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射手の統領176 アーカで打合せと顔合わせ
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射手の統領
Zu-Y
№176 アーカで打合せと顔合わせ
昨夜はサヤ姉とサジ姉と3人で、テンバでの昔話に興じた。もう1年もしないうちに、ここガハマがユノベ本拠となり、テンバはユノベ副拠となる。
俺は、生まれ育ったテンバから、ここガハマへ居を移す訳だ。ちょっとしたテンバへの哀愁である。
さて、今日の俺は、東航路の廻船からの、北斗号の受け取りをアキナとタヅナに任せ、西都経由でシエンのいるアーカへ飛ぶ。キョウちゃんズとシノブも一緒だ。
西都のギルマスのサンキへ、新たに嫁にしたシノブを紹介しつつ、コム鏑を披露して、それからアーカでシエンと、明日のオミョシ東家座主との面会の打合せだ。
東家座主との面会には、エノベのお頭も同席するので、エノベのお頭にも顔繋ぎをしてもらうことになる。
シエンの伯父のオミョシ東家座主は、西家を継いだばかりのシエンを甘く見ていらぬちょっかいを出し、手厳しく逆襲され、とことん追い込まれて、詫びを入れに来るのだ。
実質的にはシエンへの臣従である。それが明日の東家座主との面会だ。
懐の深いシエンは、伯父である東家座主が詫びを入れて臣従したら、俺たちの武家大同盟に迎え入れるべく、同盟の成り行き上の盟主である俺に、東家座主を顔繋ぎさせたいと考えている。今日はその事前打ち合わせだ。
他の嫁たちはと言うと、サヤ姉はシリタ副拠、サジ姉はエノウ副拠、ホサキはナワテ副拠に飛んで鍛錬。
当然、御代替わりに際しての、本拠と副拠の入れ替えに向けて、情報交換などもして来るだろう。
アキナとタヅナは、東都港で北斗号を受け取った後、アキナが、積荷の半分を山髙屋東都総本店に卸し、残りの半分を商都西本店へ廻船で回送する手はずを整えつつ、タヅナは北斗号をキノベ陸運東都営業所に運んでメンテの依頼。
その後、アキナは商都西本店に飛んで、従叔母の専務と御代替わりの物資調達に向けての打合せ、タヅナはアベヤ副拠に飛んで鍛錬と今後の情報交換。
大同盟に提携している山髙屋は、有事に際して、大同盟に軍資金や物資を提供してくれることになっており、御代替わりはその有事に該当する。
御代替わりの物資調達では、山髙屋に大いに負担を掛けるが、その分以上に、御代替わりで大儲けできるよう、下準備をしているのだ。
御代替わりに関する情報も、公式発表前に俺経由で流していたから、つい先日の正式発表で御代替わりを初めて知った他の商家に先んじて、いろいろな準備に動くことができたのだ。
さて、俺はキョウちゃんズとシノブを連れて西都ギルドへ飛んだ。
「「ふーちゃん!」」
「サキョウちゃん、ウキョウちゃん。先日のお土産、美味しかったわ。」ミャーコのウニ瓶な。
「やあ、チフユさん。サンキさんに繋いでくれ。」
「アタルさん。お土産ご馳走様でした。」
「ああ。チフユさんにはいつも世話になってるからな。」チフユは満面の笑顔になったが…。
「で、こちらは?」
「セプトの新メンバーで、俺の新しい嫁のシノブだ。」
「え?また?」チフユの満面の笑みは、あっと言う間にジト目に変わった。でもそれはスルー。苦笑
「アタル、よう来たな。まあ掛けや。」ギルマスルームでサンキと対面した。
「サンキさん、新しい嫁のシノブだ。」
「こらまた別嬪さんや。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。出た!サンキのお公家笑い。
「シノブでござりまする。よろしくお引き立てくださりませ。」
「こらまたご丁寧に。こちらこそよろしゅう頼んまっさ。
ところでアタル、ミャーコの土産、おおきに。酒のアテにごっつよかったで。一晩で全部食うてもうた。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。
「その日に食うのが一番さ。ひと晩置いたら鮮度が落ちるからな。」
「ところで今日は、どないしたんや?」
「サンキさんにもコム鏑を見せに来たんだよ。」俺は緑色に輝くコム鏑を出した。
「おお、これは見事や。これでアタルは、七神龍をすべて揃えたんやな。」
「そうだな。」
「古の和の国で七神龍をすべて揃えたと伝わるんは、まずは、和の国を建てたカミタケの大帝、次に、古の改新を支えて公家の制度を定着させたわがコノエ家の祖アシカマ卿や。
その後は、武家の紅の軍と白の軍の戦いを制した白の軍の統領アサライ将軍やが、アサライ将軍は、元々は幽閉の身やったさかい、ひとつしか持ってへんかった。せやけど6つまで集めとった紅の軍の統領セイセイ卿が死去して、その6つを受け継いだセイセイ卿の跡継ぎのセイソウ卿から奪って7つにしたんや。
さらに時代は下って、帝家が南北朝に分かれたのを統一した武家の統領マンギ将軍、それから戦国の世を統一したコウカ将軍や。
もっともコウカ将軍が直に手に入れたんはひとつで、太閤キッシュウ卿が持っとった6つをこっそり掠めて7つ揃えたんやけどな。その太閤キッシュウ卿も、自分で手に入れたんは3つで、右府オサシン卿が集めた3つを奪った謀反人シュウコウを退治して、右府オサシン卿が集めた3つを手に入れて6つにしたんや。」
「サンキさん、随分詳しいな。」
「一応、わいも公家の端くれやよってな。和の国の歴史やったら、裏の裏まで学んどるで。
せやからな、アタルも歴史に名を残す大物になるん違う?」
「いやいや俺はそんな柄じゃないって。次ノ宮殿下に引き立てられてる一朝臣で十分だよ。天下を統一しようなんて野望はさらさらないし、大同盟の皆で仲良く帝家を支えられたらそれが一番さ。」
「アタル兄、武家の大同盟を作ったやん?これって、歴史上で一番平和的に和の国を統一しはったってことになるんやないの?」
「せやな。武家の大同盟に加えて和の国の流通を牛耳っとる山髙屋とも提携しとるしな。でも、全部婚姻同盟のハーレム統一やけどな。」
「うぉい!ハーレム統一とはなんたる言い草だっちゅーの!」
「アタル、こら一本取られたの。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。こら、サンキ!笑いごとじゃないだろ。
「「まんまやん。」」ケタケタと笑うキョウちゃんズ。お前らなー。
「言い得て妙、でござるな。」シノブまでなんてことを!
「明日も伯父上が、兄上に臣従しに来るやんか。」
「せやねー、兄上経由で完全統一やねー。」
「ちょい待てや。伯父上ってオミョシ東家の座主かいな?」キョウちゃんズが言ったことにサンキが食い付いた。
「そうだな。昨日、廻船で商都に着いてるはずだから、今日は商都からアーカへ移動して、明日の朝イチでシエンと対面するだろうな。この後、俺たちは、その打合せにアーカに行くんだよ。」
「シエン奴、いつの間に東家を臣従させたんや?」
「それは…。」俺が答えようとすると、
「あー!前回、アタルが東に帰る前に、シエンが描いとる言うとった大きな絵は、これかいな!」流石だ。サンキはすぐに言い当てた。
「そうだよ。」
「何ちゅうこっちゃ。シエンの奴、相当なやり手やないかい。数日前のエノベとの電撃婚姻同盟にも度肝を抜かれたけどな。…ん?ちょい待て。アタル、東に帰る前、自分、シエンがエノベと結ぶようなことも言うとったな。」
「言ったけどさ、あれもサンキさんが言い当てたんだぜ。自分で言い当てといて信じてなかったのかよ。」
「信じてへん言うよりは、まさかと思てたんや。
アタル、自分、シエンのこの壮大な謀略や、シエンとエノベの婚姻同盟に一枚噛んどるやろ?」
「いやいや、オミョシ西家とエノベとの縁は、シエンがエノベのエイどのに惚れて口説き落として早々に手を付けたのが発端だよ。俺は後から聞いただけだぜ。
それと、東家への謀略も、俺は相談に乗ってただけで、絵を描いたのはあくまでもシエンだからな。
それとさ、いいタイミングで次ノ宮殿下が御代替わりの人事を発表してくれたお陰ってのもあるな。あれで、次ノ宮殿下が俺たちを支持していることが分かって、東家の座主は臣従を決断せざるを得なくなったようなんだよな。」
「さよか。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。なんでここで、サンキからお公家笑いが出るんだろ?
あ!サンキか!サンキが次ノ宮殿下に入れ知恵したんだ。東の公家の横槍封じを。
「サンキさんだったのか。」
「何がや?」
「次ノ宮殿下に、東の公家の横槍封じに、御代替わり人事の入れ知恵をしたのだよ。殿下が俺の披露目に託けて、ご譲位の下準備に西都へ来たときに、サンキさんが殿下に入れ知恵してたんだな?」
サンキは無言のまま、扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。これ、肯定ってことだな。
「せやけど、アタルはなんで、横槍封じが殿下の思い付きやないて気付いたんや?」
「殿下から、俺がよく知ってる奴に『入れ知恵された。』って聞いたからだよ。」
「あの宮も正直もんやなぁ。自分の手柄にしてまえばええものを。」
「俺が殿下のお知恵は凄いって褒め千切ったからな、バツが悪くなって白状したのかもしれんな。」
「せやったんか。」
「東都ギルドのギルマスのタケクラさんも『これは見事だ。』ってしきりに感心してたけどな。それとかなり痛快そうに笑ってたぜ。」
「せやろな。タケクラは東の公家どもの横槍に煮え湯を飲まされたことが、ようけあるさかいなぁ。」やっぱそうだったか。笑
「やっぱ、サンキさんは只者じゃねぇな。」
「何を言うやら…。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。
「じゃあサンキさん、俺たちはこの辺で。」
「この後アーカに行くんやったな。シエンにわいが『じっくり話したい。』言うとったって伝えてんか?」
「お安い御用だ。」
俺たちは西都のギルマスルームを辞して、アーカに飛んだ。
「アタル、よう来てくれたな。」
ここはアーカのオミョシ西家本拠館の大広間だ。
正面の主の座にシエン。その両横に、エイどの、シエン側近の爺とその息子たち、そして何やら只ならぬ雰囲気のある御仁。ひょっとするとエノベのお頭か?
客の座で俺の後ろに控えるのは、キョウちゃんズとシノブ。
「ああ。サキョウとウキョウから、シエンの描いた絵がいよいよ実を結ぶと聞いたのでな。」
「何言うてんの。絵を描いたのは、アタルも一緒やないか。
それはそうとミャーコのお土産おおきに。皆でありがたく頂いたで。」エイどの、爺、その息子たちが会釈した。
「それはよかった。」
「それとな。紹介させてんか。
義父上、ユノベの次期統領で、武家大同盟の盟主、アタルや。御代替わりの総大将も務めることになっとる。
アタル、エノベのお頭の義父上や。」
「これはエノベのお頭どのですか。ユノベでござる。」
「エノベでおます。シエン共々、よろしゅう。」
「それとな、シエン。新たにシノベ家から嫁に迎えたシノブだ。」
「シノブどのとは会うたことあるで。エイのライバルで親友やさかいな。」
「シノブ、幸せそうやな。」エイがシノブに微笑み掛けた。
「エイも、でござろう?」シノブもエイに微笑み掛けた。
シノブはエノベどのにも目礼した。すでに顔見知りなのだな。まあ当たり前か。西の忍びの統領家のお頭と、東の忍びの統領家の一の姫だものな。
「それと、エノベどの。やはりわが嫁でシエンの妹のふたり。サキョウとウキョウです。お見知りおきを。」
「サキョウどす。」「ウキョウどす。」ふたりはシンクロしてエノベどのに挨拶をした。
「婿どのの妹御でおますか。婚姻の儀では会えなんだけど、エノベでおます。よろしゅう。」
シエンとエイどのの婚姻の儀は翠樹龍攻略の最中だったから、キョウちゃんズは参列できなかったのだ。
「「こちらこそよろしゅう。」」
「そうそう、婚姻の儀に際しては、過分な祝儀、おおきに。」シエンが礼を言って来た。叔父貴たちが上手くやってくれてたんだな。
「こちらこそ、サキョウとウキョウを行かせられなくてすまなかった。」
「そないなこと気にせんでええがな。自分らは、勅命での翠樹龍攻略中やったんやんか。こっちも電撃発表、即、婚姻の儀やったし、しゃーないで。」
厳密に言うと、翠樹龍の攻略は終わってたけどな。ビーチク温泉からリモーカでのわんこそばチャレンジの辺りだ。でもそれは黙っとこう。苦笑
それに俺たちには、電撃婚をやること自体が、伝わってなかったし。てか、シエンとエイどのは、実質上は、とっくに結婚してたし。笑
「そうそう、西都のギルマスのサンキさんがシエンに会いたいって言ってたぜ。」
「さよか。いろいろバタバタしとったけど、明日が終わればようやく落ち着くさかい、会いに行けるで。」
「いろいろ聞かれるんじゃないの?」
「せやろな。まあ、のらりくらりと躱したるけどな。」
それから俺たちは、東家座主の出方をいろいろ想定して、様々な出方についての対応を話し合ったのだった。
夕刻にガハマへ帰ると、嫁たちも帰って来ていた。ここで朗報!アキナが避妊具を持って帰って来たのだ。
外国船の来航がなくて,原材料のゴムが手に入らず、品不足に陥っていた俺考案のゴムの避妊具が、ここんとこ立て続けに外国船が寄港したせいで、十分なゴムの備蓄ができたそうなのだ。
そして山髙屋では、大量生産体制に入ったとか。
俺は今宵のむふふタイムに思いを馳せる。
さあ、朗報が入ったところで、皆で混浴だ。
今日は黒湯である。黒湯は堆積した海藻の色素がにじみ出ているオレンジの湯なのだが、浴槽に溜めるとオレンジが濃くなって茶色から黒色になる。海藻成分がにじみ出ていると言うことは、ヨウ素がふんだんに溶けているからなのだ。
今宵も艶やかに咲く16輪の花を愛でた俺なのだった。
ひとっ風呂浴びた後、夕餉を摂ったら、待ってましたのお床入りである。今宵の輪番はホサキとシノブ。
最近めっきり肉食化したホサキと、くノ一秘伝の閨の術を使いこなすシノブ。しかもこのふたりは、ストイックなまでに絞り込んでいる。一方は、重鎧を着込んで、日々筋トレをしているようなものの盾槍士ホサキ、もう一方は、くノ一の身軽さを維持するために、絞りに絞っているシノブ。
ことさら小ぶりの双丘と、腹筋のシックスパックが、貧乳好きの俺にはどストライクなのだ。
アキナが手に入れて来たゴムの避妊具で、最後まで行ったのは言うまでもない。ああ、最後まで行ったのは、いったいいつ以来だ?
あ、昨夜、サヤ姉とサジ姉と盛り上がって、最後まで行っちゃったんだった。しかも生で。苦笑
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毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№176 アーカで打合せと顔合わせ
昨夜はサヤ姉とサジ姉と3人で、テンバでの昔話に興じた。もう1年もしないうちに、ここガハマがユノベ本拠となり、テンバはユノベ副拠となる。
俺は、生まれ育ったテンバから、ここガハマへ居を移す訳だ。ちょっとしたテンバへの哀愁である。
さて、今日の俺は、東航路の廻船からの、北斗号の受け取りをアキナとタヅナに任せ、西都経由でシエンのいるアーカへ飛ぶ。キョウちゃんズとシノブも一緒だ。
西都のギルマスのサンキへ、新たに嫁にしたシノブを紹介しつつ、コム鏑を披露して、それからアーカでシエンと、明日のオミョシ東家座主との面会の打合せだ。
東家座主との面会には、エノベのお頭も同席するので、エノベのお頭にも顔繋ぎをしてもらうことになる。
シエンの伯父のオミョシ東家座主は、西家を継いだばかりのシエンを甘く見ていらぬちょっかいを出し、手厳しく逆襲され、とことん追い込まれて、詫びを入れに来るのだ。
実質的にはシエンへの臣従である。それが明日の東家座主との面会だ。
懐の深いシエンは、伯父である東家座主が詫びを入れて臣従したら、俺たちの武家大同盟に迎え入れるべく、同盟の成り行き上の盟主である俺に、東家座主を顔繋ぎさせたいと考えている。今日はその事前打ち合わせだ。
他の嫁たちはと言うと、サヤ姉はシリタ副拠、サジ姉はエノウ副拠、ホサキはナワテ副拠に飛んで鍛錬。
当然、御代替わりに際しての、本拠と副拠の入れ替えに向けて、情報交換などもして来るだろう。
アキナとタヅナは、東都港で北斗号を受け取った後、アキナが、積荷の半分を山髙屋東都総本店に卸し、残りの半分を商都西本店へ廻船で回送する手はずを整えつつ、タヅナは北斗号をキノベ陸運東都営業所に運んでメンテの依頼。
その後、アキナは商都西本店に飛んで、従叔母の専務と御代替わりの物資調達に向けての打合せ、タヅナはアベヤ副拠に飛んで鍛錬と今後の情報交換。
大同盟に提携している山髙屋は、有事に際して、大同盟に軍資金や物資を提供してくれることになっており、御代替わりはその有事に該当する。
御代替わりの物資調達では、山髙屋に大いに負担を掛けるが、その分以上に、御代替わりで大儲けできるよう、下準備をしているのだ。
御代替わりに関する情報も、公式発表前に俺経由で流していたから、つい先日の正式発表で御代替わりを初めて知った他の商家に先んじて、いろいろな準備に動くことができたのだ。
さて、俺はキョウちゃんズとシノブを連れて西都ギルドへ飛んだ。
「「ふーちゃん!」」
「サキョウちゃん、ウキョウちゃん。先日のお土産、美味しかったわ。」ミャーコのウニ瓶な。
「やあ、チフユさん。サンキさんに繋いでくれ。」
「アタルさん。お土産ご馳走様でした。」
「ああ。チフユさんにはいつも世話になってるからな。」チフユは満面の笑顔になったが…。
「で、こちらは?」
「セプトの新メンバーで、俺の新しい嫁のシノブだ。」
「え?また?」チフユの満面の笑みは、あっと言う間にジト目に変わった。でもそれはスルー。苦笑
「アタル、よう来たな。まあ掛けや。」ギルマスルームでサンキと対面した。
「サンキさん、新しい嫁のシノブだ。」
「こらまた別嬪さんや。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。出た!サンキのお公家笑い。
「シノブでござりまする。よろしくお引き立てくださりませ。」
「こらまたご丁寧に。こちらこそよろしゅう頼んまっさ。
ところでアタル、ミャーコの土産、おおきに。酒のアテにごっつよかったで。一晩で全部食うてもうた。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。
「その日に食うのが一番さ。ひと晩置いたら鮮度が落ちるからな。」
「ところで今日は、どないしたんや?」
「サンキさんにもコム鏑を見せに来たんだよ。」俺は緑色に輝くコム鏑を出した。
「おお、これは見事や。これでアタルは、七神龍をすべて揃えたんやな。」
「そうだな。」
「古の和の国で七神龍をすべて揃えたと伝わるんは、まずは、和の国を建てたカミタケの大帝、次に、古の改新を支えて公家の制度を定着させたわがコノエ家の祖アシカマ卿や。
その後は、武家の紅の軍と白の軍の戦いを制した白の軍の統領アサライ将軍やが、アサライ将軍は、元々は幽閉の身やったさかい、ひとつしか持ってへんかった。せやけど6つまで集めとった紅の軍の統領セイセイ卿が死去して、その6つを受け継いだセイセイ卿の跡継ぎのセイソウ卿から奪って7つにしたんや。
さらに時代は下って、帝家が南北朝に分かれたのを統一した武家の統領マンギ将軍、それから戦国の世を統一したコウカ将軍や。
もっともコウカ将軍が直に手に入れたんはひとつで、太閤キッシュウ卿が持っとった6つをこっそり掠めて7つ揃えたんやけどな。その太閤キッシュウ卿も、自分で手に入れたんは3つで、右府オサシン卿が集めた3つを奪った謀反人シュウコウを退治して、右府オサシン卿が集めた3つを手に入れて6つにしたんや。」
「サンキさん、随分詳しいな。」
「一応、わいも公家の端くれやよってな。和の国の歴史やったら、裏の裏まで学んどるで。
せやからな、アタルも歴史に名を残す大物になるん違う?」
「いやいや俺はそんな柄じゃないって。次ノ宮殿下に引き立てられてる一朝臣で十分だよ。天下を統一しようなんて野望はさらさらないし、大同盟の皆で仲良く帝家を支えられたらそれが一番さ。」
「アタル兄、武家の大同盟を作ったやん?これって、歴史上で一番平和的に和の国を統一しはったってことになるんやないの?」
「せやな。武家の大同盟に加えて和の国の流通を牛耳っとる山髙屋とも提携しとるしな。でも、全部婚姻同盟のハーレム統一やけどな。」
「うぉい!ハーレム統一とはなんたる言い草だっちゅーの!」
「アタル、こら一本取られたの。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。こら、サンキ!笑いごとじゃないだろ。
「「まんまやん。」」ケタケタと笑うキョウちゃんズ。お前らなー。
「言い得て妙、でござるな。」シノブまでなんてことを!
「明日も伯父上が、兄上に臣従しに来るやんか。」
「せやねー、兄上経由で完全統一やねー。」
「ちょい待てや。伯父上ってオミョシ東家の座主かいな?」キョウちゃんズが言ったことにサンキが食い付いた。
「そうだな。昨日、廻船で商都に着いてるはずだから、今日は商都からアーカへ移動して、明日の朝イチでシエンと対面するだろうな。この後、俺たちは、その打合せにアーカに行くんだよ。」
「シエン奴、いつの間に東家を臣従させたんや?」
「それは…。」俺が答えようとすると、
「あー!前回、アタルが東に帰る前に、シエンが描いとる言うとった大きな絵は、これかいな!」流石だ。サンキはすぐに言い当てた。
「そうだよ。」
「何ちゅうこっちゃ。シエンの奴、相当なやり手やないかい。数日前のエノベとの電撃婚姻同盟にも度肝を抜かれたけどな。…ん?ちょい待て。アタル、東に帰る前、自分、シエンがエノベと結ぶようなことも言うとったな。」
「言ったけどさ、あれもサンキさんが言い当てたんだぜ。自分で言い当てといて信じてなかったのかよ。」
「信じてへん言うよりは、まさかと思てたんや。
アタル、自分、シエンのこの壮大な謀略や、シエンとエノベの婚姻同盟に一枚噛んどるやろ?」
「いやいや、オミョシ西家とエノベとの縁は、シエンがエノベのエイどのに惚れて口説き落として早々に手を付けたのが発端だよ。俺は後から聞いただけだぜ。
それと、東家への謀略も、俺は相談に乗ってただけで、絵を描いたのはあくまでもシエンだからな。
それとさ、いいタイミングで次ノ宮殿下が御代替わりの人事を発表してくれたお陰ってのもあるな。あれで、次ノ宮殿下が俺たちを支持していることが分かって、東家の座主は臣従を決断せざるを得なくなったようなんだよな。」
「さよか。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。なんでここで、サンキからお公家笑いが出るんだろ?
あ!サンキか!サンキが次ノ宮殿下に入れ知恵したんだ。東の公家の横槍封じを。
「サンキさんだったのか。」
「何がや?」
「次ノ宮殿下に、東の公家の横槍封じに、御代替わり人事の入れ知恵をしたのだよ。殿下が俺の披露目に託けて、ご譲位の下準備に西都へ来たときに、サンキさんが殿下に入れ知恵してたんだな?」
サンキは無言のまま、扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。これ、肯定ってことだな。
「せやけど、アタルはなんで、横槍封じが殿下の思い付きやないて気付いたんや?」
「殿下から、俺がよく知ってる奴に『入れ知恵された。』って聞いたからだよ。」
「あの宮も正直もんやなぁ。自分の手柄にしてまえばええものを。」
「俺が殿下のお知恵は凄いって褒め千切ったからな、バツが悪くなって白状したのかもしれんな。」
「せやったんか。」
「東都ギルドのギルマスのタケクラさんも『これは見事だ。』ってしきりに感心してたけどな。それとかなり痛快そうに笑ってたぜ。」
「せやろな。タケクラは東の公家どもの横槍に煮え湯を飲まされたことが、ようけあるさかいなぁ。」やっぱそうだったか。笑
「やっぱ、サンキさんは只者じゃねぇな。」
「何を言うやら…。」扇子を半開きにして、口元に当て、ホホホと笑う。
「じゃあサンキさん、俺たちはこの辺で。」
「この後アーカに行くんやったな。シエンにわいが『じっくり話したい。』言うとったって伝えてんか?」
「お安い御用だ。」
俺たちは西都のギルマスルームを辞して、アーカに飛んだ。
「アタル、よう来てくれたな。」
ここはアーカのオミョシ西家本拠館の大広間だ。
正面の主の座にシエン。その両横に、エイどの、シエン側近の爺とその息子たち、そして何やら只ならぬ雰囲気のある御仁。ひょっとするとエノベのお頭か?
客の座で俺の後ろに控えるのは、キョウちゃんズとシノブ。
「ああ。サキョウとウキョウから、シエンの描いた絵がいよいよ実を結ぶと聞いたのでな。」
「何言うてんの。絵を描いたのは、アタルも一緒やないか。
それはそうとミャーコのお土産おおきに。皆でありがたく頂いたで。」エイどの、爺、その息子たちが会釈した。
「それはよかった。」
「それとな。紹介させてんか。
義父上、ユノベの次期統領で、武家大同盟の盟主、アタルや。御代替わりの総大将も務めることになっとる。
アタル、エノベのお頭の義父上や。」
「これはエノベのお頭どのですか。ユノベでござる。」
「エノベでおます。シエン共々、よろしゅう。」
「それとな、シエン。新たにシノベ家から嫁に迎えたシノブだ。」
「シノブどのとは会うたことあるで。エイのライバルで親友やさかいな。」
「シノブ、幸せそうやな。」エイがシノブに微笑み掛けた。
「エイも、でござろう?」シノブもエイに微笑み掛けた。
シノブはエノベどのにも目礼した。すでに顔見知りなのだな。まあ当たり前か。西の忍びの統領家のお頭と、東の忍びの統領家の一の姫だものな。
「それと、エノベどの。やはりわが嫁でシエンの妹のふたり。サキョウとウキョウです。お見知りおきを。」
「サキョウどす。」「ウキョウどす。」ふたりはシンクロしてエノベどのに挨拶をした。
「婿どのの妹御でおますか。婚姻の儀では会えなんだけど、エノベでおます。よろしゅう。」
シエンとエイどのの婚姻の儀は翠樹龍攻略の最中だったから、キョウちゃんズは参列できなかったのだ。
「「こちらこそよろしゅう。」」
「そうそう、婚姻の儀に際しては、過分な祝儀、おおきに。」シエンが礼を言って来た。叔父貴たちが上手くやってくれてたんだな。
「こちらこそ、サキョウとウキョウを行かせられなくてすまなかった。」
「そないなこと気にせんでええがな。自分らは、勅命での翠樹龍攻略中やったんやんか。こっちも電撃発表、即、婚姻の儀やったし、しゃーないで。」
厳密に言うと、翠樹龍の攻略は終わってたけどな。ビーチク温泉からリモーカでのわんこそばチャレンジの辺りだ。でもそれは黙っとこう。苦笑
それに俺たちには、電撃婚をやること自体が、伝わってなかったし。てか、シエンとエイどのは、実質上は、とっくに結婚してたし。笑
「そうそう、西都のギルマスのサンキさんがシエンに会いたいって言ってたぜ。」
「さよか。いろいろバタバタしとったけど、明日が終わればようやく落ち着くさかい、会いに行けるで。」
「いろいろ聞かれるんじゃないの?」
「せやろな。まあ、のらりくらりと躱したるけどな。」
それから俺たちは、東家座主の出方をいろいろ想定して、様々な出方についての対応を話し合ったのだった。
夕刻にガハマへ帰ると、嫁たちも帰って来ていた。ここで朗報!アキナが避妊具を持って帰って来たのだ。
外国船の来航がなくて,原材料のゴムが手に入らず、品不足に陥っていた俺考案のゴムの避妊具が、ここんとこ立て続けに外国船が寄港したせいで、十分なゴムの備蓄ができたそうなのだ。
そして山髙屋では、大量生産体制に入ったとか。
俺は今宵のむふふタイムに思いを馳せる。
さあ、朗報が入ったところで、皆で混浴だ。
今日は黒湯である。黒湯は堆積した海藻の色素がにじみ出ているオレンジの湯なのだが、浴槽に溜めるとオレンジが濃くなって茶色から黒色になる。海藻成分がにじみ出ていると言うことは、ヨウ素がふんだんに溶けているからなのだ。
今宵も艶やかに咲く16輪の花を愛でた俺なのだった。
ひとっ風呂浴びた後、夕餉を摂ったら、待ってましたのお床入りである。今宵の輪番はホサキとシノブ。
最近めっきり肉食化したホサキと、くノ一秘伝の閨の術を使いこなすシノブ。しかもこのふたりは、ストイックなまでに絞り込んでいる。一方は、重鎧を着込んで、日々筋トレをしているようなものの盾槍士ホサキ、もう一方は、くノ一の身軽さを維持するために、絞りに絞っているシノブ。
ことさら小ぶりの双丘と、腹筋のシックスパックが、貧乳好きの俺にはどストライクなのだ。
アキナが手に入れて来たゴムの避妊具で、最後まで行ったのは言うまでもない。ああ、最後まで行ったのは、いったいいつ以来だ?
あ、昨夜、サヤ姉とサジ姉と盛り上がって、最後まで行っちゃったんだった。しかも生で。苦笑
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毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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