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精霊の加護055 Aランク相当
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精霊の加護
Zu-Y
№55 Aランク相当
翌朝ブレナを発って順調に進み、夕刻にはカデフィに着いた。
ジャックさんは、ブレナで仕入れた金属鉱石を得意先の工房へ納品しに行き、その後、宝石を仕入れる。一方、俺はギルドへと向かった。ギルドでは早速ギルマスルームに通された。
「ゲオルク、よく来た。査定にもたついてすまなかったな。」
「いや、ギルマスの態度としては、慎重でいいと思うぞ。」
「そいつはありがとよ。しかしお前、凄いな。ジャックだったか、あの商人は話し上手だったが、内容が内容だけに、どうしても信じ切れなくてな。でもな、他の商人ふたりと、冒険者たちがみんな同じような証言をしたよ。」
「まぁ、事実だからな。」
「それでなんだが、普通に復旧作業をしてたら、何日掛かったか分からねぇ。その間、物資の補給が止まったり、商品の出荷ができなかったりしたら、その被害はとんでもなかった。しかも、土砂崩れ後の補強と森林の復旧までやってるしよ、実にいい仕事だ。
そういう訳で、報酬は大金貨5枚。それとAランクへの推薦だ。」
「え?そんなにか?随分破格だな。」
「そりゃそうさ。街道は地方都市の生命線だからな。復旧には何日も掛かったろうから、その損害は大金貨5枚程度じゃ済まないところだったぜ。」
「そうなのか。それとAランクへの推薦って何だ?」
「うちじゃぁ、Aランクは出せねぇんだよ。Aランクを出せるのは、王都か四府のギルドだけだ。でもよ、町のギルドはAランクを出せって要求することができるんで、それだな。もちろん却下されることもあるから絶対じゃないがな。」
四府と言うのは、東府、西府、南府、北府のことだ。
「そうなのか。随分、気前がいいな。」
「まぁそれだけの仕事をしたってことだ。胸を張っていいぜ。」
「おう。」
「で、これがAランクへの推薦状だ。北府ギルドでギルマスに出しな。」
「分かった。いろいろありがとな。」
「報酬は受付で受け取ってくれ。」
俺はギルマスルームを後にして、受付で報酬を受け取った。
その晩は宿屋に泊まり、翌日出発だ。
翌日、カデフィの中央広場に行商馬車が集まる。こうして臨時の商隊を組む訳だ。単独より安全だし、行商馬車ごとに護衛がいるから、行商馬車が集まって商隊を組むと、護衛の人数も増える。
今回は武器商人の行商馬車3台と、ジャックさんの宝石の行商馬車、それとチャーターされた団体観光客の馬車2台。
しかし、湯の町バースなら湯治目的で分かるけど、何でカデフィに観光なんだろ?武器や宝石を卸値で安く買いに来たのかな?
「なぁ、ジャックさん。あの集団だけどさ、なんでカデフィに観光なんだ?カデフィにはどこか見所とか、あるのかな?」
「あまり聞いたことありません。工房見学くらいですかねぇ。」
「あるいは武器か宝石を卸値で買いに来たとか?」
「いえいえ、工房は、私たち仲買人以外には卸値では出しませんよ。小売値以上に吹っ掛けますね。中にはクズを高値で売る工房もあります。それでもここで買えば安いと思って買ってくカモがそこそこいるんですよ。」
「えげつねぇなぁ。」
「そう仰いますが、個人客に安く出したら、私たち仲買人が干上がるじゃないですか。定期的にまとめ買いする私たち仲買人を干上がらせたら、工房は商品を売る先がなくなるんですよ。個人客は素人で一見ですからね、思いっ切り吹っ掛けたり、クズを売りつけたりして、それでも素人が納得して買うのなら、それは自己責任と言うものです。」
「俺が買った指輪は大丈夫…だよね?」
「もちろんですよ。私がちゃんと目利きしましたからね。」
「いや、ほんと助かったわ。ジャックさん、ちゃんと儲けてるよな?」
「もちろんですよ。私も商人ですからね。」
「ところでさ、素人のカモがあんなに大人数で来るのかな?」
「ちょっと見ないですね。」
「なんか怪しくないか?」
「怪しいと仰いますと?」
「復路は野盗が出るんだよな。あいつら、野盗の仲間だったりしないかな?」
「まさか。」
「警戒しといて損はないよ。ちょっくら探りを入れて来るわ。」
俺は精霊たちを連れて観光馬車に行った。
「どうもー、俺は宝石商の護衛のゲオルクだ。こちらの護衛と顔合わせしたいんだが、いるかい?」
「俺が護衛だが、何で顔合わせがいるんだ?」
「は?何言ってんの?復路は野盗も出るんだぜ。そしたら連携しないといけねぇだろ?」
「別にうちの馬車は俺が守るから構わねぇでくれ。」馬車の中は見えないな。
「じゃぁ、何で商隊に入るんだ?うちはうちって言うんなら、単独で行けばいいだろう?」
「ちっ。面倒臭ぇなぁ。」
「俺は射手なんだが攻撃魔法も少々。Lアタッカーだ。あんたは?」
「剣士だよ。仲間もそうだ。」
「仲間って何人?」
「4人だ。」
「ヒーラーはいないのか?」
「いねぇよ。」
「そうか、ヒーラーがいないのか。他の護衛にいるといいけどな。」
「あんたんとこは?」
「俺とこの子たちだ。」
「いやいや、子どもはぞろぞろいても数に入んねぇだろ。あんた、ひとりで大丈夫なのか?」護衛と名乗った男は、小馬鹿にしたように笑っている。
「だから他の護衛と顔合わせするんじゃないか。残りの3人とも会わせてくれよ。」
「今は出掛けてていねぇよ。それにリーダーが俺だからな、俺と会ってんだからもういいだろう。」
「連携は大丈夫か?」
「ひとりだからってこっちを頼るんじゃねぇよ。まぁせいぜい頑張んな。危なくなったら助けてやるよ。」
よし、これで、こいつらが野党の仲間なら俺を狙って来るぞ。
「俺もあんたらを援護するよ。よろしくな。」
「別に間に合ってるから、あんたの援護はなくてもいいぜ。」護衛のリーダーは、ふふんと笑いやがった。
商隊は昼前にカデフィを出発した。
商隊の隊列は、武器商人の馬車3台、ジャックさんの馬車、観光馬車2台の順になった。
観光馬車は後ろを押さえたので、行く手を塞ぐ野盗が出て来て、前に対して応戦体制を敷いたところを、後ろから不意討ちして、挟み撃ちにする気だろう。あるいは前3台をやり過ごして、ジャックさんの馬車だけを狙って来るか?
いずれにせよ、こちらには精霊たちと言う非常に優秀な索敵部隊がいるから屁でもないけどな。
「後ろの2台には何人乗ってる?」俺は精霊たちに聞いた。
『すぐ後ろの、馬車に、8人。』
『最後の、馬車に、8人。』
『みんな、剣を、持ってる。』
『弓矢は、最後の、馬車に、5人。』
『魔力は、少ない。魔術師は、いない。』
全部で16人か。
終日警戒していたが、初日の襲撃はなかった。この日の宿屋は、往路で特別室をあてがわれた宿屋だ。もちろん今回は普通に4人部屋だった。
「なぁ、ジャックさん。俺ひとりだからシングルじゃないの?4人部屋になってるぜ。」
「往路は精霊たちをお客さん扱いにしてしまいましたが、精霊たちもうちの護衛ですからね。」
「なんか、悪いね。最初の契約通りでいいのに。」
「いやいや、あの働きを見たらこうなりますって。今日もずーっと警戒してくれてたじゃないですか。」よく見ていて、きちっと評価する。ジャックさんはいい商人だ。こう言う人には信用が集まる。信用される商人は間違いなく大成するだろう。
そのまま部屋に行くと、所詮は4人部屋。特別室に比べたら見劣りする。
『ゲオルク、この前の、大きい部屋がいい。』え?
『お風呂の、付いてる部屋。』あちゃー、贅沢を覚えちゃったか。
『メタも、そのお風呂に、入ってみたい。』おーい、精霊さんたち。部屋に風呂が付いてることが基準な訳ですかい?
「分かった、分かった。じゃあ、あの部屋が空いてるか聞いて来るよ。」埋まっててくれ…。しかし!特別室は空いていた。泣
差額の大銀貨9枚を支払ったが、特別室って、1泊あたり金貨1枚もするのか。大泣
そう言えば、往路は特別室だけじゃなくて、さらに特別料理だったから、ジャックさんたちは相当奮発してくれてたんだな。
特別室に移動し、早速、部屋付き露天風呂に皆で入った。特にメタは大喜びで、結局、夕餉前、夕餉後、就寝前、早朝と、都合4回も露天風呂に付き合わされてしまった。まぁ、道中の精霊たちは、終始警戒でまわりに気を配っていたし、そのせいでずっと集中してた訳だからこれくらいはいいだろう。
翌日の行程は、例の土砂崩れの現場を通過する。仕掛けて来るとしたら今日だろうか?
案の定、もうすぐ昼休憩かと言う頃、峠に差し掛かるところで、精霊たちが怪しい反応を捕らえた。
『ゲオルク、人影19人。そのうち、剣が13人、弓矢が6人。前方1km。』
『19人のうち、4人が、こちらに、向かい出した。ふたりが弓矢。』
「その4人はおそらく偵察だな。位置的には敵が坂の上、敵に有利なポジションだ。」
『ゲオルク、後ろの、馬車2台、中の、全員が、武器を、持った。』
「ジャックさん、観光馬車の奴ら、本性を現したみたいだぞ。」
「ゲオルクさん、頼みますよ。」
「任せとけ。
メタ、電撃で感電させるぞ。準備しといてくれ。」
『はーい。』
『前から、近付いて、来てる、4人まで、200m。』
「よし、メタ。4人に電撃だ。しばらく痺れさせとけ。」
『はーい。』メタから、道の左右前方の森に電撃が飛んで行った。
『完了ー。転がってて、動けない。』
「ツリ、偵察隊を蔓で拘束。」
『はーい。…完了ー。』
「よし。クレ、道を荒らして後続馬車の足を停めろ。」
『はーい。』道に穴が開いて、後ろの観光馬車の2台の車輪が開いた穴にはまり、そのまま観光馬車2台は立往生した。
立往生した2台の観光馬車を置き去りにして、商隊と観光馬車の間が徐々に開いて行く。
観光馬車からは、わらわらと武装した集団が降りて来て、車輪を確認しているが、こちらに合図を送って来ない。やはり注目されたくないのだな。これで後ろからの奇襲の意図は明白だ。
「ワラ、後ろの道一面に水を撒け。チル、その水を凍らせろ。」
『『はーい。』』
ワラとチルで道を凍らせたところに、観光馬車の連中は、後ろから突撃を仕掛けて来た。先頭は顔合わせに行ったときに対応して来た奴だな。しかし!
野盗の一味は、全員が氷に足を取られて、すってんころりん、派手に転がっていた。
「よし、メタ、後ろの奴らに電撃。ツリ、電撃の後に拘束。」
『『はーい。』』滑って転んだ連中を電撃が襲い、道の両脇の樹々からするすると伸びた蔓が、観光客に扮した野盗たちを次々に拘束した。
「ジャックさん、警笛。前の3台を停めて。」ピー、ピー、ピー。長音3回緊急停止の合図。
この合図で警戒されたことを悟った野盗の待伏部隊は、坂の上の有利な立地を生かして突撃を仕掛けて来た。
「ウィン、竜巻を見舞え。敵の矢を吹き飛ばせ。」
『はーい。』ウィンの放った竜巻で、飛来した矢をすべて吹き飛ばし、さらに、突撃隊は、竜巻の突風で地面に蹲った。
「フィア、敵の上空に花火。威嚇するぞ。ド派手なのを頼む。」
『はーい。』キュルルルー、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、おいおい、いったい何発撃つんだよ。ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、…。
「フィア、もういいぞ。ちょっとやり過ぎかな。」野盗の本隊は、連発した花火でパニックに陥り、腰を抜かしてる奴もいる。
『え?だって、派手にって、言うから。てへっ。』あ、確信犯だ!まぁ結果オーライだけどね。
「ツリ、残りの野盗を全員拘束。」
『はーい。…完了ー。』
終わってみると拘束した野盗はなんと35人もいた。待伏部隊19名と、観光馬車の奇襲部隊16名だ。
武器を取り上げ、装備も身ぐるみ剥いで、この寒い中、下着だけにした。寒かろうが、服の中に武器を隠されるのは嫌だからな。それにこいつらに掛ける情けはない。中には女も6名いたが、扱いは同じだ。
野盗からは「寒い!」と文句が出たが、こいつらだって襲った相手の身ぐるみを剥ぐんだから文句を言われる筋合いはない。それに商隊に付いてジョグで移動するのだから、体はすぐに温まる。
そのままそこで昼休憩をとって、野盗の集団を連れたまま、夕刻には、最後の宿泊地に着いた。小さな町なので、この町の衛兵詰所では処理しきれず、結局、翌日に北府まで、俺たちが野盗を連行することになった。
翌日の昼過ぎに北府に入り、ジャックさんと別れた俺は、北府近衛隊詰所に野党35名を連行して行った。この寒い冬に、手枷足枷で数珠繋ぎになった、下着だけの集団は否が応でも目立つ。詰所まで付いて来た野次馬が結構な数に上った。
中でしばらく事情を聴かれ、状況説明をしていると、商品の納品を終えたジャックさんが、盗賊どもの武器や装備品を持って近衛隊詰所にやって来て、同じように説明してくれた。
「ゲオルクどのか。私は近衛隊副長のリチャードだ。
はて、貴殿はどこかでお会いしたような…、あ、騎士団詰所を潰したあのときの!」おいおい、人聞きの悪い言い方をするんじゃねぇよ。苦笑
「ああ、あんたはあのときの近衛隊の指揮官だな。近衛隊の副長だったのか。ところであいつらどうしてる?」
あいつらとは、俺に絡んで来た質の悪い騎士団員数名と、それを見て見ぬふりをしていた、あの騒動ときの騎士団長のことだ。当然、あの騒動の直後に騎士団長を解任されている。
ベスさんとバーで初めて出会ったとき、俺とベスさんに絡んで来た騎士団員4名を軽く懲らしめたら、翌日その仲間5名が俺を捕縛しに来たので、逆にそいつらを拘束し、そいつらを連れて、ベスさんと一緒に騎士団まで押し掛けて、成り行きで騎士団詰所を半壊させることになってしまった。
その騒動の最中、質の悪い騎士団員と、そいつらを統率できていなかった騎士団長を引き渡した近衛隊の指揮官が、この副長だった。
リチャードと言うのか。副長にしては随分若いな。余程、優秀なのだろうな。
「もちろん強制労働でしっかり償わせているから安心してくれ。ところで今回も大手柄だったな。貴殿が捕まえてくれた35名は、以前から暴れていた野盗でな、神出鬼没なせいで、なかなか捕縛できなくて、正直、手を焼いていたのだ。本当に助かった。」
「それはよかった。」
「ギルドを通して報奨金を出すから期待しておいてくれ。」
その後、ジャックさんとは近衛隊詰所で別れて、近衛隊副長のリチャードと一緒にギルドに行った。まず俺はカデフィのギルマスにもらったAランクへの推薦状を提出した。
「え?これって…、雪崩に誘発された山崩れで埋まった街道を復旧?もしかして、あの件ですか?うーん、でも、ゲオルクさんってBランクになったばかりですよね。Bランク活動期間が短過ぎるので、Aランクはまだ無理ですね。」
「ちょっと待て。このゲオルクどのは、例の盗賊団を一網打尽にしたのだぞ。近衛隊からもギルドを通して報奨金を出すつもりだ。これだけでもAランク昇格に値する働きだぞ。」
「しかしですね。ギルドの規定が…。」
「その規定は、このような規格外の働きを想定していまい?想定を超える働きには規定を越えて対処すべきではないのか?」
「ちょっと私では判断できないのでギルマスを呼んで来ます。」
受付嬢はギルマスを呼びに行った。
「リチャードどの、ありがとう。」
「なんの、正当な評価だ。それにしてもあの街道復旧もゲオルクどのの働きだったとはな。」
その後、リチャードと一緒に、ギルマスへ盗賊団捕縛に関する詳細な報告をした。
「確かに実績的には文句ないがな…。」ギルマスが渋る。
「そもそも短期間に続けてAランク相当の実績を出す冒険者などいないだろう?そこを考慮すべきではないか?」リチャードが理詰めで援護してくれている。
「しかしですね、リチャード様。」え?様付け?
「おい。」
「あ、失礼。うーん、Aランク相当の実績か…。」そう、ギルマスは呟いたが、結局、明日まで時間をくれと言うことで、その日は終わった。
なお、この間のやり取りで、俺は近衛隊副長のリチャードと打ち解け、リチャード、ゲオルク、と呼び合う仲になっていた。
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設定を更新しました。R4/4/24
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№55 Aランク相当
翌朝ブレナを発って順調に進み、夕刻にはカデフィに着いた。
ジャックさんは、ブレナで仕入れた金属鉱石を得意先の工房へ納品しに行き、その後、宝石を仕入れる。一方、俺はギルドへと向かった。ギルドでは早速ギルマスルームに通された。
「ゲオルク、よく来た。査定にもたついてすまなかったな。」
「いや、ギルマスの態度としては、慎重でいいと思うぞ。」
「そいつはありがとよ。しかしお前、凄いな。ジャックだったか、あの商人は話し上手だったが、内容が内容だけに、どうしても信じ切れなくてな。でもな、他の商人ふたりと、冒険者たちがみんな同じような証言をしたよ。」
「まぁ、事実だからな。」
「それでなんだが、普通に復旧作業をしてたら、何日掛かったか分からねぇ。その間、物資の補給が止まったり、商品の出荷ができなかったりしたら、その被害はとんでもなかった。しかも、土砂崩れ後の補強と森林の復旧までやってるしよ、実にいい仕事だ。
そういう訳で、報酬は大金貨5枚。それとAランクへの推薦だ。」
「え?そんなにか?随分破格だな。」
「そりゃそうさ。街道は地方都市の生命線だからな。復旧には何日も掛かったろうから、その損害は大金貨5枚程度じゃ済まないところだったぜ。」
「そうなのか。それとAランクへの推薦って何だ?」
「うちじゃぁ、Aランクは出せねぇんだよ。Aランクを出せるのは、王都か四府のギルドだけだ。でもよ、町のギルドはAランクを出せって要求することができるんで、それだな。もちろん却下されることもあるから絶対じゃないがな。」
四府と言うのは、東府、西府、南府、北府のことだ。
「そうなのか。随分、気前がいいな。」
「まぁそれだけの仕事をしたってことだ。胸を張っていいぜ。」
「おう。」
「で、これがAランクへの推薦状だ。北府ギルドでギルマスに出しな。」
「分かった。いろいろありがとな。」
「報酬は受付で受け取ってくれ。」
俺はギルマスルームを後にして、受付で報酬を受け取った。
その晩は宿屋に泊まり、翌日出発だ。
翌日、カデフィの中央広場に行商馬車が集まる。こうして臨時の商隊を組む訳だ。単独より安全だし、行商馬車ごとに護衛がいるから、行商馬車が集まって商隊を組むと、護衛の人数も増える。
今回は武器商人の行商馬車3台と、ジャックさんの宝石の行商馬車、それとチャーターされた団体観光客の馬車2台。
しかし、湯の町バースなら湯治目的で分かるけど、何でカデフィに観光なんだろ?武器や宝石を卸値で安く買いに来たのかな?
「なぁ、ジャックさん。あの集団だけどさ、なんでカデフィに観光なんだ?カデフィにはどこか見所とか、あるのかな?」
「あまり聞いたことありません。工房見学くらいですかねぇ。」
「あるいは武器か宝石を卸値で買いに来たとか?」
「いえいえ、工房は、私たち仲買人以外には卸値では出しませんよ。小売値以上に吹っ掛けますね。中にはクズを高値で売る工房もあります。それでもここで買えば安いと思って買ってくカモがそこそこいるんですよ。」
「えげつねぇなぁ。」
「そう仰いますが、個人客に安く出したら、私たち仲買人が干上がるじゃないですか。定期的にまとめ買いする私たち仲買人を干上がらせたら、工房は商品を売る先がなくなるんですよ。個人客は素人で一見ですからね、思いっ切り吹っ掛けたり、クズを売りつけたりして、それでも素人が納得して買うのなら、それは自己責任と言うものです。」
「俺が買った指輪は大丈夫…だよね?」
「もちろんですよ。私がちゃんと目利きしましたからね。」
「いや、ほんと助かったわ。ジャックさん、ちゃんと儲けてるよな?」
「もちろんですよ。私も商人ですからね。」
「ところでさ、素人のカモがあんなに大人数で来るのかな?」
「ちょっと見ないですね。」
「なんか怪しくないか?」
「怪しいと仰いますと?」
「復路は野盗が出るんだよな。あいつら、野盗の仲間だったりしないかな?」
「まさか。」
「警戒しといて損はないよ。ちょっくら探りを入れて来るわ。」
俺は精霊たちを連れて観光馬車に行った。
「どうもー、俺は宝石商の護衛のゲオルクだ。こちらの護衛と顔合わせしたいんだが、いるかい?」
「俺が護衛だが、何で顔合わせがいるんだ?」
「は?何言ってんの?復路は野盗も出るんだぜ。そしたら連携しないといけねぇだろ?」
「別にうちの馬車は俺が守るから構わねぇでくれ。」馬車の中は見えないな。
「じゃぁ、何で商隊に入るんだ?うちはうちって言うんなら、単独で行けばいいだろう?」
「ちっ。面倒臭ぇなぁ。」
「俺は射手なんだが攻撃魔法も少々。Lアタッカーだ。あんたは?」
「剣士だよ。仲間もそうだ。」
「仲間って何人?」
「4人だ。」
「ヒーラーはいないのか?」
「いねぇよ。」
「そうか、ヒーラーがいないのか。他の護衛にいるといいけどな。」
「あんたんとこは?」
「俺とこの子たちだ。」
「いやいや、子どもはぞろぞろいても数に入んねぇだろ。あんた、ひとりで大丈夫なのか?」護衛と名乗った男は、小馬鹿にしたように笑っている。
「だから他の護衛と顔合わせするんじゃないか。残りの3人とも会わせてくれよ。」
「今は出掛けてていねぇよ。それにリーダーが俺だからな、俺と会ってんだからもういいだろう。」
「連携は大丈夫か?」
「ひとりだからってこっちを頼るんじゃねぇよ。まぁせいぜい頑張んな。危なくなったら助けてやるよ。」
よし、これで、こいつらが野党の仲間なら俺を狙って来るぞ。
「俺もあんたらを援護するよ。よろしくな。」
「別に間に合ってるから、あんたの援護はなくてもいいぜ。」護衛のリーダーは、ふふんと笑いやがった。
商隊は昼前にカデフィを出発した。
商隊の隊列は、武器商人の馬車3台、ジャックさんの馬車、観光馬車2台の順になった。
観光馬車は後ろを押さえたので、行く手を塞ぐ野盗が出て来て、前に対して応戦体制を敷いたところを、後ろから不意討ちして、挟み撃ちにする気だろう。あるいは前3台をやり過ごして、ジャックさんの馬車だけを狙って来るか?
いずれにせよ、こちらには精霊たちと言う非常に優秀な索敵部隊がいるから屁でもないけどな。
「後ろの2台には何人乗ってる?」俺は精霊たちに聞いた。
『すぐ後ろの、馬車に、8人。』
『最後の、馬車に、8人。』
『みんな、剣を、持ってる。』
『弓矢は、最後の、馬車に、5人。』
『魔力は、少ない。魔術師は、いない。』
全部で16人か。
終日警戒していたが、初日の襲撃はなかった。この日の宿屋は、往路で特別室をあてがわれた宿屋だ。もちろん今回は普通に4人部屋だった。
「なぁ、ジャックさん。俺ひとりだからシングルじゃないの?4人部屋になってるぜ。」
「往路は精霊たちをお客さん扱いにしてしまいましたが、精霊たちもうちの護衛ですからね。」
「なんか、悪いね。最初の契約通りでいいのに。」
「いやいや、あの働きを見たらこうなりますって。今日もずーっと警戒してくれてたじゃないですか。」よく見ていて、きちっと評価する。ジャックさんはいい商人だ。こう言う人には信用が集まる。信用される商人は間違いなく大成するだろう。
そのまま部屋に行くと、所詮は4人部屋。特別室に比べたら見劣りする。
『ゲオルク、この前の、大きい部屋がいい。』え?
『お風呂の、付いてる部屋。』あちゃー、贅沢を覚えちゃったか。
『メタも、そのお風呂に、入ってみたい。』おーい、精霊さんたち。部屋に風呂が付いてることが基準な訳ですかい?
「分かった、分かった。じゃあ、あの部屋が空いてるか聞いて来るよ。」埋まっててくれ…。しかし!特別室は空いていた。泣
差額の大銀貨9枚を支払ったが、特別室って、1泊あたり金貨1枚もするのか。大泣
そう言えば、往路は特別室だけじゃなくて、さらに特別料理だったから、ジャックさんたちは相当奮発してくれてたんだな。
特別室に移動し、早速、部屋付き露天風呂に皆で入った。特にメタは大喜びで、結局、夕餉前、夕餉後、就寝前、早朝と、都合4回も露天風呂に付き合わされてしまった。まぁ、道中の精霊たちは、終始警戒でまわりに気を配っていたし、そのせいでずっと集中してた訳だからこれくらいはいいだろう。
翌日の行程は、例の土砂崩れの現場を通過する。仕掛けて来るとしたら今日だろうか?
案の定、もうすぐ昼休憩かと言う頃、峠に差し掛かるところで、精霊たちが怪しい反応を捕らえた。
『ゲオルク、人影19人。そのうち、剣が13人、弓矢が6人。前方1km。』
『19人のうち、4人が、こちらに、向かい出した。ふたりが弓矢。』
「その4人はおそらく偵察だな。位置的には敵が坂の上、敵に有利なポジションだ。」
『ゲオルク、後ろの、馬車2台、中の、全員が、武器を、持った。』
「ジャックさん、観光馬車の奴ら、本性を現したみたいだぞ。」
「ゲオルクさん、頼みますよ。」
「任せとけ。
メタ、電撃で感電させるぞ。準備しといてくれ。」
『はーい。』
『前から、近付いて、来てる、4人まで、200m。』
「よし、メタ。4人に電撃だ。しばらく痺れさせとけ。」
『はーい。』メタから、道の左右前方の森に電撃が飛んで行った。
『完了ー。転がってて、動けない。』
「ツリ、偵察隊を蔓で拘束。」
『はーい。…完了ー。』
「よし。クレ、道を荒らして後続馬車の足を停めろ。」
『はーい。』道に穴が開いて、後ろの観光馬車の2台の車輪が開いた穴にはまり、そのまま観光馬車2台は立往生した。
立往生した2台の観光馬車を置き去りにして、商隊と観光馬車の間が徐々に開いて行く。
観光馬車からは、わらわらと武装した集団が降りて来て、車輪を確認しているが、こちらに合図を送って来ない。やはり注目されたくないのだな。これで後ろからの奇襲の意図は明白だ。
「ワラ、後ろの道一面に水を撒け。チル、その水を凍らせろ。」
『『はーい。』』
ワラとチルで道を凍らせたところに、観光馬車の連中は、後ろから突撃を仕掛けて来た。先頭は顔合わせに行ったときに対応して来た奴だな。しかし!
野盗の一味は、全員が氷に足を取られて、すってんころりん、派手に転がっていた。
「よし、メタ、後ろの奴らに電撃。ツリ、電撃の後に拘束。」
『『はーい。』』滑って転んだ連中を電撃が襲い、道の両脇の樹々からするすると伸びた蔓が、観光客に扮した野盗たちを次々に拘束した。
「ジャックさん、警笛。前の3台を停めて。」ピー、ピー、ピー。長音3回緊急停止の合図。
この合図で警戒されたことを悟った野盗の待伏部隊は、坂の上の有利な立地を生かして突撃を仕掛けて来た。
「ウィン、竜巻を見舞え。敵の矢を吹き飛ばせ。」
『はーい。』ウィンの放った竜巻で、飛来した矢をすべて吹き飛ばし、さらに、突撃隊は、竜巻の突風で地面に蹲った。
「フィア、敵の上空に花火。威嚇するぞ。ド派手なのを頼む。」
『はーい。』キュルルルー、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、おいおい、いったい何発撃つんだよ。ドッガーン、ドッガーン、ドッガーン、…。
「フィア、もういいぞ。ちょっとやり過ぎかな。」野盗の本隊は、連発した花火でパニックに陥り、腰を抜かしてる奴もいる。
『え?だって、派手にって、言うから。てへっ。』あ、確信犯だ!まぁ結果オーライだけどね。
「ツリ、残りの野盗を全員拘束。」
『はーい。…完了ー。』
終わってみると拘束した野盗はなんと35人もいた。待伏部隊19名と、観光馬車の奇襲部隊16名だ。
武器を取り上げ、装備も身ぐるみ剥いで、この寒い中、下着だけにした。寒かろうが、服の中に武器を隠されるのは嫌だからな。それにこいつらに掛ける情けはない。中には女も6名いたが、扱いは同じだ。
野盗からは「寒い!」と文句が出たが、こいつらだって襲った相手の身ぐるみを剥ぐんだから文句を言われる筋合いはない。それに商隊に付いてジョグで移動するのだから、体はすぐに温まる。
そのままそこで昼休憩をとって、野盗の集団を連れたまま、夕刻には、最後の宿泊地に着いた。小さな町なので、この町の衛兵詰所では処理しきれず、結局、翌日に北府まで、俺たちが野盗を連行することになった。
翌日の昼過ぎに北府に入り、ジャックさんと別れた俺は、北府近衛隊詰所に野党35名を連行して行った。この寒い冬に、手枷足枷で数珠繋ぎになった、下着だけの集団は否が応でも目立つ。詰所まで付いて来た野次馬が結構な数に上った。
中でしばらく事情を聴かれ、状況説明をしていると、商品の納品を終えたジャックさんが、盗賊どもの武器や装備品を持って近衛隊詰所にやって来て、同じように説明してくれた。
「ゲオルクどのか。私は近衛隊副長のリチャードだ。
はて、貴殿はどこかでお会いしたような…、あ、騎士団詰所を潰したあのときの!」おいおい、人聞きの悪い言い方をするんじゃねぇよ。苦笑
「ああ、あんたはあのときの近衛隊の指揮官だな。近衛隊の副長だったのか。ところであいつらどうしてる?」
あいつらとは、俺に絡んで来た質の悪い騎士団員数名と、それを見て見ぬふりをしていた、あの騒動ときの騎士団長のことだ。当然、あの騒動の直後に騎士団長を解任されている。
ベスさんとバーで初めて出会ったとき、俺とベスさんに絡んで来た騎士団員4名を軽く懲らしめたら、翌日その仲間5名が俺を捕縛しに来たので、逆にそいつらを拘束し、そいつらを連れて、ベスさんと一緒に騎士団まで押し掛けて、成り行きで騎士団詰所を半壊させることになってしまった。
その騒動の最中、質の悪い騎士団員と、そいつらを統率できていなかった騎士団長を引き渡した近衛隊の指揮官が、この副長だった。
リチャードと言うのか。副長にしては随分若いな。余程、優秀なのだろうな。
「もちろん強制労働でしっかり償わせているから安心してくれ。ところで今回も大手柄だったな。貴殿が捕まえてくれた35名は、以前から暴れていた野盗でな、神出鬼没なせいで、なかなか捕縛できなくて、正直、手を焼いていたのだ。本当に助かった。」
「それはよかった。」
「ギルドを通して報奨金を出すから期待しておいてくれ。」
その後、ジャックさんとは近衛隊詰所で別れて、近衛隊副長のリチャードと一緒にギルドに行った。まず俺はカデフィのギルマスにもらったAランクへの推薦状を提出した。
「え?これって…、雪崩に誘発された山崩れで埋まった街道を復旧?もしかして、あの件ですか?うーん、でも、ゲオルクさんってBランクになったばかりですよね。Bランク活動期間が短過ぎるので、Aランクはまだ無理ですね。」
「ちょっと待て。このゲオルクどのは、例の盗賊団を一網打尽にしたのだぞ。近衛隊からもギルドを通して報奨金を出すつもりだ。これだけでもAランク昇格に値する働きだぞ。」
「しかしですね。ギルドの規定が…。」
「その規定は、このような規格外の働きを想定していまい?想定を超える働きには規定を越えて対処すべきではないのか?」
「ちょっと私では判断できないのでギルマスを呼んで来ます。」
受付嬢はギルマスを呼びに行った。
「リチャードどの、ありがとう。」
「なんの、正当な評価だ。それにしてもあの街道復旧もゲオルクどのの働きだったとはな。」
その後、リチャードと一緒に、ギルマスへ盗賊団捕縛に関する詳細な報告をした。
「確かに実績的には文句ないがな…。」ギルマスが渋る。
「そもそも短期間に続けてAランク相当の実績を出す冒険者などいないだろう?そこを考慮すべきではないか?」リチャードが理詰めで援護してくれている。
「しかしですね、リチャード様。」え?様付け?
「おい。」
「あ、失礼。うーん、Aランク相当の実績か…。」そう、ギルマスは呟いたが、結局、明日まで時間をくれと言うことで、その日は終わった。
なお、この間のやり取りで、俺は近衛隊副長のリチャードと打ち解け、リチャード、ゲオルク、と呼び合う仲になっていた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
設定を更新しました。R4/4/24
更新は火木土の週3日ペースを予定しています。
2作品同時発表です。
「射手の統領」も、合わせてよろしくお願いします。
https://kakuyomu.jp/works/16816927859461365664
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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