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精霊の加護095 ラスプ村のテコ入れ
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精霊の加護
Zu-Y
№95 ラスプ村のテコ入れ
ミュンヒェーを発って翌日、ラスプ村に着いた。
夕方と言うこともあり、そのまま実家に帰った。
「ただいまー。」
「うお、ゲオルクじゃねぇか。いきなりだな。まぁ入れ。嫁さんたちもな。それから精霊様たちも。」
父さんが出迎えてくれた。今日はもう狩りから帰ってたんだな。
「母さんは?」
「ああ、メシの支度中だ。この人数だと作り足さにゃぁいかんな。
おーい、ヒルダ、ゲオルクが嫁さんたちと精霊様たちを連れて帰って来たぞ。」
「あ、いいよ。俺たちの分は、こっちでちゃっちゃと作っちゃうからさ。」
「あらあらお帰り、ゲオルク。相変わらずいきなりよね。あんたは。」
「ツリー、クレー、フィアー、チルー、ワラー、ウィンー、メター、…あれ?」
アルがソルに戸惑っている。笑
「アル、ソルだよ。仲良くしてくれな。」
「うん、ゲオ兄。
ソルー。」アルは両手を広げてソルに抱き付いた。
精霊たちはキャッキャとアルと戯れ出した。弟のアルベルトは精霊たちと話せる。魔力量は人並に毛が生えた程度なので精霊魔術師にはなれないけどな。
アルは早速ソルと仲良くなって、それからちゃっかりツリたちにも抱き付いて甘えている。さり気なくツリたちのおっぱいを触っているのは、幼いゆえか、男の本能か?後者ならなかなかの女誑しだ。笑
「こちらの女性はドーラ。教国で仲間になった龍人なんだ。」
「義父上様、義母上様、ドーラでござりまする。主様にはご寵愛を頂いておる身。よろしくお願い致しまする。」おい、寵愛って…いきなり爆弾投下かよ。
バインバインでボンキュッボンなドーラを見て、
「ゲオルク、あんたねぇ。」と母さんは呆れている。
「お前なぁ、羨まし過ぎるぞ。」と父さんはポロッと本音をこぼしてしまい、母さんの機嫌を損ねてしまった。
ま、どうせしばらくしたら仲直りの儀式でイチャイチャし出すに決まってるけどな。苦笑
「この人数だと肉をもっと焼かなきゃいけないわね。」母さんが言って、わが妻たちが手伝い出した。
「おい、ゲオルク。ツリたちに例のやつを頼んでくれ。」はいはい枝豆ね。父さんは枝豆の塩茹でに眼がない。笑
しばらくして楽しい夕餉が始まった。
父さんが狩って来た山盛りの肉に、ツリの精霊魔法で促成栽培した枝豆の塩茹で、野菜たっぷりのミルクシチューだ。
ビールはもちろんヴァイツェン。
食事が始まると、父さんと母さんは仲直りのイチャイチャを始めている。母さんが父さんに向かって「あーん。」とか、見てるこっちが恥ずかしくなる。
「相変わらずだねぇ。」
「おう、これが夫婦円満の秘訣でな。」
「そのうち、アルの下が産まれるんじゃねぇの?」と軽口を叩いたら、
「おう、そのことよ。産まれるぞ。」父さんから爆弾発言が出た。
「え?」
「ゲオルク、お前の結婚式だよ。アルがお前の部屋に入り浸ってたろ?」
「王都の夜景もきれいだったしねぇ。アルがいなかったからいい雰囲気になっちゃったのよねぇ。」
「嘘だろ?」
「嘘じゃねぇよ。結局アルはずっとお前の部屋だったからな、俺たちもずっとな。」
「ゲオルク、ありがとね。」
「次は女の子がいいなぁ。」
「そうねぇ。」
開いた口が塞がんねぇ。
ヴァイツェンをねだる精霊たちに口移しで呑ませてやると、アルのスイッチが入って自分もやると言い出したのだが、口に含んだヴァイツェンをゴクリと呑み込んでしまい、みるみる赤くなってコテっと寝てしまった。
あらあらと、ジュヌがすかさず回復魔法を掛けてくれた。
アルはそのまま寝入ってしまったが、楽しい夕餉は続く。父さんと母さんは終始イチャイチャしてたので、わが妻たちが俺をチラ見して来る。あー、これは今夜、俺はひん剥かれて犯されるパターンだな。苦笑
その夜、わが妻たちのスイッチが入って、久々の最後までだったが、ドーラだけは、発情期じゃないので口でいいと言うことだった。龍人は発情期がしっかりあるのだな。
なお、カンストしてない3人の魔力上限を200ずつ上げた。
翌日、教会に行って神父さんに挨拶し、大金貨1枚を寄進した。
それから神父さんと一緒に村役場を兼ねている代官宅に行って、代官と、東部公爵様から派遣されている役人ふたりを交えて、村の状況を細かくチェック。
俺の肝入りで始めた樹木畑とキノコ栽培は、シイキノコ、エノキノコ、シメジノコ、ナメコノコ、マイキノコ、エリンギノコ、マシュルムコなどの一般キノコも、パインダケやトリュフダケなどの高級キノコも、非常にいい状態で生育を続けているとのことだった。一般キノコはそろそろ出荷体制に入れそうだ。
農地は、教国への行き掛けに、クレに徹底的に耕してもらったおかげで、農地自体が大改良されて、作物の成長が非常によくなっており、この秋にはかなりの収穫が望めるとのことだった。
今回は、放置されていた痩せた荒れ地を改良した。まず、フィアが焼畑で雑草を一掃し、ワラが水脈から水を確保した。クレが開墾地を徹底的に耕して、ツリがマメを促成栽培して、開墾地の肥料成分を増やした。
村の農地をおよそ1.5倍にして、村営農作物会社を設立。村営キノコ会社の傘下に入れた。
ラスプ村の主要産業は、もともとは狩猟一辺倒だったのだが、キノコ栽培が成長して軌道に乗れば、狩猟とキノコ栽培の両輪になって行く予定だ。キノコ会社の傘下の農作物会社は、ラスプ村の農産物を自給自足できるレベルにまで高めて行くことになる。
ま、ひと通りこんなもんか。
「他に何か気になることがあったら言ってくれ。」
俺が問い掛けると、東部公爵様から派遣されて来ている役人のひとりが口を開いた。
「ゲオルク卿、村役場が代官宅と言うのはいかがなものでしょう?」
「不都合でもあるのか?」代官がムッとして聞いた。
「代官、あなたは公私の区別がありません。それは、あなたの自宅が役場を兼ねているからだと思いますな。」
「ゲオルク卿、私もそう感じておりました。」もうひとりの役人も同じことを言う。
「では改めて村役場を普請するか?」
「村長、いや、代官。代官の家は元々村役場件村長公邸だったところに代官がそのまま住み付いてるのじゃったな。」神父さんが暴露話をした。
「え?そうなのか?」
「では代官、ご自宅を用意して下さい。」すかさず、派遣役人が畳み掛けた。
「そんな。私には自宅も同然なのだ。」
「代官が私費で立てたのは納屋だけじゃったと思うが?」神父さんが追い討ちを掛けた。
「そうだが、納屋はゲオルクに潰されてしまったのだ。」
以前、村への寄進を拒んだ俺に、当時村長だった代官が、俺の家族は村で生活して行くのだろう?と脅しまがいのことを言って来たので、その発言に精霊が怒ったと言うことにして、納屋を潰してやったことがある。
「代官、人聞きの悪いことを言うなよ。あれはお前がそもそもの原因だろ?
神父さん、代官宅の母屋はもともと村の所有物で間違いありませんか?」
「間違いない。
代官、そうじゃな。」
「それはそうだが。」
「代官、村役場から即刻退去せよ。」俺は代官に命じた。
「ゲオルク、ではわしはどこに住めと言うのだ?」
俺に変わって派遣役人が答える。
「それはゲオルク卿ではなく、代官が決めることではありませんか。法的には代官が村役場を不法占拠していると言うことになるのですぞ。」
おー、流石、東部公爵様から派遣された役人だ。
「村外れに空き家があったよな。持ち主もいないし、取り敢えずあそこに住めば?」俺が提案したのだが…、
「あんなボロ屋に住めるか!」代官はいきり立つ。いきり立ってもなぁ。
「では豪邸でも建てればよかろう?代官、本日中に退去せよ。さもなくば不法占拠で拘束し、代官の職も更迭する。」俺は最後通牒を突き付けた。
「なんだと?ゲオルク、調子に乗るなよ。」分かってないな、こいつ。
「おい、代官。ゲオルク卿に向かって何たる物言いだ。控えよ。
ゲオルク卿、不敬罪で告発するなら私が証人になります。」
この役人のひと言に代官は震え上がった。
「まあまあ。その辺で収めてよ。
代官、ここには住めないんだよ。分別しろよな。取り敢えず身の振り方を決めてくれ。」
「くっ。」
結局代官一家は、その日のうちに村外れのボロ屋に引っ越すことになった。
丸2日に亘ってラスプ村のテコ入れをした俺は、ラスプ村到着の3日後にはラスプ村を発って、東府へと向かった。
3日目に東府到着。
宿屋を取って、その日のうちに東府教会に大司教様を訪ねた。
大司教様にソルとドーラを紹介し、ソルの精霊魔法をご覧に入れた。
ソルの回復魔法とバフ魔法は、教会の魔法と共通するため、大司教様は、普段のルードビッヒ教授並に食い付いて来た。笑
ちなみに、大司教様は、龍人のドーラにも興味を示していた。
大司教様は大層お喜びで、泊って行けと仰ってくれたのだが、実はすでに宿屋を取っていると伝えると、
「なるほど、新婚であったな。新婚さんに教会はいささか窮屈であろうな?」
「ははは。いや、まぁ何と言いましょうか…。」返事を濁すと、
「いやいやよいのだ。ゲオルク。野暮を言った。」
どうも揶揄われたらしい。苦笑
その日の晩は、馬車旅での到着日と言うことで、大司教様に言い当てられた通り、宿屋でわが妻たちとお口での濃厚な夜を過ごし、上限を100ずつ上げた。
翌日、東府魔法学院のルードビッヒ先任教授を訪ねた。
予想通り、教授はソルに多大な興味を示したが、以外なことに、龍人のドーラにも大いに興味を示した。今まで俺の妻たちには一切興味を示さなかったが、龍人となると話は別らしい。笑
請われるまま、ソルの精霊魔法を披露すると、教授は喜々としていたが…、
「ゲオルク、早速これから研究を開始しようではないか。まずはソルの魔法の効果を詳細に調べるところからだな。」
「教授、大変申し訳ないのですが、今日、王都に発ちます。教国での首尾を、一刻も早く殿下に報告しなければなりません。」
「なんと言うことだ!うーむ…。数日くらい何とかならんか?」
教授が探りを入れて来る。
「殿下にはすでに鳩便で知らせておりまして…。」
「では、せめて今日1日は頼む。」教授が拝み倒して来た。
流石に散々世話になって来た教授の懇願は断れない。1日くらいはいいか。
「分かりました。出発は明朝にします。」
「流石ゲオルク!話が分かる。では早速…、」
わが妻たちは先に開放して、今日1日自由行動。ついでに昨日の宿屋をもう1泊、取っといてもらう。
俺は、徹底的に教授の研究に付き合わされ、晩になっても解放されず、結局、魔法学院に泊まり込みになってしまった。教授に請われるまま精霊魔法をぶっ放し続ける精霊たちに、ひと晩中魔力を供給し続けた。
俺は流石にうんざりしたのだが、なぜか精霊たちは喜々としてルードビッヒ教授に付き合っている。
精霊を見る力がない教授からの問い掛けには直接答えず、相変わらず俺の耳元でごにょごにょと言って、俺に答えさせるのだが、明け方近くになって、俺がウトウトし出し、朦朧として答える内容を微妙なニュアンスで違えると、
『ちょっと違ーう!』『そうじゃなーい。』
と文句を言う。そしていつの間にか…、
『ルー、それはね…。』「なるほどな。」
『ルー、そこはこう。』「おお、そう言うことか。」
「ではここはこうなるのではないか。」『そう。ルー、なかなかやる。』
「ここはこう言うことだな。」『そうそう、ルー、頭いい。』
あれ、精霊たち、ルードビッヒ教授と直接話してない?しかも「ルー」って呼んでるし…。
俺はそのまま寝落ちした。
翌朝、迎えに来たわが妻たちに起こされた。
「ちょっと、あなた、起きて。」
「うーん。」
「わが君、目が覚めたか?」
「あれ?精霊たちは?」
「教授とまだやってるよ。てか、教授と普通に話してるんだよ。しかも『ルー』って呼んでるし。まじウケるー。」
それから、名残惜しそうな教授に見送られて東府を発った。精霊たちは、
『『『『『『『『ルー、またねー。』』』』』』』』とか言ってるし。
ゴトゴト揺れる馬車の中で、俺は爆睡したのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/7/31
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№95 ラスプ村のテコ入れ
ミュンヒェーを発って翌日、ラスプ村に着いた。
夕方と言うこともあり、そのまま実家に帰った。
「ただいまー。」
「うお、ゲオルクじゃねぇか。いきなりだな。まぁ入れ。嫁さんたちもな。それから精霊様たちも。」
父さんが出迎えてくれた。今日はもう狩りから帰ってたんだな。
「母さんは?」
「ああ、メシの支度中だ。この人数だと作り足さにゃぁいかんな。
おーい、ヒルダ、ゲオルクが嫁さんたちと精霊様たちを連れて帰って来たぞ。」
「あ、いいよ。俺たちの分は、こっちでちゃっちゃと作っちゃうからさ。」
「あらあらお帰り、ゲオルク。相変わらずいきなりよね。あんたは。」
「ツリー、クレー、フィアー、チルー、ワラー、ウィンー、メター、…あれ?」
アルがソルに戸惑っている。笑
「アル、ソルだよ。仲良くしてくれな。」
「うん、ゲオ兄。
ソルー。」アルは両手を広げてソルに抱き付いた。
精霊たちはキャッキャとアルと戯れ出した。弟のアルベルトは精霊たちと話せる。魔力量は人並に毛が生えた程度なので精霊魔術師にはなれないけどな。
アルは早速ソルと仲良くなって、それからちゃっかりツリたちにも抱き付いて甘えている。さり気なくツリたちのおっぱいを触っているのは、幼いゆえか、男の本能か?後者ならなかなかの女誑しだ。笑
「こちらの女性はドーラ。教国で仲間になった龍人なんだ。」
「義父上様、義母上様、ドーラでござりまする。主様にはご寵愛を頂いておる身。よろしくお願い致しまする。」おい、寵愛って…いきなり爆弾投下かよ。
バインバインでボンキュッボンなドーラを見て、
「ゲオルク、あんたねぇ。」と母さんは呆れている。
「お前なぁ、羨まし過ぎるぞ。」と父さんはポロッと本音をこぼしてしまい、母さんの機嫌を損ねてしまった。
ま、どうせしばらくしたら仲直りの儀式でイチャイチャし出すに決まってるけどな。苦笑
「この人数だと肉をもっと焼かなきゃいけないわね。」母さんが言って、わが妻たちが手伝い出した。
「おい、ゲオルク。ツリたちに例のやつを頼んでくれ。」はいはい枝豆ね。父さんは枝豆の塩茹でに眼がない。笑
しばらくして楽しい夕餉が始まった。
父さんが狩って来た山盛りの肉に、ツリの精霊魔法で促成栽培した枝豆の塩茹で、野菜たっぷりのミルクシチューだ。
ビールはもちろんヴァイツェン。
食事が始まると、父さんと母さんは仲直りのイチャイチャを始めている。母さんが父さんに向かって「あーん。」とか、見てるこっちが恥ずかしくなる。
「相変わらずだねぇ。」
「おう、これが夫婦円満の秘訣でな。」
「そのうち、アルの下が産まれるんじゃねぇの?」と軽口を叩いたら、
「おう、そのことよ。産まれるぞ。」父さんから爆弾発言が出た。
「え?」
「ゲオルク、お前の結婚式だよ。アルがお前の部屋に入り浸ってたろ?」
「王都の夜景もきれいだったしねぇ。アルがいなかったからいい雰囲気になっちゃったのよねぇ。」
「嘘だろ?」
「嘘じゃねぇよ。結局アルはずっとお前の部屋だったからな、俺たちもずっとな。」
「ゲオルク、ありがとね。」
「次は女の子がいいなぁ。」
「そうねぇ。」
開いた口が塞がんねぇ。
ヴァイツェンをねだる精霊たちに口移しで呑ませてやると、アルのスイッチが入って自分もやると言い出したのだが、口に含んだヴァイツェンをゴクリと呑み込んでしまい、みるみる赤くなってコテっと寝てしまった。
あらあらと、ジュヌがすかさず回復魔法を掛けてくれた。
アルはそのまま寝入ってしまったが、楽しい夕餉は続く。父さんと母さんは終始イチャイチャしてたので、わが妻たちが俺をチラ見して来る。あー、これは今夜、俺はひん剥かれて犯されるパターンだな。苦笑
その夜、わが妻たちのスイッチが入って、久々の最後までだったが、ドーラだけは、発情期じゃないので口でいいと言うことだった。龍人は発情期がしっかりあるのだな。
なお、カンストしてない3人の魔力上限を200ずつ上げた。
翌日、教会に行って神父さんに挨拶し、大金貨1枚を寄進した。
それから神父さんと一緒に村役場を兼ねている代官宅に行って、代官と、東部公爵様から派遣されている役人ふたりを交えて、村の状況を細かくチェック。
俺の肝入りで始めた樹木畑とキノコ栽培は、シイキノコ、エノキノコ、シメジノコ、ナメコノコ、マイキノコ、エリンギノコ、マシュルムコなどの一般キノコも、パインダケやトリュフダケなどの高級キノコも、非常にいい状態で生育を続けているとのことだった。一般キノコはそろそろ出荷体制に入れそうだ。
農地は、教国への行き掛けに、クレに徹底的に耕してもらったおかげで、農地自体が大改良されて、作物の成長が非常によくなっており、この秋にはかなりの収穫が望めるとのことだった。
今回は、放置されていた痩せた荒れ地を改良した。まず、フィアが焼畑で雑草を一掃し、ワラが水脈から水を確保した。クレが開墾地を徹底的に耕して、ツリがマメを促成栽培して、開墾地の肥料成分を増やした。
村の農地をおよそ1.5倍にして、村営農作物会社を設立。村営キノコ会社の傘下に入れた。
ラスプ村の主要産業は、もともとは狩猟一辺倒だったのだが、キノコ栽培が成長して軌道に乗れば、狩猟とキノコ栽培の両輪になって行く予定だ。キノコ会社の傘下の農作物会社は、ラスプ村の農産物を自給自足できるレベルにまで高めて行くことになる。
ま、ひと通りこんなもんか。
「他に何か気になることがあったら言ってくれ。」
俺が問い掛けると、東部公爵様から派遣されて来ている役人のひとりが口を開いた。
「ゲオルク卿、村役場が代官宅と言うのはいかがなものでしょう?」
「不都合でもあるのか?」代官がムッとして聞いた。
「代官、あなたは公私の区別がありません。それは、あなたの自宅が役場を兼ねているからだと思いますな。」
「ゲオルク卿、私もそう感じておりました。」もうひとりの役人も同じことを言う。
「では改めて村役場を普請するか?」
「村長、いや、代官。代官の家は元々村役場件村長公邸だったところに代官がそのまま住み付いてるのじゃったな。」神父さんが暴露話をした。
「え?そうなのか?」
「では代官、ご自宅を用意して下さい。」すかさず、派遣役人が畳み掛けた。
「そんな。私には自宅も同然なのだ。」
「代官が私費で立てたのは納屋だけじゃったと思うが?」神父さんが追い討ちを掛けた。
「そうだが、納屋はゲオルクに潰されてしまったのだ。」
以前、村への寄進を拒んだ俺に、当時村長だった代官が、俺の家族は村で生活して行くのだろう?と脅しまがいのことを言って来たので、その発言に精霊が怒ったと言うことにして、納屋を潰してやったことがある。
「代官、人聞きの悪いことを言うなよ。あれはお前がそもそもの原因だろ?
神父さん、代官宅の母屋はもともと村の所有物で間違いありませんか?」
「間違いない。
代官、そうじゃな。」
「それはそうだが。」
「代官、村役場から即刻退去せよ。」俺は代官に命じた。
「ゲオルク、ではわしはどこに住めと言うのだ?」
俺に変わって派遣役人が答える。
「それはゲオルク卿ではなく、代官が決めることではありませんか。法的には代官が村役場を不法占拠していると言うことになるのですぞ。」
おー、流石、東部公爵様から派遣された役人だ。
「村外れに空き家があったよな。持ち主もいないし、取り敢えずあそこに住めば?」俺が提案したのだが…、
「あんなボロ屋に住めるか!」代官はいきり立つ。いきり立ってもなぁ。
「では豪邸でも建てればよかろう?代官、本日中に退去せよ。さもなくば不法占拠で拘束し、代官の職も更迭する。」俺は最後通牒を突き付けた。
「なんだと?ゲオルク、調子に乗るなよ。」分かってないな、こいつ。
「おい、代官。ゲオルク卿に向かって何たる物言いだ。控えよ。
ゲオルク卿、不敬罪で告発するなら私が証人になります。」
この役人のひと言に代官は震え上がった。
「まあまあ。その辺で収めてよ。
代官、ここには住めないんだよ。分別しろよな。取り敢えず身の振り方を決めてくれ。」
「くっ。」
結局代官一家は、その日のうちに村外れのボロ屋に引っ越すことになった。
丸2日に亘ってラスプ村のテコ入れをした俺は、ラスプ村到着の3日後にはラスプ村を発って、東府へと向かった。
3日目に東府到着。
宿屋を取って、その日のうちに東府教会に大司教様を訪ねた。
大司教様にソルとドーラを紹介し、ソルの精霊魔法をご覧に入れた。
ソルの回復魔法とバフ魔法は、教会の魔法と共通するため、大司教様は、普段のルードビッヒ教授並に食い付いて来た。笑
ちなみに、大司教様は、龍人のドーラにも興味を示していた。
大司教様は大層お喜びで、泊って行けと仰ってくれたのだが、実はすでに宿屋を取っていると伝えると、
「なるほど、新婚であったな。新婚さんに教会はいささか窮屈であろうな?」
「ははは。いや、まぁ何と言いましょうか…。」返事を濁すと、
「いやいやよいのだ。ゲオルク。野暮を言った。」
どうも揶揄われたらしい。苦笑
その日の晩は、馬車旅での到着日と言うことで、大司教様に言い当てられた通り、宿屋でわが妻たちとお口での濃厚な夜を過ごし、上限を100ずつ上げた。
翌日、東府魔法学院のルードビッヒ先任教授を訪ねた。
予想通り、教授はソルに多大な興味を示したが、以外なことに、龍人のドーラにも大いに興味を示した。今まで俺の妻たちには一切興味を示さなかったが、龍人となると話は別らしい。笑
請われるまま、ソルの精霊魔法を披露すると、教授は喜々としていたが…、
「ゲオルク、早速これから研究を開始しようではないか。まずはソルの魔法の効果を詳細に調べるところからだな。」
「教授、大変申し訳ないのですが、今日、王都に発ちます。教国での首尾を、一刻も早く殿下に報告しなければなりません。」
「なんと言うことだ!うーむ…。数日くらい何とかならんか?」
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「では、せめて今日1日は頼む。」教授が拝み倒して来た。
流石に散々世話になって来た教授の懇願は断れない。1日くらいはいいか。
「分かりました。出発は明朝にします。」
「流石ゲオルク!話が分かる。では早速…、」
わが妻たちは先に開放して、今日1日自由行動。ついでに昨日の宿屋をもう1泊、取っといてもらう。
俺は、徹底的に教授の研究に付き合わされ、晩になっても解放されず、結局、魔法学院に泊まり込みになってしまった。教授に請われるまま精霊魔法をぶっ放し続ける精霊たちに、ひと晩中魔力を供給し続けた。
俺は流石にうんざりしたのだが、なぜか精霊たちは喜々としてルードビッヒ教授に付き合っている。
精霊を見る力がない教授からの問い掛けには直接答えず、相変わらず俺の耳元でごにょごにょと言って、俺に答えさせるのだが、明け方近くになって、俺がウトウトし出し、朦朧として答える内容を微妙なニュアンスで違えると、
『ちょっと違ーう!』『そうじゃなーい。』
と文句を言う。そしていつの間にか…、
『ルー、それはね…。』「なるほどな。」
『ルー、そこはこう。』「おお、そう言うことか。」
「ではここはこうなるのではないか。」『そう。ルー、なかなかやる。』
「ここはこう言うことだな。」『そうそう、ルー、頭いい。』
あれ、精霊たち、ルードビッヒ教授と直接話してない?しかも「ルー」って呼んでるし…。
俺はそのまま寝落ちした。
翌朝、迎えに来たわが妻たちに起こされた。
「ちょっと、あなた、起きて。」
「うーん。」
「わが君、目が覚めたか?」
「あれ?精霊たちは?」
「教授とまだやってるよ。てか、教授と普通に話してるんだよ。しかも『ルー』って呼んでるし。まじウケるー。」
それから、名残惜しそうな教授に見送られて東府を発った。精霊たちは、
『『『『『『『『ルー、またねー。』』』』』』』』とか言ってるし。
ゴトゴト揺れる馬車の中で、俺は爆睡したのだった。
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設定を更新しました。R4/7/31
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
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剣になった少年と無口な幼女の冒険譚、ここに開幕
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