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射手の統領173 ひと足先に東都へ帰還
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射手の統領
Zu-Y
№173 ひと足先に東都へ帰還
カチワウを立って、馬手側を流れる川に沿って南東へ。そしてじきに進行方向は東へと変わる。途中、川の流れがくねくねするので、道もそれに合わせてくねくねしていた。
馬手側を流れる川は、途中、いくつもの支流と合流し、川から河へと規模を大きくして行った。ミャーコに向かって西から東に流れるイトジの河である。
午前中の行程は順調に進んでいたのだが…、
「ブヒヒーン!」いきなりノワールが棹立ちになって暴れ出した。何ごとだ?
すかさずサジ姉が、ノワールに鎮静の術を掛けた。
北斗号を停め、ノワールの様子を見る。
「よしよしぃ。痛かったわねぇ。」
「ブルルン。」とノワールがタヅナに甘えている。
「これはぁ、蜂に刺されてるわぁ。この腫れ方だとぉ、スズメバチかしらぁ。」
ノワールの尻が腫れて来ている。スズメバチは黒を攻撃する。天敵のクマの色だからだ。
「ノアール…、可哀想…。解毒…。」
サジ姉が解毒の術をノアールに掛けた。
「ブルルン。」
「サジにぃ、ノアールがぁ、『ありがとう。』ってぇ、言ってるわぁ。」
「りょ…。」了解ってか?サジ姉、相変わらず返事が短い。笑
「ノアール堪忍なぁ。」「うちら、気付かずに見逃してしもうた。」
「ブルルン。」
「「おおきに。」」察するに、直前のブルルンは、『許す。』もしくは『気にするな。』だろう。
「アタル兄、ノアールの仇討ちや。」
「スズメバチの巣、探し出して一網打尽や。」
そう言ってキョウちゃんズは、式神を山道のすぐ脇の森の中へと放ったのだった。
程なくして、
「見っけたでぇ。」とサキョウ。
キョウちゃんズとシノブを連れて森の中に分け入ると、そこには大きなスズメバチの巣があった。妖化していないのでキラーベスパではないが、巨大化してさらに猛化した猛蜂である。これは駆除しないとな。
「ライ。」『応。』
通常出力の雷撃矢を続け様に数矢放って、猛蜂の巣を殲滅。猛蜂と化したスズメバチの巣と感電して死んだスズメバチの死骸を多数、回収したのだった。
猛化したスズメバチの巣を退治した後、待機してた場所で昼餉を摂ることにした。
昼餉休憩の後、イトジの河と山道の進行方向は東北東へ。そして再びイトジの河に沿って進行方向が東向きになったとき、ミャーコの港町は眼の前であった。
夕方、ミャーコの港町に着くと、そのままミャーコギルドへ行き、カチワウの月明草採取とゴースト退治のクエスト達成を報告し、ゴーストの残滓を素材として売った。
また、カチワウからミャーコに来る途中で狩った猛蜂化したスズメバチの死骸と巣を提示すると、スズメバチ討伐クエストの追加認定もされた。
なお、スズメバチの死骸から取る毒針と、巣は素材で引き取ってもらった。
北斗号をキノベ陸運ミャーコ支店に預け、俺たちは近場の宿を取った。
ミャーコは港町だから、夕餉は海産物だろう。久々に旨い刺身が食いたい。コムの攻略に、アタキに上陸してからずっと東北和の内陸だったものな。
「さっしみ、さしみー。さ、し、みー!」
「おっさ、しみー、おっさ、しみー。」
キョウちゃんズのテンションがバカ高い。苦笑
宿の近くの海鮮料理屋でも、
「トロやー。」「ウニやー。」「サーモンでござるー。」
と頗るご機嫌だった。おやおや、シノブもキョウちゃんズのテンションに引き摺り込まれちゃったか。笑
「美味しい。」「美味…。」「うむ、美味しいぞ。」「美味しいです。」「美味しいわぁ。」
もちろんサヤ姉、サジ姉、ホサキ、アキナ、タヅナもである。
俺はと言うと、
「くー、旨ぇ。」と、刺身を肴に呑んでいる、ミャーコの地酒に舌鼓を打っていたのだった。
その晩はキョウちゃんズ。
出会った頃のあの小っちゃかったキョウちゃんズは、今や嫁たちの中では一番背が高く、しかも俺にもほとんど追い付いている。胸も俺好みの小振りに育った。唯一、下だけはつるつるで、幼いまんまだけどな。笑
もはや、俺にロリコン疑惑が掛かることはないのであーる。
サヤサジ流ドラゴン調教術を会得したふたりは、マイドラゴンのあしらいも上手く、双子ならではの絶妙なコンビネーションで入れ代わり立ち代わりマイドラゴンを攻め立てて来るのだ。
俺も負けてはいられない。指でふたりの蜜壺を攻略し、この夜、遅くまでキョウちゃんズと楽しんだのだった
翌日の午前中は、ミャーコの港の海産市場を見て回った。
「え?何これ、ウニを牛乳瓶に詰めて売ってんぞ。」
「ああそうですね。最近よく見掛けますよ。この辺りの特産品です。」
「え?これはウニとイカとタコが入ってるでござる。」
「こっちは…サーモン…ウニ…イカ…。」
「これは、アワビ、イカ、タコよ。」
「ミャーコの名物ですよ。瓶丼と言って、そのままご飯の上に乗せると海鮮丼になるんです。」流石アキナ、商品の知識が豊富だ。
「マジか。叔父貴どのたちへの土産に買ってくかな。」流邏石で飛ぶから鮮度は大丈夫だろう。
俺は叔父貴たち3人、この後コム攻略の報告に行く次ノ宮殿下、帝居衛士のサエモン、東都ギルドのギルマスのタケクラ、受付のチナツ、東都前寿司の大将、西都ギルドのギルマスのサンキ、受付のチフユに、ウニの牛乳瓶を1本ずつ買った。
昼前にミャーコに入港した廻船に、北斗号を乗せた。函府から東都を結ぶ東航路南行廻船は、ここミャーコを発つと、明日はオナーマ、明後日はカッツラ、そして明々後日に東都に着く。
一方、俺たちは流邏石で、賀府を経由して東都、そしてテンバに帰る。3日後、東都に、廻船を受け取りに行けばいい。
北斗号を廻船に乗せると、俺たちは流邏石で賀府に飛んだ。ミャーコから東都へは一気に飛べないからだ。
俺、キョウちゃんズ、アキナ、シノブは、賀府から東都へ飛ぶが、サヤ姉はトノベ本拠のトコザ、サジ姉はヤクシ本拠のトマツ、ホサキはタテベ本拠のコスカ、タヅナはキノベ本拠のミーブへと飛んだのだった。
東都ギルド前に飛んだのは、俺とキョウちゃんズとシノブ。アキナだけは山髙屋東都総本店に飛んだ。
その後キョウちゃんズは、西都ギルドに寄ってから、オミョシ西家本拠のアーカに、シノブはシノベ本拠のマザに飛んで行った。
嫁たちは全員、コム攻略遠征の報告と、ミャーコの瓶丼を届けに実家巡りである。
俺は東都ギルド前に飛んだが、先に帝居に行って、次ノ宮殿下への取次ぎを頼んだ。
懇意にしている衛士のサエモンがいるから話は速い。すぐに応接室に通されて、次ノ宮殿下の来訪を待った。
サエモンにミャーコ土産のウニ瓶を渡すと大層喜んでくれた。
次ノ宮殿下はすぐに来て下さった。
「アタル、ようやく参ったか。」
「はっ。翠樹龍攻略が成りましたので報告に参りました。」
「翠樹龍攻略は2週間も前ではないか。」
「遅くなって申し訳ありません。いろいろありまして…。
ところで、つまらないものですが、ミャーコの魚市場で仕入れたウニ瓶と、ズッキーシの大牧場の乳製品です。他にリモーカ鉄器とリモーカ漆器がありますが、今日、廻船に載せましたので、後日お届けに上がります。」
「いつも過分な手土産、すまぬな。」
「いえいえ。滅相もございません。
それでは、コム鏑をご覧頂きたく。」
俺は緑色に輝くコム鏑を、次ノ宮殿下の前に出した。
「おお、これは美しい。アタル…。」
「はい。」
俺は残りの神龍鏑もすべて出した。黄色に輝くライ鏑、青色に輝くウズ鏑、橙色に輝くシン鏑、藍色に輝くレイ鏑、赤色に輝くエン鏑、紫色に輝くノワ鏑。最初に出した緑色に輝くコム鏑とともに、虹色コンプリートである。
「ふふふ、そなたは分かっておるの。それにしても美しい。惚れ惚れする。」
『そなた、今後ともアタルの後見をせよ。』『さすればそなたもそなたの属する帝家も安泰よ。』『ゆめゆめ忘るるでないぞ。』『『『『よいな。』』』』
「!」次ノ宮殿下はライたちからの念話に大層驚いておられた。苦笑
それから俺は、翠樹龍=コムの攻略について詳しく語り、その後のニアのマタギ村の復旧について、アタキの港町の町長と交渉したことや、木材の確保で復旧に協力したこと、そしてリモーカの町経由でミャーコの港町に行って、帰って来たことを説明した。
「とまあこんな訳で、少々帰還が遅れました。」
「アタル、今の報告だがな、ビーチク温泉で保養したことが抜けておるぞ。」次ノ宮殿下はニマニマしている。
「す、すみません。」焦る俺!
「リモーカのわんこそば屋でもそなたの嫁たちが大活躍だったそうはないか。」
「お見通しで…。」冷汗たらたらな俺。
「あのわんこそば屋だがの、連日サキョウとウキョウの記録にチャレンジする客で大繁盛だそうだぞ。」
「そうなんですね。」どこまで知ってるんだ?恐るべし、帝家の諜報網。
「ところで七神龍のすべてを眷属としたそなたは、これから、ユノベ統領に就任だな。」
「はい。そのつもりでおります。」
「そなたが翠樹龍攻略に赴いている間にな、来年皐の月の御代替わりと供奉の人事を発表したのだ。」
「そうでしたか。」
「巷も大騒ぎだがな、特に東の公家どもは大騒ぎよ。」
「横槍を封じられたせいですね。」
「左様、この発表を受けて、ユノベとキノベとタテベが代替わりするのだ。その状況で横槍など入れられまいが?」
「殿下の遠謀深慮には感服するばかりです。」
「大したことではない。と言いたいところだがの、実は余に入れ知恵した者がおるのだ。」
「そうなんですか?」
「アタルもよう知っておる者ぞ。当ててみよ。」
「え?誰だろ?」
「ヒントはな、そなたの披露目よ。」
次ノ宮殿下は、極秘で西都の公家衆と、御代替わりの打合せをするために、ユノベとオミョシ西家の婚約同盟の披露目を利用したのだ。そのときに入れ知恵されたとすると、西都か商都の…。
「殿下、そろそろ。」横から侍従が声を掛けて来た。
「もう時間か。やれやれ。楽しい時間は速く過ぎるものよ。」そう言って殿下は退室して行かれた。
結局、誰に入れ知恵されたのかは教えてもらえなかった。宿題…と言うことか。
俺は帝居を辞し、東都ギルドへと向かった。
「チナツさん、これ、土産な。それと、タケクラさんに取り次いでくれる?」俺は馴染みの受付嬢のチナツに、ウニ瓶を渡した。
「あ、いつもすみません。」チナツはすぐにタケクラに取り次ぎに行った。
そしてギルマスルームに通された。
「アタル、随分早く攻略したのだな。」
「まあな。これ土産だ。」ミャーコで買ったウニ瓶を渡した。
「いつもすまんな。」
「いや、大したもんじゃないよ。でも結構旨かったぜ。酒のアテには最適だな。」
「そいつはいい。
ところで見せてくれるか?」
「いいぜ。」
俺は緑に輝くコム鏑を出した。
「見事だ。」しばらく眺めていたタケクラは、ため息交じりにそう言った。
「この後はしばらく代替わりの準備があるんで、俺はギルドに顔を出せなくなると思う。」
「うむ。そうだな。予想外の人事に巷は大騒ぎだぞ。」
「これも次ノ宮殿下の遠謀深慮だ。」
「そうだな。あの宮は切れ者だ。東の公家どもは横槍が入れられなくなって意気消沈しているよ。」
「まあそうだな。ユノベ、キノベ、タテベがこの人事で代替わりする。それに横槍を入れたらこの3家に敵対するようなものだ。それに、実際は3家では済まないぜ。御代替わりを遅らせたらオミョシ西家もシノベも黙ってないだろ。それに俺にはトノベとヤクシが付いてるし、オミョシ西家にはエノベが付いている。」
「それな。オミョシ西家とエノベの婚姻同盟には驚かされたぞ。それとオミョシ西家が東家との婚約を反故にしたのもな。」
「え?婚姻同盟の話はどっから伝わって来たんだ?」
「昨日、オミョシ西家とエノベが同時に発表したぞ。」
あれ?シエンの奴、オミョシ東家の座主がアーカまで詫びに来ることで、シエンが東家座主を許したら、シエンが反故にした婚姻の復活を蒸し返して来るはずだから、そこでエノベとの婚姻を告げるんじゃなかったっけ?
いろいろ状況は変わったのかな?
「東家座主の出方次第では、側室の芽はあるかもしれないけどな。」
「そうなのか?東家座主の出方と言うと?」
「西家への臣従だよ。アーカまで出向いて詫びればいいだけさ。」
「東家座主は小心者だが、プライドだけは妙に高いぞ。甥に易々と頭を下げるかな?」
「今回の御代替わりの供奉人事で俺たちの後ろに次ノ宮殿下が付いているのは容易に想像が付くだろ。」
「まあそうだな。」
「それでも敵対して来たら俺たちの同盟がツークを囲むことになる。そしたら座主は隠居させてパパ島かママ島に遠流だな。」
「そんなとこまで話はできているのか?」
「俺とシエンの間では、だけどな。今、シエンのお母上が、座主を説得に行ってるよ。供奉の人事がトドメだろうな。」
タケクラは呆気に取られていた。そして、しばしの間の後、
「時代は変わって行くのだなぁ。」
しみじみとタケクラがそう言ったのが印象的だった。
俺は東都のギルマスルームを辞し、テンバのユノベ館へと飛んだのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
Zu-Y
№173 ひと足先に東都へ帰還
カチワウを立って、馬手側を流れる川に沿って南東へ。そしてじきに進行方向は東へと変わる。途中、川の流れがくねくねするので、道もそれに合わせてくねくねしていた。
馬手側を流れる川は、途中、いくつもの支流と合流し、川から河へと規模を大きくして行った。ミャーコに向かって西から東に流れるイトジの河である。
午前中の行程は順調に進んでいたのだが…、
「ブヒヒーン!」いきなりノワールが棹立ちになって暴れ出した。何ごとだ?
すかさずサジ姉が、ノワールに鎮静の術を掛けた。
北斗号を停め、ノワールの様子を見る。
「よしよしぃ。痛かったわねぇ。」
「ブルルン。」とノワールがタヅナに甘えている。
「これはぁ、蜂に刺されてるわぁ。この腫れ方だとぉ、スズメバチかしらぁ。」
ノワールの尻が腫れて来ている。スズメバチは黒を攻撃する。天敵のクマの色だからだ。
「ノアール…、可哀想…。解毒…。」
サジ姉が解毒の術をノアールに掛けた。
「ブルルン。」
「サジにぃ、ノアールがぁ、『ありがとう。』ってぇ、言ってるわぁ。」
「りょ…。」了解ってか?サジ姉、相変わらず返事が短い。笑
「ノアール堪忍なぁ。」「うちら、気付かずに見逃してしもうた。」
「ブルルン。」
「「おおきに。」」察するに、直前のブルルンは、『許す。』もしくは『気にするな。』だろう。
「アタル兄、ノアールの仇討ちや。」
「スズメバチの巣、探し出して一網打尽や。」
そう言ってキョウちゃんズは、式神を山道のすぐ脇の森の中へと放ったのだった。
程なくして、
「見っけたでぇ。」とサキョウ。
キョウちゃんズとシノブを連れて森の中に分け入ると、そこには大きなスズメバチの巣があった。妖化していないのでキラーベスパではないが、巨大化してさらに猛化した猛蜂である。これは駆除しないとな。
「ライ。」『応。』
通常出力の雷撃矢を続け様に数矢放って、猛蜂の巣を殲滅。猛蜂と化したスズメバチの巣と感電して死んだスズメバチの死骸を多数、回収したのだった。
猛化したスズメバチの巣を退治した後、待機してた場所で昼餉を摂ることにした。
昼餉休憩の後、イトジの河と山道の進行方向は東北東へ。そして再びイトジの河に沿って進行方向が東向きになったとき、ミャーコの港町は眼の前であった。
夕方、ミャーコの港町に着くと、そのままミャーコギルドへ行き、カチワウの月明草採取とゴースト退治のクエスト達成を報告し、ゴーストの残滓を素材として売った。
また、カチワウからミャーコに来る途中で狩った猛蜂化したスズメバチの死骸と巣を提示すると、スズメバチ討伐クエストの追加認定もされた。
なお、スズメバチの死骸から取る毒針と、巣は素材で引き取ってもらった。
北斗号をキノベ陸運ミャーコ支店に預け、俺たちは近場の宿を取った。
ミャーコは港町だから、夕餉は海産物だろう。久々に旨い刺身が食いたい。コムの攻略に、アタキに上陸してからずっと東北和の内陸だったものな。
「さっしみ、さしみー。さ、し、みー!」
「おっさ、しみー、おっさ、しみー。」
キョウちゃんズのテンションがバカ高い。苦笑
宿の近くの海鮮料理屋でも、
「トロやー。」「ウニやー。」「サーモンでござるー。」
と頗るご機嫌だった。おやおや、シノブもキョウちゃんズのテンションに引き摺り込まれちゃったか。笑
「美味しい。」「美味…。」「うむ、美味しいぞ。」「美味しいです。」「美味しいわぁ。」
もちろんサヤ姉、サジ姉、ホサキ、アキナ、タヅナもである。
俺はと言うと、
「くー、旨ぇ。」と、刺身を肴に呑んでいる、ミャーコの地酒に舌鼓を打っていたのだった。
その晩はキョウちゃんズ。
出会った頃のあの小っちゃかったキョウちゃんズは、今や嫁たちの中では一番背が高く、しかも俺にもほとんど追い付いている。胸も俺好みの小振りに育った。唯一、下だけはつるつるで、幼いまんまだけどな。笑
もはや、俺にロリコン疑惑が掛かることはないのであーる。
サヤサジ流ドラゴン調教術を会得したふたりは、マイドラゴンのあしらいも上手く、双子ならではの絶妙なコンビネーションで入れ代わり立ち代わりマイドラゴンを攻め立てて来るのだ。
俺も負けてはいられない。指でふたりの蜜壺を攻略し、この夜、遅くまでキョウちゃんズと楽しんだのだった
翌日の午前中は、ミャーコの港の海産市場を見て回った。
「え?何これ、ウニを牛乳瓶に詰めて売ってんぞ。」
「ああそうですね。最近よく見掛けますよ。この辺りの特産品です。」
「え?これはウニとイカとタコが入ってるでござる。」
「こっちは…サーモン…ウニ…イカ…。」
「これは、アワビ、イカ、タコよ。」
「ミャーコの名物ですよ。瓶丼と言って、そのままご飯の上に乗せると海鮮丼になるんです。」流石アキナ、商品の知識が豊富だ。
「マジか。叔父貴どのたちへの土産に買ってくかな。」流邏石で飛ぶから鮮度は大丈夫だろう。
俺は叔父貴たち3人、この後コム攻略の報告に行く次ノ宮殿下、帝居衛士のサエモン、東都ギルドのギルマスのタケクラ、受付のチナツ、東都前寿司の大将、西都ギルドのギルマスのサンキ、受付のチフユに、ウニの牛乳瓶を1本ずつ買った。
昼前にミャーコに入港した廻船に、北斗号を乗せた。函府から東都を結ぶ東航路南行廻船は、ここミャーコを発つと、明日はオナーマ、明後日はカッツラ、そして明々後日に東都に着く。
一方、俺たちは流邏石で、賀府を経由して東都、そしてテンバに帰る。3日後、東都に、廻船を受け取りに行けばいい。
北斗号を廻船に乗せると、俺たちは流邏石で賀府に飛んだ。ミャーコから東都へは一気に飛べないからだ。
俺、キョウちゃんズ、アキナ、シノブは、賀府から東都へ飛ぶが、サヤ姉はトノベ本拠のトコザ、サジ姉はヤクシ本拠のトマツ、ホサキはタテベ本拠のコスカ、タヅナはキノベ本拠のミーブへと飛んだのだった。
東都ギルド前に飛んだのは、俺とキョウちゃんズとシノブ。アキナだけは山髙屋東都総本店に飛んだ。
その後キョウちゃんズは、西都ギルドに寄ってから、オミョシ西家本拠のアーカに、シノブはシノベ本拠のマザに飛んで行った。
嫁たちは全員、コム攻略遠征の報告と、ミャーコの瓶丼を届けに実家巡りである。
俺は東都ギルド前に飛んだが、先に帝居に行って、次ノ宮殿下への取次ぎを頼んだ。
懇意にしている衛士のサエモンがいるから話は速い。すぐに応接室に通されて、次ノ宮殿下の来訪を待った。
サエモンにミャーコ土産のウニ瓶を渡すと大層喜んでくれた。
次ノ宮殿下はすぐに来て下さった。
「アタル、ようやく参ったか。」
「はっ。翠樹龍攻略が成りましたので報告に参りました。」
「翠樹龍攻略は2週間も前ではないか。」
「遅くなって申し訳ありません。いろいろありまして…。
ところで、つまらないものですが、ミャーコの魚市場で仕入れたウニ瓶と、ズッキーシの大牧場の乳製品です。他にリモーカ鉄器とリモーカ漆器がありますが、今日、廻船に載せましたので、後日お届けに上がります。」
「いつも過分な手土産、すまぬな。」
「いえいえ。滅相もございません。
それでは、コム鏑をご覧頂きたく。」
俺は緑色に輝くコム鏑を、次ノ宮殿下の前に出した。
「おお、これは美しい。アタル…。」
「はい。」
俺は残りの神龍鏑もすべて出した。黄色に輝くライ鏑、青色に輝くウズ鏑、橙色に輝くシン鏑、藍色に輝くレイ鏑、赤色に輝くエン鏑、紫色に輝くノワ鏑。最初に出した緑色に輝くコム鏑とともに、虹色コンプリートである。
「ふふふ、そなたは分かっておるの。それにしても美しい。惚れ惚れする。」
『そなた、今後ともアタルの後見をせよ。』『さすればそなたもそなたの属する帝家も安泰よ。』『ゆめゆめ忘るるでないぞ。』『『『『よいな。』』』』
「!」次ノ宮殿下はライたちからの念話に大層驚いておられた。苦笑
それから俺は、翠樹龍=コムの攻略について詳しく語り、その後のニアのマタギ村の復旧について、アタキの港町の町長と交渉したことや、木材の確保で復旧に協力したこと、そしてリモーカの町経由でミャーコの港町に行って、帰って来たことを説明した。
「とまあこんな訳で、少々帰還が遅れました。」
「アタル、今の報告だがな、ビーチク温泉で保養したことが抜けておるぞ。」次ノ宮殿下はニマニマしている。
「す、すみません。」焦る俺!
「リモーカのわんこそば屋でもそなたの嫁たちが大活躍だったそうはないか。」
「お見通しで…。」冷汗たらたらな俺。
「あのわんこそば屋だがの、連日サキョウとウキョウの記録にチャレンジする客で大繁盛だそうだぞ。」
「そうなんですね。」どこまで知ってるんだ?恐るべし、帝家の諜報網。
「ところで七神龍のすべてを眷属としたそなたは、これから、ユノベ統領に就任だな。」
「はい。そのつもりでおります。」
「そなたが翠樹龍攻略に赴いている間にな、来年皐の月の御代替わりと供奉の人事を発表したのだ。」
「そうでしたか。」
「巷も大騒ぎだがな、特に東の公家どもは大騒ぎよ。」
「横槍を封じられたせいですね。」
「左様、この発表を受けて、ユノベとキノベとタテベが代替わりするのだ。その状況で横槍など入れられまいが?」
「殿下の遠謀深慮には感服するばかりです。」
「大したことではない。と言いたいところだがの、実は余に入れ知恵した者がおるのだ。」
「そうなんですか?」
「アタルもよう知っておる者ぞ。当ててみよ。」
「え?誰だろ?」
「ヒントはな、そなたの披露目よ。」
次ノ宮殿下は、極秘で西都の公家衆と、御代替わりの打合せをするために、ユノベとオミョシ西家の婚約同盟の披露目を利用したのだ。そのときに入れ知恵されたとすると、西都か商都の…。
「殿下、そろそろ。」横から侍従が声を掛けて来た。
「もう時間か。やれやれ。楽しい時間は速く過ぎるものよ。」そう言って殿下は退室して行かれた。
結局、誰に入れ知恵されたのかは教えてもらえなかった。宿題…と言うことか。
俺は帝居を辞し、東都ギルドへと向かった。
「チナツさん、これ、土産な。それと、タケクラさんに取り次いでくれる?」俺は馴染みの受付嬢のチナツに、ウニ瓶を渡した。
「あ、いつもすみません。」チナツはすぐにタケクラに取り次ぎに行った。
そしてギルマスルームに通された。
「アタル、随分早く攻略したのだな。」
「まあな。これ土産だ。」ミャーコで買ったウニ瓶を渡した。
「いつもすまんな。」
「いや、大したもんじゃないよ。でも結構旨かったぜ。酒のアテには最適だな。」
「そいつはいい。
ところで見せてくれるか?」
「いいぜ。」
俺は緑に輝くコム鏑を出した。
「見事だ。」しばらく眺めていたタケクラは、ため息交じりにそう言った。
「この後はしばらく代替わりの準備があるんで、俺はギルドに顔を出せなくなると思う。」
「うむ。そうだな。予想外の人事に巷は大騒ぎだぞ。」
「これも次ノ宮殿下の遠謀深慮だ。」
「そうだな。あの宮は切れ者だ。東の公家どもは横槍が入れられなくなって意気消沈しているよ。」
「まあそうだな。ユノベ、キノベ、タテベがこの人事で代替わりする。それに横槍を入れたらこの3家に敵対するようなものだ。それに、実際は3家では済まないぜ。御代替わりを遅らせたらオミョシ西家もシノベも黙ってないだろ。それに俺にはトノベとヤクシが付いてるし、オミョシ西家にはエノベが付いている。」
「それな。オミョシ西家とエノベの婚姻同盟には驚かされたぞ。それとオミョシ西家が東家との婚約を反故にしたのもな。」
「え?婚姻同盟の話はどっから伝わって来たんだ?」
「昨日、オミョシ西家とエノベが同時に発表したぞ。」
あれ?シエンの奴、オミョシ東家の座主がアーカまで詫びに来ることで、シエンが東家座主を許したら、シエンが反故にした婚姻の復活を蒸し返して来るはずだから、そこでエノベとの婚姻を告げるんじゃなかったっけ?
いろいろ状況は変わったのかな?
「東家座主の出方次第では、側室の芽はあるかもしれないけどな。」
「そうなのか?東家座主の出方と言うと?」
「西家への臣従だよ。アーカまで出向いて詫びればいいだけさ。」
「東家座主は小心者だが、プライドだけは妙に高いぞ。甥に易々と頭を下げるかな?」
「今回の御代替わりの供奉人事で俺たちの後ろに次ノ宮殿下が付いているのは容易に想像が付くだろ。」
「まあそうだな。」
「それでも敵対して来たら俺たちの同盟がツークを囲むことになる。そしたら座主は隠居させてパパ島かママ島に遠流だな。」
「そんなとこまで話はできているのか?」
「俺とシエンの間では、だけどな。今、シエンのお母上が、座主を説得に行ってるよ。供奉の人事がトドメだろうな。」
タケクラは呆気に取られていた。そして、しばしの間の後、
「時代は変わって行くのだなぁ。」
しみじみとタケクラがそう言ったのが印象的だった。
俺は東都のギルマスルームを辞し、テンバのユノベ館へと飛んだのだった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
毎週月曜22時に投稿します。
以下の2作品も合わせてよろしくお願いします。
「精霊の加護」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/836586739
「母娘丼W」https://www.alphapolis.co.jp/novel/121143041/265755073
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿します。
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※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
30年待たされた異世界転移
明之 想
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気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
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パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
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【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
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