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精霊の加護162 本流の脅威
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精霊の加護
Zu-Y
№162 本流の脅威
謀反貴族の子息子女9名の出家の儀と、教都北部の大聖堂の奥にある聖山への入山を見届けて、イゴール帝からの依頼を、滞りなくこなすことができた。これで一段落である。
俺は任務完了の報告書を、殿下とイゴール帝に鳩便で送った。
諸々のやることを終えて、大聖堂のVIP用宿坊にあてがわれた部屋に戻ったのは昼下がりであった。
精霊たちを風呂に入れ、いつも通りに体を隅々まで洗ってやると、精霊たちはキャッキャと大喜びだ。しかしなぁ、子供の第一形態、第二形態ならいざ知らず、大人の第四形態、第五形態を洗ってやるのはどうなんだろ。精霊たちは、自分で洗うとは決して言わないし。
もちろん、第四・第五形態を洗ってやるのはやぶさかではない。と言うか、やり甲斐を感じている。このやり甲斐は、第三形態までは全然感じなかった。
第五形態のツリとクレとのぱふぱふ、第四形態の残りの精霊たちとのもみもみは、もはや入浴中の恒例行事になっていた。
『やだー、洗って。』『洗ってー。』おやおや、心中読まれましたか。苦笑
『洗ってくれないと、ぱふぱふ、して上げないよー。』『上げないよー。』あ、それは困る。
『洗ってくれないと、もみもみ、させて上げないよー。』『上げないよー。』それは、別にやらなくても…。
『『『『『『『むー。』』』』』』』第四形態の精霊たち7人がムッとしてしまった。やべ、また読まれたか。苦笑
「もちろんこれからも、隅々まで丁寧に洗わせて頂きます。」
『『『『『『『『『よろしー。』』』』』』』』』
明日、教都を発つ。よって、教都最後の夕餉は、皆と宿坊の部屋でゆるりと楽しんだ。教国独特の酪酒でほろ酔いになりつつ、もともと行ける口のわが妻たちもグイグイ行くし、精霊たちも口移しで呑んで陽気になっていた。
で、お床入りであるが、ドーラが、
「わらわはもうすぐ発情期ゆえ今宵は譲るぞえ。その代わり、主様よ。発情期中はミュンヒェーへの道中なんじゃが、3日のうちせめて1日だけはかわいがってたも。」と、上目遣いで言って来た。かわいい♪
「もちろん!
いいよな?」と他の妻たちにも確認し、了承を得た。
そう言う訳でドーラが抜けてトーラが繰り上がって、ベス、ビーチェ、トーラを堪能したのだった。
翌日、大司教様に見送られるとき、神官のひとりがやって来て、
「使徒様、この3日間の喜捨なのですが、飛んでもない額になりまして…。」
「すべて寄付する。」
「は?」
「ルゥド・オー周辺の農地改革に1/4、ヴァーの復興に1/4、キュプロンとアリトナへの投資に1割ずつ、残りはすべて教都大聖堂に。」
「しかし…。」
「教国からの喜捨は教国のために使え。それが俺のために使うことになるのだ。」
「使徒様、忝うございます。」俺と神官の会話を横で聞いていた教皇様が、深々と頭を下げた。
「教皇様、勿体ない。」
「いえ。やはり使徒様は精霊神様の化身。」いやいや、違うし。ってかいつもそこで話が落ち着くのな。苦笑
「ではまた。帝国からの稚児衆のこと、くれぐれもよろしくお願いします。」
「お任せください。」頼もしい教皇様のお返事。
俺たちは、随行して来た王都騎士団と、教国からの帝国との同盟締結使節団と、その護衛の教都騎士団と共に、教都を後にした。
約束通り、教都からミュンヒェーへの道中ではあったが、満月の夜に発情期真っ只中のドーラを堪能した。もちろん生で♪
1週間後にミュンヒェーに到着。
領主館を訪ねると、ジークが出迎えてくれた。でもハイジがいない。
「ゲオルク様、お疲れ様です。」
「よう、ジーク。珍しくハイジがいないな。執務か?」
「母上は、クララと手勢を連れて本流に行っています。ヴォルも手勢の分隊長として一緒です。俺だけ留守居になりました。」あれ?ジークったら、ひとりだけ留守居でちょっと拗ねてる?笑
…じゃなかった、ハイジが国境の警備をほったらかして駆け付けるってただ事じゃねぇよな。あ、でも教国とは同盟を結んだから、そうでもないか。
「本流で何かあったのか?」
「はい。本流でジャイアントクロコダイルが大量発生したそうで、母上たちはその討伐隊の応援に行きました。」
「なんだと?そりゃ一大事じゃねぇか。本流のどこだ?」
「ラスプ村と東府を結ぶ街道の周辺です。」まじか!
「ハイジはいつミュンヒェーを発った?」
「3日前に出発したので、もう着いてると思います。」
トレホス王国の大河は2本。本流と支流だ。
本流は、北部に源流を発し、東部を巻き込むように流れ、中部の南側を通ってから南部に入って南部湾に注ぐ。ちなみに、西部の北側から発した支流は、西部を突っ切って南部に入り、南部で本流に合流している。
俺はわが妻たちとガキンチョ5人組に言った。
「俺は精霊たちを連れて、これからすぐ現場に駆け付ける。皆は、予定通りの行程で来て欲しい。東府で合流しよう。」あー、今夜のむふふタイムが…。
「わらわも変身して飛んで行くのじゃ。」
「トーラも、変身して、走って、行く。」
「いや、本隊の戦力はなるべく割きたくない。スピリタスで行動してくれ。」ガキンチョ5人組の面倒も見て欲しいしな。
それから、王都騎士団、教国外交使節団、教都騎士団の各代表を呼んで、ジークから聞いたジャイアントクロコダイルの件をかいつまんで伝えた。
「俺は精霊たちを連れて現場に急行する。皆は、予定通りの行程で来て欲しい。」
「いえ、私どもも駆け付けます。」と、王都騎士団の代表が言ったが、
「君らには、マリーたち5人の護衛任務がある。それが最優先だ。スピリタスも俺以外はマリーたちの護衛に残る。行くのは俺と精霊たちだけだ。」
「確かに。」王都騎士団の代表は納得したようだ。
「われら教都騎士団は、わが教国の外交使節団の護衛が任務ゆえ、ジャイアントクロコダイルの討伐は使徒様にお任せ致します。」
「そうだな。」
話はまとまった。
そう言う訳で、わが妻たち、ガキンチョ5人組、王都騎士団、教国外交使節団、教都騎士団と、ジークたちに見送られ、俺はナイトに跨った。
「じゃあ、東府でな。」ナイトが幻惑の術を解いて翼を広げ大空に飛び立った。精霊たちも飛んで付いて来る。
ナイトの飛行で、本流まではおよそ2~3時間。本流に着くのは宵の口になるな
だんだん日が暮れて来て、眼下にはラスプ村が見えた。今回は素通りになるけどな。もうしばらくだ。
すっかり日が暮れて夜の帳に包まれ、本流と森林の区別がつきにくくなったが、本流に沿っておよそ2㎞に亘って焚いている2列の篝火は、辺りが暗くなることで逆に目立って来た。
なるほどな。ジャイアントクロコダイルは火を嫌うから、西岸と東岸の河沿いに沿って等間隔で篝火を焚いて、上陸させないようにしてるんだ。しかも2列の篝火の列の末端は、橋を利用して河の上にも篝火を焚いているから、篝火で囲って閉じ込めてる訳か。上流端の橋が、東府とラスプ村を結ぶ街道の橋である。
しかしこれからどうすんのかね。水を抜くにも上流から水がどんどん流れて来る訳だしな。上流にダムでも造るのか?
「ソル。」『はーい。』
ソルが発光の精霊魔法を発して、辺りを照らした。おお、かなりの数の人がいるじゃない。冒険者?衛兵?騎士団?皆がこっちを見上げている。
ソルの発光を頼りに、ナイトを着地させ、この団体の責任者の所に案内してもらった。本営は東府とラスプ村を繋ぐ街道の橋の西岸に設置されていた。本営と言ってもテントだけど。
「スピリタス卿ではありませんか!」
「あ、東府近衛隊の隊長。」東部公爵様の側近のひとりだ。何度か顔を合わせたことがある。
「どうしたのです?教国に行かれてたはずでは?」
「ああ、そうなんだけどさ、夕方ミュンヒェーに着いたら、留守居のジークにここの話を聞いてね。」
「ジーク?」
「ハイジの長男で、宰相見習みたいな役どころをやってる奴。」
「ハイジと言うと、ミュンヒェー辺境伯様ですか?」
「そう。3日前に知らせを聞いて、すぐにミュンヒェーを発ったそうだ。」
「今日の昼過ぎにお着きになりました。東岸の下流で篝火を焚いて、ジャイアントクロコダイルの上陸を押さえてもらってます。」
「篝火でジャイアントクロコダイルを閉じ込めてんのか?」
「そのつもりですが、実際、期待通りに閉じ込められているのか、分からないんですよ。」
「そう、じゃあ確認すっか。
おーい皆、ジャイアントクロコダイルは篝火で囲まれた中にいる?」
『いるよー。』『18匹ー。』そんなにいるのか!
「篝火の外には?」
『この辺にはいなーい。』『いなーい。』
「18匹全部、篝火の中に閉じ込めてるってさ。で、どうすんの?」俺は東府近衛隊の隊長に、討伐方針を尋ねた。
「18匹もいるんですか!
…一応ですね、篝火を1か所だけ消して、そこに餌を置いておびき寄せようかと思ってたんですか、まいったな。18匹もいるんじゃ、他の手も考えないとな。うーん…。
いずれにしても、今宵は交代で監視し、明日、日が昇ってから退治します。」
「ふうん。じゃあ、俺は教都から着いたばかりだから、日が昇るまで休ませてもらうわ。」
「分かりました。」
精霊たちにいつもよりコンパクトな野営所を造ってもらい、ナイトを野営所の牧草地に放牧した。
コンパクトと言っても、露天風呂はしっかり造っている。腹が減ったから最初に飯にするので、お湯張りは後で。
異空間収納袋から凍結肉を出して、串焼きにして腹を満たした。ひとりだと飯が雑になるな。男飯ってか?笑
飯も食ったし、風呂にでも入るかね。ってことでお湯張りをしよう。露天風呂には、ワラが本流から水を吸い上げて湯船に運び、フィアがその水を沸かして…。
これだっ!閃いたぞ。
ワラに、上流から流れて来る本流の水を、篝火エリアの手前から篝火エリアの後まで放水してもらう。するとショートカットされた篝火エリアの本流の水量が減るから、フィアに減った水を一気に沸かしてもらう。ジャイアントクロコダイルは、熱さのせいで這い出して来るはずから、そこをチルに凍結してもらう。
いいじゃん、これ。
『ゲオルクー、お風呂ー。』『お風呂ー。』
「あー、ごめんごめん。」
精霊たちを洗ってやると、相変わらずキャッキャと大喜びなのだった。反応はまるで子供じゃん。和むわー。
でも見た目は大人だから、傍から見たら、えっちぃよな、これ。苦笑
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
半年間、ふらふらしてしまいましたが、週1ペースで連載を再開します。毎週火曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№162 本流の脅威
謀反貴族の子息子女9名の出家の儀と、教都北部の大聖堂の奥にある聖山への入山を見届けて、イゴール帝からの依頼を、滞りなくこなすことができた。これで一段落である。
俺は任務完了の報告書を、殿下とイゴール帝に鳩便で送った。
諸々のやることを終えて、大聖堂のVIP用宿坊にあてがわれた部屋に戻ったのは昼下がりであった。
精霊たちを風呂に入れ、いつも通りに体を隅々まで洗ってやると、精霊たちはキャッキャと大喜びだ。しかしなぁ、子供の第一形態、第二形態ならいざ知らず、大人の第四形態、第五形態を洗ってやるのはどうなんだろ。精霊たちは、自分で洗うとは決して言わないし。
もちろん、第四・第五形態を洗ってやるのはやぶさかではない。と言うか、やり甲斐を感じている。このやり甲斐は、第三形態までは全然感じなかった。
第五形態のツリとクレとのぱふぱふ、第四形態の残りの精霊たちとのもみもみは、もはや入浴中の恒例行事になっていた。
『やだー、洗って。』『洗ってー。』おやおや、心中読まれましたか。苦笑
『洗ってくれないと、ぱふぱふ、して上げないよー。』『上げないよー。』あ、それは困る。
『洗ってくれないと、もみもみ、させて上げないよー。』『上げないよー。』それは、別にやらなくても…。
『『『『『『『むー。』』』』』』』第四形態の精霊たち7人がムッとしてしまった。やべ、また読まれたか。苦笑
「もちろんこれからも、隅々まで丁寧に洗わせて頂きます。」
『『『『『『『『『よろしー。』』』』』』』』』
明日、教都を発つ。よって、教都最後の夕餉は、皆と宿坊の部屋でゆるりと楽しんだ。教国独特の酪酒でほろ酔いになりつつ、もともと行ける口のわが妻たちもグイグイ行くし、精霊たちも口移しで呑んで陽気になっていた。
で、お床入りであるが、ドーラが、
「わらわはもうすぐ発情期ゆえ今宵は譲るぞえ。その代わり、主様よ。発情期中はミュンヒェーへの道中なんじゃが、3日のうちせめて1日だけはかわいがってたも。」と、上目遣いで言って来た。かわいい♪
「もちろん!
いいよな?」と他の妻たちにも確認し、了承を得た。
そう言う訳でドーラが抜けてトーラが繰り上がって、ベス、ビーチェ、トーラを堪能したのだった。
翌日、大司教様に見送られるとき、神官のひとりがやって来て、
「使徒様、この3日間の喜捨なのですが、飛んでもない額になりまして…。」
「すべて寄付する。」
「は?」
「ルゥド・オー周辺の農地改革に1/4、ヴァーの復興に1/4、キュプロンとアリトナへの投資に1割ずつ、残りはすべて教都大聖堂に。」
「しかし…。」
「教国からの喜捨は教国のために使え。それが俺のために使うことになるのだ。」
「使徒様、忝うございます。」俺と神官の会話を横で聞いていた教皇様が、深々と頭を下げた。
「教皇様、勿体ない。」
「いえ。やはり使徒様は精霊神様の化身。」いやいや、違うし。ってかいつもそこで話が落ち着くのな。苦笑
「ではまた。帝国からの稚児衆のこと、くれぐれもよろしくお願いします。」
「お任せください。」頼もしい教皇様のお返事。
俺たちは、随行して来た王都騎士団と、教国からの帝国との同盟締結使節団と、その護衛の教都騎士団と共に、教都を後にした。
約束通り、教都からミュンヒェーへの道中ではあったが、満月の夜に発情期真っ只中のドーラを堪能した。もちろん生で♪
1週間後にミュンヒェーに到着。
領主館を訪ねると、ジークが出迎えてくれた。でもハイジがいない。
「ゲオルク様、お疲れ様です。」
「よう、ジーク。珍しくハイジがいないな。執務か?」
「母上は、クララと手勢を連れて本流に行っています。ヴォルも手勢の分隊長として一緒です。俺だけ留守居になりました。」あれ?ジークったら、ひとりだけ留守居でちょっと拗ねてる?笑
…じゃなかった、ハイジが国境の警備をほったらかして駆け付けるってただ事じゃねぇよな。あ、でも教国とは同盟を結んだから、そうでもないか。
「本流で何かあったのか?」
「はい。本流でジャイアントクロコダイルが大量発生したそうで、母上たちはその討伐隊の応援に行きました。」
「なんだと?そりゃ一大事じゃねぇか。本流のどこだ?」
「ラスプ村と東府を結ぶ街道の周辺です。」まじか!
「ハイジはいつミュンヒェーを発った?」
「3日前に出発したので、もう着いてると思います。」
トレホス王国の大河は2本。本流と支流だ。
本流は、北部に源流を発し、東部を巻き込むように流れ、中部の南側を通ってから南部に入って南部湾に注ぐ。ちなみに、西部の北側から発した支流は、西部を突っ切って南部に入り、南部で本流に合流している。
俺はわが妻たちとガキンチョ5人組に言った。
「俺は精霊たちを連れて、これからすぐ現場に駆け付ける。皆は、予定通りの行程で来て欲しい。東府で合流しよう。」あー、今夜のむふふタイムが…。
「わらわも変身して飛んで行くのじゃ。」
「トーラも、変身して、走って、行く。」
「いや、本隊の戦力はなるべく割きたくない。スピリタスで行動してくれ。」ガキンチョ5人組の面倒も見て欲しいしな。
それから、王都騎士団、教国外交使節団、教都騎士団の各代表を呼んで、ジークから聞いたジャイアントクロコダイルの件をかいつまんで伝えた。
「俺は精霊たちを連れて現場に急行する。皆は、予定通りの行程で来て欲しい。」
「いえ、私どもも駆け付けます。」と、王都騎士団の代表が言ったが、
「君らには、マリーたち5人の護衛任務がある。それが最優先だ。スピリタスも俺以外はマリーたちの護衛に残る。行くのは俺と精霊たちだけだ。」
「確かに。」王都騎士団の代表は納得したようだ。
「われら教都騎士団は、わが教国の外交使節団の護衛が任務ゆえ、ジャイアントクロコダイルの討伐は使徒様にお任せ致します。」
「そうだな。」
話はまとまった。
そう言う訳で、わが妻たち、ガキンチョ5人組、王都騎士団、教国外交使節団、教都騎士団と、ジークたちに見送られ、俺はナイトに跨った。
「じゃあ、東府でな。」ナイトが幻惑の術を解いて翼を広げ大空に飛び立った。精霊たちも飛んで付いて来る。
ナイトの飛行で、本流まではおよそ2~3時間。本流に着くのは宵の口になるな
だんだん日が暮れて来て、眼下にはラスプ村が見えた。今回は素通りになるけどな。もうしばらくだ。
すっかり日が暮れて夜の帳に包まれ、本流と森林の区別がつきにくくなったが、本流に沿っておよそ2㎞に亘って焚いている2列の篝火は、辺りが暗くなることで逆に目立って来た。
なるほどな。ジャイアントクロコダイルは火を嫌うから、西岸と東岸の河沿いに沿って等間隔で篝火を焚いて、上陸させないようにしてるんだ。しかも2列の篝火の列の末端は、橋を利用して河の上にも篝火を焚いているから、篝火で囲って閉じ込めてる訳か。上流端の橋が、東府とラスプ村を結ぶ街道の橋である。
しかしこれからどうすんのかね。水を抜くにも上流から水がどんどん流れて来る訳だしな。上流にダムでも造るのか?
「ソル。」『はーい。』
ソルが発光の精霊魔法を発して、辺りを照らした。おお、かなりの数の人がいるじゃない。冒険者?衛兵?騎士団?皆がこっちを見上げている。
ソルの発光を頼りに、ナイトを着地させ、この団体の責任者の所に案内してもらった。本営は東府とラスプ村を繋ぐ街道の橋の西岸に設置されていた。本営と言ってもテントだけど。
「スピリタス卿ではありませんか!」
「あ、東府近衛隊の隊長。」東部公爵様の側近のひとりだ。何度か顔を合わせたことがある。
「どうしたのです?教国に行かれてたはずでは?」
「ああ、そうなんだけどさ、夕方ミュンヒェーに着いたら、留守居のジークにここの話を聞いてね。」
「ジーク?」
「ハイジの長男で、宰相見習みたいな役どころをやってる奴。」
「ハイジと言うと、ミュンヒェー辺境伯様ですか?」
「そう。3日前に知らせを聞いて、すぐにミュンヒェーを発ったそうだ。」
「今日の昼過ぎにお着きになりました。東岸の下流で篝火を焚いて、ジャイアントクロコダイルの上陸を押さえてもらってます。」
「篝火でジャイアントクロコダイルを閉じ込めてんのか?」
「そのつもりですが、実際、期待通りに閉じ込められているのか、分からないんですよ。」
「そう、じゃあ確認すっか。
おーい皆、ジャイアントクロコダイルは篝火で囲まれた中にいる?」
『いるよー。』『18匹ー。』そんなにいるのか!
「篝火の外には?」
『この辺にはいなーい。』『いなーい。』
「18匹全部、篝火の中に閉じ込めてるってさ。で、どうすんの?」俺は東府近衛隊の隊長に、討伐方針を尋ねた。
「18匹もいるんですか!
…一応ですね、篝火を1か所だけ消して、そこに餌を置いておびき寄せようかと思ってたんですか、まいったな。18匹もいるんじゃ、他の手も考えないとな。うーん…。
いずれにしても、今宵は交代で監視し、明日、日が昇ってから退治します。」
「ふうん。じゃあ、俺は教都から着いたばかりだから、日が昇るまで休ませてもらうわ。」
「分かりました。」
精霊たちにいつもよりコンパクトな野営所を造ってもらい、ナイトを野営所の牧草地に放牧した。
コンパクトと言っても、露天風呂はしっかり造っている。腹が減ったから最初に飯にするので、お湯張りは後で。
異空間収納袋から凍結肉を出して、串焼きにして腹を満たした。ひとりだと飯が雑になるな。男飯ってか?笑
飯も食ったし、風呂にでも入るかね。ってことでお湯張りをしよう。露天風呂には、ワラが本流から水を吸い上げて湯船に運び、フィアがその水を沸かして…。
これだっ!閃いたぞ。
ワラに、上流から流れて来る本流の水を、篝火エリアの手前から篝火エリアの後まで放水してもらう。するとショートカットされた篝火エリアの本流の水量が減るから、フィアに減った水を一気に沸かしてもらう。ジャイアントクロコダイルは、熱さのせいで這い出して来るはずから、そこをチルに凍結してもらう。
いいじゃん、これ。
『ゲオルクー、お風呂ー。』『お風呂ー。』
「あー、ごめんごめん。」
精霊たちを洗ってやると、相変わらずキャッキャと大喜びなのだった。反応はまるで子供じゃん。和むわー。
でも見た目は大人だから、傍から見たら、えっちぃよな、これ。苦笑
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
半年間、ふらふらしてしまいましたが、週1ペースで連載を再開します。毎週火曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「射手の統領」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/541586735
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
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