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精霊の加護059 ウィンとメタの第二形態
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精霊の加護
Zu-Y
№59 ウィンとメタの第二形態
翌日は日の出を待って、明るくなってすぐにラクシーサの港を出航した。
往路は、昼に出て夜中に着いたから、ざっと12時間で南部湾を縦断した訳だ。このペースなら、明け方に出れば、日暮れ前の明るいうちに南府港に着くだろうと言う計算である。
ビーチェさんは昼過ぎまで実家でゆっくりしてから、ナイトに乗って、空を飛んで帰って来るそうだ。一緒に船で行くかと誘ったが、ジト目で断られた。ビーチェさんは、船酔いするからな。笑
日中はウィンの風の精霊魔法に、海風も追い風となって行きより速い気がする。往復とも風の精霊魔法を使いっぱなしのウィンだが、復路の半ばに差し掛かる前に、魔力補給に来る頻度が明らかに上がって来た。これは第二形態に行くな。
あ、そうだ!湾の中央エリアでまわりには船もいないし、精霊魔法をどんどん使えばいいじゃんよ。ウィンが第二形態に行くから、メタも追い付かせよう。
ふっと見ると、木造船だが所々に使っている金属の錆が目立つ。早速上空にいるメタを呼んで聞いてみた。
「メタの精霊魔法で錆って取れる?」
『うん。』
「じゃぁこの船の錆を全部取ってよ。いい?」
『いいよ。』
メタから黄色の光が放出され、船全体が包まれた。光が収まると、船の金属部分からきれいに錆が取れてピカピカだ。凄ぇ。まるでヒールみたいだ。
『ゲオルクー、いっぱい魔力、使ったー。』メタが吸い付いて来た。笑
その後、メタには、金属系に属する電撃系の魔法を繰り返し放たせた。他の精霊たちにも、それぞれの属性の精霊魔法を放たせたり、俺の矢に属性魔法をまとわせて放ったりしながら進んだ。
なお、ツリの木の精霊魔法では、船の木の部分を新品のように再生することができた。ツリの木の再生とメタの錆取りは、使い勝手がとてもいい!
そのうち、メタにも第二形態に行く兆候が出て来た。魔力補給の頻度が増したのだ。すでに第二形態に進化している他の精霊たちについては、「あわよくば第三形態に行っちゃうかも。」とか、虫のいいことを考えていたが、残念ながら、第三形態に行く兆候は現れなかった。ちくしょう、魔法の放出による経験値上げに、往路から気付いてやっていればなぁ。
途中、日が西に傾いた頃に、上空でナイトが1回旋回して追い越して行った。ビーチェさんがナイトの上で手を振っていたので、俺も両手を大きく振り返した。
夕方、南府湾に着くと、ウィンとメタが抱き付いて来て、交互にちゅーちゅーと貪って来た。魔力の補給なのだが、いつになく激しい。間違いない。これからふたりとも第二形態に行く。
吸い付きながら離れないウィンとメタを抱えてリシッチャ亭に戻り、そのまま精霊たちを大浴場に連れて行って、洗ってやった。
ウィンとメタ以外はキャッキャと喜んでいるが、ウィンもメタも、洗ってる最中に何度も吸い付いて来て、そのたびに、ウィンは紫色に、メタは黄色に光っていた。ふたりの息遣いがはぁはぁと息が荒く、眼はとろんとしていて、洗うたびにびくっと身を震わせる。幼女が感じまくるのって、なんか違和感ありまくり。苦笑
大浴場から部屋に戻ると、そのままウィンとメタを連れてベッドイン。
ふたりとも魔力はすでに満タンで輝いているが、さらに濃厚なキスを貪るようにして来る。
そして『『舐めて』』と言ってふたりとも跨って来た。ふたりともぐしょぐしょだ。
ウィンもメタも丹念に舐めまわしてやると、それぞれの紫色と黄色の発光がさらに強くなって輝いた。
そして幼児体型は球形となり、その球体は膨らみ出す。最初のひと抱の大きさから、抱えきれないサイズまで膨らむと、球体から人型に戻った。しかしそれは、球体になる前の幼女体型ではなく、第二形態の少女体型だった。
発光が収まると、『『ゲオルク、お腹ペコペコー。』』と言うや否や、ウィンとメタが吸い付いて来て、ちゅーちゅー吸っている。
俺は、用意しておいた矢の矢尻で指先を傷つけ、血を滲ませてふたりに舐めさせた。唾液よりも魔力が濃い血を舐めれば、長いことキスをしなくても魔力補給が完了する。滲んだ血を数回舐めたウィンとメタの体はすぐに輝き出し、ふたりとも満足して離れて行った。そのままふわふわと漂っている。
この進化で、ウィンとメタによる魔力量上限の加算は、それぞれ、第一形態の1万から第二形態の2万となり、進化時の体液舐めで+5000。これがふたり分なので、俺の魔力量の上限は3万上昇して、27万5000になった。
ようやく潜在能力の1/4を超えたな。しかし先は長い。
幼女の第一形態で、頭からすっぽりかぶって膝まで丈のあった貫頭衣は、少女の第二形態では、丈が股すれすれになる。これだけでは完全にアウトだ。
薄絹の反物から簡易パンツと簡易スカート作って穿かせるのだが、お決まりの展開である。
『やー、これ、やー。』『やー、やー、きついもん。』
「でもこれを穿かないと外には行けないぞー。」
『ウィン、平気だよー。』『メタも、平気だよー。』
「ダメだよ。俺が捕まっちゃうだろ。」
『『ぶー。』』このむくれ顔もかわいい。苦笑
何とかふたりに穿かせて一段落ついた。
さて、夕餉を摂りに食堂へ向かうか。
夕餉を摂りにリシッチャ亭の食堂に来た。相変わらずの盛況だ。
食堂では、もはや看板娘となった5人のお姉様方がてきぱきと働いていた。俺が席に着くと、お姉様方は仕事を中断して俺の所にやって来る。
そして、お姉様方とキスだ。この状況に、客は慣れたもので、もはや嫉妬の視線は飛んで来ない。諦めの溜息があちこちで聞こえるだけだ。苦笑
と言うのも、数日前のプロポーズで指輪を贈ってから、お姉様方はそれを左手の薬指に着けている。目敏く指輪を見付けた客の質問に、あっさりと俺と結婚すると伝えたからだ。
「おや?ウィンとメタが第二形態に進化してるじゃないか。」カルメンさんが真っ先に気付いた。
「そうなんだ。ふたりともついさっき進化したんだよ。」
「ゲオルク君、また教授に文句を言われるわね。」リーゼさんがお気の毒に。と言う顔をしている。
「いやいや。流石にそれは勘弁して欲しいよ。」
東府魔法学院のルードビッヒ教授は、形態進化をするところを直に観察させろとうるさい。しかし俺としては、半分秘め事のような形態進化を見られるのには大いに抵抗がある。
結局、今日で全員が第二形態に進化したので、教授は第二形態への進化を直接観察することはできなかった。教授は悔しがるだろうし、文句を言われるに違いない。
「ゲオルクどの、実は先程、ギルドから使いが来てな、王太子殿下から鳩便が来たそうだ。」ベスさんが鳩便を渡して来た。
鳩便の宛名には『王家付精霊魔術師ゲオルク・スピリタス卿』と書いてある。
「うわ、流石にこれは…。」宛名が妙に仰々しい。裏には差出人で『王太子』とだけ書いてあった。
開けてみると、
『王家付精霊魔術師ゲオルク・スピリタス卿は、契約精霊とパーティメンバーを伴って、可能な限り速やかに、王宮内王太子執務室へ出仕せよ。』
簡潔極まりないが、有無を言わせぬ内容だな。
「王太子殿下は何と仰って来られましたの?」ジュヌさんが興味深げに尋ねて来た。
「皆を連れて、王宮にできるだけ早く来いってさ。」
「え?僕たちも王宮に行くの?」
「そうなるね。」
「えー、どうしよう。いきなり王宮なんて。ゲオっち、何を着て行ったらいいのかな?」
「正規の式典ではないし、ゲオルクどののパーティメンバーとして呼ばれたのだから、冒険者装備でよかろう。」ベスさんが代わりに答えてくれた。
「え?そうなの。なーんだ、ちょっとがっかり。」ビーチェさん、着飾って行く気満々だったのか?苦笑
「で、いつ発つんだい?」
「皆がよければ明日にでも。詳しくは店が終わってから話そう。」
お姉様方は、再び看板娘としての仕事に戻って行った。
俺はマルコさんの島料理を注文して堪能したのだった。
夕餉を終え、部屋に戻ってゆっくりしつつ、精霊たちと戯れていると、お姉様方が、食堂のお手伝いを終えて戻って来た。
「王太子殿下から皆を連れて来いとお呼びが掛かったんで、いい機会だから皆との結婚のことを話そうと思うんだ。」
俺は鳩便の指令書を皆に回した。
「ふむ、『契約精霊とパーティメンバーを連れて…』か。精霊たちは常にゲオルクどのと一緒なのに敢えて念を押して来ているな。」
「そうよね。私もそこが気になったわ。精霊たちに用があるのかしら?」
「陛下がさ、精霊を見ることができるんだよ。」
「「「「「え?」」」」」お姉様方が皆驚いた。
「拝謁したときにさ、陛下に請われて精霊魔法を披露したんだけど、そのとき精霊たちが陛下のご下問に答えてね、精霊たちは、精霊を見ることができない者とは関わろうとしないから、ひょっとするとと思って陛下に尋ねたらさ、陛下も精霊が見られることが分かったんだよね。」
「んー、じゃあさ、陛下が精霊たちと会いたいんじゃないかな?」
「まぁ、陛下でも殿下でも、とにかく俺たちの結婚を報告してしまおうよ。三の姫殿下の降嫁が検討されてるなら、先手を打った方がいいでしょ。」
翌朝、朝餉に行くと、マルコさんがすっ飛んで来た。
「おい、ゲオルク!俺の船に何をした?」
「借りたお礼にきれいにしたんですけど、余計なお世話でしたか?」
「いやいや、きれいにしてくれたのはいいんだけどよ、まるで新品じゃなぇか。何をやったんだ?」
「えっとー、精霊魔法でちょちょちょっと…。」
「お前、ちょちょちょって…。
金具はみんなピカピカだし、木材は新品のようだし、一瞬買い替えたのかと思ったが、そこかしこは前のまんまだしよ。ありゃ、ちょちょっとか、そう言うレベルのメンテじゃねぇだろ。」
「精霊魔法なら、ちょちょいのちょい、なんですよ。まぁ余計なお世話って訳じゃないなら、よかったです。」
「お、おう。とにかくありがとな。」なんかマルコさんは、イマイチ納得いってないっぽい。笑
朝餉の後、南府で世話になったマルコさんとジューリアさんに別れを告げ、リシッチャ亭を出発し、定期馬車に乗って王都へと向かった。もちろんスノウとナイトも連れている。
スノウとナイトがそれぞれベスさんとビーチェさんを乗せて走れるまで成長したら、俺たち用の馬も買うかな。そしたら乗馬の練習もしなきゃだけど。
数日掛けて王都までの馬車の旅は続く。途中の宿泊地では、冒険者としての活動中なので、むふふな展開はなし。
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なお、ぱふぱふまではいいそうで、最後の砦は守られたのである。
南府から数日掛けて定期馬車が王都に着いたので、俺たちはすぐに王宮へと向かった。
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「ふむ、やはり王家直臣身分証は凄いな。私のバース伯爵家紋章では、もう少し詳しく吟味されような。」
「すんなり通してくれたのは、王太子殿下に呼ばれてるからじゃないかな?それと精霊たちも連れてるしね。」
「凄い。南部公爵様のお屋敷も凄いと思ったけど、そんなレベルじゃないよ。」ビーチェさんが絶句している。
「王宮かぁ、見たことはあったけど、中に入るのは、あたしゃ初めてだよ。なんか肩が凝りそうだ。」カルメンさんが溜息をついた。
「ギルドの会合の後に、カルメンと一緒にジュヌに連れて来てもらったわよねぇ。懐かしいわぁ。」リーゼさんが懐かしむ。
「わたくしも外から拝見しただけですの。中に入ったことはありませんのよ。」
「ふむ、私は父上様に連れられて何度か来たことがある。貴族の子弟披露目の儀のときだな。他家の子弟と交流の場だが、その際の出会いを元に後日縁談が来たりするのだ。まぁ、貴族の婚活パーティのようなものか。」
「ベスはモテモテだったのではありませんの?」
「うむ。まぁそれなりにはな。しかし私は騎士団入りを希望してたので、すべて丁重にお断りしたのだ。」
「でもベスならしつこく言い寄られそうよね。」
「まぁ、しつこいのはいたな。先日、ゲオルクどのを紹介しに実家に戻ったときも、相変わらず婚姻を申し込んで来ていると、母上様が仰っておられた。まったく諦めの悪い男だ。」
「ひょっとして侯爵家の次男坊?」
「おお、ゲオルクどのはよく覚えているな。まぁ、此度のゲオルクどのとの結婚で、諦めざるを得ないだろうがな。」
そんな話をしながら、厩にスノウとナイトを預けて、王宮内の王太子殿下の執務室へ到着した。室内に到着を告げると、控えの間で侍従からチェックを受け、執務室内に通された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/5/8
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№59 ウィンとメタの第二形態
翌日は日の出を待って、明るくなってすぐにラクシーサの港を出航した。
往路は、昼に出て夜中に着いたから、ざっと12時間で南部湾を縦断した訳だ。このペースなら、明け方に出れば、日暮れ前の明るいうちに南府港に着くだろうと言う計算である。
ビーチェさんは昼過ぎまで実家でゆっくりしてから、ナイトに乗って、空を飛んで帰って来るそうだ。一緒に船で行くかと誘ったが、ジト目で断られた。ビーチェさんは、船酔いするからな。笑
日中はウィンの風の精霊魔法に、海風も追い風となって行きより速い気がする。往復とも風の精霊魔法を使いっぱなしのウィンだが、復路の半ばに差し掛かる前に、魔力補給に来る頻度が明らかに上がって来た。これは第二形態に行くな。
あ、そうだ!湾の中央エリアでまわりには船もいないし、精霊魔法をどんどん使えばいいじゃんよ。ウィンが第二形態に行くから、メタも追い付かせよう。
ふっと見ると、木造船だが所々に使っている金属の錆が目立つ。早速上空にいるメタを呼んで聞いてみた。
「メタの精霊魔法で錆って取れる?」
『うん。』
「じゃぁこの船の錆を全部取ってよ。いい?」
『いいよ。』
メタから黄色の光が放出され、船全体が包まれた。光が収まると、船の金属部分からきれいに錆が取れてピカピカだ。凄ぇ。まるでヒールみたいだ。
『ゲオルクー、いっぱい魔力、使ったー。』メタが吸い付いて来た。笑
その後、メタには、金属系に属する電撃系の魔法を繰り返し放たせた。他の精霊たちにも、それぞれの属性の精霊魔法を放たせたり、俺の矢に属性魔法をまとわせて放ったりしながら進んだ。
なお、ツリの木の精霊魔法では、船の木の部分を新品のように再生することができた。ツリの木の再生とメタの錆取りは、使い勝手がとてもいい!
そのうち、メタにも第二形態に行く兆候が出て来た。魔力補給の頻度が増したのだ。すでに第二形態に進化している他の精霊たちについては、「あわよくば第三形態に行っちゃうかも。」とか、虫のいいことを考えていたが、残念ながら、第三形態に行く兆候は現れなかった。ちくしょう、魔法の放出による経験値上げに、往路から気付いてやっていればなぁ。
途中、日が西に傾いた頃に、上空でナイトが1回旋回して追い越して行った。ビーチェさんがナイトの上で手を振っていたので、俺も両手を大きく振り返した。
夕方、南府湾に着くと、ウィンとメタが抱き付いて来て、交互にちゅーちゅーと貪って来た。魔力の補給なのだが、いつになく激しい。間違いない。これからふたりとも第二形態に行く。
吸い付きながら離れないウィンとメタを抱えてリシッチャ亭に戻り、そのまま精霊たちを大浴場に連れて行って、洗ってやった。
ウィンとメタ以外はキャッキャと喜んでいるが、ウィンもメタも、洗ってる最中に何度も吸い付いて来て、そのたびに、ウィンは紫色に、メタは黄色に光っていた。ふたりの息遣いがはぁはぁと息が荒く、眼はとろんとしていて、洗うたびにびくっと身を震わせる。幼女が感じまくるのって、なんか違和感ありまくり。苦笑
大浴場から部屋に戻ると、そのままウィンとメタを連れてベッドイン。
ふたりとも魔力はすでに満タンで輝いているが、さらに濃厚なキスを貪るようにして来る。
そして『『舐めて』』と言ってふたりとも跨って来た。ふたりともぐしょぐしょだ。
ウィンもメタも丹念に舐めまわしてやると、それぞれの紫色と黄色の発光がさらに強くなって輝いた。
そして幼児体型は球形となり、その球体は膨らみ出す。最初のひと抱の大きさから、抱えきれないサイズまで膨らむと、球体から人型に戻った。しかしそれは、球体になる前の幼女体型ではなく、第二形態の少女体型だった。
発光が収まると、『『ゲオルク、お腹ペコペコー。』』と言うや否や、ウィンとメタが吸い付いて来て、ちゅーちゅー吸っている。
俺は、用意しておいた矢の矢尻で指先を傷つけ、血を滲ませてふたりに舐めさせた。唾液よりも魔力が濃い血を舐めれば、長いことキスをしなくても魔力補給が完了する。滲んだ血を数回舐めたウィンとメタの体はすぐに輝き出し、ふたりとも満足して離れて行った。そのままふわふわと漂っている。
この進化で、ウィンとメタによる魔力量上限の加算は、それぞれ、第一形態の1万から第二形態の2万となり、進化時の体液舐めで+5000。これがふたり分なので、俺の魔力量の上限は3万上昇して、27万5000になった。
ようやく潜在能力の1/4を超えたな。しかし先は長い。
幼女の第一形態で、頭からすっぽりかぶって膝まで丈のあった貫頭衣は、少女の第二形態では、丈が股すれすれになる。これだけでは完全にアウトだ。
薄絹の反物から簡易パンツと簡易スカート作って穿かせるのだが、お決まりの展開である。
『やー、これ、やー。』『やー、やー、きついもん。』
「でもこれを穿かないと外には行けないぞー。」
『ウィン、平気だよー。』『メタも、平気だよー。』
「ダメだよ。俺が捕まっちゃうだろ。」
『『ぶー。』』このむくれ顔もかわいい。苦笑
何とかふたりに穿かせて一段落ついた。
さて、夕餉を摂りに食堂へ向かうか。
夕餉を摂りにリシッチャ亭の食堂に来た。相変わらずの盛況だ。
食堂では、もはや看板娘となった5人のお姉様方がてきぱきと働いていた。俺が席に着くと、お姉様方は仕事を中断して俺の所にやって来る。
そして、お姉様方とキスだ。この状況に、客は慣れたもので、もはや嫉妬の視線は飛んで来ない。諦めの溜息があちこちで聞こえるだけだ。苦笑
と言うのも、数日前のプロポーズで指輪を贈ってから、お姉様方はそれを左手の薬指に着けている。目敏く指輪を見付けた客の質問に、あっさりと俺と結婚すると伝えたからだ。
「おや?ウィンとメタが第二形態に進化してるじゃないか。」カルメンさんが真っ先に気付いた。
「そうなんだ。ふたりともついさっき進化したんだよ。」
「ゲオルク君、また教授に文句を言われるわね。」リーゼさんがお気の毒に。と言う顔をしている。
「いやいや。流石にそれは勘弁して欲しいよ。」
東府魔法学院のルードビッヒ教授は、形態進化をするところを直に観察させろとうるさい。しかし俺としては、半分秘め事のような形態進化を見られるのには大いに抵抗がある。
結局、今日で全員が第二形態に進化したので、教授は第二形態への進化を直接観察することはできなかった。教授は悔しがるだろうし、文句を言われるに違いない。
「ゲオルクどの、実は先程、ギルドから使いが来てな、王太子殿下から鳩便が来たそうだ。」ベスさんが鳩便を渡して来た。
鳩便の宛名には『王家付精霊魔術師ゲオルク・スピリタス卿』と書いてある。
「うわ、流石にこれは…。」宛名が妙に仰々しい。裏には差出人で『王太子』とだけ書いてあった。
開けてみると、
『王家付精霊魔術師ゲオルク・スピリタス卿は、契約精霊とパーティメンバーを伴って、可能な限り速やかに、王宮内王太子執務室へ出仕せよ。』
簡潔極まりないが、有無を言わせぬ内容だな。
「王太子殿下は何と仰って来られましたの?」ジュヌさんが興味深げに尋ねて来た。
「皆を連れて、王宮にできるだけ早く来いってさ。」
「え?僕たちも王宮に行くの?」
「そうなるね。」
「えー、どうしよう。いきなり王宮なんて。ゲオっち、何を着て行ったらいいのかな?」
「正規の式典ではないし、ゲオルクどののパーティメンバーとして呼ばれたのだから、冒険者装備でよかろう。」ベスさんが代わりに答えてくれた。
「え?そうなの。なーんだ、ちょっとがっかり。」ビーチェさん、着飾って行く気満々だったのか?苦笑
「で、いつ発つんだい?」
「皆がよければ明日にでも。詳しくは店が終わってから話そう。」
お姉様方は、再び看板娘としての仕事に戻って行った。
俺はマルコさんの島料理を注文して堪能したのだった。
夕餉を終え、部屋に戻ってゆっくりしつつ、精霊たちと戯れていると、お姉様方が、食堂のお手伝いを終えて戻って来た。
「王太子殿下から皆を連れて来いとお呼びが掛かったんで、いい機会だから皆との結婚のことを話そうと思うんだ。」
俺は鳩便の指令書を皆に回した。
「ふむ、『契約精霊とパーティメンバーを連れて…』か。精霊たちは常にゲオルクどのと一緒なのに敢えて念を押して来ているな。」
「そうよね。私もそこが気になったわ。精霊たちに用があるのかしら?」
「陛下がさ、精霊を見ることができるんだよ。」
「「「「「え?」」」」」お姉様方が皆驚いた。
「拝謁したときにさ、陛下に請われて精霊魔法を披露したんだけど、そのとき精霊たちが陛下のご下問に答えてね、精霊たちは、精霊を見ることができない者とは関わろうとしないから、ひょっとするとと思って陛下に尋ねたらさ、陛下も精霊が見られることが分かったんだよね。」
「んー、じゃあさ、陛下が精霊たちと会いたいんじゃないかな?」
「まぁ、陛下でも殿下でも、とにかく俺たちの結婚を報告してしまおうよ。三の姫殿下の降嫁が検討されてるなら、先手を打った方がいいでしょ。」
翌朝、朝餉に行くと、マルコさんがすっ飛んで来た。
「おい、ゲオルク!俺の船に何をした?」
「借りたお礼にきれいにしたんですけど、余計なお世話でしたか?」
「いやいや、きれいにしてくれたのはいいんだけどよ、まるで新品じゃなぇか。何をやったんだ?」
「えっとー、精霊魔法でちょちょちょっと…。」
「お前、ちょちょちょって…。
金具はみんなピカピカだし、木材は新品のようだし、一瞬買い替えたのかと思ったが、そこかしこは前のまんまだしよ。ありゃ、ちょちょっとか、そう言うレベルのメンテじゃねぇだろ。」
「精霊魔法なら、ちょちょいのちょい、なんですよ。まぁ余計なお世話って訳じゃないなら、よかったです。」
「お、おう。とにかくありがとな。」なんかマルコさんは、イマイチ納得いってないっぽい。笑
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なお、ぱふぱふまではいいそうで、最後の砦は守られたのである。
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「ふむ、やはり王家直臣身分証は凄いな。私のバース伯爵家紋章では、もう少し詳しく吟味されような。」
「すんなり通してくれたのは、王太子殿下に呼ばれてるからじゃないかな?それと精霊たちも連れてるしね。」
「凄い。南部公爵様のお屋敷も凄いと思ったけど、そんなレベルじゃないよ。」ビーチェさんが絶句している。
「王宮かぁ、見たことはあったけど、中に入るのは、あたしゃ初めてだよ。なんか肩が凝りそうだ。」カルメンさんが溜息をついた。
「ギルドの会合の後に、カルメンと一緒にジュヌに連れて来てもらったわよねぇ。懐かしいわぁ。」リーゼさんが懐かしむ。
「わたくしも外から拝見しただけですの。中に入ったことはありませんのよ。」
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「うむ。まぁそれなりにはな。しかし私は騎士団入りを希望してたので、すべて丁重にお断りしたのだ。」
「でもベスならしつこく言い寄られそうよね。」
「まぁ、しつこいのはいたな。先日、ゲオルクどのを紹介しに実家に戻ったときも、相変わらず婚姻を申し込んで来ていると、母上様が仰っておられた。まったく諦めの悪い男だ。」
「ひょっとして侯爵家の次男坊?」
「おお、ゲオルクどのはよく覚えているな。まぁ、此度のゲオルクどのとの結婚で、諦めざるを得ないだろうがな。」
そんな話をしながら、厩にスノウとナイトを預けて、王宮内の王太子殿下の執務室へ到着した。室内に到着を告げると、控えの間で侍従からチェックを受け、執務室内に通された。
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設定を更新しました。R4/5/8
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
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『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
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それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
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