精霊の加護

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精霊の加護106 トーラのスピリタス加入とソルの第三形態

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精霊の加護
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№106 トーラのスピリタス加入とソルの第三形態

 出発時にゴタゴタしたが、最後の野営地を出発した。
 今日中には余裕で帝都モスコペテブルに到着するだろう。当然のことながら、馬車旅は順調に進んだ。

 トーラは俺の従者となったので、スピリタスの外交馬車に乗っている。一方、エカチェリーナ姫は、帝国国境警備隊と一緒だ。
 トーラの装備は、虎革の道衣、タイガーメット、タイガーガントレット、肉球の跳躍靴である。
 肉球の跳躍靴で相手に飛び掛かり、防具と言うより武器のタイガーガントレットで、一撃必殺のパンチを見舞う拳闘士だ。

 道中、ソルが頻繁に魔力補給をしに来るようになった。
 ぶっちゅー、ぷっはー。ソルの体が白く輝く。
「お前さん、いつも言うけど、やっぱりあたしゃ、少女とこのキスはアウトだと思うよ。」
「そうですわね。」
「えー、僕は羨ましいけどなー。ダーリン、次は僕にも…。」おお?
「ビーチェ、いかんぞ。道中は油断に繋がるではないか。」ちえっ。
「だよねー、メンゴ、メンゴ。」

「さっきから、精霊たちと、お使者どのが、キスするのは、なぜ?」トーラが聞いて来た。
「あー、魔力の補給だよ。」
「そう、なのか。」
「なあ、トーラはさ、俺の従者ってことで仲間になったんだから、俺のことをお使者どのって呼ぶのは変じゃね?」
「言われて、見れば、そうだ。うーん…。」
「わらわは『主様』と呼んでおるのじゃ。」
「私はシンプルに『あなた』よ。」
「僕は『ダーリン』だよー。」
「あたしゃ『お前さん』だね。」
「私は『わが君』だ。」
「わたくしは『旦那様』ですわ。」

 しばらく考えていたトーラが、
「お頭様?うん、決めた、トーラは、『お頭様』と、呼ぶ。」
「いやいや、盗賊のボスじゃねぇし。」
「おお、よいのではないか?」「いいわね。」「いいじゃないか。」

「…。」1対7でお頭様になってしまった…。

『ゲオルクー、ご飯ー。』またしてもソルが魔力補給にやって来た。今晩、間違いなく第三形態に行くな。

 夕方になる前に、帝都モスコペテブルに着いた。

 すぐさま冒険者ギルドに行って、トーラを冒険者登録し、スピリタスのメンバーとする。
 トーラは、聖獣ホワイトタイガーなので討伐対象としてはSランクであり、獣人ブーストでも、無茶苦茶な拳闘士である。当たり前だが、飛び級できる最高位のDランクだった。
 ま、ドーラんときと一緒やね。

 これで、スピリタスのパーティランクは、俺がA、ベスとビーチェがA相当、リーゼとジュヌとカルメンがBランク、ドーラとトーラがDランクだから、Bランクのままである。

 帝都の城壁の外には、3つの部隊が駐屯している。旗はぞれぞれ違うな。と言うことは、有力貴族の軍勢か?
 なるほど、同盟交渉に向けて威圧しているつもりか?こんな程度の軍勢でかよ。笑っちまうな。
 ひょっとすると、同盟への反対派、つまり反王国派かな?

 皇帝への訪問は明日だ。俺は帝都の宮殿=帝宮で、今夜、崩壊させる建物を決めてエカチェリーナ姫に伝えた。
「今夜、真夜中になったら、あの西の塔を潰す。人を避難させとけよ。それと、貴重品も運び出しとくんだ。」
「使者どの、やはり思い止まってはくれぬのか?」
「毎晩、帝宮の建物をひとつずつ潰す。皇帝には、一刻も早くこちらの条件をすべて呑んで、臣従せよと言っとけ。それと、刺客を寄越すならどうぞ。すべて返り討ちにするし、次からは殺す。
 だから姫、お前は刺客になって来るなよな。お前が死んで、王国と帝国が決裂したら、帝国は滅ぶことになるぞ。」
「…。」

 国境警部隊とエカチェリーナ姫は、俺たちと別れて帝宮に向かって行った。

 俺たちは、帝都の高級宿屋を取る。スイートルームのあるワンフロアを貸し切って、俺たち、役人たち、ゲオルク学校が泊まる。
 当然だが俺たちはスイートルーム。こんなバカげた出費をする必要はないと思うのだが、同盟外交使節団なのでそうなるらしい。本当は、帝宮に泊まるものなのだが、互いに味方とは認めていないのでこうなるそうだ。

 スイートルームだけあって何もかも広い。ますは精霊たちを風呂に入れることにする。本当は、わが妻たちと入りたいのだが、ソルが第三形態への進化の兆候を見せているのでこうなった。
 精霊たちはキャッキャと喜んでいるが、ソルだけは、はぁはぁと妖しい息遣いだ。体を洗うと、びくっびくっと感じまくっているし、しょっちゅう吸いついて来ては、白く輝いている。

 風呂から出て、俺にしがみ付いているソルを伴ってベッドルームへ行く。他の精霊たちは、いつもの通り裸のまま空中を漂っている。

 ベッドに仰向けに横たわると、ソルが跨って来た。
『吸って。』はい。ちゅーちゅー。
 吸ってる間にひとしきり悶えていたソルは、そのまま発光し出すと、直径1mの抱えきれない球体になった。球体は光を増しながらさらに膨らんで、その直径は2m程になった。そしてゆっくり人型を取る。

 現れて来たのは、少女と呼ぶには成長しており、女と呼ぶには幼な過ぎる、そんな微妙なお年頃。胸は膨らみかけの蕾で、腰は微かにくびれている、少女+αな体型だった。
 ロリな奴らにはドストライク。しかし、バインバインのメロンボールをこよなく愛する俺には、守備範囲の外。

『ゲオルクー、お腹すいたー。』矢尻で指先をグリグリやって、血が滲んだ所を舐めさせる。何度か舐めたソルは、白く光って『満腹ー。』と言いながら、裸のまま、ふわふわと漂って行った。

 第三形態との契約ボーナスは+3万なので、第二形態の+2万から1万上昇、第二形態から第三形態への進化時の体液吸いで+1万。合計2万が上がって、俺の魔力量の上限は、46万になった。

 わが妻たちと、新米従者のトーラも入浴を終え、一緒に夕餉だ。
 夕餉はルームサービスで豪勢な食事が出て来た。あれ?なんだかトーラが遠慮しているような気がする。
「トーラ、どうした?遠慮なんかしてないで、一緒に夕餉を食おうぜ。」
「いや、従者の、トーラが、お頭様と、一緒に、食べることは、できない。」
「なんだそれ?」
「帝国の、ルール。姫とも、一緒に、食べたこと、ない。」

「スピリタスでは俺たちの流儀に従ってくれ。仲間は一緒に食う。いいか?」
「本当に、いいの?トーラは、従者。」
「遠慮するな。早くしろ。」こりゃ、早いうちに従者からわが妻に格上げせねばならんな。むふふのふ。
「あなた、今何を考えているか、手に取るように分かるわ。」
「え?そう?」
「トーラは、今宵、旦那様の毒牙に掛かりますのね?」
「…。」なんも言えねぇ。反論の余地なし。

 夕餉の席では、第三形態になったソルがアルコールデビューだ。
 酒には魔力を増幅させる力がある。形態進化が進むと、多くの魔力を必要とするため、第三形態からは、魔力補給=べろちゅーのときに、俺が酒をひと口含んで、口移しで精霊たちに呑ませるのだ。
 すると唾液に含まれる魔力が、酒で増幅されて、精霊たちに供給される。

 帝国の酒はウォトカと言う強い酒で、別名火の酒とも言う。要するにアルコール度数が高いのだ。
 ひと口含むだけで舌にピリピリ来る。それをべろちゅーで流し込んでやると、精霊たちはすぐさま各々の色に輝き出した。精霊の体が輝くのは、魔力が満タンになった証拠だ。
 ツリは緑、クレは橙、フィアは赤、チルは藍、ワラは青、ウィンは紫、メタは黄、そしてソルは白。精霊たちはキャハハと笑いながら飛び回っている。
 酔ってる。ぜってー酔ってる。笑

 夕餉が終わると、わが妻たちとの生ぱふぱふが始まった。最初、トーラは目が点になって見ていたが、最後に順番が回って来ると、
「これも、従者の、務め…。」と言って、生ぱふぱふデビューをしたのだった。俺は初めてのロリ巨乳を堪能した。
 ロリは絶対にパスだが、ロリ巨乳なら、巨乳だからワンチャン行けるんじゃね?と、秘かに思っていたが…ありだ!これ、ありだ!
 ベスの兄上のアンドリュー義兄上が力説してたように、ロリ巨乳はアンバランスなギャップ萌えである。くー、堪らない。

 トーラたちホワイトタイガーは、新月とその前後の3日間が発情期だそうで、ラッキーなことにちょうど今日から発情期だった。
 俺は、そのままトーラを美味しく頂いた。獣人と致すのは初めてであるが、まあ、人と大差はない。
 トーラはわが妻たちの中で一番小柄だ。しかし、巨乳は他の妻たちにもまったく引けを取らず、ボンキュッボンである。
 指と舌を駆使して丹念に攻め立てると、トーラは大いに乱れ、そして俺とトーラはひとつになった。

 ひと戦終えて、トーラとの寝物語に、トーラの身の上話を聞いた。

 トーラは、ホワイトタイガー族としては若手の101歳だそうだ。まあ聖獣だしね。それにエンシェントドラゴンのドーラなんて1000歳超だし。

 トーラの一族は、帝国西部の町エウーキの北一帯の森林=虎林の里に棲むホワイトタイガー族である。一族と言っても、単独行動を好む虎は、虎林の里に散って単独で生活している。何か理由があるときだけ集まるらしい。

 トーラには双子の弟タイガがいて、タイガは一族の若き族長である。
 虎林の里が帝国軍に征服されたとき、トーラもタイガも一族の半数とともに、人質として帝都に連れて来られた。そして、虎林の里の存続の条件として、トーラはエカチェリーナ姫の従者となり、タイガと一族の半数は、肉弾切込隊のホワイトタイガー獣人隊を組織させられた。ホワイトタイガー獣人隊は、帝国の対王国戦争の秘密兵器として訓練されているそうだ。

 虎の獣人は、普段はノーマルモードだが、戦闘時は、全筋隆起と言うスキルを発動して、ノーマルモードの倍のブーストモードになる。その獣人隊の隊長がタイガである。
 なるほどな、肉弾切込隊のホワイトタイガー獣人隊を組織したと言うことは、帝国は王国との同盟を模索しつつも、決裂したときに備えていると言う訳だ。
 トーラの念願は、虎林の里の自治権の回復と、人質となって兵役に着かされている、タイガ以下、ホワイトタイガー族の解放だ。

 しかし妙だ。俺は疑問に思う。
「あのさ、聖獣ホワイトタイガーなら、帝国軍など蹴散らしそうだが、何でやられたんだ?」
「媚薬を、使われた。」
「媚薬?」
「里が、攻められてるのに、いい気分に、なった。いつの間にか、皆、鎖で、拘束された。」
「どんな媚薬だろ?」
「マタタビの、濃縮液。」
「マタタビって言ったら猫だろ?虎にも効くのか?」
「理由は、分からない。とにかく、効いた。」ふーん、何か他の成分でも入れてたのかな?例えば麻薬とか?

「お頭様、トーラの、一族、減る。トーラ、強い子を、産む。強い、お頭様の、子種が、欲しい。」キラーンとトーラの目が妖しく光った。
 そしてそれから2回戦が始まった。最終的に5回戦まで行った。ここではもふもふの耳ともふもふの尻尾を攻めたみたのだが、これがまたいい。

 マイドラゴンがトーラに完全に懐いてしまったのは言うまでもなかろう。

 そして夜半、俺の猛攻に何度も昇天したトーラは、疲れ果てて眠っている。
 さて、ひと仕事して来るか。精霊たちを連れて帝宮に仕掛けに行くのだ。

『ゲオルク、宿屋のまわりに、見張がいっぱい。』
「ツリ、眠り草を生やして片っ端から眠らせろ。」『はーい。』
 しばらくして、『皆、寝た。』とツリからの報告。

 ふっと部屋の窓から帝宮を見ると、帝宮内の西の塔付近には、明々と篝火が焚かれている。人影が盛んに動いており、警戒しているのがよく分かる。
「なんだよ、ここから丸見えじゃん。フィア、ここからやれるか?」
『うん。やれる。』ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン。帝宮の真上で巨大な火球の大爆発が続けざまに起こった。
 篝火に映し出された影が右往左往を始めた。

「クレ。」『はーい。』
 ズズズズっと地響きがして、西の塔が傾き、崩れ落ちた。篝火の半数が消え、人影の右往左往がさらに激しくなった。パニクってやがる。笑
「もう少しやるか。ウィン。」『はーい。』
 帝宮で竜巻が生じ、残っていた篝火と西の塔の残骸を吹き飛ばした。
「こんなもんかな。」篝火がなくなったから、見えなくなったしな。潮時だろ。
『『『『えー。』』』』出番のなかった、チル、ワラ、メタ、ソルがむくれている。ってか、ソルは、攻撃しようがないだろ。笑

『『『お腹すいたー。』』』活躍した、ツリ、クレ、フィア、ウィンは魔力補給だ。
 このせいで出番のなかった4人がさらにむくれた。はいはい、君たちにも魔力補給しますよ。結局全員とべろちゅーになった。苦笑

 翌朝、皆で朝餉を摂ったが、例によってトーラがまた遠慮して、朝餉に手を付けない。
「トーラ、一緒に食え。遠慮するな。」
「でも、トーラは、従者。トーラが、お頭様や、奥方様、たちと、一緒に、食べるの、やっぱり、変。」
「あら、トーラはもう従者じゃないわよ。」
「リーゼの言う通りじゃな。」
「え?」
「昨日、旦那様のご寵愛を受けたじゃないですか。」
「もう、あたしたちと同じだよ。ねぇ、お前さん。」
「ああ、トーラはもう従者じゃないぞ。わが妻だ。」
「え?」
「だから一緒に食え。」
「左様。遠慮は無用ぞ。」
「そうだよー、それに僕たちのことも『奥方様』じゃなくて名前で呼んでよね。」
「お頭様、ほんとに、いいの?」
「ああ。トーラはすでにわが妻だ。従者ではない。」トーラの眼が見開かれて、ツーっと涙が頬を伝わった。
「分かった。そうする。」トーラが皆と一緒に朝餉を食べ出した。
 ふむ、これでどうやらホントの仲間になったようだな。

 さて、帝宮に行くか。

 その前にっと、精霊たち服を着させたが、例によって第三形態に進化したソルがごねた。やっぱりなぁ。
 第二形態まで来ていた貫頭衣ではサイズが合わないし、第二形態では目立たなかったポチリが、第三形態ではくっきり分かるようになっている。このままだとアウトね。完全に。
 そこで、簡易ブラジャーと新たな長い貫頭衣を作ったのだが、恒例のひと悶着である。
『やー、これ、やー。』
「ダメだよ。ちゃんと隠せ。」
『イジワルー。』
「意地悪じゃないって。ほら皆と一緒だぞ。」
『ぶー。』このむくれ顔、かわいい。

 いよいよ敵地に乗り込むぞ。

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設定を更新しました。R4/8/21

更新は火木土の週3日ペースを予定しています。

2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664

カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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