115 / 134
4 王立べラム訓練学校 高等部2
4-22話 卒業試験7
しおりを挟む
無事に発電所まで戻ってきたルーセントは、武装を解除すると報告のためにウォルビスの執務室へと足を運んだ。肩にきゅうちゃんを乗せたルーセントは、机を挟んで書類に目を落とすウォルビスの前に立った。
「将軍、訓練生五十名は全員無事です。負傷したものもいますが、現在治療を受けて全員が回復しています」
「そうか、無事でなによりだ。それで? あいつらはまともに動けたか?」
椅子に座ったままのウォルビスは、書類から視線をあげて目の前の少年の顔を見た。そしてねぎらいとともに、これから本当の戦が近いうちに起こるであろうことを見越して実戦で使えるのか、と様子をうかがう。ルーセントはウォルビスの言葉に、あらためて戦闘場面を思い出す。
「はい。最初は緊張していたせいか、うまく動けず戸惑いと恐怖もあってか追い込まれるときも多々ありました。負傷したのもその時がほとんどだと思います。ですが、時間がたてばいつも通りに動けていたと思います」
ウォルビスを見るルーセントのまなざしは、自信に満ちたようすで説得力があった。
じっとルーセントの顔を見ていたウォルビスがうなずく。
「大したもんじゃないか。たとえ訓練を受けていたとしても、初陣なんてまともに動けるやつなんていないからな。……ところで話は変わるが、お前一騎打ちをしたらしいな。ノームが言うにはお前の事を知っている感じだったと言ってたが?」
ウォルビスの表情が一気に険しくなる。
その鋭い視線にルーセントがたじろぐが、話すことができない大事な部分を隠して事実だけを話始める。
「ノームさんの言う通り、向こうはたしかに自分の名前を知っていました。ですが、会うのは今日が初めてです。自分はアンゲルヴェルクどころか、ヒールガーデンすら出たことがないので、なぜ向こうが自分の名前を知っていたのかはわかりません」
「そうか、それならいい。記憶にないほどだ。仮に会ったことがあるとしてもずいぶん昔だろう。他に報告はあるか?」
ウォルビスはルーセントの言葉に疑う余地はないと判断した。すべての報告を終えて切り上げようとしたルーセントは、去り際に言われたヴェールの言葉を思い出した。
「あっ! ひとつだけあります。一騎打ちをした相手“ヴェール”という名前の少年でしたが、去り際に“近々発電所をもらいに行く、楽しみにしておけ”と言わ……」
ウォルビスはルーセントの言葉を最後まで聞くことなく、ヴェールからの伝言にふくれあがる怒気とともに左手を握りしめて机の天板を強くたたいた。振動で机に積まれていた書類が床に崩れ落ちた。
「きゅっ!」
突然響いた大きな音に、きゅうちゃんが驚いてルーセントの胸のポケットへ入り込むんだ。その小さな空間で両手で頭を抱えるように丸まった。
怒りが収まらないウォルビスがさらに呼吸を荒げる。
「上等だ、なめくさった小僧が! とことんまで追い込んで後悔させてやる。ルーセント、訓練生に伝えておけ。明日より戦争準備体制に移る。武装解除は許可しない。いつでも出られるように準備しておけ」
「待ってください将軍、これは罠では? 相手にいちいち“攻める”なんて言うでしょうか?」
「関係ねぇ、罠だったらそれごと押しつぶすまでだ。……下がれ」
「失礼します」
憤るウォルビスをよそに、ルーセントは一礼をすると執務室を出ていった。すれ違い様にウォルビスに呼ばれた兵士が部屋の中へと入っていった。
三日後、ウォルビスの要請によりディフィニクス前将軍の本営から五千八百二十名の援軍が発電所に到着した。しかし全員は入らないため、半分は敷地内にテントを建てて必要な施設を作り上げていった。入りきらない兵士は、防壁を背に森と発電所の間の開いた空間に陣営を築き上げていた。この援軍を率いていたのは、零宝山の戦いの時にルーセントがいた部隊を指揮していた鷹武将軍のモーリスであった。
ウォルビスの部屋にノーム、モーリス、その補佐であるバスターが集まって今後の事を話し合っていた。
最初に口を開いたのはモーリスだった。
「状況はどうだ? バーゼル殿も攻めてくる可能性が極めて高いとの見方だったが……」
現況をウォルビスに尋ねるモーリスが腕を組んだ。ウォルビスも思案しながら机に寄りかかった。
「やつらが占領しているベロ・ランブロアに忍び込ませている偵察によれば、準備はほとんど終えているそうだ」
「なるほどな、動くなら数日のうちか。地図はどこだ? バーゼル殿の見立てによれば森から五キロほど離れた場所に布陣するんじゃないか、と言っていたが……」
「五キロ? ノーム地図を取ってくれ」
ウォルビスがノームに向けてアゴをしゃくった。ノームが机の上を片付けて地図を広げると、全員が地図をのぞき込む。
「森から五キロって言うと、……この範囲か」
ウォルビスは円規を取りだして森を支点に半円を描く。全員が描かれた半円に目を落とした。
「こんなところに何かあったか?」ウォルビスが首をかしげて眉を潜めた。
「たしか、この辺には小高い丘があったかと」
ウォルビスのつぶやきに答えたのは、何度か巡察に出ていたノームであった。先に布陣されれば地の利は向こうにある。そして、おそらくは休息する間もなく戦闘をしなければいけないであろう状況に陥ることにモーリスが口を開いた。
「いっそのこと、こっちから先に攻めると言うのはどうだ?」
「……難しいな。先日、少数だが巡察部隊が奇襲を受けた。どこかに進入路があるらしいが、いまだに見つからない。こんな状況でこっちから出ていったら、外に出ている間に取られるかもしれない。それに、兄貴からは攻める許可は出ていない。おまけに、準備ができてると言っても本当に攻めてくるとも限らん。まったく、兄貴もあんなやつらのどこに慎重になる要素があるのか、さっぱり分かんねぇよ」
「虎威将軍が負けて戻ってきてからでしたね。慎重になったのは」バスターがウォルビスの言葉に反応した。
「あぁルードか、ここから東の方にあるガウザバード砦を攻略中に伏兵に囲まれたらしいな」モーリスが前将軍が慎重になりだした出来事を思い出す。
「はい。一部城壁が脆いところがあったらしく、そこを中心に攻めて崩すことができたそうです。防衛が手薄だったために一気に侵攻したところ、隠れていた伏兵に囲まれて逃げるのがやっとだったとか」
モーリスのざっくりした説明にバスターが詳しく補足する。その詳細に、モーリスが「詳しいな、バーゼル殿に聞いたのか?」と問いかけた。
「はい。偶然にも話す機会があったもので」バスターがさらっと答えた。
「ルードのやつもなかなかの脳筋だからな、情けねぇ」ウォルビスがアゴを触りながら当人を思い出して目を閉じた。
「お前が言えた義理か、似たようなもんだろうが! いつも前将軍に頭を使えと怒られてるのは誰だ!」
「俺ならあんな軟弱者どもなんて、全員ぶっ倒して砦まで落としてるね。問題ねぇよ」
「お前、頭から酢をぶっかけてやろうか?」
ウォルビスとモーリスのやり取りに笑い声が溢れる。
笑われた理由が分からず、不思議な表情を浮かべるウォルビスであった。
モーリスが頭を左右に振ると、さらに続けた。
「まぁいい。どっちにしても、相手が強かろうが弱かろうかが、こっちは森を抜けなきゃ話にならない。油断はできないぞ」
「そうなんだよな。最低でも伏兵と火計には用心しないとな。道幅が二十メートルほどあると言っても、一気に進軍できるほどじゃないからな」
どうしたものかと悩むウォルビスとモーリスに、ノームが進言する。
「それでしたら、水魔法を使えるものを各部隊に配置して、前後に騎兵を置いて伏兵対策に八部隊に別けてはいかがですか?」
「そうだな……、隊列が伸び過ぎるのが気になるが、仕方ないか。八号隊を先頭に一号隊を最後にすれば、すぐに陣形も組めるだろうし、言うほど悪くもないか」
こうして訓練生の配置も含めて、来るときに備えて話が続けられていった。
次の日からは、二部隊ずつで訓練が行われて連携の確認を厳重にしていった。
二日後の朝、サラージ王国軍が占領する街ベロ・ランブロアに放っていた偵察兵が慌ててウォルビスの執務室へと戻ってきた。
「武衛将軍! サラージ王国軍がベロ・ランブロアから出陣しました。数はおよそ三千五百ほどです!」
「来たか! ノーム全軍に伝えろ。これよりサラージ王国軍を迎え撃つ!」
「かしこまりました」
ノームはすぐに執務室を退出すると、すべての部隊長に命を下す。部隊長は急いで配下の兵に伝えて準備を進めていった。
発電所の外、街道に隊列が連なっていく。
防衛に二千三百二十名ほどを残し、四千五百名が戦闘に参加する。
訓練生は八号隊に八人、残りは六人に別れて配置されている。ルーセントとティアは八号隊、前線に配置された。パックスは一号隊で最後方の部隊に置かれた。
「いよいよですね、ルーセント。あの嫌なやつは来るでしょうか?」
「たぶんね。あの時、部隊を指揮していたのは将軍クラスのはずだから、それと対等の会話をしてたってことはかなりの地位にいるはずだよ」
「すごいですね。私たちと同じ歳なのに」
「それだけ優秀ってことだね。油断しちゃダメだよ」
「分かってます。頑張りましょ~」
ティアは、まるで遠足にでも行くように余裕を見せる。それとは逆に緊張の表情を浮かべる訓練生。
ルーセントは笑みとともに「この前より人数が多いだけだ」と声をかけて落ち着かせた。完全に緊張が取れたわけでもなかったが、問題はないだろうと安心したところで進軍が伝えられて歩き出した。
「将軍、訓練生五十名は全員無事です。負傷したものもいますが、現在治療を受けて全員が回復しています」
「そうか、無事でなによりだ。それで? あいつらはまともに動けたか?」
椅子に座ったままのウォルビスは、書類から視線をあげて目の前の少年の顔を見た。そしてねぎらいとともに、これから本当の戦が近いうちに起こるであろうことを見越して実戦で使えるのか、と様子をうかがう。ルーセントはウォルビスの言葉に、あらためて戦闘場面を思い出す。
「はい。最初は緊張していたせいか、うまく動けず戸惑いと恐怖もあってか追い込まれるときも多々ありました。負傷したのもその時がほとんどだと思います。ですが、時間がたてばいつも通りに動けていたと思います」
ウォルビスを見るルーセントのまなざしは、自信に満ちたようすで説得力があった。
じっとルーセントの顔を見ていたウォルビスがうなずく。
「大したもんじゃないか。たとえ訓練を受けていたとしても、初陣なんてまともに動けるやつなんていないからな。……ところで話は変わるが、お前一騎打ちをしたらしいな。ノームが言うにはお前の事を知っている感じだったと言ってたが?」
ウォルビスの表情が一気に険しくなる。
その鋭い視線にルーセントがたじろぐが、話すことができない大事な部分を隠して事実だけを話始める。
「ノームさんの言う通り、向こうはたしかに自分の名前を知っていました。ですが、会うのは今日が初めてです。自分はアンゲルヴェルクどころか、ヒールガーデンすら出たことがないので、なぜ向こうが自分の名前を知っていたのかはわかりません」
「そうか、それならいい。記憶にないほどだ。仮に会ったことがあるとしてもずいぶん昔だろう。他に報告はあるか?」
ウォルビスはルーセントの言葉に疑う余地はないと判断した。すべての報告を終えて切り上げようとしたルーセントは、去り際に言われたヴェールの言葉を思い出した。
「あっ! ひとつだけあります。一騎打ちをした相手“ヴェール”という名前の少年でしたが、去り際に“近々発電所をもらいに行く、楽しみにしておけ”と言わ……」
ウォルビスはルーセントの言葉を最後まで聞くことなく、ヴェールからの伝言にふくれあがる怒気とともに左手を握りしめて机の天板を強くたたいた。振動で机に積まれていた書類が床に崩れ落ちた。
「きゅっ!」
突然響いた大きな音に、きゅうちゃんが驚いてルーセントの胸のポケットへ入り込むんだ。その小さな空間で両手で頭を抱えるように丸まった。
怒りが収まらないウォルビスがさらに呼吸を荒げる。
「上等だ、なめくさった小僧が! とことんまで追い込んで後悔させてやる。ルーセント、訓練生に伝えておけ。明日より戦争準備体制に移る。武装解除は許可しない。いつでも出られるように準備しておけ」
「待ってください将軍、これは罠では? 相手にいちいち“攻める”なんて言うでしょうか?」
「関係ねぇ、罠だったらそれごと押しつぶすまでだ。……下がれ」
「失礼します」
憤るウォルビスをよそに、ルーセントは一礼をすると執務室を出ていった。すれ違い様にウォルビスに呼ばれた兵士が部屋の中へと入っていった。
三日後、ウォルビスの要請によりディフィニクス前将軍の本営から五千八百二十名の援軍が発電所に到着した。しかし全員は入らないため、半分は敷地内にテントを建てて必要な施設を作り上げていった。入りきらない兵士は、防壁を背に森と発電所の間の開いた空間に陣営を築き上げていた。この援軍を率いていたのは、零宝山の戦いの時にルーセントがいた部隊を指揮していた鷹武将軍のモーリスであった。
ウォルビスの部屋にノーム、モーリス、その補佐であるバスターが集まって今後の事を話し合っていた。
最初に口を開いたのはモーリスだった。
「状況はどうだ? バーゼル殿も攻めてくる可能性が極めて高いとの見方だったが……」
現況をウォルビスに尋ねるモーリスが腕を組んだ。ウォルビスも思案しながら机に寄りかかった。
「やつらが占領しているベロ・ランブロアに忍び込ませている偵察によれば、準備はほとんど終えているそうだ」
「なるほどな、動くなら数日のうちか。地図はどこだ? バーゼル殿の見立てによれば森から五キロほど離れた場所に布陣するんじゃないか、と言っていたが……」
「五キロ? ノーム地図を取ってくれ」
ウォルビスがノームに向けてアゴをしゃくった。ノームが机の上を片付けて地図を広げると、全員が地図をのぞき込む。
「森から五キロって言うと、……この範囲か」
ウォルビスは円規を取りだして森を支点に半円を描く。全員が描かれた半円に目を落とした。
「こんなところに何かあったか?」ウォルビスが首をかしげて眉を潜めた。
「たしか、この辺には小高い丘があったかと」
ウォルビスのつぶやきに答えたのは、何度か巡察に出ていたノームであった。先に布陣されれば地の利は向こうにある。そして、おそらくは休息する間もなく戦闘をしなければいけないであろう状況に陥ることにモーリスが口を開いた。
「いっそのこと、こっちから先に攻めると言うのはどうだ?」
「……難しいな。先日、少数だが巡察部隊が奇襲を受けた。どこかに進入路があるらしいが、いまだに見つからない。こんな状況でこっちから出ていったら、外に出ている間に取られるかもしれない。それに、兄貴からは攻める許可は出ていない。おまけに、準備ができてると言っても本当に攻めてくるとも限らん。まったく、兄貴もあんなやつらのどこに慎重になる要素があるのか、さっぱり分かんねぇよ」
「虎威将軍が負けて戻ってきてからでしたね。慎重になったのは」バスターがウォルビスの言葉に反応した。
「あぁルードか、ここから東の方にあるガウザバード砦を攻略中に伏兵に囲まれたらしいな」モーリスが前将軍が慎重になりだした出来事を思い出す。
「はい。一部城壁が脆いところがあったらしく、そこを中心に攻めて崩すことができたそうです。防衛が手薄だったために一気に侵攻したところ、隠れていた伏兵に囲まれて逃げるのがやっとだったとか」
モーリスのざっくりした説明にバスターが詳しく補足する。その詳細に、モーリスが「詳しいな、バーゼル殿に聞いたのか?」と問いかけた。
「はい。偶然にも話す機会があったもので」バスターがさらっと答えた。
「ルードのやつもなかなかの脳筋だからな、情けねぇ」ウォルビスがアゴを触りながら当人を思い出して目を閉じた。
「お前が言えた義理か、似たようなもんだろうが! いつも前将軍に頭を使えと怒られてるのは誰だ!」
「俺ならあんな軟弱者どもなんて、全員ぶっ倒して砦まで落としてるね。問題ねぇよ」
「お前、頭から酢をぶっかけてやろうか?」
ウォルビスとモーリスのやり取りに笑い声が溢れる。
笑われた理由が分からず、不思議な表情を浮かべるウォルビスであった。
モーリスが頭を左右に振ると、さらに続けた。
「まぁいい。どっちにしても、相手が強かろうが弱かろうかが、こっちは森を抜けなきゃ話にならない。油断はできないぞ」
「そうなんだよな。最低でも伏兵と火計には用心しないとな。道幅が二十メートルほどあると言っても、一気に進軍できるほどじゃないからな」
どうしたものかと悩むウォルビスとモーリスに、ノームが進言する。
「それでしたら、水魔法を使えるものを各部隊に配置して、前後に騎兵を置いて伏兵対策に八部隊に別けてはいかがですか?」
「そうだな……、隊列が伸び過ぎるのが気になるが、仕方ないか。八号隊を先頭に一号隊を最後にすれば、すぐに陣形も組めるだろうし、言うほど悪くもないか」
こうして訓練生の配置も含めて、来るときに備えて話が続けられていった。
次の日からは、二部隊ずつで訓練が行われて連携の確認を厳重にしていった。
二日後の朝、サラージ王国軍が占領する街ベロ・ランブロアに放っていた偵察兵が慌ててウォルビスの執務室へと戻ってきた。
「武衛将軍! サラージ王国軍がベロ・ランブロアから出陣しました。数はおよそ三千五百ほどです!」
「来たか! ノーム全軍に伝えろ。これよりサラージ王国軍を迎え撃つ!」
「かしこまりました」
ノームはすぐに執務室を退出すると、すべての部隊長に命を下す。部隊長は急いで配下の兵に伝えて準備を進めていった。
発電所の外、街道に隊列が連なっていく。
防衛に二千三百二十名ほどを残し、四千五百名が戦闘に参加する。
訓練生は八号隊に八人、残りは六人に別れて配置されている。ルーセントとティアは八号隊、前線に配置された。パックスは一号隊で最後方の部隊に置かれた。
「いよいよですね、ルーセント。あの嫌なやつは来るでしょうか?」
「たぶんね。あの時、部隊を指揮していたのは将軍クラスのはずだから、それと対等の会話をしてたってことはかなりの地位にいるはずだよ」
「すごいですね。私たちと同じ歳なのに」
「それだけ優秀ってことだね。油断しちゃダメだよ」
「分かってます。頑張りましょ~」
ティアは、まるで遠足にでも行くように余裕を見せる。それとは逆に緊張の表情を浮かべる訓練生。
ルーセントは笑みとともに「この前より人数が多いだけだ」と声をかけて落ち着かせた。完全に緊張が取れたわけでもなかったが、問題はないだろうと安心したところで進軍が伝えられて歩き出した。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
愛なんてどこにもないと知っている
紫楼
恋愛
私は親の選んだ相手と政略結婚をさせられた。
相手には長年の恋人がいて婚約時から全てを諦め、貴族の娘として割り切った。
白い結婚でも社交界でどんなに噂されてもどうでも良い。
結局は追い出されて、家に帰された。
両親には叱られ、兄にはため息を吐かれる。
一年もしないうちに再婚を命じられた。
彼は兄の親友で、兄が私の初恋だと勘違いした人。
私は何も期待できないことを知っている。
彼は私を愛さない。
主人公以外が愛や恋に迷走して暴走しているので、主人公は最後の方しか、トキメキがないです。
作者の脳内の世界観なので現実世界の法律や常識とは重ねないでお読むください。
誤字脱字は多いと思われますので、先にごめんなさい。
他サイトにも載せています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
婚約破棄は誰が為の
瀬織董李
ファンタジー
学園の卒業パーティーで起こった婚約破棄。
宣言した王太子は気付いていなかった。
この婚約破棄を誰よりも望んでいたのが、目の前の令嬢であることを……
10話程度の予定。1話約千文字です
10/9日HOTランキング5位
10/10HOTランキング1位になりました!
ありがとうございます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる