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精霊の加護144 帝国へ向けて出発
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精霊の加護
Zu-Y
№144 帝国へ向けて出発
翌日、帝都に向けて旅立つ俺たちを、王太子殿下、4人の公爵様、4人の公爵家ご嫡男様が見送りに来て下さった。
帝都に向けて発つアクアビット号に、マリー様、エカチェリーナ、アイチャを迎えた。ところが、エカチェリーナとアイチャの同行を聞いたヘルムートどのとディエゴどのが、待ったを掛けて、あろうことか、自分たちも連れて行けとごね出した。
ヘルムートどのとディエゴどの曰く、折角いい雰囲気になったエカチェリーナとアイチャを、俺と一緒に行かせたら、また俺にNTRれると言うのだ。いやいや流石にそれはないと言ったのだが、ふたりはBSSだったマリー様をNTRれたので信用できぬと。
ちょっと待て、マリー様は俺から望んだ訳ではなく、王家の意向に従ったまでだと言ったら、それを聞いたマリー様が半泣きになってしまった。
やばい、やばい、やばい、やばい…。
わが妻たちの白い眼、エカチェリーナとアイチャの白い眼、ぐずるマリー様、…俺、針の筵。
「ゲオルク、それは言っちゃダメだろ。」と追い討ちを掛けるラモ。
「ゲオルク、お前、ラモより空気が読めないとは思わなかったぞ。」とトドメを刺しに来るリチャード。
王太子殿下は、わくわくウキウキの表情。対岸の火事、他人の不幸は蜜の味、修羅場を期待する野次馬ってか?一度でいいから、このしたり顔をぶん殴ってやりたい。
しかしなぁ。実際のところそうなんだよな。俺の希望じゃないんだよ。
「マリー…。」マリー様呼びを改め、マリーと敢えて呼び捨てにした。取り繕ってもどうせ墓穴を彫るだけだから、もうこの際、開き直ってやる。
「そなたはわが正妻となる女だ。だからはっきり言っておく。俺はな、成熟した大人の女が好みだ。子供のそなたは守備範囲の外だ。しかしな、俺は王国に仕える身、王家のご意向に従ってそなたを迎えることにした。そなたも、王家の一員ゆえ、王家の利となる俺との婚姻を受け入れたのであろう?」
ぐずりながらも頷くマリー。
「俺は、今のそなたには、女としての魅力を微塵も感じてはいない。それはそうだ。そなたは子供だからな。子供に性欲を抱くのは、ロリコンと言う特殊な性癖を持つ奴らだけだ。ロリコン連中は、俺からしてみれば嫌悪の対象だ。その理由は、無垢な子供に性欲を抱くことが、俺には理解できないし、まったく受け入れられないからだ。」
ストレートな俺の言葉に、マリーは目を瞠った。
「しかしだな、マリー。人としてのそなたには一目置いている。子供とは思えない見識の高さ、堂々とした意見には大人と話してるような錯覚に陥る。それにそなたが、毎日牛乳を飲んで努力を欠かしていないことも俺は知ってる。その日々のたゆまぬ努力に対して、俺はそなたに敬意を抱いている。
よいか?そなたが大人になって、俺と成婚の儀を上げるときまで待つがいい。成熟した女になった暁には、喜んでそなたを迎えよう。」
「はい。」マリーが頷いた。
「背伸びをすることはない。やがてときが必ず解決する。よいな。」
「はい。」再びマリー様が頷いた。何とか説得に成功かな?
ちっ、と殿下が舌打ちしたような気がする。やっぱ修羅場を期待してやがったな。
「ヘルムートどの、ディエゴどの。東部公爵様と西部公爵様がお許しになるなら、そなたたちふたりを、わが副使として帝都まで伴おう。」
ここで、東部公爵様と西部公爵様と目を合わせる。アイコンタクトで『ふたりを止めて下さい。』と伝える俺。ふたりの公爵様は頷いた。伝わったようだ。これぞ正しく以心伝心。
「「父上?」」ふたりが東部公爵様と西部公爵様を、それぞれ見上げた。
「ゲオルクの言うことを聞くのだぞ。」へ?
「我儘を言うでないぞ。」おいおい…。
マジか?東部公爵様と西部公爵様は、あっさり許可を出しちまいやんの。ってか、ちょっと待ってよ。アイコンタクトに頷いたじゃん!てっきり公爵様方が止めて下さると思ってたんだけどな。
そう言う訳で、ヘルムートどのとディエゴどのも俺たち一行に加わってしまった。
なお、ふたりは、俺の副使と言うことになるので、ふたりの呼び方も、この後から敬称略に変えた。
俺たち一行は、アクアビット号に俺とわが妻たちと精霊たちに加え、マリー、アイチャ、エカチェリーナ、ヘルムート、ディエゴのガキンチョ5人組。さらには、外交馬車に乗る王都の役人数名と、護衛の王都騎士団20名である。
10人乗りのアクアビット号にしてみれば、定員オーバーである。子供たちを半人前計算にして、精霊たちを抜いても、10.5人である。
しかし、曳馬たちは、牝馬ではあるが大型で馬力のある4頭だし、ベスがスノウに、ビーチェがナイトに騎乗すれば、アクアビット号に乗ってるのは8.5人になるから全然大丈夫だ。
王都を発って2日後、王都から西府への行程は、今のところ非常に順調だ。
アクアビット号の御者は、リーゼ、ジュヌ、カルメン、ドーラ、トーラが交代でやっている。この5人は御者台とそのすぐ後ろの座席に座っている。ベスはスノウ、ビーチェはナイトに騎乗して、アクアビット号の両隣を並走している。
俺は、馬車の屋上の見張台から精霊たちを四方八方に飛ばして索敵中。ってか、索敵しているのは精霊たちだけれども。苦笑
出発時にひと悶着あったものの、あれ以来、マリーは俺にべったり。
エカチェリーナとアイチャは、マリーにくっついて来るし、そのエカチェリーナにはディエゴが、アイチャにはヘルムートがくっついて来る。
そんな訳で、アクアビット号の屋上見張台の俺のまわりには、常にガキンチョ5人組がいる。苦笑
ラモのアドバイスを蔑ろにして、マリーに悪戯を仕掛けて嫌われたことを教訓にしたヘルムートとディエゴは、それぞれ新たに狙いを定めた、アイチャとエカチェリーナをひたすら持ち上げている。
ヘルムートはアイチャに、ディエゴはエカチャリーナに、それぞれぞっこんで、露骨に褒め千切り、恥ずい台詞を連呼し、大袈裟な身振り手振りで恋心を熱く語り、常に耳元で愛を囁いている。まさしく小さなラモがふたりって感じだ。笑
意外なことに、アイチャとエカチェリーナが満更でもないようなのだ。このふたり、ちょろイン(ちょろいヒロイン)なのでは?
俺の持ち場の馬車の屋上で、以前マリーから聞いていた合同合宿での話題を、エカチェリーナに振ってみた。
「エカチェリーナ、合同合宿では随分暴れたらしいな。」ニマニマしながら聞くと、
「シルヴェストルとの一件ですか?イラっと来たので懲らしめましたが、少々やり過ぎたかもしれません。」うんうん、いい返事だ。どこまでやったのかな?
「どう言う経緯だ?」
「シルヴェストルは入学が遅かったせいで学生では一番の年上なのですが、そのことと侯爵家次男であることを笠に着て、何かとまわりの学生たちにマウントを取ろうとしていたのです。」
「ふむふむ。いかにもやりそうだな。」
「普段から一緒の騎士団員養成所の学生たちは、もはや諦めていて『はいはい。』と流しつつ、シルヴェストルを適当に持ち上げていいようにあしらっていました。」
「なるほどな。」
「一方、私たち近衛兵養成所や、魔法学院、神職養成所の学生は、慣れていませんから面食らいます。
私と、マリー様と、アイチャと、シルヴェストルは同じパーティになりました。私がSアタッカー、マリー様がLアタッカー、アイチャがヒーラー、シルヴェストルがタンクです。
シルヴェストルは年上の自分がリーダーになるべきだと主張しました。侯爵家次男と言う肩書は、マリー様の王女と言う肩書には敵いませんからね。しかし、私たちは、後衛で戦況を見渡せ、しかも見識の高いマリー様をリーダーに推しました。」
「まぁ、それは道理だな。」
「シルヴェストルはことさら年齢のことを言うので、私は、『年上であることは、学生では有利にならない。年上なのに同学年と言うのは、成長が遅れている証だ。』と言ってやったのです。」
「まったくその通りだが、プライドの高いシルヴェストルは怒っただろうな。」
「はい。それで『決闘だ。』と言われましたので、応じました。」
「なるほどな、でもあいつは大したことなかったろ?」
「はい。一方的でした。私にひと太刀すら浴びせられないのです。あれは明らかに鍛錬を怠っていますね。」
「で、ボコったと?」
「気絶するか、参ったと言うまでは続けると言うルールでしたので。結局、気絶しましたけど。」
「へぇ、じゃぁ奴は参ったと言わなかったんだ。意外と骨があるな。」
「そう言う訳では…。」エカチェリーナが言いにくそうなところをアイチャが補った。
「使徒様、違うのです。リーナ様は、開始直後に、瞬時で十数太刀を打ち込んだのです。」
「つまり参ったと言う間を与えず、瞬殺でボコって、意識を刈り取った訳か?」
「「はい。」」マリーとアイチャがハモった。エカチェリーナは恥ずかしそうに鼻の頭をポリポリと掻いている。
「エカチェリーナ、僕は強い君も好きだよ。」「ディエゴ。ありがとう。」おいおい、どさくさに紛れていい雰囲気じゃねーかよ。苦笑
なお、シルヴェストルはそのことが原因でマリーのパーティから外され、ひたすら基礎トレをやらされたのだとか。しかも泣きながら。
一方、マリーたちはシルヴェストル=タンク抜きで抜群の成績を収め、まわりの度肝を抜いたのだとか。流石だな。天才3人娘だっけ?その通り名も伊達じゃない。
こんな感じでいろいろ話を聞きながら、ガキンチョ5人組と打ち解けつつ、3日後には西府に到着した。
西府に着いてすぐ、前回の帝国行きに引き続き、手伝いをさせようと思って西府ギルドにゲオルク学校の連中を訪ねたが、生憎、遠征に出ていていなかった。残念。
しかし、遠征先は国境の町バレンシーだとか。ならばバレンシーで会えるだろうな。
西部公爵様はあのまま王都に詰めていらっしゃるが、西部公爵家嫡男のディエゴがいるので、そのまま西部公爵邸に1泊した。
ディエゴは、母上である西部公爵夫人に、エカチェリーナを紹介していた。ちゃっかりしてやがる。笑
さて、西府への宿泊であるから、その晩は道中の禁欲生活解禁である。カルメン、ベス、ビーチェを美味しく頂いたのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/11/20
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№144 帝国へ向けて出発
翌日、帝都に向けて旅立つ俺たちを、王太子殿下、4人の公爵様、4人の公爵家ご嫡男様が見送りに来て下さった。
帝都に向けて発つアクアビット号に、マリー様、エカチェリーナ、アイチャを迎えた。ところが、エカチェリーナとアイチャの同行を聞いたヘルムートどのとディエゴどのが、待ったを掛けて、あろうことか、自分たちも連れて行けとごね出した。
ヘルムートどのとディエゴどの曰く、折角いい雰囲気になったエカチェリーナとアイチャを、俺と一緒に行かせたら、また俺にNTRれると言うのだ。いやいや流石にそれはないと言ったのだが、ふたりはBSSだったマリー様をNTRれたので信用できぬと。
ちょっと待て、マリー様は俺から望んだ訳ではなく、王家の意向に従ったまでだと言ったら、それを聞いたマリー様が半泣きになってしまった。
やばい、やばい、やばい、やばい…。
わが妻たちの白い眼、エカチェリーナとアイチャの白い眼、ぐずるマリー様、…俺、針の筵。
「ゲオルク、それは言っちゃダメだろ。」と追い討ちを掛けるラモ。
「ゲオルク、お前、ラモより空気が読めないとは思わなかったぞ。」とトドメを刺しに来るリチャード。
王太子殿下は、わくわくウキウキの表情。対岸の火事、他人の不幸は蜜の味、修羅場を期待する野次馬ってか?一度でいいから、このしたり顔をぶん殴ってやりたい。
しかしなぁ。実際のところそうなんだよな。俺の希望じゃないんだよ。
「マリー…。」マリー様呼びを改め、マリーと敢えて呼び捨てにした。取り繕ってもどうせ墓穴を彫るだけだから、もうこの際、開き直ってやる。
「そなたはわが正妻となる女だ。だからはっきり言っておく。俺はな、成熟した大人の女が好みだ。子供のそなたは守備範囲の外だ。しかしな、俺は王国に仕える身、王家のご意向に従ってそなたを迎えることにした。そなたも、王家の一員ゆえ、王家の利となる俺との婚姻を受け入れたのであろう?」
ぐずりながらも頷くマリー。
「俺は、今のそなたには、女としての魅力を微塵も感じてはいない。それはそうだ。そなたは子供だからな。子供に性欲を抱くのは、ロリコンと言う特殊な性癖を持つ奴らだけだ。ロリコン連中は、俺からしてみれば嫌悪の対象だ。その理由は、無垢な子供に性欲を抱くことが、俺には理解できないし、まったく受け入れられないからだ。」
ストレートな俺の言葉に、マリーは目を瞠った。
「しかしだな、マリー。人としてのそなたには一目置いている。子供とは思えない見識の高さ、堂々とした意見には大人と話してるような錯覚に陥る。それにそなたが、毎日牛乳を飲んで努力を欠かしていないことも俺は知ってる。その日々のたゆまぬ努力に対して、俺はそなたに敬意を抱いている。
よいか?そなたが大人になって、俺と成婚の儀を上げるときまで待つがいい。成熟した女になった暁には、喜んでそなたを迎えよう。」
「はい。」マリーが頷いた。
「背伸びをすることはない。やがてときが必ず解決する。よいな。」
「はい。」再びマリー様が頷いた。何とか説得に成功かな?
ちっ、と殿下が舌打ちしたような気がする。やっぱ修羅場を期待してやがったな。
「ヘルムートどの、ディエゴどの。東部公爵様と西部公爵様がお許しになるなら、そなたたちふたりを、わが副使として帝都まで伴おう。」
ここで、東部公爵様と西部公爵様と目を合わせる。アイコンタクトで『ふたりを止めて下さい。』と伝える俺。ふたりの公爵様は頷いた。伝わったようだ。これぞ正しく以心伝心。
「「父上?」」ふたりが東部公爵様と西部公爵様を、それぞれ見上げた。
「ゲオルクの言うことを聞くのだぞ。」へ?
「我儘を言うでないぞ。」おいおい…。
マジか?東部公爵様と西部公爵様は、あっさり許可を出しちまいやんの。ってか、ちょっと待ってよ。アイコンタクトに頷いたじゃん!てっきり公爵様方が止めて下さると思ってたんだけどな。
そう言う訳で、ヘルムートどのとディエゴどのも俺たち一行に加わってしまった。
なお、ふたりは、俺の副使と言うことになるので、ふたりの呼び方も、この後から敬称略に変えた。
俺たち一行は、アクアビット号に俺とわが妻たちと精霊たちに加え、マリー、アイチャ、エカチェリーナ、ヘルムート、ディエゴのガキンチョ5人組。さらには、外交馬車に乗る王都の役人数名と、護衛の王都騎士団20名である。
10人乗りのアクアビット号にしてみれば、定員オーバーである。子供たちを半人前計算にして、精霊たちを抜いても、10.5人である。
しかし、曳馬たちは、牝馬ではあるが大型で馬力のある4頭だし、ベスがスノウに、ビーチェがナイトに騎乗すれば、アクアビット号に乗ってるのは8.5人になるから全然大丈夫だ。
王都を発って2日後、王都から西府への行程は、今のところ非常に順調だ。
アクアビット号の御者は、リーゼ、ジュヌ、カルメン、ドーラ、トーラが交代でやっている。この5人は御者台とそのすぐ後ろの座席に座っている。ベスはスノウ、ビーチェはナイトに騎乗して、アクアビット号の両隣を並走している。
俺は、馬車の屋上の見張台から精霊たちを四方八方に飛ばして索敵中。ってか、索敵しているのは精霊たちだけれども。苦笑
出発時にひと悶着あったものの、あれ以来、マリーは俺にべったり。
エカチェリーナとアイチャは、マリーにくっついて来るし、そのエカチェリーナにはディエゴが、アイチャにはヘルムートがくっついて来る。
そんな訳で、アクアビット号の屋上見張台の俺のまわりには、常にガキンチョ5人組がいる。苦笑
ラモのアドバイスを蔑ろにして、マリーに悪戯を仕掛けて嫌われたことを教訓にしたヘルムートとディエゴは、それぞれ新たに狙いを定めた、アイチャとエカチェリーナをひたすら持ち上げている。
ヘルムートはアイチャに、ディエゴはエカチャリーナに、それぞれぞっこんで、露骨に褒め千切り、恥ずい台詞を連呼し、大袈裟な身振り手振りで恋心を熱く語り、常に耳元で愛を囁いている。まさしく小さなラモがふたりって感じだ。笑
意外なことに、アイチャとエカチェリーナが満更でもないようなのだ。このふたり、ちょろイン(ちょろいヒロイン)なのでは?
俺の持ち場の馬車の屋上で、以前マリーから聞いていた合同合宿での話題を、エカチェリーナに振ってみた。
「エカチェリーナ、合同合宿では随分暴れたらしいな。」ニマニマしながら聞くと、
「シルヴェストルとの一件ですか?イラっと来たので懲らしめましたが、少々やり過ぎたかもしれません。」うんうん、いい返事だ。どこまでやったのかな?
「どう言う経緯だ?」
「シルヴェストルは入学が遅かったせいで学生では一番の年上なのですが、そのことと侯爵家次男であることを笠に着て、何かとまわりの学生たちにマウントを取ろうとしていたのです。」
「ふむふむ。いかにもやりそうだな。」
「普段から一緒の騎士団員養成所の学生たちは、もはや諦めていて『はいはい。』と流しつつ、シルヴェストルを適当に持ち上げていいようにあしらっていました。」
「なるほどな。」
「一方、私たち近衛兵養成所や、魔法学院、神職養成所の学生は、慣れていませんから面食らいます。
私と、マリー様と、アイチャと、シルヴェストルは同じパーティになりました。私がSアタッカー、マリー様がLアタッカー、アイチャがヒーラー、シルヴェストルがタンクです。
シルヴェストルは年上の自分がリーダーになるべきだと主張しました。侯爵家次男と言う肩書は、マリー様の王女と言う肩書には敵いませんからね。しかし、私たちは、後衛で戦況を見渡せ、しかも見識の高いマリー様をリーダーに推しました。」
「まぁ、それは道理だな。」
「シルヴェストルはことさら年齢のことを言うので、私は、『年上であることは、学生では有利にならない。年上なのに同学年と言うのは、成長が遅れている証だ。』と言ってやったのです。」
「まったくその通りだが、プライドの高いシルヴェストルは怒っただろうな。」
「はい。それで『決闘だ。』と言われましたので、応じました。」
「なるほどな、でもあいつは大したことなかったろ?」
「はい。一方的でした。私にひと太刀すら浴びせられないのです。あれは明らかに鍛錬を怠っていますね。」
「で、ボコったと?」
「気絶するか、参ったと言うまでは続けると言うルールでしたので。結局、気絶しましたけど。」
「へぇ、じゃぁ奴は参ったと言わなかったんだ。意外と骨があるな。」
「そう言う訳では…。」エカチェリーナが言いにくそうなところをアイチャが補った。
「使徒様、違うのです。リーナ様は、開始直後に、瞬時で十数太刀を打ち込んだのです。」
「つまり参ったと言う間を与えず、瞬殺でボコって、意識を刈り取った訳か?」
「「はい。」」マリーとアイチャがハモった。エカチェリーナは恥ずかしそうに鼻の頭をポリポリと掻いている。
「エカチェリーナ、僕は強い君も好きだよ。」「ディエゴ。ありがとう。」おいおい、どさくさに紛れていい雰囲気じゃねーかよ。苦笑
なお、シルヴェストルはそのことが原因でマリーのパーティから外され、ひたすら基礎トレをやらされたのだとか。しかも泣きながら。
一方、マリーたちはシルヴェストル=タンク抜きで抜群の成績を収め、まわりの度肝を抜いたのだとか。流石だな。天才3人娘だっけ?その通り名も伊達じゃない。
こんな感じでいろいろ話を聞きながら、ガキンチョ5人組と打ち解けつつ、3日後には西府に到着した。
西府に着いてすぐ、前回の帝国行きに引き続き、手伝いをさせようと思って西府ギルドにゲオルク学校の連中を訪ねたが、生憎、遠征に出ていていなかった。残念。
しかし、遠征先は国境の町バレンシーだとか。ならばバレンシーで会えるだろうな。
西部公爵様はあのまま王都に詰めていらっしゃるが、西部公爵家嫡男のディエゴがいるので、そのまま西部公爵邸に1泊した。
ディエゴは、母上である西部公爵夫人に、エカチェリーナを紹介していた。ちゃっかりしてやがる。笑
さて、西府への宿泊であるから、その晩は道中の禁欲生活解禁である。カルメン、ベス、ビーチェを美味しく頂いたのだった。
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更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
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