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精霊の加護161 2度目の教国入りと諸々開発計画
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精霊の加護
Zu-Y
№161 2度目の教国入りと諸々開発計画
王太子殿下とハイジたちに見送られて、俺たちは教都への旅路へと就いた。
俺たちと一緒に教都へ向かう、王都から来た王都騎士団は1/3になった。残りは、殿下の王都帰還を護衛するのだ。
教国からミュンヒェーまで教皇様が来てくれたおかげで、外交使節団もミュンヒェーでお役御免。
このため、教都に向かう王国勢は俺たちスピリタス、ガキンチョ5人組、帝国からの謀反貴族家の子息子女9名を護衛する王都騎士団となった。
一方、教国勢は、教皇様とその側近たち含む外交使節団、その護衛の教都騎士団で、王国勢の3倍以上の勢力がいる。
ミュンヒェーから教都は馬車で1週間の行程で、その途中は、野営も村への宿泊もあった。村では大いに歓迎される。
その理由は…え?教皇様がいるからだろうって?
違う。俺がいるからだ。
精霊魔術師の俺は、教国では、精霊=天使様を使いこなす神の使徒。しかも、複数の精霊を従えているため、精霊神様の化身では?と言う噂が囁かれている始末。要するに、教国の民からの位置付けでは、俺は教皇様よりも上なのだ。
さらに、前回訪問したとき、俺の精霊たちは第三形態だったが、今回は第四形態。第五形態のツリとクレまでもがいる。それとダクも増えた。
立ち寄る村々で、
「あ、あ、あ、天使様が…女神様へおなり遊ばそうとしていらっしゃる。」
「天使様が増えていらっしゃる。やはり使徒様は精霊神様の化身…。」
と言う声が上がった。
これは要約すると「精霊たちが大きくなった。」「精霊がまた増えた。」と言うことらしい。笑
教皇様は村人たちに、俺が精霊神様の化身だと持ち上げた上で、自分は、精霊神様の化身である俺の信頼を勝ち得ている。と言う言い回しで、自らの権威を高めていた。
何のことはない。俺をいいように利用したのだ。苦笑
さらには、
「皆の者、お聞きなさい。朗報です。
この度、使徒様は、教国を信頼する証として、王国東部の領主、東部公爵家のお世継ぎを、教都大聖堂の、巫女見習アイチャの婿として縁組まれました。」
いや、ヘルムートが婿入りするんじゃなくて、アイチャが嫁入りするんだけどな。
「おおお~。」×多。村人から感嘆の声が上がる。
「今はまだ、ふたりが幼いゆえ婚約ですが、成婚した暁には、アイチャは、王国の東部公爵領の首府、東府へと赴き、東部公爵領の隅々にまで、神の御慈悲をもたらすでしょう。」
なんというレトリック。あたかも王国東部が教国領になる様な言い回しではないか。苦笑
「おおお~。」×多。再び村人から感嘆の声が上がる。
俺は、この教皇のレトリックに、呆れるよりもむしろ感心してしまったのだった。
ミュンヒェーから1週間で教都イスタナンカラに到着。
「使ー徒様!使ー徒様!…。」×極多。
俺たち一行は、群衆と化した教都の民の、物凄い声援で出迎えられた。
「主様よ、相変わらずの人気じゃのう。」
「いや、相変わらずって言うより、なんか前回より凄い気がする。」
俺は、ドーラとトーラとガキンチョ5人組と一緒に、アクアビット号の屋上の見張台にいた。
「ゲオルク様、ゲオルク様への民たちのこの熱狂、凄いです。」マリーが目ん玉をハートマークにして感動し、ヘルムート、ディエゴ、エカチェリーナが圧倒されている。
アイチャは、前回のことで、こんな風になるのが分かっていたから平気である。まぁ多少は驚いていたけれどもな。
なお、トーラはまったく動じていないようだと思ったが、後で聞いたら、「凄かった。」とひと言。それなりには、驚いてはいたようだ。笑
教都の大聖堂に着くと、VIP用宿坊にあてがわれた部屋でひと息つく間もろくにないまま、群衆の前に駆り出されて演説させられた。
取り敢えず、王国と教国の同盟は万全だ。とか、
帝国から聖職者の道を選んだ子たちを連れて来た。とか、
王国に留学している巫女見習のアイチャと東部公爵家嫡男のヘルムートが婚約した。とか、
当たり障りのない挨拶をしたが、その都度、群衆は「おおお~!」と、熱狂的な反応を示した。演説していた時間より、歓声が収まるのを待ってた時間の方が長かった気がする。苦笑
教都での宿泊は、王教同盟後に新築された王国大使館になると思ったが、教国側に請われて以前と同じ、教都大聖堂のVIP用宿坊であった。群衆へ演説させるためだろう。
教国の都合で大聖堂のVIP用宿坊に泊まることになったので、もはや遠慮せず、ジュヌ、カルメン、ベスとむふふな夜を堪能したのだった。
翌日、翌々日は、俺をひと目見に、大聖堂へ押し掛けて来た群衆に向かって、バルコニーから演説を、午前、午後、夕方と、3回ずつ計6回やらされた。当然、精霊たち=天使様、わが妻たち=女神様を連れて。
毎回同じ演説を聞き、毎回同じように感動して、毎回惜しまぬ喜捨をして行く群衆たち。
夜はわが妻たちとむふふであったのは言うまでもない。
教都到着の3日後、帝国の謀反貴族家の子息子女9人の出家の儀が行われた。
本来、処刑されるはずだった9人は、イゴール帝の慈悲によって、帝国からの永久追放と教国での出家を条件に、助命された。
その寛大な処置に感銘を受けた教皇様が、9人を教国で出家させ、聖職者にすると言うことで教都に引き取った。9人は出家の後、教都の聖山の稚児衆として、聖職者の道を歩み始めるのだ。
あいつら、要は謀反を起こした父親たちのとばっちりだけれども、そこんとこ、どう思ってるんだろうな。などと、同情してしまう自分がいた。
このイゴール帝と教皇様の仲介には、俺が下準備をした上で、ミカエル殿下が前面に立っておられる。
そして、この助命と出家は、当事者である帝国と教国、さらには仲介した王国の友好を示す美談として、3国の民たちに喧伝される手筈になっているのだ。
殿下の目指す三国同盟への布石である。
この後は、9人の出家の儀と聖山への入山を見届けて帰国する俺たちに、教国の外交使節団が王都まで同行し、王都で教国と帝国の外交使節団が相まみえて、教帝同盟に調印するのだ。
すでに結ばれている王教同盟と王帝同盟に、教帝同盟が加わることによって、王教帝三国同盟が成立することになる。これこそ殿下の悲願である。
「のう、主様よ。この後、王国に帰ったらいかが致すのじゃな?」
「そうですわね。三国同盟が締結されれば、外交関連のお仕事も一段落ですものね。」
「一応、ラスプ・デルスゥデ島に行こうと思ってるんだ。」
「ん?てことは、島の開発に行くのかい?」
「それもあるけどさ、きっと夏の終わりの頃になるからさ、南部湾に面した白浜のビーチで、皆とバカンスかな。」
「あー、それありだよ。楽しみー。あ、そうそう、水着も用意しないとだねー。」
ふふふ。実は教都に来る前、王都の御用達の仕立屋で仕込みをして来ているのだ。胸元に大胆なV字の切れ込みを入れたハイレグの水着をな。
この水着のデザインを見た店長は、「おお、これはっ。」と感嘆してたけどな。
王都に戻る頃には試作品が出来上がってるだろうから、この試作品をわが妻たちが着てビーチを闊歩すれば、男どもは前屈み、女たちは羨望の眼差しを向けて来ること間違いなし。
唯一残念なのは、ラスプ・デルスゥデ島に行く頃は、もう夏が後半になってると言うことだ。この水着が流行るのは来シーズンになっちゃうだろうな。
「羨ましいです。私たちは学校が始まってしまいますもの。」マリーがそう言うと、エカチェリーナもアイチャもうんうんと同意して溜息をついた。
「それに学校が始まれば、また皆と離れ離れだもんな。」とヘルムートが寂しげに呟いて、ガキンチョ5人組がうんうんと頷いた。
マリーは王都魔法学院、エカチェリーナは王都近衛隊養成所、アイチャは王都教会神職養成所、ヘルムートは東府騎士団員養成所、ディエゴは西府騎士団養成所と、ガキンチョ5人組は一旦解散だ。
せっかく婚約したと言うのに、ヘルムートとアイチャ、ディエゴとエカチェリーナは早々に遠距離ではないか。かわいそうに。あ、マリーもか。
「うーん、バカンスもいいけど、トーラ、クエストしたい。」
「大丈夫だよ。ラスプ・デルスゥデ島は元々無人島だからさ、島の調査クエストとか、いくらでもあるさ。」
もっともその調査依頼を出すのは、俺たちなんだが。笑
「お頭様、バカンスしながら、クエスト?」
「そうだよ。夏の終わりまでバカンスで、じきに夏が終われば本格的に島の調査と開発だな。細かいことはラモと打ち合わせしながらになるけどな。」
「あなた、ラスプ・デルスゥデ島にはいつまでいるのかしら?」
「秋口くらい?軌道に乗ったら次は西部大草原に行くつもりだよ。」
「いよいよ競馬場の建設?」ディエゴが食い付いて来た。
「最初は馬の牧場だな。競馬場は馬の生産が軌道に乗ってからだから、数年先になるだろうよ。繫殖馬の仕入からだな。
ベス、その際はよろしく頼むよ。」
「うむ。馬のことなら任せておけ。喜んで引き受けようではないか。ところで、北部はいかが致すのだ?」
「うん、北部公爵様にも催促されたしなぁ。後回しになっちゃってるけど、行ってみてじっくり見てみないことには何とも。とにかく、冬には行ってみようと思ってるよ。」
それと、ずっと前から思っていたのだが、四府、すなわち東府・西府・南府・北府の間の移動が、すべて王都を経由している今の交通状況を改善しないとな。
具体的には、東府・南府間、東府・北府間、西府・南府間、西府・北府間に、それぞれ4本の幹線道路を建設して、王都への一極集中を緩和すると言う案を、殿下と4人の公爵様方と宰相様に献策しよう。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R5/1/1
更新は火木土の週3日ペースでしたが、11月中旬にストックが尽きてしまい、1か月ちょっとの間、自転車操業で更新していました。
このため、後からの付け足しなど、修正改稿が増えてしまいました。
発表開始から丸1年の本日の投稿をもって、しばらく更新をお休みし、ストックを増やしてから再開いたします。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№161 2度目の教国入りと諸々開発計画
王太子殿下とハイジたちに見送られて、俺たちは教都への旅路へと就いた。
俺たちと一緒に教都へ向かう、王都から来た王都騎士団は1/3になった。残りは、殿下の王都帰還を護衛するのだ。
教国からミュンヒェーまで教皇様が来てくれたおかげで、外交使節団もミュンヒェーでお役御免。
このため、教都に向かう王国勢は俺たちスピリタス、ガキンチョ5人組、帝国からの謀反貴族家の子息子女9名を護衛する王都騎士団となった。
一方、教国勢は、教皇様とその側近たち含む外交使節団、その護衛の教都騎士団で、王国勢の3倍以上の勢力がいる。
ミュンヒェーから教都は馬車で1週間の行程で、その途中は、野営も村への宿泊もあった。村では大いに歓迎される。
その理由は…え?教皇様がいるからだろうって?
違う。俺がいるからだ。
精霊魔術師の俺は、教国では、精霊=天使様を使いこなす神の使徒。しかも、複数の精霊を従えているため、精霊神様の化身では?と言う噂が囁かれている始末。要するに、教国の民からの位置付けでは、俺は教皇様よりも上なのだ。
さらに、前回訪問したとき、俺の精霊たちは第三形態だったが、今回は第四形態。第五形態のツリとクレまでもがいる。それとダクも増えた。
立ち寄る村々で、
「あ、あ、あ、天使様が…女神様へおなり遊ばそうとしていらっしゃる。」
「天使様が増えていらっしゃる。やはり使徒様は精霊神様の化身…。」
と言う声が上がった。
これは要約すると「精霊たちが大きくなった。」「精霊がまた増えた。」と言うことらしい。笑
教皇様は村人たちに、俺が精霊神様の化身だと持ち上げた上で、自分は、精霊神様の化身である俺の信頼を勝ち得ている。と言う言い回しで、自らの権威を高めていた。
何のことはない。俺をいいように利用したのだ。苦笑
さらには、
「皆の者、お聞きなさい。朗報です。
この度、使徒様は、教国を信頼する証として、王国東部の領主、東部公爵家のお世継ぎを、教都大聖堂の、巫女見習アイチャの婿として縁組まれました。」
いや、ヘルムートが婿入りするんじゃなくて、アイチャが嫁入りするんだけどな。
「おおお~。」×多。村人から感嘆の声が上がる。
「今はまだ、ふたりが幼いゆえ婚約ですが、成婚した暁には、アイチャは、王国の東部公爵領の首府、東府へと赴き、東部公爵領の隅々にまで、神の御慈悲をもたらすでしょう。」
なんというレトリック。あたかも王国東部が教国領になる様な言い回しではないか。苦笑
「おおお~。」×多。再び村人から感嘆の声が上がる。
俺は、この教皇のレトリックに、呆れるよりもむしろ感心してしまったのだった。
ミュンヒェーから1週間で教都イスタナンカラに到着。
「使ー徒様!使ー徒様!…。」×極多。
俺たち一行は、群衆と化した教都の民の、物凄い声援で出迎えられた。
「主様よ、相変わらずの人気じゃのう。」
「いや、相変わらずって言うより、なんか前回より凄い気がする。」
俺は、ドーラとトーラとガキンチョ5人組と一緒に、アクアビット号の屋上の見張台にいた。
「ゲオルク様、ゲオルク様への民たちのこの熱狂、凄いです。」マリーが目ん玉をハートマークにして感動し、ヘルムート、ディエゴ、エカチェリーナが圧倒されている。
アイチャは、前回のことで、こんな風になるのが分かっていたから平気である。まぁ多少は驚いていたけれどもな。
なお、トーラはまったく動じていないようだと思ったが、後で聞いたら、「凄かった。」とひと言。それなりには、驚いてはいたようだ。笑
教都の大聖堂に着くと、VIP用宿坊にあてがわれた部屋でひと息つく間もろくにないまま、群衆の前に駆り出されて演説させられた。
取り敢えず、王国と教国の同盟は万全だ。とか、
帝国から聖職者の道を選んだ子たちを連れて来た。とか、
王国に留学している巫女見習のアイチャと東部公爵家嫡男のヘルムートが婚約した。とか、
当たり障りのない挨拶をしたが、その都度、群衆は「おおお~!」と、熱狂的な反応を示した。演説していた時間より、歓声が収まるのを待ってた時間の方が長かった気がする。苦笑
教都での宿泊は、王教同盟後に新築された王国大使館になると思ったが、教国側に請われて以前と同じ、教都大聖堂のVIP用宿坊であった。群衆へ演説させるためだろう。
教国の都合で大聖堂のVIP用宿坊に泊まることになったので、もはや遠慮せず、ジュヌ、カルメン、ベスとむふふな夜を堪能したのだった。
翌日、翌々日は、俺をひと目見に、大聖堂へ押し掛けて来た群衆に向かって、バルコニーから演説を、午前、午後、夕方と、3回ずつ計6回やらされた。当然、精霊たち=天使様、わが妻たち=女神様を連れて。
毎回同じ演説を聞き、毎回同じように感動して、毎回惜しまぬ喜捨をして行く群衆たち。
夜はわが妻たちとむふふであったのは言うまでもない。
教都到着の3日後、帝国の謀反貴族家の子息子女9人の出家の儀が行われた。
本来、処刑されるはずだった9人は、イゴール帝の慈悲によって、帝国からの永久追放と教国での出家を条件に、助命された。
その寛大な処置に感銘を受けた教皇様が、9人を教国で出家させ、聖職者にすると言うことで教都に引き取った。9人は出家の後、教都の聖山の稚児衆として、聖職者の道を歩み始めるのだ。
あいつら、要は謀反を起こした父親たちのとばっちりだけれども、そこんとこ、どう思ってるんだろうな。などと、同情してしまう自分がいた。
このイゴール帝と教皇様の仲介には、俺が下準備をした上で、ミカエル殿下が前面に立っておられる。
そして、この助命と出家は、当事者である帝国と教国、さらには仲介した王国の友好を示す美談として、3国の民たちに喧伝される手筈になっているのだ。
殿下の目指す三国同盟への布石である。
この後は、9人の出家の儀と聖山への入山を見届けて帰国する俺たちに、教国の外交使節団が王都まで同行し、王都で教国と帝国の外交使節団が相まみえて、教帝同盟に調印するのだ。
すでに結ばれている王教同盟と王帝同盟に、教帝同盟が加わることによって、王教帝三国同盟が成立することになる。これこそ殿下の悲願である。
「のう、主様よ。この後、王国に帰ったらいかが致すのじゃな?」
「そうですわね。三国同盟が締結されれば、外交関連のお仕事も一段落ですものね。」
「一応、ラスプ・デルスゥデ島に行こうと思ってるんだ。」
「ん?てことは、島の開発に行くのかい?」
「それもあるけどさ、きっと夏の終わりの頃になるからさ、南部湾に面した白浜のビーチで、皆とバカンスかな。」
「あー、それありだよ。楽しみー。あ、そうそう、水着も用意しないとだねー。」
ふふふ。実は教都に来る前、王都の御用達の仕立屋で仕込みをして来ているのだ。胸元に大胆なV字の切れ込みを入れたハイレグの水着をな。
この水着のデザインを見た店長は、「おお、これはっ。」と感嘆してたけどな。
王都に戻る頃には試作品が出来上がってるだろうから、この試作品をわが妻たちが着てビーチを闊歩すれば、男どもは前屈み、女たちは羨望の眼差しを向けて来ること間違いなし。
唯一残念なのは、ラスプ・デルスゥデ島に行く頃は、もう夏が後半になってると言うことだ。この水着が流行るのは来シーズンになっちゃうだろうな。
「羨ましいです。私たちは学校が始まってしまいますもの。」マリーがそう言うと、エカチェリーナもアイチャもうんうんと同意して溜息をついた。
「それに学校が始まれば、また皆と離れ離れだもんな。」とヘルムートが寂しげに呟いて、ガキンチョ5人組がうんうんと頷いた。
マリーは王都魔法学院、エカチェリーナは王都近衛隊養成所、アイチャは王都教会神職養成所、ヘルムートは東府騎士団員養成所、ディエゴは西府騎士団養成所と、ガキンチョ5人組は一旦解散だ。
せっかく婚約したと言うのに、ヘルムートとアイチャ、ディエゴとエカチェリーナは早々に遠距離ではないか。かわいそうに。あ、マリーもか。
「うーん、バカンスもいいけど、トーラ、クエストしたい。」
「大丈夫だよ。ラスプ・デルスゥデ島は元々無人島だからさ、島の調査クエストとか、いくらでもあるさ。」
もっともその調査依頼を出すのは、俺たちなんだが。笑
「お頭様、バカンスしながら、クエスト?」
「そうだよ。夏の終わりまでバカンスで、じきに夏が終われば本格的に島の調査と開発だな。細かいことはラモと打ち合わせしながらになるけどな。」
「あなた、ラスプ・デルスゥデ島にはいつまでいるのかしら?」
「秋口くらい?軌道に乗ったら次は西部大草原に行くつもりだよ。」
「いよいよ競馬場の建設?」ディエゴが食い付いて来た。
「最初は馬の牧場だな。競馬場は馬の生産が軌道に乗ってからだから、数年先になるだろうよ。繫殖馬の仕入からだな。
ベス、その際はよろしく頼むよ。」
「うむ。馬のことなら任せておけ。喜んで引き受けようではないか。ところで、北部はいかが致すのだ?」
「うん、北部公爵様にも催促されたしなぁ。後回しになっちゃってるけど、行ってみてじっくり見てみないことには何とも。とにかく、冬には行ってみようと思ってるよ。」
それと、ずっと前から思っていたのだが、四府、すなわち東府・西府・南府・北府の間の移動が、すべて王都を経由している今の交通状況を改善しないとな。
具体的には、東府・南府間、東府・北府間、西府・南府間、西府・北府間に、それぞれ4本の幹線道路を建設して、王都への一極集中を緩和すると言う案を、殿下と4人の公爵様方と宰相様に献策しよう。
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更新は火木土の週3日ペースでしたが、11月中旬にストックが尽きてしまい、1か月ちょっとの間、自転車操業で更新していました。
このため、後からの付け足しなど、修正改稿が増えてしまいました。
発表開始から丸1年の本日の投稿をもって、しばらく更新をお休みし、ストックを増やしてから再開いたします。
2作品同時発表です。
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