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陰険冷血イケメン登場
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俺はゴクリと唾を大きく飲み込んで、深呼吸。
実はこの動作を、もう何度も何度も繰り返していた。
目の前には、立派なお屋敷がデデーンと聳え立っている。
ここは、領主邸の門前。
門番のおっさんが怪訝な顔て見ているが、無視だ! 無視。
冒険者ギルドから街外での活動を禁止され、イリヤさんと密室で二人きりのお仕事を斡旋され、泣く泣く選んだこの依頼。
領主邸の雑用。
え? なんで雑用が高報酬なの? と話を冒険者ギルドの受付ニーナさんに詳しく聞くと……やっぱりありましたよ、理由が。
「はあ……。1日も経たずに辞める人が続出する厳しい指導て……どんな人だよ」
どうやら、ここの指導役の人がかなり厳しいらしい。
いい大人のそれなりに学のある人が逃げ出すぐらいだから、ちょっとやそっとのイヤミとか嫌がらせじゃないんだろうなぁ……。
元社畜でブラック企業勤めの経験値が、活かされればいいんだが……。
しかし、ここで逃げたらもう……、もう……俺にはイリヤさんに尻を捧げるしかなくなってしまう……。それだけは……いやだ。
よしっ! と気合を入れて門を潜ろうとして……、門番のおっさんに止められた。
「貴方が……ギルドからの冒険者ですか?」
「はい。アオイです。よろしくお願いします」
イケメンだ……。
また、イケメンだ……。
領主邸を訪ねて通された応接室みたいな豪華な部屋で、居心地悪くふかふソファにちょこんと座って待つこと暫し。
面接官よろしく頭の天辺から足の爪先までジロジロと見られ、細い銀のフレームの眼鏡をクイッと上げたその人が、何人もの雑用係を追い出した指導役のルイ・レドニツェさん。
細身のインテリ風イケメンだ。
ほんと、この世界ってイケメンしかいねぇのかよっ、けっ!
体を縮め、立っているルイさんを上目遣いで縋るように見つめる。
いやいや、ここで不採用だと俺の人生ドツボなんだよ。
頼む、雇ってくれ!
「貴方、読み書きに計算もできると紹介状にありますが、本当に?」
「はい!」
「まだ、子供に見えますが?」
「にじゅ……じゃない、十六歳です」
イケメンさんは目を大きく見張って、俺の顔をジロジロ。
あ、イケメンさんの眼の色が紫だー。
青くて長い髪といい、涼し気な色合いですねー……。
ダメだ、好意的に見ようと思っても、この人どうやっても陰険冷血キャラにしか見えないっ。
「随分……童顔ですね。とりあえず、雑用からお願いします。まずは庭師のところ。その後はキッチン。終わったら執務室に来なさい」
「はい、わかりました!」
俺はぴょこんとソファから立ち上がり、ペコリとお辞儀する。
「普通は、雇い主が来たら立ち上がって挨拶するものですよ」
……。
すみません、既にやらかしてました、俺。
ルイさんが部屋を出たあとに、別の使用人さんが庭師さんの所まで案内してくれた。
庭師のお爺さんは少し腰が痛いらしく、代わりに草毟りや野菜の収穫を小一時間程やらされる。
別に苦ではなかった。
途中、お爺さんが美味しそうなトマトを味見させてくれたし、緑茶に似たお茶も御馳走してくれたしね。
そのあとは、また使用人さんが呼びに来てキッチンへ。
怖そうな顔をした料理長が包丁を構えてて、一瞬今までの走馬灯が走ったが、大量な芋を一緒に剥いてて仲良くなった。
意外と気さくなおっさんだった。
昼飯に誘われて、賄いの旨いグラタンとパンとスープ。
味見役としてパンケーキを御馳走になった。
うみゃうみゃ。
「なんだ、ここ。天国じゃねぇか!」
俺は両手の指を組んで天を仰いだ。
神様にお礼のお祈りターイムだ。
実は今朝、例の【人生の選択】があった。
ピロリン♪
【人生の選択】
・カケスの街を出て行く
・アルカサル侯爵領主邸に行く
このアルカサル侯爵とは、カケスの街を含めたここら辺一帯の領地を治める領主のことだ。
まさに今、俺がいるここが領主邸。
カケスの街を出て行くことができないので、この領主邸の仕事に訪れたが……、俺の選択……間違ってなかった!
「あのぅ、執務室にご案内します……けど」
「あ、すみません」
やばいやばい、可愛いメイドさん(♂)に挙動不審なところを目撃されてしまいました。
大人しくメイドさんに案内され、執務室の扉をトントン。
応えがあったので、俺だけ入室。
部屋には夥しい本と厳つい机、さっきのイケメンさんと……可愛い少年がニコニコ顔でお出迎えしてくれました。
実はこの動作を、もう何度も何度も繰り返していた。
目の前には、立派なお屋敷がデデーンと聳え立っている。
ここは、領主邸の門前。
門番のおっさんが怪訝な顔て見ているが、無視だ! 無視。
冒険者ギルドから街外での活動を禁止され、イリヤさんと密室で二人きりのお仕事を斡旋され、泣く泣く選んだこの依頼。
領主邸の雑用。
え? なんで雑用が高報酬なの? と話を冒険者ギルドの受付ニーナさんに詳しく聞くと……やっぱりありましたよ、理由が。
「はあ……。1日も経たずに辞める人が続出する厳しい指導て……どんな人だよ」
どうやら、ここの指導役の人がかなり厳しいらしい。
いい大人のそれなりに学のある人が逃げ出すぐらいだから、ちょっとやそっとのイヤミとか嫌がらせじゃないんだろうなぁ……。
元社畜でブラック企業勤めの経験値が、活かされればいいんだが……。
しかし、ここで逃げたらもう……、もう……俺にはイリヤさんに尻を捧げるしかなくなってしまう……。それだけは……いやだ。
よしっ! と気合を入れて門を潜ろうとして……、門番のおっさんに止められた。
「貴方が……ギルドからの冒険者ですか?」
「はい。アオイです。よろしくお願いします」
イケメンだ……。
また、イケメンだ……。
領主邸を訪ねて通された応接室みたいな豪華な部屋で、居心地悪くふかふソファにちょこんと座って待つこと暫し。
面接官よろしく頭の天辺から足の爪先までジロジロと見られ、細い銀のフレームの眼鏡をクイッと上げたその人が、何人もの雑用係を追い出した指導役のルイ・レドニツェさん。
細身のインテリ風イケメンだ。
ほんと、この世界ってイケメンしかいねぇのかよっ、けっ!
体を縮め、立っているルイさんを上目遣いで縋るように見つめる。
いやいや、ここで不採用だと俺の人生ドツボなんだよ。
頼む、雇ってくれ!
「貴方、読み書きに計算もできると紹介状にありますが、本当に?」
「はい!」
「まだ、子供に見えますが?」
「にじゅ……じゃない、十六歳です」
イケメンさんは目を大きく見張って、俺の顔をジロジロ。
あ、イケメンさんの眼の色が紫だー。
青くて長い髪といい、涼し気な色合いですねー……。
ダメだ、好意的に見ようと思っても、この人どうやっても陰険冷血キャラにしか見えないっ。
「随分……童顔ですね。とりあえず、雑用からお願いします。まずは庭師のところ。その後はキッチン。終わったら執務室に来なさい」
「はい、わかりました!」
俺はぴょこんとソファから立ち上がり、ペコリとお辞儀する。
「普通は、雇い主が来たら立ち上がって挨拶するものですよ」
……。
すみません、既にやらかしてました、俺。
ルイさんが部屋を出たあとに、別の使用人さんが庭師さんの所まで案内してくれた。
庭師のお爺さんは少し腰が痛いらしく、代わりに草毟りや野菜の収穫を小一時間程やらされる。
別に苦ではなかった。
途中、お爺さんが美味しそうなトマトを味見させてくれたし、緑茶に似たお茶も御馳走してくれたしね。
そのあとは、また使用人さんが呼びに来てキッチンへ。
怖そうな顔をした料理長が包丁を構えてて、一瞬今までの走馬灯が走ったが、大量な芋を一緒に剥いてて仲良くなった。
意外と気さくなおっさんだった。
昼飯に誘われて、賄いの旨いグラタンとパンとスープ。
味見役としてパンケーキを御馳走になった。
うみゃうみゃ。
「なんだ、ここ。天国じゃねぇか!」
俺は両手の指を組んで天を仰いだ。
神様にお礼のお祈りターイムだ。
実は今朝、例の【人生の選択】があった。
ピロリン♪
【人生の選択】
・カケスの街を出て行く
・アルカサル侯爵領主邸に行く
このアルカサル侯爵とは、カケスの街を含めたここら辺一帯の領地を治める領主のことだ。
まさに今、俺がいるここが領主邸。
カケスの街を出て行くことができないので、この領主邸の仕事に訪れたが……、俺の選択……間違ってなかった!
「あのぅ、執務室にご案内します……けど」
「あ、すみません」
やばいやばい、可愛いメイドさん(♂)に挙動不審なところを目撃されてしまいました。
大人しくメイドさんに案内され、執務室の扉をトントン。
応えがあったので、俺だけ入室。
部屋には夥しい本と厳つい机、さっきのイケメンさんと……可愛い少年がニコニコ顔でお出迎えしてくれました。
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