島をテレポートさせることができるかを試す、力を地面から流し島全体に行き渡らせるが半分ほど浸透させたところで覆っていく先端の感覚がぼやけてきた、なるほどこの大きさは無理か。2人なら出来きそうだな、麻衣にテレポートを与えて少し力を盛ってやれば行けそうだが、いや、やめておこう問題が起きてからでは遅いからな。

『無理のようですね』
「そ、そうだな。そのまま移動を進めてくれ」
『了解です』

 この球体は偵察機だったな、テレポートをしようとするのを見抜くとは優秀なセンサーだな。

「さて戻る、あとは興味なし」
『了解です。転移門で戻りますか?』

「いや自分で戻るわ、位置は解ってるからな。あと施しを受ける身だったから今まであえて聞かなかったが、ここの元住人は1日2食なのか?」
『そうです、1日2食もしくは1食です。地球時間でこの惑星は1日18時間となっておりますので妥当と思います』

「そ、そうなの? 気にならなかったけど・・・」
『織田様達のために浮遊島の移動速度を調整して1日が24時間になる様に管理しております』

「お気遣い感謝・・・」
『どういたしまして』

 リヴァララさんは何処から学習しているのか? どういたしましてを使うとは使用難易度の高い日本語だと思ったのだが
 俺はそのまま麻衣のいる部屋にテレポートした。

部屋に戻ると麻衣はベットで寝ている・・・「おい、起きろ」

 胸を右手で包み込んで起こしてみたが反応がない、そのまま手のひらで胸の柔らかい感触を確かめる、体全体を見ると麻衣の姿は足を頻繁に動かしたのかスカートがまくれ上がって柔らかい太ももが丸見えである、さらに上着もまくれ上がりおへそも出ていた。
 
むきだしの太ももに手を置き肌の弾力と表面の滑らかさ堪能する。

「スベスベでモチモチだな、つまりこれは! 襲ってくれと言う誘いか、しかたないなぁー」
「ちがうわぁぁぁぁぁぁぁ」

麻衣は上半身を素早く起こし俺の手を振り払い、服の乱れを直す。

「っち、起きたのかよ」
「約束!」と麻衣は強い口調で言う
「はいはい、了解しました」

椅子まで移動し腰かけ、続いて麻衣もこちらに来て腰かけた。
 銀の球体に触りリヴァララに飲み物を注文すると1分も掛からず扉が開き、あの雑用ロボが現れた。

「随分早いな、ドリンクサーバーでストックしてるのか?」
『皆様の行動や体調を調査し次は何をするかを予測して行動しております、10分ほど前から作り始めておりました』
「そ、そうか・・・予測してるのか」

 テーブルに置かれたコップの中を改めて見ると、何時もの毒々しい青い液体が入っている。

「それでリヴァララよ、この青い液体は銅イオン飲料なのか?」
『青の色素を含む植物の根を煎じたものです、銅イオン以外にも鉄・亜鉛・ニッケル等の金属イオンを含む健康にいい飲み物です。ただし大量に飲むのはお勧めいたしません』
「植物の根か・・・」

 種族が違えば文化も違う、地域が違えば食料も違う、やはり日本人は日本の食文化が一番いいな。前を見ると麻衣が両手でコップを持ち青い液体をおいしそうに飲み干しているのが見えた。これが現代人の食生活か、パン派だし味噌汁飲まない、食の欧米化・・・だめだ納得いかない

「すまんが、食料の生産は中止してくれ。地球に行ったときに地球の野菜を生産してくれ、ただし俺の生まれ故郷の日本地域中心で頼む。栽培する物の詳細は地球についてから指示する」
『了解しました、地球に着きしだい調査を開始します』

 コップを持ち上げ中身を見ながら一口二口と少しずつ飲んでいく
 おいしいけど何かが物足りないんだよな、なんだろ? などと考えながら前を眺めていると

「なんで、男の人ってすぐ胸を見るんだろうね」と麻衣が溜息交じりに言った。

 今は見ていなかったぞ? 視界には入っていたが・・・
 ここで健全な若い男子なら目を逸らしながら、<見てねーよ>と言うのだが俺は健全ではない

「そこに胸があるからだ」とあえて麻衣の胸を直視した。
「そ、そんな登山家みたいに言われても・・・」

「女性の胸は見るためにある芸術作品だ、つまり見なければ失礼になる!」

俺はテーブルに肘を乗せ顔を麻衣の胸に近づけて直視する。

「わ、わ・・・ちかいって、ちかいから」

麻衣は右腕で胸の部分を隠し、左手で俺の肩を押し遠ざけた。
その後は俺の下ネタで盛りがりつつ1日が過ぎていった。
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